ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは?基本から具体的な方法まで解説

以前公開したアメリカのPPCカンファレンスレポートにもありましたが、近年、「多くのリードを獲得して、段階を経ながら見込み客にアプローチしていく」という従来のマーケティング手法に変化が起こっています。

それは、ユーザーの興味関心の多様化や情報との接触方法・頻度の増加、行動パターンの変化などにより、従来より効率的に効果的にマーケティングを行う必要が出てきているためです。

そんな変化の中で注目を集めている考えが、ABM(Account Based Marketing)という考え方です。
実は従来からあったマーケティングの考えではあるのですが、近年の技術の発達によって従来難しかったABMの実践が可能になってきました。
この記事では、ABMの基本から具体的な実践方法までご紹介します。

ABMとは

ABMとは、Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)の略称です。

ABMはBtoBマーケティングの領域で注目を集めている手法で、従来リード(個人)に対してアプローチを仕掛けていったのに対して、ABMでは、アカウント(企業)にフォーカスしてアプローチを行います。

ちなみに日本ではまだあまり聞かない手法ですが、米国ではABMはもはや当たり前で、どこの企業でも実践している基本的なマーケティング手法となっているそうです。

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ABMの評価が高まっている理由

最近評価が高まっているABMですが、実はABMの考え方は昔からありました。

ではなぜ最近になってABMの評価が高まってきているのでしょうか?
それには大きく2つの理由があります。

リードの量でなく質が求められるようになってきた

最近のBtoBビジネス界隈では、売上を追う中でリードの量でなく、リードの質を求める流れが生まれてきています。

ABMを提唱する米Demandbaseによると、

Web来訪者の82%はポテンシャルカスタマーではない
Web来訪者の直帰率(Bounce Rate)は60%にのぼる
マーケティングが提供するリードの50%は営業に無視される

 
とBtoBビジネスにとってはかなり世知辛いことを提唱しています。

このような状況に加えて、BtoBサービスは顧客の規模によって購買力の格差が大きく、成約に至る販売チャネルがかなり限られてしまうという傾向があります。

そのため、最近では数を打てば当たる的な考え方から、限られた顧客に対して、大限の成果を得ようという考え方にシフトしてきました。

この変化に対してABMの仕組みは非常にマッチしていた為、BtoBビジネスを行う業界でABMが高く評価されています。

ABMでは、見込みが低い大量のリードと、地道なコミュニケーションを行い関係構築をすることは重視していません。
従来のようにすべてのリードを追っていくのではなく、

その顧客が高い収益性のポテンシャルを持っているか?
戦略的に重要であるか?
市場への影響力が強いか?

などをベースにアカウント企業を選定し、見込みの高い企業に対しては、リード単位で自社との関係性を可視化し、そこで得た情報(所属するチーム、人間関係、役職・立場など)から適切なアプローチを行う、という事を最重要視しています。

なのでABMを超簡単に説明すると、見込みの高いことろにだけ注力するということです。

既存の取引先にアップセルやクロスセルをおこなったり、
購買力の高い企業にターゲットを絞ってマーケティング活動をおこなったりすることで、収益率を高めるための考え方がABMなのです。

「ABMやりたくでも出来ない」が出来るようになってきた。

2つ目の理由は、テクノロジーの発展により、これまで「ABMは知ってるけど出来ない…」と諦めていた企業が、ABMを実践できるようになったことが挙げられます。

ターゲット企業の従業員のデータは、Facebookや名刺など様々な場所に存在します。
展示会のブースでたまたま名刺交換をしていたり、ソーシャルメディアから情報を集めたり、ターゲット企業に関する情報はあらゆるところに眠っています。

この膨大なデータを一つの場所で一括管理することは、これまでのテクノロジーだと実現ですることが難しかったですが、例えばsalesforceなどのマーケティングオートメーションツールが登場しシェアを広げている現在では、ABMを実践できる仕組みが整いつつあります。

先述した通りABMは、見込みの高いことろにだけ注力するという考えのマーケティング活動です。
それが実施できて成果が上がるのであれば、当然収益性も上がりますし、ABMはその期待がかなり持てる手法なので多くのBtoBビジネスを行う企業から評価を得ています。

ABM実践の6ステップ

それではここからはABMを実際にやってみた際の手順を見ていきましょう。
具体的な手順を見ながら自社で実践した際のイメージをしてみてください。

アカウント(ターゲット企業)の選定

ABMを実践する際は、まず自社で持っている顧客リストを整理したり、分析したりすることで、顧客の優先順位をつけます。
今後期待できる取引額やインパクトの大きさ、LTV(リピート率)などを総合的に判断して、より長期的な利益が期待できる顧客を抽出します。

キーパーソン調査

アカウントの選定ができたら、その企業の意思決定を左右する重要人物がいるかを確認します。
ここでは決裁権だけでなく、経営的な意思決定に影響力を持つ人物がいるかどうかを押さえます。

アカウント選定時点で、確度の高いところに対象を絞っていますが、その中でもより影響力の高いキーパーソンに絞ってアプローチをかけることで、収益率を最大化します。

このキーパーソン探しが受注率に大きく影響を与えるので実施する際には、最新の注意を払ってキーパーソンに間違いが無いかを確認したほうが良いでしょう。

コンタクト取得

キーパーソンが明らかになったら、次にその人とどうコンタクトをとるかを考えます。

たとえば、展示会やセミナーの招待状を出して名刺を獲得したり、メールやテレアポで直接コンタクトをとったりするなどが考えられます。

アプローチのシナリオ作成

コンタクトの方法を決めたら、続いて営業の切り口を考えます。
もし、キーパーソンが抱えているニーズを把握しているなら、資料や営業トークに落とし込んでいきます。

重要なのは、課題解決の提案ができるか否かですので、相手のニーズが分からない状態なのであれば、キーパーソンの周りの人や経営の状態などからニーズを分析していきましょう。

キャンペーン実施

キャンペーンは、Webやメール・紙媒体など、相手の反応が取りやすい最適なチャネルを選択します。

ただそこで注意しないといけないことは、Webや紙媒体などチャネルが違ったとしても、一貫したメッセージが伝わるよう工夫をすることです。

ABMは個人にパーソナライズしたアプローチを実施していきますが、人は一度違和感を感じてしまうと、そのキャンペーン全体に対して一気にネガティブな印象を持ってしまします。なのでチャネルごとのキャンペーンにはしっかりと一貫性を持たせて、キーパーソンに違和感を感じさせないようにすることがABMを実践する上ではとても大切です。

効果測定・フィードバック

ABMにおいてもっとも重要なのが、効果測定やフィードバックをして、効果的な施策だけを残していくことです。

事前準備はとても大切ですがビジネスの世界ではやってみないと分からないことがたくさんあります。

実際にアプローチした結果を見て、継続的にキャンペーン施策の調整や修正をしましょう。
このPDCAをどれだけ早く回せるかで、ABMの成果が大きく分かれることになります。

ABMがもたらす5つのメリット

1 効率的なマーケティング活動が可能に

「売上の8割は2割の上位顧客によって生み出される」で有名なパレートの法則に基づいて、ターゲットを上位の見込み客だけに選定することで、効率的なマーケティング活動の実施が期待できます。

また、ITSMAが2014年に実施したアカウントベースドマーケティング調査によると、「BtoBマーケティング戦略または戦術のなかで、ABMが最も高い投資対効果(ROI)を生んでいる」との発表もあったそうです。

2 無駄なリソースの削減

ターゲットを明確に定めるため、これまで利益に繋がらない相手に対してかけていたリソースを削減できます。
その結果として、自社のリソースを効果的な見込み客に集中させることができます。

3 パーソナライズかつ最適化されている

ABMを実施する際には、アカウント企業のターゲットとなる相手に興味関心を持ってもらえるように、コミュニケーションを行う際には、その人に合わせたパーソナライズなコミュニケーションを行います。

広告の考えと同じですが、自分に向けて作られたオリジナルのコンテンツや、自分が担当している事業の為にカスタマイズされた情報には、ターゲットは高い反応を示します。

その多種多様なコミュニケーションの手法をABMでは顧客情報に基づいてプログラムすることができ、ターゲットとする相手に対して最適化されたアプローチを実施できます。

4 施策の測定・PDCAが回しやすい

ABMでは選定したターゲットに集中してアプローチを行うため、超大量のリードの管理をする必要がありません。

つまり何か施策を実施した際にも効果測定が行いやすく、分析をする際にも明確な改善策を導きやすい特徴があります。

そのPDCAを回すことで、これまで大量のリードの中で実施していた「数打てば当たる」的なアプローチよりも、かなり高精度のマーケティング的な施策を実施していく事が可能になります。

5 営業とマーケティングとの連携がスムーズになる

マーケティングに従事する方はPCとの仕事がメインになってくるのに対して、営業の仕事は人との仕事がメインとなっています。

従来のマーケティングと営業の関係性では、その仕事のスタイル・思考特性の違いから摩擦が起きやすかったですが、ABMではマーケティングも営業と同様に顧客志向で施策の設計を組むことになるので、摩擦が生じにくくなります。

営業とマーケティングが連携しながら、対象顧客の興味関心などを分析して、顧客にアプローチすることができるため、結果として社内の業務の円滑化にも役に立ちます。

まとめ

ABMをまとめると

・優良な企業にターゲットを絞る
・その企業のキーパーソンを特定する
・キーパーソンの為のアプローチをしていき契約を獲る

というものになります。

その中で相手の不安・不満は何か?相手が求めて居るものは何か?を考えながらアプローチを仕掛けていく手法になります。

これまでこれを実践で来ていたのは、一部の優秀な営業マンだけでした。
それがITテクノロジーの発展により、マーケティング側で仕組み化をして、それを営業と連携を取りながら実践していくことができるようになってきています。

BtoBビジネスにとって、優良な企業との関係性を築く事は非常に重要な事象になります。
今はまだ実践している競合は少ないかもしれませんが、マーケティング界隈では米国の波は数年後に日本で普及すると言われているので、競合に先手を取られる前にABMの仕組みづくりに着手した方が良いかもしれません。

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