【海外のマーケティング】中国の検索エンジンの実態と、Webマーケティングトレンドについて

海外のウェブマーケティングの情報をお届けするシリーズ「海外のマーケティング」。

今回は世界一の人口を誇る超大国の中国のマーケティング情報をお届けします。
日本と全く異なるWebマーケティングの特性について現地の調査員の情報を元にお伝えします。

中国のWebマーケティングの上で避けることのできない「統制」

まず、日本のメディアの報道でも垣間見られますが、中国は「統制」の強い国です。

ただ、それは支配や制限を意味するネガティブな性質だけではなく、発展や安定を支えるポジティブな性質も持ち合わせているという現実があります。人口も国土も広大で、省をまたぐだけで民族・文化・産業に多様性が存在する大国家の中国では、どうしても統制という管理システムを適用せざるを得ない事情があります。

そして、この統制は現実世界だけではなく、いまや生活のインフラとして機能しているインターネットの世界でも同様に働いています。中国のインターネットは「グレートウォール(万里の長城)」という検閲システムによってガッチリと固められていて、(その壁の回避の方法はいくつか存在するにせよ)、ユーザーはその壁から外に出る事は出来ないのです。

中国ではGoogleがシャットダウンされ使用できない

そしてまた、その壁の形は時流に併せてコロコロ変わっていきます。これもまた統制の力の成せる技と言えるでしょう。

一例を挙げれば、1年前はそれなりに快適に中国でも使用できたYahoo!検索が、2019年5月時点では使用不可になっています。

Yahoo!のトップページは開き、メールやヤフオクなどの機能はスムーズに機能しますが、Yahoo!検索がシャットダウンの対象となっています。この状況はまたいつでも変わる可能性がありますし、変わらない可能性もあります。

変更はものすごくスピーディーで、ユーザーはその変化に対応することはおろか、変化に気づけないことも珍しくないほどのスピード感です。

このインターネット統制の最たる代表例が、「Google」に対する統制です。行政システムが異なる香港ではGoogleは通じますが、中国本土での使用は完全にシャットダウンの対象となっており、この状況に現時点では変化は見られていません。

中国国内の検索エンジンシェアNo.1の百度(バイドゥ)の攻略が最重要

その代わりに、中国内の一般ユーザーが日常的に使うのは「百度(バイドゥ)」という検索エンジンで、この百度は検索エンジンの他にも、「Googleマップ」、「Wikipedia」、「YouTube」、「Yahoo!/MSNニュース」といった主要な情報インフラ機能をすべて持ち合わせている巨大なサイトです。

CNNIC(2017年)の調査によれば、百度の検索エンジンマーケットシェアは約90%を占めていて、スマホ・パソコンユーザー併せて月間6億超のユーザーが訪れます。さらに1日の平均検索回数はなんと約100億回と試算されていて、とにかく、中国インターネットユーザーが何か情報を検索しようとするなら、必ず「百度」という玄関口を訪れると言っても過言ではありません。

中国政府としては、インターネット世界での統制を行うに当たり、「インターネット世界の窓口をひとつに集約させ、窓口を自分たちの管理下に置く」必要がある事情があります。Googleは資金力は潤沢だったものの政治力で内部に入る事が出来ず、中国での検索エンジンシェアを獲得できないどころか、撤退寸前にまで追い込まれてしまっているのが現状です。

このような、良く言えば安定して秩序立っている、悪く言えば鎖国化して閉鎖的な中国のインターネット世界においては、どのようなWebマーケティングが適切でしょうか。ここで参考になるのが現在の中国国内で注目されているマーケティングの手法です。

中国インターネット世界においてWebマーケティングで成果を上げるためには、まず王道ルートとして「百度」から攻略をする必要があります。ただ、前述の通り「情報の統制が存在する」という特性があり、政治的要素を含むような内容は排除される可能性が高いため、当然ながら回避をする必要があります。

そのほか、上位検索の要件として「バックリンク」が考慮される傾向があることが予測されています。

バックリンクというのは、他Webサイトに貼り付けられた外部リンクであり、このリンクが多く存在し、自社サイトから他のサイトへのルートが多いほど、百度では質の高いページだと考慮されるというロジックがあります。

どの企業でも良いのですが、百度で日本の大手メーカーやファッションブランド等を検索してみると、必ず大众点评网のようなレビューサイトや、百度知道、百度百科、百度文庫といった百度系のサイトなどに外部リンクが通じています。このことからもバックリンクが広がる程、検索結果も上がる仕組みだと言われています。

重要性を増している中国式ECサイトの攻略

百度の王道ルートの攻略と合わせて、次に行うべきなのが「中国式ECサイト」の攻略です。日本では「Amazon」や「楽天」がECサイトとしてシェアをとっていますが、中国でのシェアは完全に低迷していて、遂にAmazonは2019年4月に事業撤退を発表しました。Amazonに代わる中国を代表するECサイトは「淘宝(タオバオ)」です。

タオバオは桁違いの物量と売上高を誇る巨大ECサイトで、少し古いデータですが、「2012年11月11日(独身お祝いの日)の1日で新宿伊勢丹1年分の売上を達成した」などと話題になりました。

このほか、「京东(ジンドン)」「一号店(イーハオディエン)」「天猫(Tmall)」「微店(ウェイテン)」などのECサイトが日常的に使われており、最近は「豌豆公主(ワンドウ)」のように日本商品を専門に取り扱い人気を博しているECサイトもあります。

日本製品を売り出したいと考えた時、自分たちの製品がどこのECサイトで人気なのかを検索するのがお勧めです。そして、競合の少ないECサイトに向かおうと考えるのではなく、むしろ出来るだけ競合が多数集まっているECサイトから狙っていくことをお勧めしています。

中国では日本のコンビニ業界で使われている「ドミナント戦略」が有効で現実世界でもインターネット世界でも同様に、買い物客は「自分が求めている業種や商品が集まっている場所」に向かう傾向があります。(中国の小道に足を運んでみると、八百屋の隣に八百屋が、洗髪屋の隣に洗髪屋が、レストランの隣にレストランが、それぞれ並んでいる事がよくあります。)

口コミ対策が中国のWebマーケティング攻略に影響度を増している

そして、検索エンジンの対策、ECサイトへの対策にせよ、共通して肝心なポイントとなるのが「口コミ」対策です。

中国人の気質として「自由に行動をしているように見えるが、行動の原動力はみんな一緒」という傾向があります。(ちなみに、日本はその真逆で「みんなで一緒に行動をしているように見えるが、行動の原動力は違う」という傾向があります。)

たとえば、中国人観光客が非常に多く、人気のある意外な場所が神奈川県の湘南地区にある「江ノ電」です。

百度で「日本旅遊(日本旅行) 攻略」と検索を掛けた際に、必ず江ノ電・鎌倉ルートの紹介が上位に躍り出ます。これはコミック『SLAM DUNK(スラムダンク)』の舞台である事で、アニメファンが足を運び、彼らが口コミを多数書いてくれたお陰で人気が爆発した観光スポットです。

口コミを書くユーザーというのは、本当に自分の体験が魅力的であった事を紹介したい人、あるいは自己顕示欲や他人へ自慢したい人、と様々ですが、その影響力は中国でも大きい傾向があります。

製品やサービスに関する印象的な口コミはすぐに広範囲に拡散し、大きな影響力を発揮します。Wechat(中国版Twitter/Line/電子決済等アプリ)を中心としたSNSサービスでの情報発信が重要で、ここから口コミが生まれれば、Webマーケティングが波に乗るという現実があります。

もし製品の感触が良ければ口コミがECでの高い評価のレビューを生む事になり、高い評価のレビューが生まれればますます商品が売れ、口コミの増加が加速します。この良い循環を生むことが、中国のWebマーケティングの成功においても効果的です。

以上が、中国の検索エンジンの実態とWebマーケティングトレンドです。中国の文化とインターネット世界の事情を十分に考慮し、最適なマーケティングを展開する事が重要です。

また、今後も中国の新しいWebマーケティングに関する情報をお届けする予定なのでお楽しみに。

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