【海外のマーケティング】2019年現在のドイツのWebマーケティング手法のトレンドについて

海外のウェブマーケティングの情報をお届けするシリーズ「海外のマーケティング」。

今回はドイツでの事例をもとに、昨今のWebマーケティングの流行について取り上げます。

広告やWebマーケティングの手法も、国ごと・地域ごとに様々な様式があります。
日本国内のWebマーケティングも成長を続けていますが、海外のマーケティングのアイデアを取り入れたり、参考にして新たな手法を発想することで、日本のWebマーケティングでもさらに大きな成果を得られるかもしれません。

ドイツでもスマートフォンの普及により、ここ10年ほどでWebマーケティングの分野も格段の進化を遂げています。
その中でも2019年現在で注目されている、8つのWebマーケティング手法について解説します。

ドイツ企業で増えつつある役職「Digital Traffic Manager」


 
ドイツ企業では、マーケティング領域における新たな役職として「Digital Traffic Manager」というポジションを新設するケースが増えています。

その背景にあるのがFacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを利用した広告出稿やマーケティングの広がりです。

SNSのマーケティングが一般的になるに連れて競争も生まれ、SNS広告を単純に出稿するだけでは十分な効果を得ることが難しくなってきています。
広告の効果を高めるために最も重要になるのが、適切なターゲットを見極め、さらにそのターゲットの共感を得るメッセージを届けるということです。

それを実現するためにターゲットに関するリサーチを行う必要性が生まれ、商品やサービスが実際にどんなユーザーに使われどのような反響を得ているのか調査する作業が必須となります。

これがエゴサーチです。
GoogleやYahoo!の検索エンジンを使い、自社製品・サービス名をひたすら検索して、その検索結果に掲載されている情報をまとめていきます。

今までのエゴサーチは検索エンジンや大手掲示板のみを対象としていて、広告出稿と同じ業務内で扱われることが一般的でした。また頻度も数カ月に1回行うなど、期間をある程度あけて単発で行われていました。

しかし、ユーザーの嗜好や興味関心は移り変わりが激しく、また、スマートフォンが手元にあることから、口コミが拡散するスピードの速さは今までの比では無くなっており、常にこの状況を確認するニーズが生まれたのです。

そこで、最近のドイツ企業ではエゴサーチ専門の役職を設けることが目立つようになりました。
それが、「Digital Traffic Manager」です。

昨今のユーザーの意見やクレーム発信は、閉じたSNSの中でこそ活発になっていて、そしてSNS内のインフルエンサーの存在がより注目されています。
あるアカウントの「いいね」「リツイート」「リンク共有」などが、瞬く間に数千、数万を超えるユーザーの目にとまります。この影響力を企業も見逃すことができなくなりました。

ニュースや大手掲示板、口コミサイトなどのチェックだけではなく、Facebook・Twitter・InstagramなどのSNSを横断的にチェックできる体制が必須となるため、この専門職が登場しました。

また、この役職には、積極的にSNSで発信する役割も求められます。

日本でも時折話題になりますが、大手企業の広報アカウントのツイートがまるで個人の投稿のように等身大な内容で、ユーザーの共感を得てバズるケースがあります。
こうした現象はドイツでも同様に確認されており、企業らしくない「身近な存在」のSNSアカウント運用というのも一つのトレンドになっています。

企業アカウントである以上、モラルの遵守は絶対ではありますが、常にサービスや商品の紹介記事をアップする必要はなく、ユーザーとの双方向のコミュニケーションをより重視するように変化しており、企業もその変化への対応が必要になっているのです。

業務のアウトソース化

ドイツでは、どの業界においても、業務を外注化・アウトソース化する業務範囲の領域が格段に広がっています

パソコン一つで、在宅やノマドスタイルのフリーランスとして生計を立てる人口が増え続けている現在、部分的に既存業務をフリーランサーに依頼する例は増え続けています。
そして、この外注作業に特化したサービスも裾野を広げています。

「freelancer.com」のように、フリーランスと企業、フリーランス同士の繋がりを構築するインフラが徐々に整いつつあり、業務の依頼が格段にしやすくなってきています。

これはアメリカや日本などに限らず、世界中で見られている現象です。
これまでは実現の難しかった、発注者と委託先のマッチングが世界規模で活発化しています。

視点を変えると、これまで日本国内限定で展開されてきたサービスも、世界規模での展開が視野に入ってきます。
スマートフォンのアプリなどはその典型です。

もちろん、各国で爆発的なヒットを考えるのであれば事前に十分なマーケット調査が必要となりますが、その点に関しても業務委託が可能です。サービスを複数の言語に翻訳し、ローカライズをする業務は、海外のフリーランス活用が威力を発揮します。
ハードルはまだまだ高いところもありますが、日本企業が海外展開に取り組みやすくなる環境が整いつつあります。

また、物流の面でも業務をアウトソースする外注化の流れがはっきりしています。
例えばeコマースを取り上げると、今まではオンラインで物販を行うポータルサイトでは、ドイツでは通販大手のアマゾンが提供するアマゾンマーケットプレイスしかほぼ選択肢がありませんでした。

しかし、昨今では、Shopifyなど、より手軽にオンラインに商品を提供できるプラットフォームができ始め、これを利用する流れが加速しています。

基本的なサービスとしてはオンライン上での「売り場の提供」であり、煩雑な商品の特定倉庫への「搬入」などは必要がありません。
あとは注文確定後すぐに発送の指示を行うだけで、決済から納品まで完了できます。

こうしたeコマースプラットフォーム自身ののサービス提供も洗練されてきていて、ユーザーは商品説明と写真を用意するだけで、事が足りてしまいます。オーダー管理・売上管理などもプラットフォームに任せることができるようになっています。

ということは、現地の事情に少々疎かったとしても、商品配送の拠点を海外にも持つことが可能になるのです。

この点においても、事業の海外展開は以前に比べてハードルが下がっています。

フリーランスなど、外部のリソースの活用は、ただ単に自社の業務もしくは負担を軽減させるだけではなく、商売するフィールドを世界規模で拡大するという点においても大いに威力を発揮できるのです。

eBookの制作

これは少し視点の違うマーケティング手法ですが、上記フリーランスの活用とも関連しているので紹介します。

ドイツのAppleやアマゾンのeBook販売サイトでは、ポッと出てきた無名の恋愛小説などがいきなり売上のトップを取ることが頻繁に起こっています。

こうした流行を意識して、自社で書籍を作成し、その中で自社製品を登場させて、それをもとに購買意欲に刺激を与えるというアプローチが提起されています。

ある意味ステルスマーケティングに近いものがあるが、違ったアプローチからのマーケティングを模索している場合、効果を発揮するケースが増えてきています。
マーケティングとしての確実性は低そうですが、サービスや商品の分野に縛られない、他分野との連携という切り口は現在大いに注目されています。

YouTubeなどでの解説動画

動画共有サービスが定番となっている今、サービスや商品紹介に関し動画を作成することはもはや通常業務の一環です。静止画のみよりも、動きのある動画のほうが訴求力は往々にして高くなります

今注目されているのは、こうして作られる動画を商品のコマーシャル活用にとどまらず、その商品・サービスの解説やチュートリアルにまで拡大して作成し、それを大規模に流す試みです。

従来であれば、こうした動画は自社のホームページなどに置かれていました。これからは積極的にTwitter等のAD枠を活用し自発的に流していくことが重要です。
SNSの広告を使うことで、ユーザーは意識することなしに動画を見ることになります。「何をしているんだろう」「これはおもしろいかも」といった感情を惹起することにより、より購買意欲を刺激することが可能になります。

良くも悪くもSNS上では、「おもしろい」というキーワードは重要です。それをきっかけに拡散しサービスや商品の認知度は格段に高まっていきます。
またこうしたアプローチにより、ユーザーが想像し得なかった活用法を提供することが可能になり、また逆にユーザーからの新たな活用手法のが生み出され、新たなコミュニケーションが生まれる事もあります。
こうした流れが合わさり、自社商品・サービスの宣伝につながっていきます。

オンラインサロン

上記に関連し、オンラインサロンを開くスタートアップも存在しています。
解説動画はマスへの認知・ブランディング広告として発信し、将来的にサービスを利用してくれるであろうコアなユーザーへのアプローチです。

一方でライブ講義のレスポンスはコメントで受け付けるので、オンライン上でもリアルタイムで講師側・視聴者側とのコミュニケーションが可能になります。
こうしたイベントを頻繁に開催することで、名物講義などの評判を得ることができれば、その影響は一気に拡散します。またこの講義動画も広告として作用します。

サービスや商品へのフィードバックを得る場としても、オンラインサロンの効果はもちろん作用します。

ソフトウェアやアプリの開発であれば、バグの100%解消をリリース前に望むことはとても難しいことです。
こうした、コアなファンとの交流の場があれば、プロトタイプでの公開、先行試行ユーザーの獲得も視野に入ります。

そうすることで、より確実で安全性の高い、そして魅力的なソフトウェアやアプリの提供が可能となるメリットが得られます。

コワーキングスペースでの講習会


 
上記オンライン講習会をオフラインでも実現するべく登場したマーケティング手法です。
ベルリンで最近活発なコワーキングスペースでは、こうした時間貸しのスペースを積極的に提供しており、開催の敷居があまり高くありません。

講習会というよりも、同じコミュニティ内の「オフ会」の要素がそもそもの性格に組み込まれており、嗜好を同じくするもの同士の集まりでは内部の議論がより濃密なものになります。
少人数から始められることから、よりユーザーに近い視点でフィードバックを得られるメリットは大きくなります。

また、こういったイベントを発展させ「サロン」を経営するインフルエンサーも登場し始めました。
年額・月額の有料会員プログラムを設定し、定期的にイベントを開きます。

企業としてのサロン構築は難しい面もありますが、こうしたコワーキングスペースを活発に利用しているインフルエンサーと提携し、自社サービスや商品をよりマスなものへと展開していく潮流も見られてきています。

AIを利用した、より効率的なサジェスト広告

Amazonなどで買い物をすると、「次回はこういった商品を買いませんか?」と他の商品をおすすめされた経験がないでしょうか。
このようなサジェスト広告は従来であればユーザーの購買履歴や、似た背景を持つユーザーの購買履歴をもとにしたものが主なものでした。

今ではネット利用のビッグデータをもとにして、ユーザーがどのタイミングで・どういったシチュエーションで・どういった嗜好で購入に至ったかを即座に分析することができるようになりました。

まだまだ企業が自前でこうしたビッグデータを構築することは無謀であるので外部サービスを使うことになるが、ピンポイントなサジェスト広告が購入意識に与える影響は大きく注目されています。

AIによる分析能力は日々進歩しています。
現状では膨大な情報の分析に注目が集まっていますが、能動的な活用にもその研究は進んできています。

機械による音声サービスと翻訳もホットな分野です。
現在はたどたどしい面がまだまだ見られますが、近い将来、こうしたサービスを機械のみに一任することもできる可能性もある要注目の分野です。

AR(拡張現実)技術の活用


 
iPhone向け、Android機器むけにAR(拡張現実)アプリを構築し、その仮想空間の中で自社製品のリアルな設置例、スタイリング例などを提示して、そこからECサイトへスムーズに連携させ顧客への購買意識の刺激を試みる手法が広がってきています。

リアルタイムに、家具や家電などの設置イメージをどこでも確認できることは非常に魅力的です。

導入が早かったのはスウェーデン家具大手のIKEAです。

現時点では、家具にとどまらず、自家用車・ガーデニング・建築現場・美容院やスタイリング剤など様々な分野で導入が進んでいます
Appleがスマートフォンとタブレット向けにARの仕様をWebKitとして公開したことで、アプリ開発の敷居は格段に低くなりました。
こうしたWebKitを利用して魅力的なアプリを構築し導入する事例は増えています。

※WebKit(ウェブキット)は、Appleが中心となって開発されているオープンソースのHTMLレンダリングエンジン群の総称です。

まとめ

近年のドイツにおいて活発な広告・マーケティング手法についてまとめました。

こうした新しい手法を活用することでサービスや商品の魅力を訴求できるターゲットが拡がり、またより強い訴求が実現できるはずです
また、別の視点で見ても業務の分散や拠点の複数展開を考慮にいれれば、事業展開は国境を超えることも決して難しくありません。

しかし、その一方で旧来のEメールや電話を利用したマーケティングも依然として有力です。
これらを使ったこまめなコンタクトもその後の商売につながります。

新しい技術と既存の手法、このバランスをどう保ちつついかに顧客と向き合うか。
これはビジネスの永遠の課題でしょう。

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