選んでほしいお客様の決め方。
既存のお客様から1人を選ぶと、似たお客様が集まる理由

- 「選んでほしいお客様を決める」とは、既存のお客様から実在の1人を選び、選んだ理由を本人に聞くこと
- 選ぶ軸は、継続・客単価・得意との相性・紹介の4つ
- 聞く質問は、選んだ理由・不安・比較先・決め手・探した言葉の5つ
第1回で、自社のホームページはWeb上のセールスマンであり、書き方より先に「誰に向けて書くか」を決める必要がある、という話をしました。
ここで多くの事業者の方が止まります。
「誰に、と言われても、うちのお客様はいろいろだから」。
その通りです。
実際に来ているお客様は、年齢も悩みも利用のきっかけもばらばらです。
その全員を1つの人物像にまとめようとするから、結局「30〜50代の男女、健康に関心のある方」のような、誰のことでもない像ができあがります。
私がおすすめしている方法は逆です。
全員をまとめるのではなく、既存のお客様の中から、たった1人を選ぶ。
そして、その1人に直接聞く。
それだけで、ホームページに書くべき言葉の材料はほとんど揃います。
この記事では、その1人の選び方、書き出し方、本人への聞き方を、実際の支援で使っている手順に沿って解説します。
全4回の「予約につながる、事業の言葉の作り方」の第2回です。
「選んでほしいお客様を決める」とは、実在の1人を選ぶこと
選んでほしいお客様を決めるとは、自社のホームページで最初に呼びかける相手を、既存のお客様の中から実在の1人として選ぶことです。
マーケティングの用語ではペルソナ(理想のお客様像)と呼ばれますが、地域ビジネスの場合は、架空の人物を作るより、すでに継続して利用してくれている1人を選ぶほうが早く、確実です。
理由は単純で、特定の1人の悩みと望みが分かっていれば、その人に届く言葉を書くのは難しくないからです。
「夕方になると肩が張って頭痛薬を飲んでいる、デスクワークの佐藤さん」に向けて書くなら、何を最初に言うべきかはすぐ分かります。
ところが相手が「30〜50代の男女」になった瞬間、何を言えばいいか分からなくなる。
多くのホームページが「どなたでもお気軽に」になってしまうのは、書く人の文章力の問題ではなく、相手が決まっていないからです。
1人に向けて書いても、来るのはその1人ではない
「1人に向けて書いたら、その1人しか反応しないのでは」と思うかもしれません。
実際には逆のことが起きます。
佐藤さん1人に向けて「デスクワークで、夕方になると肩が張って頭痛がする方へ」と書くと、佐藤さんと同じ状況にある人、つまり自社の商圏でデスクワークをしていて肩こりと頭痛に悩んでいる人の全員に、その言葉は届きます。
1人の悩みを具体的に書くほど、同じ悩みを持つ人の集団に正確に届くのです。
反対に、全員に届くように書いた言葉は、全員の平均、つまり誰にも当てはまらない言葉になります。
第1回の「全員に向けた言葉は誰にも届かない」はこの意味です。
そしてもう1つ大事なことがあります。
1人がはっきり決まっていれば、あとから広げることはいくらでもできます。
佐藤さんで予約が入り始めたら、次は「産後に骨盤が気になる田中さん」をトップページ下の個別ページで迎える。
最初に1人を決めるからこそ、2人目、3人目へ広げる方向が見えます。
最初から全員に向けると、広げようがありません。
最初の1人を選ぶ、4つの軸
では、既存のお客様の中から誰を選ぶか。
私は4つの軸で見てもらっています。
1. 継続して利用してくれている 一度利用して終わりではなく、半年、1年と継続して利用してくれている人です。
その人は、事業に「利用し続ける理由」を見つけています。
その理由こそ、まだ来ていない人に伝えるべき自社の価値です。
2. 客単価や利益が高い 初回割引だけで来て2回目がない人ではなく、通常料金で通い、必要に応じてオプションや物販も使ってくれる人です。
同じ悩みの人が10人増えたときに、事業の売上に最も効きます。
3. 自分の得意と相性がよい 施術やサービスをしていて、自分が最も力を発揮できる悩みを持った人です。
得意なことは説明に熱が入り、結果も出やすく、口コミも具体的になります。
4. 紹介をしてくれる 家族や同僚を連れてきてくれた人です。
紹介する人は、自社の価値を自分の言葉で誰かに説明できています。
その説明の仕方が、ホームページの言葉の手本になります。
この4つのうち、3つ以上に当てはまる人が最初の1人の候補です。
思い浮かぶ人が複数いれば、その中で「この人があと10人来てくれたら一番うれしい」と感じる人を選んでください。
選ばないほうがよい人
一方で、選ばないほうがよい人もいます。
たまたま1回来た人、値引きやクーポンだけが理由で来た人、近いからという理由だけの人です。
悩みがはっきりしていないので、聞いても言葉の材料が出てきません。
もう1つ、「その悩みを近くの同業も同じように書いている」場合は注意が必要です。
たとえば商圏の整体院が全部「腰痛」を前面に出しているなら、腰痛の佐藤さんを選んでも比較画面で差がつきません。
その場合は、2番目の候補に切り替えるか、同じ腰痛でも「産後の」「ゴルフをする人の」のように状況まで絞って書く必要があります。
選んだ1人を、1枚に書き出す
1人を選んだら、その人のことを1枚に書き出します。
マーケティングでは「ペルソナシート」と呼ばれるものですが、事業向けには「常連1人シート」で十分です。
書く項目は9つです。
| 項目 | 整体院の記入例 |
|---|---|
| 名前(仮名でよい) | 佐藤さん |
| 年齢・仕事・生活 | 38歳、都内の企業で経理。1日8時間以上パソコンに向かう。平日は19時すぎに退社 |
| 悩みの出方 | 夕方になると首から肩が張って、週2〜3回は頭痛薬を飲む。マッサージに行っても2日で戻る |
| 利用のきっかけ | 「中野 肩こり 整体」で検索。Googleマップで口コミを読んで候補を3軒に絞った |
| 予約前に不安だったこと | ボキボキされないか。初回にいくらかかるか。1回で終わらず通わされるのではないか |
| 他に見た事業 | 駅前の2軒。1軒は料金が書いていなくて、1軒は「全身調整」としか書いていなかった |
| 決め手 | 「デスクワークの肩こりに」と書いてあり、初回の料金と流れが全部載っていたこと |
| 利用し続ける理由 | 初回に「なぜ夕方に出るのか」を説明してもらって納得できた。3週間に1回のペースで頭痛薬が要らなくなった |
| 探すときの言葉 | 「肩こり 頭痛 整体」「デスクワーク 首 張り」 |
ここで大事なのは、年齢や仕事より、下の6項目のほうが重要だということです。
悩みの出方、不安、他に比較したサービス、決め手、利用し続ける理由、探す言葉。
これらは事業者の想像では絶対に書けません。
本人に聞かないと埋まらない項目です。
本人に聞く、5つの質問
シートの下6項目を埋めるために、選んだ1人に直接聞きます。
質問は5つで足ります。
- なぜ、うちを選んでくれたんですか?
- 予約する前に、何が一番不安でしたか?
- うちの前に、他にどこを見ましたか? そこを選ばなかった理由は?
- 最後の決め手は何でしたか?
- サービスを探すとき、どんな言葉で検索しましたか?
聞き方にはコツがあります。
施術や会計の後、帰り際の5分で十分です。
「ホームページを作り直していて、〇〇さんのような方にもっと来てもらいたいので教えてほしい」と理由を先に言うと、ほとんどの人は喜んで話してくれます。
継続して利用してくれている人ほど、事業の役に立てることを嫌がりません。
もう1つのコツは、答えを言い換えず、本人の言葉のままメモすることです。
「首が重だるい」と言ったなら「首が重だるい」と書く。
「肩こり」に直さない。
この言葉の違いが、次の第3回で効いてきます。
- ホームページの言葉は、事業者が考えるものではなく、お客様から聞くものです。
- 調べることが8割、書くことは2割。
聞いた言葉は、そのままホームページの材料になる
5つの質問の答えは、そのままホームページの各部分に対応しています。
- 「なぜ選んだか」「決め手」→ トップページの最初の言葉と、自社の強みの書き方
- 「予約前の不安」→ 料金・流れ・よくある質問で、先に答えておくこと
- 「他に比較したサービス」→ 比較されたときに書くべき違い
- 「探した言葉」→ 見出しと、検索やAIに見つけてもらうための言葉
たとえば佐藤さんの「初回にいくらかかるか不安だった」という答えは、トップページの見える位置に初回料金を出す理由になります。
「1回で終わらず通わされるのでは」という不安は、「初回に今後のペースの目安をお伝えします」という一文の根拠になります。
事業者が「書いたほうがいいかな」と迷っていたことが、お客様の言葉によって「書くべきこと」に変わるのです。
1人に決めきれないときの考え方
ここまで読んで、「それでもうちは1人に決めきれない」と感じる方のために、よくある3つのケースを整理しておきます。
客層が2つにはっきり分かれている。
平日昼は産後の女性、夜は仕事帰りの男性、という事業は珍しくありません。
この場合、トップページの最初の言葉は1人に絞り、もう1人は個別ページで迎えます。
どちらをトップにするかは、4つの軸で点数の高いほう、または「今後増やしたいほう」で決めてください。
両方をトップに並べると、第1回の「誰にでも」に戻ります。
開業前で、既存のお客様がいない。
前職で担当していたお客様の中から選べれば一番よいです。
それが難しければ、商圏の同業のGoogle口コミを読んでください。
口コミには「どんな悩みの人が」「何に満足し」「何に不満だったか」が本人の言葉で書かれています。
特に星3以下の口コミは、近くの同業が応えられていない悩みの一覧です。
開業前のホームページづくり全体の順番は、地域ビジネスのホームページで集客する方法にまとめています。
季節や時期で客層が変わる。
繁忙期だけ別の客層が増える事業もあります。
トップページは年間を通じて選んでほしい1人に向け、季節の客層はキャンペーンページや季節の記事で迎えると、トップページの言葉を年に何度も変えずに済みます。
どのケースでも共通するのは、「決めきれないから全員に向ける」を選ばないことです。
迷ったら仮でよいので1人を決め、予約の反応を見てから変える。
1人を決めてあれば変える方向が見えますが、全員に向けたままでは、何が効いて何が効いていないかも分かりません。
第3回では、聞いた言葉を「お客様の得」に言い換えます
この記事は、「予約につながる、事業の言葉の作り方」全4回の第2回です。
- 第1回 なぜ「誰にでも」のサービスは選ばれないのか
- 第2回(この記事) 選んでほしいお客様の決め方
- 第3回 自社の特徴を、お客様の「得」に言い換える。「駅徒歩3分」「国家資格保有」「完全個室」が、佐藤さんにとって何の得なのかを書く方法です
- 第4回 予約が入るキャッチコピーの作り方。要素の組み合わせと、同じ事業のコピーを3段階で磨く手順です
第3回に進む前に、1つだけやってみてください。
4つの軸で思い浮かんだ1人に、次の利用時に5つの質問のうち1つでいいので聞いてみる。
「予約する前に、何が一番不安でしたか?」が一番答えやすい質問です。
その答えが、あなたのホームページにまだ書かれていなければ、それが最初に直すべき場所です。
▶ 次の記事:第3回 自社の特徴を、お客様の「得」に言い換える
まとめ|実在のお客様の言葉を、ホームページの材料にする
継続利用、単価、自社との相性、紹介という四つの軸で候補を比べ、最初の一人を選びましょう。五つの質問を本人に聞き、選んだ理由や予約前の不安を、言い換えすぎず記録してください。
対象のお客様は、想像の人物像だけで作るより、実際に選んでくれた一人から考えると具体的になります。聞いた言葉を一枚に整理し、自社が書きたいことと相手が知りたいことの違いを確認しましょう。
集客改善シミュレーションで集客を考えるときは、選んだお客様に近い人を何人迎えたいかを出発点にしてください。実際の利用単価や続けて通う理由も合わせ、どの情報を整えるために予算を使うか考えます。
オートホームページで支援する範囲
お客様の声を集めても、そのままではページの原稿にならない場合があります。オートホームページでは、選んだ理由・不安・比較したことを整理し、見出しやサービス説明、FAQへつなげる制作・改善を支援します。
ライトは月額3万円、スタンダードは8万円、プレミアムは15万円(いずれも税別、初期費用なし)。
ライトには、ホームページの制作・保守・自動改善、Googleマップの改善・管理、AI引用対策、月次レポート、コンサルタントとのMTG(月1回・最初の3ヶ月)が含まれます。スタンダードはこれに集客記事の企画・制作(月4本)、Instagramの静止画投稿の制作・運用(月4本)とコンサルタントとの月1回のMTG(4ヶ月目以降も継続)が加わり、プレミアムはさらにWeb広告(Google・Instagram)の運用代行(広告費は別途)とオリジナル施策(PR・LINE運用・TikTok運用・ショート動画などから事業に合う施策を選定)まで含みます。
最低契約期間は12か月で、期間内の解約には残りの月額料金がかかります。
終了後はデータの引き継ぎ、または月額1.5万円(税別)の保守を選べます。
既存のお客様の中から実在の1人を選びます。
選ぶ軸は、継続して利用してくれている・客単価や利益が高い・自分の得意と相性がよい・紹介をしてくれる、の4つで、3つ以上当てはまる人が候補です。
年齢・性別・職業を並べた架空の人物像を作るより、継続して利用してくれている1人を選んで本人に聞くほうが早く、言葉の材料も正確です。
なりません。
1人の悩みを具体的に書くほど、同じ悩みを持つ人の集団に正確に届きます。
「デスクワークで夕方になると肩が張る方へ」と書けば、商圏でそう感じている人全員に届く言葉になります。
反対に全員に向けて書いた言葉は、全員の平均になり、誰にも当てはまりません。
1人が決まっていれば、2人目、3人目へ個別ページで広げることもできます。
5つで足ります。
なぜうちを選んだか、予約前に何が一番不安だったか、他にどこを見てなぜそこを選ばなかったか、最後の決め手は何か、どんな言葉で検索したか。
施術や会計の後の5分で聞けます。
「ホームページを作り直していて、あなたのような方にもっと選んでほしいので」と理由を先に伝えると、ほとんどの方が話してくれます。
答えは言い換えず、本人の言葉のままメモしてください。
前職で担当していたお客様の中から選ぶのが一番確実です。
難しければ、商圏の同業のGoogle口コミを読んでください。
どんな悩みの人が何に満足し何に不満だったかが本人の言葉で書かれています。
星3以下の口コミは、近くの同業が応えられていない悩みの一覧なので、特に参考になります。
トップページの最初の言葉は1人に絞り、もう1人は個別ページで迎えます。
どちらをトップにするかは、4つの軸で点数が高いほう、または今後増やしたいほうで決めてください。
両方をトップページに並べると「どなたでも」と同じ状態に戻り、比較画面で選ぶ理由がなくなります。
地域ビジネスの場合は9項目で足ります。
名前(仮名可)、年齢・仕事・生活、悩みの出方、利用のきっかけ、予約前に不安だったこと、他に見た事業、決め手、利用し続ける理由、探すときの言葉です。
このうち年齢や仕事より、悩みの出方・不安・他に比較したサービス・決め手・利用し続ける理由・探す言葉の6項目が重要で、これらは本人に聞かないと埋まりません。
(デジタルアスリート株式会社 代表取締役 長橋真吾)
参考資料・確認日
公式情報の確認日:2026年10月14日。




