TikTokショップとは?費用・始め方・成功事例までを解説

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松岡 和哉

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新たな販売チャネルとして、急速に注目を集める「TikTokショップ」。
その圧倒的な拡散力と購買力を耳にし、大きな可能性を感じているご担当者様・経営者様も多いのではないでしょうか。

この記事では、TikTokショップの基本から費用、始め方、そして成功事例までを網羅的に解説します。

導入を判断するための、客観的な材料としてご活用ください。

TikTokショップとは?

TikTokショップとは、動画プラットフォームであるTikTokのアプリ内で、商品の発見から決済までをシームレスに完結できる、新しいショッピング機能のことです。

ユーザーは、普段楽しんでいるショート動画やライブ配信をきっかけに、気になった商品をそのまま直接購入できます。

この「エンターテインメントとECコマースの融合」こそが、従来のECサイトとは全く異なる、TikTokショップならではの強みを生み出しています。

TikTokショップの強み「発見型コマース」とは?

TikTokショップの強みは、ユーザーの「偶然の出会い」を「購入」に繋げる「発見型コマース」である点にあります。

従来のECサイト:「検索型コマース」
ユーザーが「〇〇欲しい」と目的を持って検索し、購入に至ります。
 
TikTokショップ:「発見型コマース」
ユーザーは面白い動画を見ているだけ。そこへ魅力的な商品が流れ、予期せぬ「欲しい!」が生まれ、そのまま購入に至ります。

動画を見て生まれた「欲しい!」という熱量を逃さず、数タップで購入まで完結させる。このスピード感が最大の特徴です。

従来のECとの比較

TikTokショップが注目される理由

なぜ今、多くの企業がTikTokショップに注目しているのか。それは、単なる流行ではなく、ビジネスの未来を左右する3つの明確な根拠があるからです。

理由①:プラットフォームが持つ「経済効果」

TikTokというプラットフォームが持つ経済効果は絶大で、Shop機能の本格導入前である2024年の時点ですでに、年間2,375億円もの消費を生み出していたと推計されています。


※引用:TikTok、日本における経済効果を発表。4.2万人の雇用を支え

この巨大な経済圏の背景には、2つの大きな要因があります。

1つ目は、日本国内で毎月3,300万人以上が利用する、幅広い世代のユーザーベース。
2つ目は「TikTok売れ」という言葉が生まれるほどの、社会的な「トレンドの発信源」としての強い影響力です。

このように、TikTokは巨大なユーザー数と影響力を武器に、以前から強力な購買パワーを持つプラットフォームとして注目されていました。


※引用:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>
    TikTokがもつカルチャーエンジンの力を解き明かす|TikTok For Business ブログ

理由②:「発見型コマース」が衝動買いを誘発する仕組み

TikTokユーザーは、他のプラットフォームの利用者と比較して、動画視聴後の購買に非常に積極的です。

あるアンケート結果では、約3人に1人(34%)が、TikTokで動画を見た後に商品を購入した経験があると回答しています。


※N値=5,791名 1年以内TikTokユーザー 2025年3月マクロミル社実施 TikTokに関するアンケート
※引用:TikTok、日本における経済効果を発表。4.2万人の雇用を支え

さらに重要なのは、そのうち約30%が「予定外の購入(衝動買い)」であったという点です。

これは、TikTokが「目的買い」の場ではなく、動画コンテンツを通じて新たな「欲しい!」を生み出す「発見型コマース」として、強力に機能している証拠と言えます。


※N値=972名 TikTok週1回以上ユーザー 2025年3月マクロミル社実施 TikTokに関するアンケート
※引用:TikTok、日本における経済効果を発表。4.2万人の雇用を支え

理由③:海外市場が証明する「圧倒的な成長性」

そして最後が、海外市場で見せている爆発的な成長です。

米国では、2023年9月のローンチから、わずか16ヶ月で”兆”規模の巨大市場へと急成長を遂げました。この成長スピードは、他のECプラットフォームの歴史を見ても類を見ません。


※引用:TikTok Shop Report: The Future of Social Commerce

この波は東南アジア各国にも波及しており、日本の年間24.8兆円という巨大なEC市場においても、同様のインパクトをもたらす可能性が極めて高いと推察されています。

この巨大な先行者利益を獲得するため、今、多くの企業が対策を急いでいるのです。


※引用:TikTok Shop Report: The Future of Social Commerce
   :令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

TikTokショップを開設する3大メリット

新たな収益の柱と「先行者利益」の獲得

TikTokショップへの早期参入は、未来の「収益の柱」となる強力な先行者利益を、低コストで獲得できる点にメリットがあります。

まだライバルが少ない「今」だからこそ、少ない投資で注目を集め、試行錯誤を重ねることが可能です。

これにより、後発組が追いつけないほどの「勝ちパターン」をいち早く確立し、熱量の高い初期ファンを独占することが、長期的な事業資産となるのです。

広告が届かない「現代の消費者」へのリーチ

TikTokショップは、これまでの広告に抵抗感を持つ現代の消費者に対し、ブランドへのロイヤリティを構築できる点にメリットがあります。

現代の消費者は、企業からの一方的な広告を無意識に回避し、信頼できる第三者からのオーガニックな情報を判断材料とします。

TikTokショップは、この消費行動の変化に完全に対応しています。有益で面白い動画コンテンツが、企業からの「広告」ではなく、信頼できる「発見」として商品の価値を伝えることで、ユーザーの心を掴みます。

これは、単発の売上を狙うのではなく、長期的にビジネスを支える顧客資産を築くための、極めて戦略的なアプローチなのです。

離脱させない仕組みによる高い転換率(CVR)への期待

TikTokショップは、ユーザーを離脱させない独自の仕組みにより、高い転換率(CVR)が期待されています。

ユーザーは「欲しい」と感じた商品を、従来のECサイトのようなページ移動や再ログインの手間なく、アプリ内でシームレスに購入できます。この顧客の熱量を逃さない設計が、高いCVRを見込める理由です。

さらに、動画で服の質感やコスメの発色といったリアルな価値を直感的に伝えられる点も、ユーザーの迷いをなくし、スムーズな購入を後押しします。

このように、購入までのあらゆる障壁を低くした設計こそが、TikTokショップの強みと言えます。

TikTokショップの4つの主要機能と購入までの流れ

TikTokショップには、ユーザーを惹きつけ、スムーズな購入へと導くための強力な機能が備わっています。それぞれの機能が、ユーザーの購買行動においてどのように作用するのかを解説します。

①カート付きShort動画

ユーザーが最も目にする「おすすめ」フィード上で、動画から直接、購入までをシームレスに完結させることができます。ユーザーの熱量が最も高い瞬間に、ストレスなく購入を促せるのが最大の強みです。

機能①
※引用:TikTokショップ公式

②LIVEコマース

リアルタイムの配信で、視聴者と双方向のコミュニケーションを取りながら商品を販売できます。コメントで直接質問に答えたり、実際に商品を使ってみせたりすることで、ユーザーの疑問や不安をその場で解消し、高いコンバージョン率が期待できます。

機能②
※引用:TikTokショップ公式

③ショーケース

クリエイター(インフルエンサー)のプロフィール画面に、あなたの商品一覧を設置できる機能です。

これにより、影響力のあるクリエイターのお墨付きとして、第三者の視点から商品の信頼性を高め、購入を後押ししてもらえます。

機能③
※引用:TikTokアカウント「shoplist_official」

④ショップタブ

自社アカウントのプロフィールページに、ECサイトのような商品一覧ページ(ショップタブ)を作成できます。

アカウントに興味を持ったユーザーを、外部サイトに離脱させることなく、スムーズに商品購入まで導くことが可能です。

機能④
※引用:TikTokショップ公式

TikTokショップ開設にかかる費用・手数料のすべて

必要となる費用:固定費と販売手数料

まず、TikTokショップの開設や維持にかかる固定費は一切ありません。必須費用は、商品が売れた時にだけ発生する「販売手数料」のみです。

費用項目 金額 備考
初期費用 ¥0 店舗(アカウント)開設は無料です。
月額利用料 ¥0 毎月の固定費・ランニングコストはかかりません。
販売手数料 日本版の手数料は一律7%
(決済手数料含む)
国によって手数料に違いがあります。

この料金体系から、TikTokショップは「売れるか分からない段階で、固定費のリスクを負う必要がない」という、極めて挑戦しやすいプラットフォームであることが分かります。

その他にかかる費用(任意):広告費・動画制作費など

手数料以外に必須の費用はありませんが、よりスピーディーに成果を求めるのであれば、以下の「投資」も有効です。

・TikTok広告費
・クリエイターへの依頼費
・動画の制作外注費

TikTokショップの開設方法

準備に必要なもの(アカウント・書類)

申請をスムーズに進めるため、事前に以下のものを準備しておきましょう。

TikTok For Businessアカウント:未作成の場合は、広告アカウントを作成します。
連絡先:有効なメールアドレスと電話番号。
日本国内の銀行口座:売上金を受け取るために必要です。
法人情報が確認できる書類:履歴事項全部証明書(登記簿謄本)など。
・運営責任者の本人確認書類:運転免許証やパスポートなど。
その他:販売する商品に応じた許認可証(例:化粧品製造販売業許可証など)

開設申請から販売開始までの全手順

STEP①「TikTok Shop Seller Centerへのアクセス」
公式サイトからセラーセンターにアクセスし、登録を開始します。

STEP②「出店者情報の入力」
画面の指示に従い、事業形態や会社情報を入力します。

STEP③「必要書類のアップロード」
事前に準備した書類のデータをアップロードします。

STEP④「TikTokによる審査」
提出された情報に基づき、TikTok側で審査が行われます。通常、数営業日で結果が通知されます。

STEP⑤「商品登録と販売開始」
審査に通過すれば、いよいよ販売したい商品を登録できます。商品情報や価格、在庫を設定すれば、あなたのTikTokショップがオープンします。

売上を最大化する!TikTokショップ成功のコツ

ただ開設するだけでは商品は売れません。ここでは、成功している企業が実践している3つの重要なコツをご紹介します。

クリエイターとコラボする

成功への近道は、クリエイターの力を借りることです。しかし、ただフォロワー数が多いという理由だけで選んではいけません。

あなたのブランドが持つ世界観や、商品のターゲット層と、クリエイターのファン層が一致していることが何よりも重要です。

そして、単なるPR依頼ではなく、「一緒にこの商品をヒットさせましょう」というパートナーとしての姿勢で向き合い、企画段階から共にコンテンツを創り上げる「共創」が、ファンの心を動かす熱量を生みます。

「売れる」ショート動画の徹底的な作り込み

TikTokでユーザーの指を止めさせるのは、わずか1秒の世界です。売れる動画には、共通の「型」が存在します。

ここでは、弊社が推奨している「型」を「構成(何を伝えるか)」と「見せ方(どう見せるか)」に分けて徹底解説します。

【売れる動画の構成:何を伝えるか】

STEP1:冒頭1秒のフック
「〇〇な人、見て!」といった問いかけや意外な映像で、視聴者に「自分のことだ」と瞬時に思わせ、指を止めさせます。
 
STEP2:結論ファーストと原因提示
「この商品が悩みを解決します」とまず結論を提示。次に「悩みの原因は実は〇〇」と新情報を与え、納得感を高めます。
 
STEP3:解決策の再提示(信頼性)
商品の強みに加え、「売上No.1」といった実績や専門家の推薦など、信頼できる情報を伝えて安心させます。
 
STEP4:ベネフィットの提示
商品を手にした後の「理想の未来」を具体的に見せます。「お客様の声」として紹介するのも効果的です。
 
STEP5:オファー(行動喚起)
「送料無料」など購入のハードルを下げる限定情報(オファー)を伝え、「左下のボタンからチェック」と具体的な行動を促します。

【飽きさせない見せ方:どう見せるか】

STEP1:テンポの良い編集
無駄な間をカットし、BGMに合わせて場面を切り替えるなど、スピード感で視聴者を惹きつけます。
 
STEP2:テロップは、画面の中央付近に固定し、他の要素と被らせない
キャプションやアイコンにも被らないように配置することで効果を上げ、視線の移動を減らし、内容に集中させます。
 
STEP3:心に残る音楽
多くの人が知るトレンド楽曲や、商品の世界観に合う音楽を推奨します。
 
STEP4:覚えやすいキャッチコピー
例)毛穴撃退ケシゴム(クレンジングバーム)など

ライブコマースで「今、売る」ための準備と仕掛け

ライブコマースの成功は、準備が9割と言っても過言ではありません。

「いつ、誰が、何をテーマに話すのか」を事前にしっかりと告知し、期待感を高めておくことが重要です。

また、ライブ配信中だけの限定クーポンや、数量限定の特典を用意することで、「今買わなければ損」という高揚感を演出し、視聴者の購買意欲を最大限に引き出しましょう。

TikTokショップ成功事例

マイプロテイン:クリエイター連携で売上約750万円を達成

フィットネスブランド「マイプロテイン」は、公式クリエイターエージェンシー「GenZ」と提携し、TikTok ショップでのキャンペーンを実施しました。

フィットネス分野から21人のクリエイターを起用し、プロテイン商品を紹介するショート動画を42本投稿。企業広告とは異なる、信頼性の高いクリエイターの視点から訴求した結果、売上は5万ドル(約750万円※)を突破しました。

この成功を受け、協業はさらに6ヶ月延長。公式パートナーと連携し、多数のクリエイターを起用することが、TikTok ショップでの成功を加速させることを証明しました。

※1ドル150円で換算(2023年8月30日時点)


※引用:TikTokショップ公式

Levitex:専門知識を売上に変える「教育型LIVE」で月商240万円

専門家が設計した枕を販売する「Levitex」は、教育コンテンツとLIVEコマースの組み合わせで、TikTok ショップで大きな成功を収めました。

ショート動画で「悪い寝方の危険性」を伝えて関心を引き、次にライブ配信での専門的な質疑応答と限定割引で、その場での購入を強力に後押し。

この戦略で、わずか1ヶ月で売上£12,000(約240万円※)を達成し、47.5万人のフォロワーを獲得しました。専門知識で信頼を勝ち取り、LIVEの双方向性と限定オファーで売上を最大化する、というTikTok ショップの王道パターンを示した事例です。

※1ポンド200円で換算(2023年8月31日時点)


※引用:TikTokショップ公式

まとめ

改めて、この記事の重要なポイントを振り返ります。

・TikTokショップの強みは、偶然の出会いから購買を生む「発見型コマース」であること。
・初期・月額費用は無料で、低リスクで始められること。
・成功には、質の高いコンテンツと、ユーザーとの誠実なコミュニケーションが不可欠であること。

理論は分かったけれど、最初の一歩を踏み出すのが不安かもしれません。しかし、完璧な準備が整うのを待つ必要はありません。

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松岡 和哉 記事一覧

新卒で入社後、広告運用、LPの企画・制作、SNS運用まで幅広く経験してまいりました。

集客(広告)、成約(LP)、ファン化(SNS)と、施策を横断した多角的な視点を大切にし、お客様のビジネス成果を最大化するご提案を心がけています。

会社のX(旧Twitter)も担当しております。お気軽にフォローいただけますと幸いです。

@egao_inochi

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