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TikTokは10代~30代を中心に普及しており、世界中で10億人以上のユーザーを抱える人気SNSプラットフォームです。
そんなTikTokの広告配信において、広告効果と運用効率を革新的に向上させる新機能が「スマートパフォーマンスキャンペーン(SPC)」です。
スマートパフォーマンスキャンペーンはAIが自動最適化を行ってくれるため、効率的かつ効果的な広告配信を目指す場合に強くおすすめできる配信手法です。
本記事ではTikTok広告のスマートパフォーマンスキャンペーンについて「できること」や「成功事例」、「配信手順」などについて、Web広告代理店だからこそ貯まっているノウハウを元に詳しく徹底的に解説していきます。
目次
TikTok広告のスマートパフォーマンスキャンペーンとは
スマートパフォーマンスキャンペーン(SPC)とは、2022年にTikTokが正式にリリースした新しい広告配信機能で、AIを活用し広告のパフォーマンスを自動で最適化してくれます。
一見難しそうに感じられるかもしれませんが、運用者が行うことは広告キャンペーンを作成するだけです。作成後はAIが自動でターゲティングや入札、さらにはクリエイティブの組み合わせまで、すべてを自動で最適化してくれます。
AIによる自動最適化によって運用の効率が上がるだけでなく、手動設定時よりも多くの人に広告を届けることができ、今までは広告配信対象外と思っていた層からのコンバージョン獲得に繋がる可能性が高まります。
スマートパフォーマンスキャンペーンは、現在のTikTok広告配信の成果を更に伸ばしてくれる味方的存在です。
※2024年10月時点の最新情報としてスマートパフォーマンスキャンペーンは「Smart+キャンペーン」に名称変更いたしました!
スマートパフォーマンスキャンペーンができること
スマートパフォーマンスキャンペーンの導入により、「運用や分析の工数削減」と「今まで獲得できていなかった層からのCVが期待」できるようになります。それぞれについて詳しく解説していきます。
運用や分析の工数が削減される
スマートパフォーマンスキャンペーンは運用や分析の工数を大幅に削減することができます。
自動化技術を活用することで、設定時間の短縮、運用負荷の軽減、作業の効率化が実現される仕組みとなっています。それぞれについて紹介していきます。
設定時間の短縮
通常のTikTok広告を配信する際は、以下の3つの階層それぞれで多くの設定が必要でした。
1)キャンペーン階層:配信目的など全体の概要設定
2)広告セット階層:ターゲティングや入札戦略などの設定
3)広告階層:動画クリエイティブや広告テキストなどの設定
しかし、スマートパフォーマンスキャンペーンでは「2)広告セット階層」の設定が不要となり、以下の5項目の設定のみでも広告を配信できるようになりました。
1)キャンペーン目的(例:アプリプロモーション、ウェブサイトのコンバージョン数など…)
2)配信対象国(例:日本、アメリカなど…)
3)予算(例:1日1万円など…)
4)動画クリエイティブ(最大30個追加可能)
5)広告テキスト(最大5個追加可能)
これにより、設定に使う時間を短縮することが可能となっています。
運用負荷の軽減
具体的に以下の4点により運用負荷が軽減されます。
1)自動入札:最適な入札額をAIが自動で設定するため、手動での調整が不要になる。
2)予算配分の最適化:キャンペーン内の予算配分をAIが自動で行い、より効果的な予算配分が実現される。
3)クリエイティブとテキストの組み合わせ最適化:複数の広告素材(動画やテキスト)の中から、最も効果的な組み合わせをAIが自動で選択。
4)ターゲティングの自動調整:広告の結果に基づき、AIがターゲットとなる層を自動で最適化。
これにより、運用者は細かな調整作業をおこなう必要がなくなり、その他の業務に時間を使えるようになります。
設定項目 | 通常のキャンペーン | SPC |
入札 | 手動で入札調整が必要 | AIが自動で対応 |
予算配分 | 手動で最適な予算への配分が必要 | AIが自動で対応 |
クリエイティブとテキストの組み合わせ | 手動で結果に合わせた組み合わせが必要 | AIが自動で対応 |
ターゲティング | 手動でターゲット設定が必要 | AIが自動で対応 |
作業の効率化
以下5点のような機能により、分析作業の効率が上がります。
1)ワンクリックレポート作成:必要な期間のレポートを1クリックで作成できる。
2)自動パフォーマンス比較:複数の広告やキャンペーンの成果を自動で比較してくれる。
3)トレンド分析の自動化:日々のパフォーマンスの変化を自動で追跡し、重要な変化や傾向を検出してくれる。
4)クリエイティブ効果の可視化:各クリエイティブの効果を自動で集計し、グラフや図表で分かりやすく表示される。
5)広告効果の自動測定:投資対効果や顧客獲得コストなどを自動で計算し、広告の効率性が把握しやすくなる。
これにより、分析にかかる時間と労力が大幅に削減され、より戦略的な業務に集中できるようになります。
今まで獲得できていなかった層からのCVが期待できる
スマートパフォーマンスキャンペーンのもう一つの大きな特徴は、広告配信対象外だと思っていた新たな層からCV獲得できる可能性を高められることです。
スマートパフォーマンスキャンペーンでは以下の3つの機能を、TikTok独自のAI技術によって組み合わせることで、通常配信の手動設定では見逃していた潜在的な顧客層にアプローチできるようになります。
1)キャンペーン予算最適化(CBO):予算を最も効果的な広告に自動配分。
2)ダイナミック広告*(ACO):ユーザーごとに最適な広告を自動生成。
3)自動ターゲティング:最適なオーディエンスを自動で見つけ出す。
例えば、複数の動画とテキストをアップロードするとAIが自動的にそれらを組み合わせ、各ユーザーに最適な広告を表示します。ある10代女性には「かわいい」というテキストとカラフルな動画を、30代男性には「スタイリッシュ」というテキストとモノトーンの動画を表示するというような形です。
スマートパフォーマンスキャンペーンを導入することで、広告運用の効率化と新規顧客の獲得が同時に実現できるところが最大の特徴であり魅力となっています。
※ダイナミック広告とは「ユーザー一人ひとりの興味や行動データを基に、AIが最適な広告内容を自動で作成し配信する仕組み」のこと。
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スマートパフォーマンスキャンペーンの事例
ここでは弊社が実際にスマートパフォーマンスキャンペーンを導入し、運用を行った業界の事例を一部ご紹介いたします。
ペット関連製品の事例
元々はTikTokとPangle両方の面に従来の広告手法で配信を行っており、配信後の初動のCPA数値はTikTokが7,000円台、Pangleが15,000円台でした。
ただ、スマートパフォーマンスキャンペーンを導入したところ、なんと初動のCPAを4,000円台で獲得することに成功いたしました。
また、ある日のスマートパフォーマンスキャンペーン数値は目標CPAが8,000円のところ、「費用:17,000円/CV数:9件/CPA:1,900円」という結果がでました。
スマートパフォーマンスキャンペーンの配信・設定方法
ここでは、スマートパフォーマンスキャンペーンの配信までの具体的な手順と、配信時の注意点をご紹介します。
初めてスマートパフォーマンスキャンペーンを利用する方は、ここで紹介している情報を参考にすることで、スムーズにキャンペーンを開始できるようになります!
配信までの手順紹介
ここからはTikTok広告管理画面のキャプチャとともに実際に配信を開始するまでの方法を紹介していきます。
1)TikTok Ads Managerにログインし、「広告を作成」をクリックします。
2)「目的」にて「コンバージョン」の3つ中から配信目的に適したものを選択し、「Smart+キャンペーン」をクリックします。
※今回は「ウェブサイトのコンバージョン数」を選んだ場合の手順をご紹介していきます。
3)適切で識別しやすいキャンペーン名を入力し、「続行」をクリックし次へと進めます。
※今回は「テスト」と入力しています。
4)「予算とスケジュール」にて日予算を設定します。
日予算は2,000円~ 999,999,999円内の金額で設定する必要があります。※今回は10,000円で設定しています。
5)「予算とスケジュール」にてスケジュールを設定します。
配信終了日が決まっている場合は、期間外に広告がでてしまうことを防止するために「開始時間と終了時間を設定」にて詳細な日時を設定しましょう。
※今回は1ヶ月間配信を行う場合を想定しスケジュールを設定しています。
6)「広告生成」にて広告として配信したいURL、動画、テキストを設定します。
※誘導先のURLには広告をクリックした際にユーザーを飛ばしたいLP(ランディングページ)を設定します。
7)画面右下の「公開」を押すとスマートパフォーマンスキャンペーンの作成は完了します。
※TikTok広告の通常キャンペーンの配信手順は下記記事をぜひご確認ください!
配信時の注意点
スマートパフォーマンスキャンペーン(SPC)やGoogleのパフォーマンスマックス(P-MAX)キャンペーン、MetaのAdvantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)などの機械学習を活用した広告配信は非常に便利な広告手法です。
しかし、適切な初期設定を怠ると、その後の広告運用が望ましくない方向に進んでしまう危険性があります。
機械学習の基本機能は過去のデータを統計処理した上で期待値の計算を行い、入札単価を自動的に調整します。これは、過去の結果から「〇〇という条件であれば成功しそうだ」と予測し最適化を行っているということです。
ここで重要なのは、この予測が「過去データからの予測でしかない」という点です。言い換えれば、機械学習システムは与えられたデータしか知らないのです。そのため、学習に使用する過去データの質が極めて重要になります。
データに誤りが含まれていたり、ノイズ(不要な情報)が多く混ざっていたりすると、「過去データ」として統計処理する内容が歪んでしまいます。その結果、意図しない広告配信となるリスクがあるのです。
正確な機械学習のために、以下のような点に注意を払って初期設定を行いましょう!
1)正確なデータの提供
実際の購入データのみをコンバージョンとして設定し、カート追加や商品閲覧などは含めないようにする。
2)適切な目標の設定
「アプリインストール数の増加」など、明確で測定可能な目標を設定する。
3)十分なデータ量の確保
少なくとも50件以上のコンバージョンデータを元に機械学習させる。
4)定期的なモニタリング
特に開始後2週間は大きな変更を加えず、AIの学習状況を観察する。
スマートパフォーマンスキャンペーンに関するよくある質問
P-MAXやASCとの違いってなんですか?
違いは主にプラットフォームと広告形式にあります。
・TikTokのSPC
TikTokアプリ内など。主に短尺動画広告。
・GoogleのP-MAX
検索・ディスプレイ・YouTubeなど。多様な広告形式。
・MetaのASC
Facebook・Instagramなど。画像や動画広告。
3者ともAIによる自動最適化機能を持ち、各プラットフォームの特性を活かした広告配信が可能です。
どんな種類の広告を出せますか?
配信目的が「コンバージョン」である場合、「アプリプロモーション」「リード生成」「ウェブサイトのコンバージョン数」という3種類の広告が配信可能です。
通常配信と比べて消化される費用に違いはありますか?
スマートパフォーマンスキャンペーンだと設定した予算を使い切れない、、ということは自動最適化により滅多に起こりません。
「今から始めてみたい」と考えてはいるけれど、予算周りについて不安な方は少額予算からテスト感覚でキャンペーンを開始し、徐々に通常配信程度か、結果によってはそれ以上の広告費をかけて広告効果の最大化を目指していくことをおすすめします。
※TikTok広告の費用についての詳細はこちらの記事をぜひご確認ください!
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まとめ
TikTok広告のスマートパフォーマンスキャンペーン(SPC)は、AI技術を活用して広告効果と運用効率を大幅に向上させる革新的なツールです。
運用工数の削減と新規顧客層の開拓を同時に実現し、簡単な設定で高度な自動最適化が可能です。ただし、成功の鍵は適切な初期設定と質の高いデータ提供にあります。
スマートパフォーマンスキャンペーンを効果的に活用することで、TikTokの急成長するプラットフォームでの広告パフォーマンスを最大化させていきましょう!
大学でマーケティングと経営を専攻後、デジタルアスリート株式会社に入社。現在はマーケティングセールス部で、自社マーケティング(主にSEO戦略)とセールス活動の両方を担当しています。専門分野における確かな知識と経験を活かし、企業の成長に貢献することを目指しています。
Writer
小田宮啓太 記事一覧
大学でマーケティングと経営を専攻後、デジタルアスリート株式会社に入社。現在はマーケティングセールス部で、自社マーケティング(主にSEO戦略)とセールス活動の両方を担当しています。専門分野における確かな知識と経験を活かし、企業の成長に貢献することを目指しています。