なぜ人はSNSに投稿するのか?承認欲求の心理と媒体ごとの特徴を解説

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SNSが日常生活に欠かせないものとなった今、ユーザーの心理を理解することは、個人でもビジネスでも大切になっています。

この記事では、SNSユーザーの行動の裏にある心理を分析し、効果的な投稿方法やマーケティングへの活用法を紹介します。

SNSと「承認欲求」心理の関係性

SNSを使う大きな理由の一つが「承認欲求」です。つまり、他の人から認められたい、評価されたいという気持ちです。

この承認欲求には「他者承認欲求」と「自己承認欲求」の2種類があり、SNSに投稿する人の心理についていえば、前者の「他者承認欲求」、つまり他人から認められたいという心理が強く働いていると考えられます。

SNSに投稿し「いいね」やコメントをもらうことで、自分の存在や行動が認められたと感じる満足感により、他者承認欲求が満たされるのです。

マズローの欲求階層からみるSNS投稿の動機

心理学者のマズローが提唱した「欲求階層説」をSNSに当てはめると、興味深い発見があります。

マズローの欲求階層説とは人間の欲求は「生理的欲求」「安全欲求」「親和欲求」「承認欲求」「自己実現」の5段階に別れるという考え方です。欲求はピラミッドを登るように下層の欲が満たされると上の層の欲求へとレベルアップします。

マズローの欲求階層説

SNSの利用(投稿)が「親和欲求」と「承認欲求」を満たすとツールと特徴しており、人とつながりたい、認められたいという欲求が、SNSの利用を促進しているともいえます。

主要SNSの特徴とユーザー心理:プラットフォーム別の違い

SNSによって、ユーザーの使い方や心理も異なります。主要なSNSとされるInstagram、X、Facebook、TikTok、LINEの特徴をご紹介いたします。

Instagram、X(旧:Twitter)、Facebook、TikTok、LINEの違い

プラットフォーム(媒体) 特徴 ユーザーの心理 効果的な使い方
Instagram ・写真や動画中心
・ストーリーズやリールも人気
・自分のライフスタイルを見せたい
・他人の生活を覗きたい
・視覚的に美しい写真や動画を投稿
X(旧:Twitter) ・短文投稿
・リアルタイム性
・拡散力が高い
・自分の意見を発信したい
・最新情報を知りたい
・タイムリーな情報を投稿
・ハッシュタグを使ってトレンドに合わせる
Facebook ・幅広い年齢層
・多機能
・人間関係を作ったり保ちたい
・情報を収集、共有したい
・詳細な情報共有
・イベント告知
TikTok ・短尺動画
・エンタメ性が高い
・独自アルゴリズムによる拡散される
・動画を見て楽しみたい
・トレンドを知りたい
・動画を投稿して注目されたい
・面白い動画
・トレンドの音源を活用した動画
LINE ・メッセージアプリ
・個人間のやり取りが他人に見られない
・親しい人と深く繋がりたい
・手軽にコミュニケーションを取りたい
・個別メッセージ
・公式アカウントでの情報発信

それぞれのSNSの特性を理解し、目的に合わせて使い分けることが重要です。

SNS投稿の種類から読み解くユーザー心理

SNSの投稿は、ユーザーの心理状態をよく反映しています。代表的な投稿タイプを7つほどご紹介します。

日常の共有:共感を求める心理

例:「在宅勤務のお昼休憩。手作りサンドイッチと淹れたてのコーヒーで、ちょっとした贅沢タイム☕️🥪 #在宅ワーク #ランチタイム」

ユーザーの心理:「日常の小さな幸せを共有し、同じような状況の人と繋がりたい。自分の生活スタイルに対する肯定的な反応が欲しい。」

仕事の投稿:自己アピールの裏側

例:「先日のプレゼンで提案した新規プロジェクトが承認されました!3ヶ月の準備期間を経て、やっと船出です。チーム一丸となって頑張ります!💪 #キャリア #ビジネス成長」

ユーザーの心理:「自分の職場での成果を外部に発信することで、プロフェッショナルとしての価値を高めたい。同時に、チームへの感謝を示すことで、謙虚さもアピールしたい。」

趣味の投稿:つながりを求める心理

例:「今週末は久しぶりに登山へ。御嶽山の絶景に癒されました🏔️ 次は北アルプスに挑戦したいな。山好きの方、おすすめルート教えてください! #アウトドア #登山好きと繋がりたい」

ユーザーの心理:「自分の趣味や経験を共有し、同じ興味を持つ人とコミュニティを形成したい。また、次の挑戦に向けてアドバイスや情報を得たいという実用的な目的もある。」

文学的な投稿:独自性を示したい欲求

例:「『変化を恐れず、それでいて軸をぶらさない。』今日のミーティングでの上司の言葉が胸に響く。ビジネスも人生も、この言葉に尽きるのかもしれない。 #キャリア哲学 #ビジネス思考」

ユーザーの心理:「日々の経験から得た洞察を共有することで、自分の思考の深さや独自性をアピールしたい。また、他者からの共感や異なる視点を得ることで、自己の考えを深めたい。」

ネガティブな投稿:励ましを求める心理

例:「最近、仕事でのプレッシャーが半端ない。。。プロジェクトの締め切りは迫るし、チーム内の意見調整も難航中。こんな時、皆さんはどうやってモチベーション維持してますか? #社会人あるある #ストレス対策」

ユーザーの心理:「直接的な助けは求めていないが、同じような経験をした人からの共感や具体的なアドバイスが欲しい。自分だけが苦しんでいるわけではないと確認したい。」

自虐的な投稿:親しみやすさを演出する戦略

例:「今日の商談、緊張しすぎて顧客の名前を間違えるミスを犯してしまった…😅 幸い、相手も笑って流してくれて事なきを得たけど、冷や汗モノでした。みんなにもこんな失敗エピソードあるよね? #営業あるある #失敗は成長の糧」

ユーザーの心理:「自分の失敗を笑い話として共有することで、完璧でない人間味のある側面を見せたい。同時に、他者の類似体験を聞くことで自己肯定感を得たい。」

自撮り投稿:自己肯定感を高めたい欲求

例:「今日から新しい部署でのスタート!緊張するけど、この服装で気合い十分。新しい挑戦に向けて、みんなの応援よろしく👔✨ #新しい挑戦 #キャリアチェンジ」

ユーザーの心理:「新しい環境への不安を和らげるため、外見的な自信を通じて内面の自信も高めたい。同時に、周囲からの肯定的な反応を得ることで、自己決定の正当性を確認したい。」

SNSをよく利用する人の特徴と心理

SNSでストーリーやライブ配信をよくする人、顔出しで投稿する人、コメントをよくする人…などの行動には、「承認欲求」が深く関わっています。投稿のパターンや行動から、その心理をご紹介します。

SNS投稿頻度の高さが表す承認欲求の強さ

ストーリー投稿やインスタライブをよくする人、インスタグラムを公開設定にしている人等には「見てほしい」「認めてほしい」という承認欲求が強く表れます。

SNSで顔出しする人や、コメントをよくする人も同じ傾向にあります。SNSで積極的な人によくみられる特徴は以下の3つです。

投稿の頻度が高い

・毎日のようにストーリーを投稿する
・インスタグラムへの投稿が多い

反応を強く意識する

・投稿後すぐに「いいね」やコメントをチェックする
・反応が少ないともっと投稿する
・コメントへの返信も素早い

積極的な自己表現

・顔出しでの投稿を気にしない
・インスタライブを頻繁に配信する
・アカウントを公開設定にしている

このような人の投稿は「投稿→反応→満足→再投稿」という流れを繰り返します。特にストーリーは24時間で消えるため、その時間内で反応を集めようとする傾向があります。

この特徴は、ストーリーだけでなくインスタライブや通常の投稿でもよくみられます。すぐに反応がもらえるSNSの仕組みが、承認欲求を満たす手段として機能しているといえます。

SNSを見るだけの人の特徴と心理

SNSを利用する人の中で、投稿せずに見るだけという人もいます。その特徴や心理についてご紹介します。

自分の日常を発信する必要性を感じていない

SNSを見るだけの人の多くが「わざわざ投稿する必要がない」と考えています。

そもそも、日常生活で体験したことを他の人に見てもらうために投稿したいとは思っていないようです。

友人や知人の様子を知るツールとして活用している

実際に付き合いがある友人や知人の近況を自然にキャッチできるのがSNSの大きな特徴です。

結婚報告や転職、引っ越しなど、大切な情報を見逃さないためにSNSをチェックする人も少なくありません。

トレンドや最新情報をキャッチする手段として利用している

SNSは新しい情報が素早く広がるプラットフォームのため、新商品の発売情報や人気店の最新メニュー、話題のスポットなど、様々な情報をリアルタイムでキャッチできます。

特に若い世代では、ニュースサイトよりもSNSから情報を得る傾向が強くなっているそうです。

炎上や誹謗中傷に巻き込まれたくない

SNS上での投稿は、時として思わぬ誤解や批判を招くことがあります。これを懸念して投稿を控える人が一定数いるのです。

「閲覧だけ」という利用方法は、こうしたリスクを避けるための判断ともいえます。

個人情報をあまり公開したくない

SNSを利用する多くの人が、自分の個人情報の公開には慎重な姿勢を示しています。SNSに投稿した情報は完全な削除が難しく、意図しない形で拡散される可能性があるためです。

プライバシーを重視する人々にとって、閲覧だけの利用は自然な選択といえます。

このように、SNSを見るだけの使い方には、それぞれの理由や目的があります。投稿することだけがSNSの使い方ではなく、自分に合った活用方法を選ぶことが大切なのです。

※ちなみに、SNSを見るだけという使い方をする人のことを「見る専」「ROM専(ロム専)」と呼ぶこともあります。

NTTドコモモバイル社会研究所の調査によると利用者の半数以上が、この「見る専」状態にあてはまるといえます。

SNSマーケティングへの実践的な活用法

ここまでSNSユーザーの心理について詳細に解説してきましたが、「これらの知見を実際のマーケティング戦略にどう組み込むべきか」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ここからは、これまでの紹介内容を実践的なビジネス戦略に落とし込む方法を2つご紹介します。

ターゲット層に響くコンテンツ戦略の構築

まず重要なのは、自社のターゲット層が主に利用するSNSプラットフォームを特定することです。

例えば、若年層向けの商品であればInstagramやTikTokに注力し、幅広い年齢層をターゲットとする場合はFacebookに重点を置くようにしてみましょう。

各プラットフォームの特性を活かしたコンテンツ戦略を立案しましょう。以下に、主要SNSごとのポイントをまとめてご紹介します。

Instagram 視覚的訴求力の高い写真や動画を活用し、ブランドの世界観を表現。
X(旧:Twitter) 簡潔かつインパクトのあるメッセージで、業界トレンドやニュースに即時対応。
Facebook 詳細な情報発信とコミュニティ形成に注力し、長期的な顧客関係構築を図る。
TikTok 創造的な短尺動画で、製品やサービスの新しい活用法を提案。トレンドを押さえた面白い動画で若者の心を掴む。
LINE プライベートで親密なコミュニケーションを活かし、個別配信やクーポン提供でターゲット層に直接アプローチ。

重要なのは、単なる商品紹介ではなく、ストーリーテリングを活用することです。例えば、「この製品がどのように顧客の課題を解決するか」「使用者の具体的な成功事例」といった物語性を織り交ぜることで、より深い共感と信頼を獲得できます。

さらに、ユーザー参加型のキャンペーンも効果的です。例えば、「商品を使った最高の瞬間」を投稿してもらうハッシュタグキャンペーンを実施するなど、顧客の声を活用したマーケティングが考えられます。

ユーザー生成コンテンツ(UGC)を戦略的に活用することで、信頼性の向上とエンゲージメントの増加が期待できます。

エンゲージメント向上のためのマーケティング心理学の活用

ユーザーの行動を促す心理学的アプローチを4つご紹介します。

1)社会的証明の活用

例:「業界トップ500社の75%が導入」「顧客満足度98%」といった具体的な数値を提示

2)希少性の演出

例:「期間限定特別プラン」「先着100社様限定オファー」など、限定性を強調

3)価値の先行提供による関係構築

無料のホワイトペーパーや業界レポート、オンラインセミナーなど、価値ある情報を先行提供。

4)段階的な行動促進戦略

小さな行動(メールマガジン登録など)から段階的に大きな行動(商談申し込み、契約)へと導く。

これらの4つのテクニックは効果的ですが、過度の使用は逆効果となる可能性があります。ユーザーの信頼を損なわないよう、適切なバランスを保つことが重要です。

また、下記記事ではユーザーの購買心理について詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。

まとめ

人がSNSに投稿する主な理由は承認欲求にあります。他者から認められたい、評価されたいという心理が、SNS投稿の原動力となっています。

各SNS媒体には特徴があり、ユーザーの心理も異なります。

Instagram ・自分のライフスタイルを見せたい
・他人の生活を覗きたい
X(旧:Twitter) ・自分の意見を発信したい
・最新情報を知りたい
Facebook ・人間関係を作ったり保ちたい
・情報を収集、共有したい
TikTok ・動画を見て楽しみたい
・トレンドを知りたい
・動画を投稿して注目されたい
LINE ・親しい人と深く繋がりたい
・手軽にコミュニケーションを取りたい

投稿タイプも多様で、日常共有、仕事アピール、趣味の発信など、それぞれに異なる心理が働いています。

SNSユーザーの心理を理解し、各媒体の特性を活かすことで、より効果的なSNS活用が可能になります。承認欲求を満たすコンテンツ作りが、SNSマーケティングの成功への鍵となるでしょう。
 

 

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