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【この記事の要点(3行まとめ)】
- P-MAX改善の第一歩は、2025年6月から順次提供されている「チャネルのパフォーマンス」レポートで、検索・YouTube・Discoverなどどの経路でコンバージョンが取れているかを特定することです。
- アセットは「数」より「アピールポイントの幅」が重要。あわせて拡張コンバージョンなど、Googleに学習データを渡す設定が成果を大きく左右します。
- オーディエンスシグナルは「ルール」ではなく「方向性」。ビッグワードではなく購買段階に近い具体ワードに絞るのが有効です。ただし、すべての設定を作り直す必要はありません。
【この記事を読むと分かること】
- CPAが悪化した時に最初に確認するポイント(チャネルパフォーマンス)
- デジタルアスリート独自の5層分析フレームによる改善の優先順位
- 学習を壊してしまうやってはいけない改善
- そのまま使えるP-MAX改善チェックリスト(優先度付き)
「EC・物販でP-MAXを回しているが、CPAが悪化して単品通販だと赤字になってしまう」
実は弊社には、Googleゴールドプロダクトエキスパートの認定を持つメンバーが在籍しています(Google広告分野で国内のアクティブな認定者は数名しかいません)。
先日、まさにこの相談をテーマに、このメンバーと一緒に実際の広告アカウントを見ながら改善分析を行いました。
デジタルアスリートはこれまで累計2,400社以上の広告運用を支援しており、P-MAXでも【CV数13倍・CPA55%改善・月間粗利が250万〜300万円プラス】といった改善実績があります。
本記事はその現場知見に基づいています。
P-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)とは、検索・ディスプレイ・YouTube・Gmail・Discover・Googleマップなど、Googleが持つすべての配信面に1つのキャンペーンで配信し、AIが自動で最適化してくれる広告メニューです。
便利な反面、「中で何が起きているか分からない」「悪化した時に打ち手がない」と言われ続けてきました。
しかし、ここ1年ほどのアップデートで状況は大きく変わっています。P-MAXは、もうブラックボックスではありません。
この記事では、実際のアカウント分析セッションで得られた知見をもとに、CPAが悪化した時に見るべきチェックポイントと改善の手順を解説します。
目次
P-MAXでCPAが悪化する主な原因
P-MAXのCPAが悪化する原因は、突き詰めると次の5つに集約されます。
- 配信面の偏り
CVRの低い面に予算が流れている(例:動画未入稿による自動生成動画でYouTubeに偏る) - 検索意図とのズレ
検索テーマやシグナルがビッグワードのままで、顕在層を捉えられていない - クリエイティブの摩耗・同質化
同じ訴求ばかりで組み合わせ最適化が機能していない - コンバージョンデータの質・量の不足
拡張コンバージョン未設定や計測期間のミスマッチで、AIの学習に必要なデータが正しく蓄積されていない - LP・オファーの訴求力不足
広告をクリックした後のLPで購入に至らず、CVRの低さがCPAを押し上げている
広告設定だけを疑うのではなく、どの層に原因があるかを切り分けることが改善の第一歩です。
P-MAX改善の優先順位:デジタルアスリートの5層分析フレーム
デジタルアスリートでは、P-MAXを次の5層で分析しています。

- 配信面
どの面に予算とコンバージョンが偏っているか - 検索意図
検索テーマ・検索語句がユーザーの悩みと合っているか - クリエイティブ
アピールポイントの幅・勝ちパターン・摩耗の有無 - コンバージョンデータ品質
拡張コンバージョン・計測期間・最適化対象の設計 - 商品・オファー
LPとオファーが、クリックしたユーザーを購入まで引き上げられているか
①から⑤の順に確認するのには理由があります。
上の層ほど管理画面の事実だけで速く確認でき、修正の影響範囲が小さい(=やり直しが効く)からです。
逆に下の層ほど確認にも修正にも時間がかかり、ビジネスの根幹に踏み込みます。
配信面の偏り(①)は当日のレポートで分かり翌日には手を打てますが、商品・オファー(⑤)の見直しは数週間から数か月の仕事です。
だからこそ、速く直せる上の層から順に潰し、それでも改善しない場合にだけ下の層へ降りる。この順番を守ることで、無駄な作り直しと学習のリセットを避けられます。
CPAが悪化した時の分析フローに落とすと、次のようになります。

ここからは、このフレームに沿って実際のアカウントを分析していきます。
次章以降の分析手順との対応関係を先に示しておくと、
5層のうち①配信面と②検索意図は「チャネルのパフォーマンス」と「オーディエンスシグナル」で、③クリエイティブは「アセット」で、④コンバージョンデータ品質は「キャンペーン設定」で確認していきます。⑤商品・オファーは、①〜④を整えても改善しない場合に踏み込む最後の論点です。
P-MAX改善の基本手順とは?「広いところから順に見る」
アカウント分析の鉄則は、いきなり細部をいじらず、広いところから順に現状を把握していくことです。
これはP-MAXに限らず、Google広告でもMeta広告でも共通です。

今回のセッションで我々が実際に見ていった順序は、次の通りです。
- キャンペーンの全体像
分割項目(デバイス別など)で配信比率とROAS(広告費用対効果)のバランスを確認する - チャネルのパフォーマンス
どの配信面でコンバージョンが取れているかを特定する - アセット(広告)
アピールポイントの幅と広告の品質を確認する - キャンペーン設定
コンバージョン設定・計測期間・新規顧客設定などの「ルール」を確認する - オーディエンスシグナル
Googleに示している「方向性」が狙いたい顧客像と合っているかを確認する
P-MAXは「いろいろな配信を1つにまとめて最適化を回す」というコンセプトのキャンペーンです。
だからこそ、今どこで何が起きているのかを運用者側がしっかり把握することが、手綱を握るための大前提になります。
P-MAXのCPA悪化にお悩みの方へ
【無料アカウント診断】
デジタルアスリートでは、Google広告アカウントの無料診断を行っています。
本記事の5層分析フレームに沿って、チャネル構成・検索意図とのズレ・アセット・コンバージョンデータ品質を診断し、改善の優先順位をレポートいたします。
「社内で分析する時間がない」「どこから手を付けるべきか第三者の目で見てほしい」という方は、お気軽にご相談ください。
最初に見るべきは「チャネルのパフォーマンス」レポート
「これは絶対に見た方がいい」と我々が断言したいのが、チャネルのパフォーマンスレポートです。

2025年6月から順次提供。P-MAXの中身が見えるようになった
チャネルのパフォーマンスは、Google広告の管理画面に2025年6月から順次追加されたレポート機能です。
P-MAXがどのチャネル(検索/ディスプレイ/YouTube/Gmail/Discover/Googleマップ)に配信され、それぞれがどれだけコンバージョンに貢献しているかを可視化できます。
かつてP-MAXは「ブラックボックス」と呼ばれていました。
もともとGoogleは「運用の細かい部分はAIに任せて、広告主はクリエイティブ制作に集中してください」というコンセプトを掲げていましたが、運用者からの要望を受けて、ここ最近は見られる項目が大幅に増えています。
当初はベータ版として一部アカウントのみの提供でしたが、順次展開が進み、2026年7月現在ではすべてのアカウントで利用可能になっています。現時点で確認できる主な内容は次の通りです。
- チャネル別(検索/ディスプレイ/YouTube/Gmail/Discover/Googleマップ)の表示回数・クリック数・コンバージョン数・費用・費用割合
- 動画広告や商品フィードを使用した広告など、チャネル内の広告フォーマット別のドリルダウン
- チャネルごとの潜在的な問題を検出する診断機能
- チャネル配信の変化を日別で追える時系列グラフ
- プレースメント(配信先)別の表示回数
「P-MAXは中身が見えない」という認識は、すでに過去のものになりつつあると言ってよいでしょう。
| ※データの遡及に関する注意 チャネルのパフォーマンスで確認できるのは2025年6月1日以降のデータのみで、それ以前の履歴には遡れません。過去比較をしたい場合は、定期的にデータを控えておく運用が必要です。 |
ビジュアルの帯グラフでは、どのチャネルが入り口(フック)になり、どこでコンバージョンが発生しているかのバランスが直感的に分かります。
さらに下にスクロールすると表形式で表示回数・クリック数・コンバージョン数などの数値も確認でき、日々運用している方にはこちらの方が見やすいはずです。
プレースメント(配信先)をクリックすれば、各面の表示回数の内訳まで確認できます。
管理画面での開き方
チャネルのパフォーマンスは、次の手順で表示できます。
- Google広告の管理画面で、対象のP-MAXキャンペーンを選択する
- 左側メニューの「分析情報とレポート」をクリックして展開する
- その中の「チャネルのパフォーマンス」をクリックする

画面には「コンバージョンの発生元」というサンキー図(帯グラフ)が表示されます。
右上で対象期間を指定でき、「費用」トグルをオンにすると各チャネルの費用と費用割合が、チャネル・広告・結果の各プルダウンで表示内容の絞り込みができます。
サンキー図の読み方:表示回数→インタラクション→結果

図は左からチャネル別の表示回数、中央がインタラクション(クリック数・エンゲージメント)、右が結果という流れで、どのチャネルが入り口(フック)になり、どこで結果が発生しているかを帯の太さで直感的に把握できます。
右側の「結果」ボックスをクリックすれば、最適化対象のコンバージョンだけに絞って流れを確認することもできます。
例えば弊社アカウントの上の画面では、費用の52.56%がDiscover、28.08%がYouTubeに配分され、Google検索は18.91%にとどまっていることが一目で分かります。
事例:コンバージョンの大半がYouTubeとDiscover、検索は少なめ
今回分析したEC・物販アカウントでは、コンバージョンの大半がYouTubeとDiscover経由で、検索広告経由の獲得はバランスとしてかなり小さいことが分かりました。P-MAXとしてはやや珍しいパターンです。
ここから分かることは2つあります。
- YouTubeやDiscoverのネットワーク上に見込み客がいる(動画クリエイティブは機能している)
- 本来それなりの割合を占めるはずの検索経由が細いことが、成果が安定しない一因になっている可能性がある
このように、獲得経路を特定できれば、次の打ち手の優先順位が明確になります。
ここをもう一歩踏み込んで、経路別の具体的なアクションまで整理しておきます。
獲得経路別の具体的な打ち手

YouTube・Discoverで取れている場合
この場合、まず勝っている動画・画像クリエイティブを軸にバリエーションを追加投入します。
さらに一歩進んだ手として、我々がおすすめしたいのがその配信面をデマンドジェネレーション(デマジェン)キャンペーンに切り出して併走させる運用です。
デマジェンはYouTube(ショート含む)・Discover・Gmailといったフィード面に特化したキャンペーンで、P-MAXよりも配信面・クリエイティブ・オーディエンスを細かくコントロールできます。
P-MAXの中で「この面が伸びている」と分かったなら、その面を専用キャンペーンで攻めることで、フォーマット別の検証と予算コントロールが効くようになります。
検索で取れている場合
この場合、検索キャンペーンを別途立てて、確実に取るべきキーワードを自分の手で守るのが定石です。
あわせて検索キャンペーンでAI Maxを活用すれば、登録キーワードだけでは拾いきれない周辺クエリや、AI検索時代の長い質問文型の検索まで拡張して捕捉できます。
検索経由の獲得が主力なら、LP改善によるCVR向上も並行して進めます。
検索が細い・取れていない場合
この場合(今回のケースがこれに当たります)は、シグナルの見直しだけでは不十分です。
検索面にいるのは、自分から調べて比較検討している顕在ユーザーです。
この層が取れていないなら、入口と受け皿の両方を疑う必要があります。
- 広告文(検索向けアセット)で対象を絞り込む
誰向けの・何を解決する商品か」を見出しで明示し、対象外のユーザーのクリック自体を減らします。
例えば化粧品なら「40代の乾燥肌の方へ」、英会話スクールなら「初めて学ぶ方へ」のように対象を絞る一文が入るだけで、無駄クリックによるCPA悪化を防げます。
- 検索テーマを比較検討層の悩みワードへ寄せる
後述するシグナルの見直しで、「ゴルフ」のようなビッグワードではなく「ドライバー スライス」のような具体的な悩みに合わせます。
- 受け皿を比較検討に耐える作りにする
縦長1枚のLPだけでは、比較検討ユーザーの疑問に答えきれないことがあります。
よくある質問、他の解決手段との比較、選び方といったユーザーの質問に答えるコンテンツを用意し、回遊できるサイト構造にすることで、検索経由のCVRと広告品質の両方が改善します。
ここまでやっても検索が伸びないなら、その商材は検索より発見型(フィード・動画)で売れるタイプだと割り切り、取れている経路に予算を寄せる判断も必要です。
なお、P-MAX・デマジェン・検索(AI Max)を併走させる場合、すべてを同じCPA基準で評価しないことが重要です。
デマジェンは需要を作るアッパーファネルの役割を担うため、エンゲージメントやマイクロコンバージョンで評価し、刈り取りのP-MAXや検索はCPA・ROASで評価する。役割に応じたKPIを設定することで、全体最適が図れます。
アセットは「数」より「アピールポイントの幅」
次に確認するのがアセット(広告の見出し・説明文・画像・動画)です。
Googleは「多様なアセットを入れておくことで、ユーザーごとに最も反応の良い広告を出せるようになる」と説明しています。
これは事実ですが、同じような訴求の見出しを15個並べても意味がありません。重要なのは、数ではなく「違う切り口のアピールをどれだけ揃えられているか」です。
アピールポイント(訴求の切り口)を意図的にばらけさせる
具体的には、次のように訴求の切り口を意図的にばらけさせてアセットに入れておくのが良い、というのが我々の考え方です。
- テクニック・ノウハウ系(例:ハンドファースト、ダウンブローなどの専門用語)
- ベネフィット系(使うことで得られる変化)
- 販売実績・権威性
- 価格・限定性
- 商品名・公式
こうしておくと、Googleの設計通り「この人にはこのコピーが刺さるからこれを出す」という組み合わせ最適化が機能します。
逆に口コミ系の訴求ばかりを詰め込むと、「みんな勧めてくれているが、結局何の商品なのか分からない」広告になってしまいます。
| 「公式|商品名|公式|商品名」事故に注意 見出しの掲載位置を固定せずに同じ要素のバリエーションを複数入れると、組み合わせ事故が起きます。 実際にあった例では、「公式+商品名」の表記違いを複数登録していたために、配信された広告のプレビューが「公式|商品名|公式|商品名」と連呼される状態になっていました。 表現テスト自体は問題ありませんが、掲載位置の固定を活用しましょう。 |
動画も考え方は同じです。10秒・40秒・1分半など、尺と内容のパターンを分けて複数入れておくと、P-MAXが動きやすい良い設定になります。
成果を左右する設定チェックポイント4つ
配信結果とアセットに大きな問題がなければ、次は「その結果に至る前提となる設定」を確認します。今回のセッションで我々が挙げたチェックポイントは4つです。

1. 拡張コンバージョンは必ず設定する
拡張コンバージョンとは、購入やお問い合わせの際にユーザーがフォームに入力した情報(ハッシュ化されたファーストパーティデータ)をGoogleに送信し、コンバージョン計測の精度を補完する仕組みです。
Cookie規制により、現在は従来の方法だけでは「誰が買ってくれたのか」をGoogleが把握しきれない時代になっています。
拡張コンバージョンを設定してGoogleが認識できるユーザー情報を増やすことで、学習が進みやすくなります。
P-MAXは「獲得したコンバージョンに似たユーザーに配信を広げる」メニューなので、コンバージョンをどう学習させるかは成果の根幹です。未設定であれば最優先で対応すべき項目です。
2. コンバージョン計測期間は「配信面の偏り」を調整するレバーになる
クリックスルーコンバージョンの計測期間は、デフォルトで30日に設定されています。多くの場合はそのままで問題ありません。
ただし、覚えておきたいテクニックがあります。
P-MAXでは、動画アセットを入稿していないとGoogleが自動生成した動画が配信されることがあり、「気づいたら配信がYouTubeばかりに寄って、しかもコンバージョンが取れていない」という状態が起こりがちです。
そうした場合に、計測期間を意図的に短く(例えば1日に)すると、クリック後すぐに行動するユーザーだけがコンバージョンとしてカウントされるため、配信が検索広告側に寄りやすくなります。
計測期間の設定は単なる集計ルールではなく、配信面のバランスを調整するレバーにもなるのです。
3. 「新規顧客のみ」設定は商品戦略次第
P-MAXには「新規顧客のみに入札を最適化する」設定があります。
推奨設定ではない方を選ぶことになりますが、新規獲得向けの商品であればチェックを入れて問題ありません。
P-MAXは新規専用に設計されたメニューではなく、リピート歓迎のビジネスにも使えるよう作られています。
逆に、リピートを増やしてトータルのLTV(顧客生涯価値)を上げたいのが目標なら、既存顧客への入札設定(顧客維持)を活用する選択肢もあります。
これは設定の問題ではなく、商品の売り方という事前の戦略で決まる部分です。
4. 年齢・性別の除外設定を活用する
比較的最近のアップデートで、P-MAXでも年齢・性別などの除外設定ができるようになりました。
自動化に完全に委ねるのではなく、明確に配信したくない層をルールとして切れるようになったということです。
Meta広告のバリュールールに近い考え方で、「自動化にガイドラインを敷く」機能と捉えると分かりやすいと思います。
例えば「商品のターゲットは25歳以上」と決まっているなら、シグナルで25〜65歳を指定するだけでなく、キャンペーン設定側で25歳未満を除外してしまう方が確実です。
オーディエンスシグナルは「ルール」ではなく「方向性」
我々が最も本質的だと考えているのが、この整理です。

オーディエンスシグナルとは、「この方向性の人たちに配信してほしい」とGoogleに示すガイドラインであって、「この人たちだけに配信する」というターゲティング(ルール)ではありません。
シグナルを起点にしながら、Googleは類似のユーザーへと配信を広げていきます。
この前提に立つと、シグナルの作り方が変わってきます。
ビッグワードより、購買段階に近い具体ワード
分析したアカウントでは、検索テーマに「ゴルフ」「ゴルフグッズ」といったビッグワードが登録されていました。
方向性を示す意味では間違いではありませんが、練習グッズを購入する段階のユーザーは、もっと具体的な悩みで検索しているはずです。
今回の商品は「スコア100切りを目指すゴルファー向けの練習グッズ」でした。であれば、検索テーマは次のような具体ワードに寄せた方が、ニーズが顕在化した層を狙えます。
- 「100切り」(スコア100未満で回るという初中級者の目標)などスコアの壁に関するワード
- 「ドライバー スライス」(打球が右に曲がってしまう悩み)など具体的な悩みワード
- 「コースマネジメント」(コースの攻め方の戦略)など上達文脈のワード
シグナルで顕在層への配信を強化すれば、P-MAXの予測拡張がその方向に働き、さらにその先のユーザーも獲得しやすくなる──というのが我々の見立てです。
一方で、キーワードは多ければ良いわけではありません。
例えば化粧品なら「シミ」「シワ」「たるみ」を入れるのは適切ですが、「メイク」や「ダイエット」まで広げると方向性がぼやけてしまいます。
ある程度方向性を絞った上でキーワードを選ぶことが重要です。
自社の顧客データ(購入者リスト)を必ず入れる
もう1つの改善点が、自社データ(購入者リストなどの顧客データ)がシグナルに入っていなかったことです。
「新規顧客を狙っているから既存顧客データは不要」と考えがちですが、これは誤解です。
シグナルはあくまで方向性のガイドラインなので、自社のロイヤルカスタマーがどんな人かをP-MAXに教えてあげることで、類似の新規ユーザーを見つけやすくなります。
あわせて、既存顧客が配信対象外なら除外設定も入れておくと無駄配信を防げます。
P-MAX改善でやってはいけないこと
ここまで多くのチェックポイントを挙げましたが、誤解しないでいただきたいのは、悪化したからといってすべてを作り直す必要はないということです。
改善を焦るあまり、かえって成果を壊してしまうパターンを我々は数多く見てきました。特に次の4つは避けてください。
- 学習中に何度も変更を重ねる
大きな変更のたびに学習期間(目安1〜2週間)が発生します。結果を待たずに変更を連打すると、学習がいつまでも安定しません。 - アセットを全部作り直す
勝ちパターンのデータごと捨てることになります。評価の低いアセットだけを入れ替えるのが原則です。 - シグナルを増やしすぎる
関連の薄いキーワードやリストまで詰め込むと方向性がぼやけ、拡張の質が下がります。 - コンバージョン設定を頻繁に変える
最適化の目標自体が揺れるため、配信が根本から不安定になります。
実際、今回のアカウントも「アセットの作り込みや基本設定のベースはしっかり押さえられている」という評価でした。
ベースができているなら、頻繁に設定をいじり回すのは逆効果です。触るべきは、分析で特定したボトルネックに絞ります。
今回のケースでの現実的な打ち手は、次の順番でした。
- 検索テーマ(シグナル)を顕在層の具体ワードに寄せてテストする(チャネル分析で検索経由が細いことが分かったため)
- 拡張コンバージョン・年齢除外・顧客データなど、未設定の項目を埋める
- その先の改善は、動画クリエイティブとLP(ランディングページ)のブラッシュアップに移る
設定でコントロールできる範囲を整えた後は、クリエイティブの良し悪しを見て、悪いものを下ろし新しいものを投下していく。これは通常の運用調整と同じサイクルです。
P-MAX改善チェックリスト(優先度付き)
ここまでの内容を、そのまま使えるチェックリストにまとめます。優先度の高い順に確認してください。
| 確認項目 | 優先度 | 見るポイント |
| チャネルパフォーマンス | ★★★★★ | どの面で獲得できているか。費用と結果のバランスに偏りがないか。 |
| コンバージョン設定 | ★★★★★ | 最適化対象・計測期間・新規顧客設定が自社の戦略と合っているか。 |
| 拡張コンバージョン | ★★★★★ | 設定済みか。未設定なら最優先で対応(学習データの質を左右)。 |
| アセット訴求 | ★★★★☆ | アピールポイントが同じ切り口に偏っていないか。見出しの掲載位置固定で組み合わせ事故を防げているか。 |
| 検索語句 | ★★★★☆ | 意図とズレたクエリで無駄クリックが発生していないか。 |
| オーディエンスシグナル | ★★★☆☆ | ビッグワードでなく具体ワードか。顧客データ(購入者リスト)が入っているか。 |
P-MAXのCPA悪化にお悩みの方へ
【無料アカウント診断】
デジタルアスリートでは、Google広告アカウントの無料診断を行っています。
本記事の5層分析フレームに沿って、チャネル構成・検索意図とのズレ・アセット・コンバージョンデータ品質を診断し、改善の優先順位をレポートいたします。
「社内で分析する時間がない」「どこから手を付けるべきか第三者の目で見てほしい」という方は、お気軽にご相談ください。
【考察】AI時代の広告設計:「誰に出すか」から「誰に反応してほしくないか」へ
最後に、P-MAX改善の先にある話を1つ。これは我々デジタルアスリートが日々の運用を通じて確信していることです。
AIによるターゲティングの自動化は、今後さらに進みます。年齢・性別の除外のようなコントロールは残るものの、方向性は明確で、「誰に出すか」を人間が細かく指定する時代は終わりつつあります。
では運用者の仕事がなくなるかというと、逆です。
AIが配信先を決めるなら、実質的なターゲティング装置はクリエイティブとオファーそのものになります。
本文で触れた「40代の乾燥肌の方へ」のような対象を絞る広告文の一文は、届けたい人を選ぶと同時に、対象外の人に静かに降りてもらう設計でもあります。
誰に反応してほしいかだけでなく、誰には反応してほしくないかまで含めてクリエイティブを設計できるか。それがAI時代の広告成果を分けます。
P-MAX改善はその考え方の入口であり、今後の広告運用では配信設定よりも、この上流設計の重要性がさらに増していくと我々は考えています。
まとめ:P-MAXの手綱を握るのは運用者
P-MAXはAIが最適化してくれる便利なメニューですが、放置すれば「Googleが良しとする成果」を追い求めて勝手に動きます。
それが自社のKPIとマッチしているかを確認し、ガイドラインを敷いてあげるのは運用者の仕事です。
最後に、今回の分析手順を改めてまとめます。

2026年のP-MAX運用は、チャネル別の分析で獲得経路を特定することから始まります。
どこで取れているかを把握し、拡張コンバージョンを設定し、検索テーマはビッグワードではなくユーザーの具体的な悩みに絞る。この基本を押さえるだけでも、改善の精度は大きく変わるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q.P-MAXのチャネル別パフォーマンスはどこで見られますか?
A.Google広告の管理画面内にある「チャネルのパフォーマンス」レポートで確認できます。
2025年6月から順次提供が始まり、2026年7月現在はすべてのアカウントで利用可能です。
検索・ディスプレイ・YouTube・Gmail・Discover・Googleマップの各チャネルごとの表示回数・クリック数・コンバージョン数を、ビジュアルと表形式の両方で確認できます。
Q.P-MAXが悪化したら最初に何を確認すべきですか?
A.まず「チャネルのパフォーマンス」で、どの配信面でコンバージョンが取れているか(取れていないか)を特定してください。
動画面で取れているなら動画の改善、検索で取れているならLPの改善というように、獲得経路が分かれば打ち手の優先順位が決まります。
その上でアセットのアピールポイントの幅、コンバージョン設定、オーディエンスシグナルの順に確認します。
Q.拡張コンバージョンは設定した方がいいですか?
A.はい、基本的に必ず設定すべきです。
Cookie規制により、従来の計測だけでは「誰が購入したか」をGoogleが把握しきれなくなっています。
拡張コンバージョンでファーストパーティデータを補完することで学習データの質が上がり、P-MAXの最適化が進みやすくなります。
Q.オーディエンスシグナルとターゲティング設定は何が違いますか?
A.シグナルは「この方向性の人に配信してほしい」というガイドライン(方向性)で、指定した人以外にも配信は広がります。
一方、キャンペーン設定の除外(年齢・性別など)は明確なルールとして機能します。
「絶対に配信したくない層」は設定側で除外し、「狙いたい顧客像」はシグナルで示す、と使い分けてください。
Q.P-MAXのアセットは多ければ多いほど良いのですか?
A.一概には言えません。重要なのは数ではなく、アピールポイントの幅(訴求の切り口のバリエーション)です。
同じ訴求のバリエーションを大量に入れるのではなく、テクニック系・ベネフィット系・実績系・価格/限定性など違う切り口のアピールを揃えることで、ユーザーごとの最適な組み合わせ配信が機能します。
また、見出しの掲載位置を固定しないと「公式|商品名|公式|商品名」のような組み合わせ事故が起こる点にも注意が必要です。
Q.P-MAXの配信がYouTubeに偏りすぎている場合はどうすればいいですか?
A.まず動画アセットを自社で入稿しているか確認してください(未入稿だとGoogleの自動生成動画が配信されることがあります)。
その上で、クリックスルーコンバージョンの計測期間を短く(例:1日)設定すると、すぐに行動するユーザーだけが学習対象になるため、配信が検索広告側に寄りやすくなります。
Q.P-MAX改善は何日で効果が出ますか?
A.設定変更やアセットの大幅な差し替えなど大きな変更を加えた後は、一般に1〜2週間程度の学習期間を見込む必要があります。
効果の判断は最低でも2週間、できれば1か月単位のデータで行ってください。
学習期間中に追加の変更を重ねると学習がリセットされ、いつまでも安定しないため、「変更したら待つ」を徹底することが結果的に最短の改善につながります。
P-MAXのCPA悪化にお悩みの方へ
【無料アカウント診断】
デジタルアスリートでは、Google広告アカウントの無料診断を行っています。
本記事の5層分析フレームに沿って、チャネル構成・検索意図とのズレ・アセット・コンバージョンデータ品質を診断し、改善の優先順位をレポートいたします。
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デジタルアスリート株式会社 代表取締役社長/デジタルマーケティング協会 理事
1984年、長野県生まれ。
日本体育大学卒業後、コピーライター兼Web広告運用者としてキャリアをスタート。
2011年に株式会社リスティングプラス(現・デジタルアスリート株式会社)を設立し、代表取締役に就任。
Web広告とランディングページ制作を強みに事業を拡大し、
同社はこれまでに中小企業を中心として累計2,400社を超える企業のデジタルマーケティングを支援。
2022年1月にデジタルアスリート株式会社へ社名を変更し、
現在はマーケティングの上流設計から広告運用・人材育成までを一気通貫で支援する総合デジタルマーケティング企業として事業を展開している。
著書に『コンバージョン数を最大化する7つの極意』(学研プラス)、『DX時代の売れるしくみの作り方』(スタンダーズ)。初の著書はAmazonセールス・マーケティング部門で第1位を獲得。
各種SNSでも日々最新情報を発信。
・Youtube:アスリート社長のチーム経営学
・X(旧Twitter):長橋真吾|最新マーケティング×AI活用で内製化を支援!
Writer
長橋真吾 記事一覧
デジタルアスリート株式会社 代表取締役社長/デジタルマーケティング協会 理事
1984年、長野県生まれ。
日本体育大学卒業後、コピーライター兼Web広告運用者としてキャリアをスタート。
2011年に株式会社リスティングプラス(現・デジタルアスリート株式会社)を設立し、代表取締役に就任。
Web広告とランディングページ制作を強みに事業を拡大し、
同社はこれまでに中小企業を中心として累計2,400社を超える企業のデジタルマーケティングを支援。
2022年1月にデジタルアスリート株式会社へ社名を変更し、
現在はマーケティングの上流設計から広告運用・人材育成までを一気通貫で支援する総合デジタルマーケティング企業として事業を展開している。
著書に『コンバージョン数を最大化する7つの極意』(学研プラス)、『DX時代の売れるしくみの作り方』(スタンダーズ)。初の著書はAmazonセールス・マーケティング部門で第1位を獲得。
各種SNSでも日々最新情報を発信。
・Youtube:アスリート社長のチーム経営学
・X(旧Twitter):長橋真吾|最新マーケティング×AI活用で内製化を支援!