P-MAXキャンペーンとは?メリット・設定方法から改善のポイントまで解説

  • 2022.8.4
  • 2023.2.1
  • 15,213 Views

Webマーケティングの分野では、あらゆる施策の自動化が進んでいますが、最近の大きな動きといえば、2021年11月にGoogle広告が提供を始めた「P-MAXキャンペーン」です。

このP-MAXキャンペーンを利用すれば、1つのキャンペーンからGoogle広告のすべての広告枠に配信ができます。
また、広告配信の最適化も機械学習によって行われるので、運用の工数を減らしながら成果を最大化できる、非常に便利なプロダクトです。

ただそんなP-MAXキャンペーンにも、知っておくべき活用する際のポイントや注意点があります。この記事では、そんなP-MAXキャンペーンの特徴や注意点、設定の方法まで解説します。

P-MAXキャンペーンとは

P-MAXとは「Performance Max」(パフォーマンス最大化)の略であり、P-MAXキャンペーンは「広告運用においてパフォーマンスの最大化を目的とするキャンペーン」という意味です。

Google広告における自動化としては、既にスマートショッピングキャンペーンやローカルキャンペーンが提供されていますが、この2つも2022年9月末までにP-MAXキャンペーンへアップグレードされ統合されます。
(以降、新規でのキャンペーン作成ができなくなります)

従来のキャンペーンと比較すると、P-MAXキャンペーン異なる特徴があります。さっそくメリット・デメリットから確認していきましょう。

P-MAXキャンペーンのメリット

P-MAXキャンペーンには、大きく3つのメリットがあります。

1・Googleのすべての広告枠に配信できる

1つのP-MAXキャンペーンから、Googleのすべての広告枠(検索、ディスプレイ、YouTube、ディスカヴァー、Gmail、Googleマップなど)に広告を配信できます。従来のように広告の配信先によってキャンペーンを分ける必要はありません。

このように幅広く配信できることで、従来リーチできなかったユーザーにも広告を配信できるため、従来獲得できていなかった面からのコンバージョンが期待できるのです。

2・機械学習による自動最適化で運用工数を大幅に削減できる

従来のキャンペーンでは、広告配信を開始するにはキーワードやマッチタイプ、クリエイティブやターゲティングなどの準備が必要でした。

対してP-MAXキャンペーンでは、予算とコンバージョン目標、広告アセット(テキスト、画像、動画)を登録すれば、その中で最適な組み合わせや内容を自動生成し広告を配信してくれます。

また、P-MAXキャンペーンでは、機械学習がコンバージョン目標に合わせて運用を最適化してくれます。従来のように、広告運用者がキーワードや入札単価について細かく調整する必要はありません。

3・コンバージョンを効率よく獲得できる

Google広告のすべてのチャンネルと広告枠にリーチすることができるのに加え、検索キャンペーンとP-MAXキャンペーンを併用することで、Google広告チャネル全体でのコンバージョン数を最大化することができます。

弊社で運用支援させていただいている美容系の商材において、検索広告と比べてCPAは同水準にもかかわらず、コンバージョン数が20%程多く獲得しているケースが実際にありました。

その他、健康系のサプリ商材においても検索広告と比べてコンバージョンを効率的に獲得できています。

P-MAXキャンペーンのデメリット

メリットが大きいP-MAXキャンペーンですが、以下のようなデメリットもあります。既存の運用と併用することや、事前の準備などが必要と言えるでしょう。代表的なデメリットを4つ記載します。

1・細かい調整ができない

P-MAXキャンペーンでは、いつ誰に向かって、どの広告枠へ配信するのかは自動で調整され、従来のように細かく指定することができません。調整できる項目が少ないことで、特に問題になるのが以下の点です。

決まったリストへの配信ができない

P-MAXキャンペーンでは「オーディエンスシグナル」という設定で、広告の配信先を設定できます。

ただしオーディエンスシグナルを設定してもも、それ以外のユーザーに広告が配信される可能性はあり、機械学習の参考にされる程度だと考えた方がいいでしょう。

キーワードの除外設定ができない

現在のところ、P-MAXキャンペーンでは、管理画面から除外キーワードを設定することができません。除外キーワードを設定したい場合は、Googleの営業担当者を通じて直接依頼することが必要です。

問題になるのは、他社と「互いの商品・サービス名や会社名で広告を出さない」という約束をしている場合などです。

ただし、除外キーワードについては、今後、アカウント単位で除外キーワードを設定できる機能の提供が予定はされているようです。

まもなく実装されるアカウント レベルの除外キーワード機能を使えば、特定の検索語句を P-MAX キャンペーンの対象から外すことも可能です。

引用:Google の多彩な広告チャネルをフル活用できる P-MAX で目標を達成する – Google 広告 ヘルプ

また、プレイスメントの除外はアカウント単位でのみ設定が可能です。

2・従来のキャンペーンに影響するケースがある

現時点でP-MAXキャンペーンは、既存のキャンペーンを継続した上での「補完的な役割」として運用することが推奨されています。

実際、Google広告のヘルプページにも「キーワード ターゲティングを優先する」と明確にされており、検索語句が、アカウントで指定したマッチタイプの検索キーワードと同一の場合は、P-MAX よりも検索キャンペーンが優先されます。

ただしショッピング広告と並行して配信する場合は、P-MAXキャンペーンが優先されることにより、ショッピング広告の掲載が少なくなる可能性があるので注意が必要です。

P-MAX キャンペーンは、同じ Google 広告アカウントで同じ商品を掲載している既存のショッピング キャンペーンよりも優先されるため、P-MAX を開始すると、ショッピング キャンペーンの広告掲載が少なくなり(P-MAX の予算がショッピング キャンペーンより低い場合でも)、それに対応して P-MAX の広告が掲載されるようになります。

パフォーマンスへの影響を最小限に抑えるため、同じ商品を宣伝している既存のショッピング キャンペーンと同程度の予算を P-MAX に設定することをおすすめします。

引用:P-MAX キャンペーンの問題を解決する – Google 広告 ヘルプ

3・短期間の配信に向かない

機械学習により最適化されるという性質上、P-MAXキャンペーンで成果が出るまでには一定のデータ量が必要です。

既に検索広告などの配信実績があるアカウントから、新たにP-MAXキャンペーンで配信を開始する時は、アカウントのデータを使って最適化を進められます。

反面、新しいアカウントで短期間配信するなどのケースでは、必要なデータ量が貯まる前に配信期間が終わってしまい、十分な成果が出せない可能性があります。

4・配信成果の詳細な分析ができない

P-MAXキャンペーンは、GoogleのAIによる機械学習で配信されているため、配信の過程がブラックボックス化してしまい配信結果から成果要因を分析することが困難です。

例えば、通常の検索キャンペーンでは見えていた(広告グループ・キーワード・広告)などの細かい単位で数値を見ることができないため、配信結果から課題を見つけ改善していくことが難しくなっています。

 P-MAXキャンペーンの作成・設定方法

では、P-MAXキャンペーンの作成・設定方法を見ていきましょう。
P-MAXキャンペーンは以下の手順で作成していきます。

1. キャンペーンの作成

まずは通常のキャンペーン作成手順通りに、管理画面の「+」から「新しいキャンペーンを作成」をクリックします。

キャンペーン目標を設定する

画像:P-MAX キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ

  • 販売促進
  • 見込み顧客の獲得
  • ウェブサイトのトラフィック
  • 来店数と店舗売上の向上
  • 目標を設定せずにキャンペーンを作成する

これらのキャンペーン目標を選択する場合、P-MAXキャンペーンを利用できます。

コンバージョンを設定する

次にコンバージョン目標を設定しますが、すでにアカウントに設定されているものが表示されるので、

  • 新しいコンバージョンを追加
  • 使用しないコンバージョンを削除

などして内容を調整します。ここでの調整はアカウント全体には影響しません。

キャンペーンタイプを選択する

キャンペーンタイプを選択する画面になるので、「パフォーマンスの最大化(P-MAX)を選択します。

予算・入札戦略を設定する

予算と入札戦略を設定します。

①1日あたりの平均費用を設定
②重視している要素=入札戦略を設定する
「コンバージョン」か「コンバージョン値(ROAS)」のどちらを重視するかを選択
③(任意)目標コンバージョン単価もしくは目標広告費用対効果(ROAS)を設定

設定内容

配信内容

目標コンバージョン単価
もしくは目標広告費用対効果(ROAS)を設定

設定した目標の中でコンバージョン数を最大化するように配信される

何も設定しない場合

設定した予算内でコンバージョン数を最大化するように配信される

2. 配信地域・言語・最終ページURLの設定

配信地域・言語

日本国内への配信なら、地域は日本・言語を日本語とします。

最終ページURLの拡張設定

広告から遷移させたいページのURLを設定しますが、ここがP-MAXキャンペーンの要注意ポイントです。

それが「最終ページ URLの拡張設定」です。
P-MAXキャンペーンでは広告の成果を最大化するために、設定したリンク先以外のURLを使用して広告を配信する可能性があります。

その他の設定から最終ページURLの拡張設定が変更できます。

この設定を「オン」にしたままだと、コンバージョンが見込めると判断された場合、設定URLの同一ドメイン(サブドメイン含む)の別の URL が、広告の遷移先として表示されることがあります。(デフォルトがこの設定です)

リンク先を指定したい場合は忘れずに「オフ」にしましょう。

URLの除外

最終ページ URLの拡張設定については、Googleとしては「オン」にすることを推奨しています。

拡張設定をオンにした場合も、広告配信したくないページはURLを指定したり、除外のルールを設定することで除外できます。

3. アセットの設定

アセットグループでは、実際に広告枠に配信される広告クリエイティブのデータを設定します。P-MAXキャンペーンでは、入稿できる項目に付いて最大数を設定することが推奨されています。

参考:アセット グループの仕組み – Google 広告 ヘルプ

テキスト

  • どのように組み合わせても不自然にならないように注意
  • 同じ文言をなんども使うことは避ける

項目

条件

推奨登録数

最終ページURL

1

広告見出し

半角30文字(全角15文字)まで

5

長い広告見出し

半角90文字(全角45文字)まで

5

説明文

半角90文字(全角45文字)まで

4

会社やサービスの名前

半角25文字(全角12文字)まで

1

行動を促すフレーズ(CTA)

半角90文字(全角45文字)まで

1

表示URL

半角15文字まで

2

画像

  • ファイル形式:JPG または PNG
  • ファイルサイズ:最大 5,120KB
  • 画像のセーフエリア:コンテンツを画像の中央寄り 80% 以内に配置

項目

条件

推奨登録数

横向きの画像
(1.91:1)

推奨 1200✕628ピクセル
最少 600✕314ピクセル

3

スクエア画像
(1:1)

推奨 1200✕1200ピクセル
最少 300✕300ピクセル

3

縦向きの画像
(4:5)

推奨 960✕1200ピクセル
最少 480✕600ピクセル

1

スクエアロゴ
(1:1)

推奨 1200✕1200ピクセル
最少 128✕128ピクセル

1

横向きロゴ
(1:1)

推奨 1200✕300ピクセル
最少 512✕128ピクセル

1

動画

項目

条件

推奨
登録数

動画(縦型、横型、スクエアのいずれか)

10 秒以上の動画
動画をアップロードしない場合は、他のクリエイティブから自動的に生成されることがある

5

4. オーディエンスシグナルの設定

上でもお伝えしたように、リストを設定することはできますが、そのリストだけに広告を配信するというものではありません。

オーディエンスシグナルを設定することで「機械学習がより促進される」という程度に考えておきましょう。
オーディエンスシグナルで設定可能な項目は以下です。

自社データ

  • ウェブサイト訪問者のリスト
  • アプリユーザーのリスト
  • 顧客リスト(メーリング リスト、サブスクリプション リストなど)
  • 動画視聴者のリスト

カスタムセグメント

  • 関連性の高いキーワード
  • 類似WebサイトのURL
  • ユーザーが使用する可能性が高いアプリ

ユーザー属性

  • 年齢
  • 性別
  • 世帯収入
  • 子供の有無

追加のオーディエンス セグメント

  • 詳しいユーザー属性(長年の生活習慣)
  • ライフイベント(人生の節目)
  • アフィニティ(習慣、興味関心)
  • 購買意向(最近の購買意向)

参考:アセット グループを作成する – Google 広告 ヘルプ

5. 広告表示オプションの設定

通常の広告配信と同様、広告表示オプションを設定することは、クリック率やCPAなどの成果に良い影響を与えると考えられます。
設定できるものはできるだけ設定しておきましょう。

広告表示オプションの種類や設定方法についてはこちらの記事をご確認ください。

これでP-MAXキャンペーンの設定は完了です。

P-MAXキャンペーンをどう改善するか

アセットの入れ替えが重要

P-MAXキャンペーンは従来の広告運用と比較して、運用者の手で調整できる項目が非常に少なくなります。

そんな中で広告を調整し、結果を改善しようと思ったら、運用者が主にやるべきことは「アセットの入れ替え」です。

運用を開始すると、アセットごとのパフォーマンス評価を確認できるようになります。

評価は「最良」「良」「低」の3種類があるので、低評価のアセットを放置することなく、新しいものと入れ替えていきましょう。

既存の検索キャンペーンと併用する

P-MAXキャンペーンは、既存のキャンペーンと併用して行うことがおすすめです。実際に配信する中で感じることになりますが、安定した成果が早くでるケースとなかなか成果がでないケース、予算の消化に関しても既存のキャンペーンほど安定しておらず日単位でみるとけっこうなブレがあります。

また機械学習でデータをためてキャンペーンが最適化されるまでに1ヶ月ほど必要といわれているため、特に最初の1ヶ月は既存のキャンペーンと併用して運用していきましょう。

正確なオーディエンス情報を学習させる

P-MAXキャンペーンでは、自社が保有する(ユーザーデータ・カスタムセグメント・ユーザー属性)などを設定することができます。

自社のターゲットとなるユーザー情報や、ユーザー属性を設定することで、P-MAXキャンペーンの配信先の最適化を助けることができます。

情報収集に使える機能はある

P-MAXで調整できる項目が少ないとしても、運用の状況について確認できる情報はあります。

例えば、キャンペーンや広告グループのパフォーマンスに大きな変化があった場合に、考えられる原因は何かを表示してくれる「説明」という機能があります。(「説明」の横に最適化案が表示されることもあります)
実際の確認手順などは以下の記事を参考にしてください。

また「分析情報」を活用することで、キャンペーンの広告配信状況を把握できます。

参考:診断に関する分析情報を活用して効果的なキャンペーンを設定する – Google広告ヘルプ

管理画面のレポート>事前定義レポート(詳細分析)>その他>P-MAXキャンペーンのプレースメント
からはP-MAX キャンペーンの広告が配信された場所と、広告の表示回数を確認できます。

参考:P-MAX キャンペーンのプレースメント レポートを確認または作成する – Google広告ヘルプ

ただこれらの情報を参照するにしても、P-MAXキャンペーンのコントロールが難しいことには違いなく、情報収集として割り切て行うことになりそうです。

P-MAXキャンペーンが今後の主流になる

このようにP-MAXキャンペーンとは、

  • Google広告の全ての広告枠に配信できる
  • 自動最適化で運用工数を大幅に削減できる

という大きなメリットがあるキャンペーンです。

その一方で、

  • キーワードやターゲティングなど従来のような細かい調整ができない
  • 従来のキャンペーンと並行して配信したいが、影響を与える場合がある
  • 短期間の配信では成果が出ない可能性がある

などのデメリットもあるため、ビジネスに適しているか・関係者の理解が得られるか等の要素も含めて導入を考える必要があります。

ただし、Google広告では以前から広告運用の自動化が進められてきており、P-MAXキャンペーンが今後の広告運用の中心になっていく可能性は高いといえます。

今はまだ不都合な部分も、今後のアップデートでの改善・機能の追加が期待できるので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。

カテゴリー別記事

Google広告

新規顧客の獲得効率を最大化する

Google広告の基本から最新のノウハウまで公開

無料資料ダウンロード

 

勝てるメッセージとシナリオで成果を出し続ける
「YouTube広告運用マスターガイド」

YouTubeで企業チャンネルが成功するために実践した施策を公開します。

資料ダウンロード

 

1,800社以上の支援実績に裏づけされた
『LPO大全』(実行手順シートつき)

1,800社を支援する中で気づいた『LPO』の重要性と正しい手順・ノウハウを公開します。

資料ダウンロード

 

YouTube動画マーケティングがわかる
企業チャンネル最新攻略法

YouTubeで企業チャンネルが成功するために実践した施策を公開します。

資料ダウンロード

MAIL MAGAZINE

               

最新のマーケティング情報をお届け。デジタルアスリートのメルマガでしか手に入らない情報を受け取りましょう。

角谷 裕子

デジタルアスリート株式会社 コピーライター兼マーケター 2015年、デジタルアスリート株式会社(旧:株式会社リスティングプラス)に入社した専業コピーライター1号。 ランディングページのライティングや制作ディレクションを経て、現在は主に自社サイトやメディアの管理・運営、コンテンツ制作を担当している。

記事一覧を見る