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「WeChat」は近年日本国内でも使う人が増えたアプリです。しかし、まだまだ日本では、耳慣れなかったり「WeChat使用は危険」という人がいたりして浸透しているとはいいがたいのが現状です。
今回は「WeChatとはどんなアプリか」「日本で使用する際の注意点やコツ」「WeChatとLINEとの違い」「WeChatの幅広い機能」などについて解説します。
目次
WeChatとは?
WeChatは、中国発祥の無料チャットアプリです。中国名は「微信(ウェイシン)」で、中国版のLINEのような位置づけで、中国最大のインターネットサービス企業「テンセント社」が開発・運営しています。
WeChatは、FacebookやTikTokのようなSNS機能やショッピング機能、有料オプションにはなるものの音楽や動画の視聴機能なども備わっている、大変便利なアプリです。ほとんどの中国人が、スマホを入手してすぐにWeChatアプリをダウンロードする程、中国国内では浸透しています。
新型コロナウイルス感染症が蔓延した2020年3月には、WeChatに「健康ID」と呼ばれる機能が追加されました。
中国国内では、企業に勤務する社員の健康状況の管理、感染者の鉄道・飛行機など公共交通機関の利用状況のチェック、感染が認められた人と過去に接触した人への警告に用いられるなど、重要な役割を果たしました。
WeChatユーザーは13億人以上
WeChatは、日本国内では中国人とビジネスで接点がある人、深い関係性にある人以外には、さほど高い知名度とはいえません。
しかし、WeChatの世界の月間アクティブユーザー数は、2024年3月31日時点で約13.6億人にものぼります。まさに、世界最大規模のチャットアプリといえるでしょう。
WeChatは日本人も使える?
WeChatは、日本人が日本国内で使用することも可能です。中国人とのビジネスや中国でのマーケティングには、大変役立つとして今後日本国内でもユーザーが増加すると見込まれています。
WeChatを日本人が安全に使うには?
WeChatについて検索すると「危険」「禁止」など、ダウンロードを躊躇せざるをえないような単語が並ぶのも事実です。海外のアプリのため、セキュリティが不安という声もあります。しかし、WeChatは、
- TRUSTe(アメリカ発の個人情報保護第三者認証プログラム
- ISO/IEC 27001(情報セキュリティ管理システム)
- ISO/IEC 27018(パブリッククラウドにおける個人情報保護)
といった国際的なセキュリティ認証を複数取得しています。もちろん「一般公開されるSNS上に個人の重要情報は載せない」などの一般的なSNSリテラシーなどは守るべきですが、正しい使い方をしている限り、セキュリティ面での不安はさほど深刻に捉える必要はないでしょう。
WeChat使用上の注意点
WeChatは中国発のアプリのため、中国政府の特徴に関する、使用上の注意点があります。中国政府は「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる独自の検閲機関を保有しているといわれています。
グレート・ファイアウォールは、頻繁にインターネット内のパトロールを行っているといわれており、中国政府や中国の文化などに対する批判的な発信には、ペナルティが下る場合があるそうです。
日本での使用でも、WeChat内で「中国批判」とも捉えられかねない発信をするとアカウントが凍結される恐れがあるともいわれています。
WeChatとLINEとの違い
WeChatは「中国版LINE」とも呼ばれています。日本国内では、LINEをダウンロードしていないスマホユーザーを探す方が難しいほどです。同様に、中国では「WeChatをダウンロードしていないスマホユーザーはいない」といわれるほど浸透しています。
国民への認知度以外にも機能や使用方法も類似しているWeChatとLINEには、違いもあります。下記の表でWeChatとLINEの違いを表しました。
特に、WeChatとLINEとの違いがわかりやすい項目について、詳しく解説します。
対応言語数
WeChatの対応言語は約20言語にものぼります。カバーしている主な言語は次の通りです。
中国語・日本語・英語・インドネシア語・マレー語・スペイン語・韓国語・イタリア語・ドイツ語・フランス語・ポーランド語・ポルトガル語・ロシア語・タイ語・ベトナム語・アラビア語・ヒンディー語・ヘブライ語・トルコ語など
対してLINEの対応言語は、
日本語・英語・韓国語・簡体字中国語・繁体字中国語・タイ語・ベトナム語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・ロシア語・インドネシア語・マレー語・アラビア語・トルコ語 の17言語です。
ただし、LINEは、OSがMacやchromeの場合、対応言語数がさらに限定されます。 また、翻訳機能を使いたい場合、WeChatは、翻訳したいメッセージを長押しし、翻訳機能を選択すればチャット内で翻訳機能を使えます。
一方、LINEで翻訳機能を使用するには、下記の手順が必要です。
- 翻訳用トークルームを改設
- 翻訳したいメッセージ毎に翻訳・コピー
- メッセージを送りたい相手とのトークルームに戻ってペースト
利用人数
先述した通り、WeChatの利用人数は、中国国内を中心に約13.6億人というデータがあります。一方、LINEの利用人数は、日本国内を中心に約9700万人です。圧倒的にWeChatの利用人数の方が多いのは、中国(※約14.1億人)と日本(※約1.2億人)の人口の違いによるものといえるでしょう。
日本国内で無料チャットアプリを使用するなら、日本国民の8割強が使っているLINEで快適なコミュニケーションが取れます。しかし、中国では情報統制の影響でLINEをはじめ、中国国外発祥のほとんどのチャットアプリが使用できません。
こうした背景から、中国人をはじめ中国在住の人、中国と関わりのある人のほとんどが、WeChatを日常的に使用しています。 ※2024年6月の統計
既読機能やスタンプ
WeChatとLINEの違いとして、よく話題にあがるのが、既読機能とスタンプです。 LINEが採用したことで広く認知された既読機能は、InstagramなどのDM機能にも採用されています。既読機能には賛否両論ありますが、日本人にとっては定番の機能です。
しかし、WeChatには既読機能がありません。メッセージを送った側は、受け取った側がメッセージを読んだか、判別できない仕様となっています。
感情や現状などを、気軽にイラストで相手に示せるLINEスタンプも、日本国内では「知らない人はいない」といえる定番機能です。LINEスタンプは、初期設定されているスタンプ、さまざまな企業が期間限定でプレゼントしているスタンプ、などがあります。
こうした無料スタンプはほんの一部で、有料スタンプやスタンプ使い放題のサブスクリプションサービスなど、LINE内で課金することでダウンロード可能になるスタンプも豊富です。
一方、WeChatには「ステッカー」と呼ばれるLINEスタンプと同様の機能が備わっています。ステッカーは、無料で利用できるものがほとんどで、種類も豊富です。また、無料で使用できるステッカーでも、利用者が作者を応援する意味で、ギフトとして報酬を送る機能もあります。
キャッシュ機能
数年前、LINEに登場したLINEPay機能ですが、2025年4月に終了することが発表されています。
一方、WeChatPay(微信支付)は、中国国内ではほとんどの店舗で利用できるほど浸透しています。WeChatPayの通貨単位は元であり、銀行口座と連携させるには、中国国内の銀行口座を保有する必要があります。
しかし、WechatPay自体が日本語対応しており、2023年7月から国際的なクレジットカード(Visa・Mastercard・American Express・Discover・JCB)と連携できるようになったことから、日本人でも使いやすい機能として認知度が上がっています。WeChatPayで支払できる店舗も日本国内で増えつつあります。
Red Packet(紅包):ラッキーマネー
LINEには、LINE内で友達として登録されている相手や自分に対し、商品券や商品を送れるLINEギフトがあり、活用している人もいるでしょう。WeChatでは、LINEギフトのような形でRed Packet(紅包)機能が多くの人に重宝されています。
Red Packet(紅包:ホンパオ)とは、日本のお年玉のようなものです。赤い包みにお金を入れて贈る、中国の伝統的な習慣を指します。
同様の金銭の授受をデジタル化したのが、WeChatのRed Packetだと捉えるとわかりやすいでしょう。日本人向けのWeChatでは「ラッキーマネー」と表示されます。 ただし、ラッキーマネーは、2024年7月現在、中国国内の銀行に口座を持っている人しか受け取れないシステムです。
そのため、WeChatを使用している日本人でも活用している人はほとんどいないといわれています。
WeChatの活用方法
WeChatが中国全土で受け入れられているのは、WeChat独自のサービスがあるからです。日本人でもWeChatをダウンロードするなら使いたい、WeChatの機能と活用方法を紹介します。
WeChatIDを名刺代わり
中国では、名刺交換と併せてWeChatのIDを交換するほどビジネス面でもWeChatが浸透しています。日本では、LINEはプライベートで使うコミュニケーションツールという位置づけが主流なので、取引先の人とLINEを交換する、という概念はないかもしれません。
仕事上で中国の方々とのやり取りが増えてきている方は、WeChatのIDも一緒に渡すことでコミュニケーションが円滑になり「仕事の話がスムーズに進みそう」というイメージを持ってもらえる可能性もあります。
WeChatを出会いのツールに
WeChatには、位置情報を許可すれば、近くのユーザーを探してくれる、マッチング機能があります。たとえば、イベントやライブなどに参加したときに、趣味嗜好が近しい人と手軽に知り合うにはもってこいの機能でしょう。
出会いたいジェンダーを特定することも可能で、出会いを求めていない人はもちろん、この機能をオフにすることもできます。
WeChatにもLINE同様、IDを打ち込んだりQRコードを表示させたり読み取ったりして相手と連絡先を交換する機能もあります。しかし、WeChatなら、こういった工数を減らして親しくなりたい相手と連絡先を交換したり、友達を作ったりすることも可能です。
WeChatの登録方法
WeChatに興味を持ったら登録してみましょう。まずはWeChat仕様の基本デバイスとなるスマホ版WeChatアプリの登録手順、PCでWeChatを使う場合の登録手順を解説します。
WeChatアプリのインストールと登録手順
スマホ版WeChatアプリのインストール方法と言語選択、登録までの手順を見ていきましょう。
①WeChatアプリのインストール
スマホのインターネット検索で「WeChat」を入力し、WeChatアプリをインストールしましょう。App store・Google Play store、それぞれの表示は下記の通りです。
【App store】
【Google Play store】
②WeChatアプリ登録と言語操作
WeChatアプリがインストールされたら、下記のログインページが表示されます。
右上に表示された「言語」をタップすると次のページが表示されます。
見本のようにログインページが日本語で表示されているなら「自動」のままでよいでしょう。ほかの言語でWeChatを使いたい場合やログインページがほかの言語で表示されている場合は、使用希望の言語を選びましょう。
使用したい言語にチェックを付けたら、右上の「保存」、画面が切り替わったら、左上の「<」をタップしてログインページに戻ります。 ログインページ右下の「電話番号で登録」を押すと次の画面が現れます。
名前・電話番号のほか、パスワードを設定します。同画面の下段からは、青文字「セキュリティーポリシー」へのリンクがあります。
タップして一読し、ログインページに戻ると、緑枠「同意する」が押せるようになります。 続いて、スマホのショートメッセージに認証コードを送るページに進みます。
スマホのショートメッセージから認証コードを確認し、入力。自動でメイン画面に切り替わりましたら、WeChatの認証、登録が完了します。
PCでWeChatを登録するには
WeChatをPCで使用するには、まずスマホでWeChatアプリをインストールし、登録を完了させる必要があります。その後、PCで「WeChat」で検索し、OSに合わせたWeChatソフトかWeb版のアプリをインストールします。
ここで注意点があるのですが、スマホ版とは異なり、WeChatのPC版は中国語か英語でしか表記されません。
そのため、その後の登録操作も中国語か英語で行う必要があります。そう聞くと尻込みしてしまう人もいるかもしれませんが、表記言語が異なるだけで登録までの操作はスマホ版と大きな相違がありません。チャットも日本語で楽しめます。
注意したいのは、Web版WeChatは、認証操作としてスマホのWeChatでQRコードを読み込む場面が必要になる点です。
上記のQRコードが出てきたら、スマホのWeChatを開き、画面の一番下のアイコンの中から「発見」を選択し、タップします。
動画や画像の撮影許可を求める画面に移動し、先ほどのQRコードを撮影するとPCでもWeChatが使用できるようになります。
PC版のWeChatでは2024年7月現在、チャットと動画や画像などの共有機能のみが使用可能です。近くにいる人を検索するGPS機能や、WeChatPayは使用できない点も注意しましょう。
WeChatの利用方法
WeChatの登録が完了したら、実際に使ってみましょう。 WeChatの利用初期によくある疑問を元に、具体的な利用方法を紹介します。
日本語でWeChatを利用する方法
現在、スマホ版のWeChatは、アプリをインストール後、使用地域の言語が自動設定されているうえ、ログイン前に言語の選択ができる仕様となっています。そのため、特に操作しなくても日本語でWechatが表示されている人がほとんどでしょう。
しかし、仕様変更前に登録だけ済ませていた方は、日本語で使用したい場合、言語設定が必要です。 日本語の設定方法を紹介しますが、既に日本語表記になったバージョンの画像をモデルにします。()内に中国語表記も記しておりますので、ご自身のWeChat画面と見比べながら、日本語設定操作をしてみましょう。
画面の一番下に4つ並ぶアイコンから右はじの「自分(我)」アイコンをタップします。 アカウント名が表記された画面が表示されたら、画面中ほどにある「設定(設置)」を押します。
設定の中から「全般(通用)」、次の画面で「言語(多言語)」、言語の選択画面が表示されたら「日本語」を押してチェックを入れ、右上の「保存」をタップ。
その後、左上の「<」を押して設定画面に戻ります。この操作により日本語でWeChatアプリが使えるようになります。
WeChatメッセージ機能などの使い方
メッセージ画面はLINEの仕様とほぼ同じです。ただし、既読を知らせる機能がない点がWeChatとLINEの違いです。
スタンプの代わりとなるステッカーを使用するには、右下の笑顔のアイコン①、動画・画像を送るときは右下の+マーク②を押してください。
②の+マークを押すと、アルバムやカメラ、動画呼び出し(ビデオ通話)、呼び出し(音声通話)などのアイコンが現れます。
右にスワイプすると、ファイルや音楽などを直接共有できるアイコンもあり、トーク画面上でさまざまなツールが使用可能です。
ただし、ラッキーマネー(Red Packet)や送金機能は、中国国内に銀行口座を持ち、WeChatと紐づけている人しか使用できませんのでご注意ください。
WeChatステッカー(スタンプ)の選び方
WeChatには、豊富な種類のステッカーがあり、無料で使用できます。
チャット画面に標準設定されている顔文字風のステッカーは先ほどの画像①の笑顔のアイコンをタップすればすぐに見つかります。
それ以外のステッカーを使用したい場合のフローは次の通りです。
「すべてのステッカー」の直上、虫眼鏡のアイコンをタップし、検索窓に使用したいステッカーのイメージとなるキーワードを入力します。
「全部表情」「合成表情」の二項目の中から使用したいステッカーを選び、タップしたらチャット画面にステッカーが表示されます。
WeChatでメッセージを削除する方法
削除したいメッセージがある場合は、LINEと同じく、該当のメッセージを長押しします。黒い吹き出しが現れます。
上段、右から2番目の「撤回※」をタップするとメッセージが削除できます。削除後は「メッセージの撤回を削除しました」と表示されます。
※「撤回」は、ゴミ箱マークと「削除」が表示されることもあるようです。
WeChatで友達を登録するには
WeChatで友達を検索し登録しましょう。WeChat画面の一番下、4つ並んだアイコンのうち「連絡先」をタップします。連絡先が表示されたら右上の+マークをタップし、上から2番目の「連絡先を追加」を押すと、連絡先の選択方法が選べる画面に移動します。
一番上の検索窓に友人のアカウントIDや電話番号を入力して相手を探すこともできますが、便利なWeChatの友人検索機能を一通り紹介します。上記画像の①~⑤の機能と機能の内容を表にまとめました。
企業などの公式アカウントとつながりたい場合は「公式アカウント」をタップしましょう。また、WeChatと同じく、テンセント社が提供する携帯電話「WeCom」ユーザーの友人は「WeCom連絡先」で探せます。 いずれかの方法で友達が見つかったら、承認を申請します。
その後、相手に承認されれば連絡先に相手のWeChatアカウントが表示されます。
機種変後WeChatは使える?
機種変後でも、WeChatの引継ぎは比較的簡単です。まず、初回の登録時と同じようにWeChatアプリをインストールし、ログイン画面で「ログイン」をタップ。電話番号とパスワードを入力し、ショートメッセージを経由した認証を行えば、引継ぎが完了します。 電話番号の代わりにWeChatIDを入力することも可能です。
その場合は念のために、あらかじめ古いスマホでWeChatのプロフィール画面をスクリーンショットしておくなどして、WeChatIDが不明にならないようにしておきましょう。
まとめ
WeChatは中国ではもちろん、世界中で13億人を超すユーザーがいるチャットアプリです。日本では、LINEとの違いがわかりにくいことや、安全性などを危惧して、LINEに比べるとWeChatはさほど浸透していないのですが、今後の成長が見込まれています。
LINEに慣れている日本人だからこそ、始めは戸惑うことがあるかもしれませんが、世界規模で多くの人とつながれるアプリでもあります。国際的なシェアが高まるにつれ、WeChat内の仕様やツールも進化しています。
まずは、まずは、当記事を参考に、使用上の注意点に気を付けていれば、安全性やエンターテイメント性が高いチャットアプリ「WeChat」をインストールしてみましょう。
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