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よくある勘違いとして、従来の広告の「ターゲティング」とP-MAXの「オーディエンスシグナル」は、その役割が大きく異なります。
従来のターゲティングが配信対象を厳密に指定し、「このユーザーだけに配信する」という”絞り込み”の機能であるのに対し、P-MAXのシグナルは、AIが学習を始めるための”ヒント”に過ぎません。
そこで本記事では、この重要な違いを踏まえ、オーディエンスシグナルの基本から成果を出すための具体的な設定方法までを分かりやすく解説します。
目次
オーディエンスシグナルとは?
P-MAXにおける「オーディエンスシグナル」とは、AIに「こちらが理想とする顧客像」を教えるためのヒントです。
・従来の広告のターゲティング
メリット:意図した通りの相手に広告を届けられる。
注意点:隠れた優良顧客層にリーチできない。
・P-MAXのオーディエンスシグナル
メリット:「理想とする顧客像」を元に設定したシグナルからAIが優良顧客を予測し、想定外の優良顧客まで見つけてくれる。
注意点:意図しない層にも配信されることがある。
設定できるシグナルの種類
AIに学習のヒントとして与える情報です。アセットグループごとに設定します。
自社のデータ(リマーケティング、カスタマーマッチ)
自社で保有するユーザーデータです。AIにとって最も価値の高い参考情報です。
・リマーケティング:ウェブサイト訪問者やアプリの利用者など、過去に接点があったユーザーのリスト。 ・カスタマーマッチ:既存顧客のメールアドレスや電話番号などから作成するリスト。 |
<設定方法>
手順①:P-MAXのキャンペーンを選択し、左のメニューから「キャンペーン」→「アセットグループ」を選択します。
手順②:次に、「+マーク」を押して「新しいアセットグループを作成」を押します。
手順③:広告主データの「データを追加」クリックします。
手順④:「閲覧」をクリックし、設定しているセグメント(購入者リスト・Web訪問者リストなど)を選択します。
カスタムセグメント
特定のキーワードやURL、アプリを指定して独自のオーディエンスを作成します。
■キーワード 入力したキーワードに興味・関心を持つ「人」の傾向を起点として、AIが最適なユーザー層へアプローチ。 ■URL・アプリ ターゲットユーザーと関連性の高いサイト・アプリを指定し「指定したサイト・アプリと類似したサイト・アプリ」を閲覧・利用しているユーザーにアプローチ。 |
※引用:Google広告ヘルプ「カスタムセグメントについて」
<設定方法>
手順①:「自社のデータ」の②までと同様に操作します。
手順②:「興味/関心と詳しいユーザー属性」を選択。
手順③:「検索タブ」をクリックし、設定したい「カスタムセグメント」を選択するか、新しく設定します。
興味/関心と詳しいユーザー属性
Googleが分類したユーザーカテゴリです。
■興味/関心(アフィニティなど) 特定の事柄(例:スポーツ、料理)に興味があるユーザー層。 ■購買意向の強いオーディエンス 特定の商品やサービスの購入を検討しているユーザー層。 ■ライフイベント 引っ越しや結婚など、人生の節目にいるユーザー層。 |
<設定方法>
手順①:「自社のデータ」の②までと同様に操作します。
手順②:「興味/関心と詳しいユーザー属性」を選択します。
手順③:「閲覧」をクリックし、表示されたカテゴリの中から該当するものを選択します。
ユーザー属性
年齢、性別、子供の有無、世帯収入といった基本的な情報です。
<設定方法>
手順①:「自社のデータ」の②までと同様に操作します。
手順②:「ユーザー属性」をクリックし、設定したい項目を選択します。
検索テーマ
ユーザーが検索するであろう語句を最大25個まで設定できる機能です。AIはここで設定されたテーマを参考に、検索広告を含むすべての広告枠で関連性の高いユーザーを探します。
<設定方法>
手順①:「自社のデータ」の②までと同様に操作します。
手順②:下部にある「検索テーマを追加」の項目に、ユーザーが検索すると想定される語句を入力して設定します。
シグナル不要のターゲティングの種類
オーディエンスシグナルとは別に、キャンペーン全体で設定する必須の項目です。
地域ターゲティング(配信エリアの指定)
広告を配信する国や都道府県、市区町村などを指定します。配信したくないエリアの除外も可能です。
言語ターゲティング
ユーザーが使用する言語(日本語、英語など)を指定します。
曜日・時間帯ターゲティング
広告を配信する曜日や時間帯(広告のスケジュール)を指定します。
P-MAXのオーディエンスシグナル設定3つのコツ
成果を高めるための、実践的な3つのポイントを解説します。
実際に購入した顧客リストから検証する
AIにとって1番のヒントは「実際に購入した顧客」のリストです。まずはこれから設定をし、AIに学習してもらうことで効率よく成果が出る可能性が高いです。
ターゲットごとにアセットグループを分ける
もし広告を届けたいターゲット層が明確に複数いる場合(例:初心者、上級者)、アセットグループはターゲットごとに分けることを強く推奨します。
なぜなら、P-MAXの成果を最大化する鍵は、広告(ユーザーに見せる内容)とオーディエンスシグナル(AIが学習する内容)のメッセージを、ターゲット像に完全に一貫させることだからです。
例えば、ランニングシューズを売るケースで見てみましょう。
■初心者向けグループ 広告:安心感や楽しさを訴求(例:膝に優しい設計) シグナル:入門者向けの検索や閲覧行動(例:ランニング 始め方) ■上級者向けグループ 広告:機能性や記録向上を訴求(例:自己ベスト更新へ) シグナル:専門的な検索や閲覧行動(例:フルマラソン42.195km) |
AIの分析結果をヒントにシグナルを改善・強化する
定期的に「インサイト」を確認し、成果が出た検索語句や顧客層を新たなヒントとしてシグナルに追加します。この改善サイクルが広告効果をさらに高めます。
※インサイト・・・AIがキャンペーンの成果を分析し、パフォーマンス向上に役立つヒントを提示してくれるレポート機能です。主に、成果の高い「検索語句」や「顧客層」を発見できます。
(インサイト確認方法)
手順①:左のメニューバーから「キャンペーン」を選択。
手順②:次に「分析情報とレポート」を選択し、「分析情報」を選択。
P-MAXのオーディエンスシグナルを設定する際の注意点
シグナルを頻繁に変更しすぎない
オーディエンスシグナルを設定・変更した後は、AIの学習期間として最低でも6週間は様子を見ましょう。
短期間に変更を繰り返すと、AIの学習が十分に進まず、成果が安定しない可能性があります。パフォーマンスを正しく比較できるだけのデータが溜まるまで、焦らずに待つことが重要です。
※引用:Google広告ヘルプ「すべての業種向けの P-MAX キャンペーンの最適化のヒント」
広告アセットの充実度を「低い」まま放置しない
広告アセットの充実度とは、各広告アセット(画像やテキスト)の成果を、AIが「低い」「高い」「非常に高い」でランク付けする機能です。
評価が「低い」アセットを放置することは、広告の成果が悪化する原因となるため、必ず対処が必要です。
【メリット】 ■成果の良い広告がより多く配信される AIは「最も良い」と評価したアセットを優先的に、より多くのユーザーに表示するようになります。 ■AIのターゲティング精度が更に向上する AIは「高評価のアセットに強く反応したユーザーの共通点」をさらに深く分析します。その分析結果を元に、元のオーディエンスシグナルには含まれていなかった、新たな優良顧客をAI自らが見つけ出し、配信を拡大していくのです。 |
「低い」と判断されてしまった場合、広告アセットの充実度が原因な事が多いです。
そのため、どのアセットに何を追加すると「非常に高い」になるのかも管理画面上でご確認いただけますので、アセットに全て設定することを推奨します。
※引用:P-MAXの広告アセットの充実度
【アセット評価の確認方法】
手順①:P-MAXのキャンペーンを選択し、左のメニューバーから「アセット」を選択。
手順②:次に「アセットのガバレッジ」を選択。すると、アセット評価と「非常に高い」を達成するために必要な点を確認することができます。
まとめ
P-MAXキャンペーンの成功は、オーディエンスシグナルの適切な設定にかかっています。
・オーディエンスシグナルは、AIが配信を拡張するための「起点」となる参考情報です。 ・最も重要なシグナルは、コンバージョン実績のある自社の顧客データです。 ・設定後はAIの学習時間を確保し、インサイトを元に改善を続けます。 |
これらの基本を理解し、AIの能力を最大限に引き出すことで、広告効果の最大化を目指しましょう。
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新卒で入社後、広告運用、LPの企画・制作、SNS運用まで幅広く経験してまいりました。
集客(広告)、成約(LP)、ファン化(SNS)と、施策を横断した多角的な視点を大切にし、お客様のビジネス成果を最大化するご提案を心がけています。
会社のX(旧Twitter)も担当しております。お気軽にフォローいただけますと幸いです。
@egao_inochi
Writer

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