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「最近よく聞くSaaSって何だろう?」「自社でも導入を検討すべきなのかな?」
そのような疑問を持つ方のために、この記事では、SaaSの基本からPaaS・IaaSとの違い、導入のメリット・デメリットまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
目次
SaaSとは
SaaS(サース)とは「Software as a Service」の略で、直訳すると「サービスとしてのソフトウェア」を意味します。
従来、ソフトウェアはCD-ROMなどで購入し、自分のPCにインストールして利用するのが一般的でした。それに対しSaaSは、ベンダー(開発元)が提供するソフトウェアを、インターネット経由で利用するサービスです。
身近な例では、GmailやSlack、ZoomなどがSaaSにあたります。PCにソフトウェアをインストールしなくても、Webブラウザや専用アプリからログインするだけで、すぐに利用できるのが特徴です。
SaaSを理解するための前提知識
SaaSを理解するには「クラウド」という概念が欠かせません。SaaSはクラウド上で提供されるソフトウェアサービスで、クラウドコンピューティングの主要なサービスモデルの一つです。下記図のように自宅で保存したデータをクラウドサービスにアップロードすることで、オフィスなどの外出先でも使用可能となります。
SaaSを導入する3つのメリット
SaaS導入の主なメリットは以下の3点です。
初期費用を抑え、月額で利用できる
SaaSの多くは、月額または年単位で利用料を支払うサブスクリプションモデルを採用しています。
パッケージソフトのような高額な初期費用が不要で、導入コストを大幅に抑えられます。必要な機能や利用するユーザー数に応じてプランを選べるため、スモールスタートにも適しています。
場所や端末を選ばず、どこからでもアクセス可能
インターネットに接続できる環境さえあれば、オフィス、自宅、外出先など、場所を問わずにサービスを利用できます。
PCだけでなく、スマートフォンやタブレットなど様々な端末に対応しているサービスも多く、テレワークやハイブリッドワークといった多様な働き方を強力にサポートします。
保守・アップデートは提供元に任せられる
ソフトウェアの更新やサーバーメンテナンスなどの保守・運用は、すべてサービス提供元であるベンダーが行います。
利用者は常に最新かつ安全な状態でサービスを使えるため、社内の情報システム部門の負担を大幅に軽減できます。
SaaSのデメリット
一方で、SaaSには以下のデメリットも存在します。
自由なカスタマイズがしにくい
SaaSは完成されたサービスとして提供されるため、自社の業務フローに合わせた機能改修やデザイン変更は基本的に困難です。
提供されている機能の範囲内で、自社の業務を合わせていく運用が求められます。
インターネット環境がないと利用できない
SaaSはインターネット経由で利用するサービスであるため、オフライン環境では基本的に利用できません。
通信障害が発生した場合や、インターネット接続が不安定な場所では、業務が一時的に停止してしまうリスクがあります。
自社のセキュリティ方針と合うか確認が必要
自社のデータをベンダーのサーバーに預けるため、ベンダーのセキュリティ対策が自社の基準を満たしているか、事前の確認が不可欠です。
SaaS・PaaS・IaaSの違いとは
クラウドサービスには、SaaSの他にPaaS(パース)とIaaS(イアース)というモデルがあります。これらは提供サービスの範囲とユーザーの責任範囲が異なります。
PaaS(パース)・IaaS(イアース)とは?
SaaS・PaaS・IaaSの違いについて以下表にまとめています。こちらを参考にしてみてください。
項目 | 提供内容 | 主な利用者 | 代表例 |
SaaS | ソフトウェア・アプリケーション | エンドユーザー | Gmail,Salesforce |
PaaS | 開発・実行プラットフォーム | アプリケーション開発者 | Google App Engine,AWS Lambda |
IaaS | ITインフラ | インフラエンジニア | Amazon EC2,Google Compute Engine |
PaaS(Platform as a Service)
アプリケーションを開発・実行するためのプラットフォーム(OS、ミドルウェア、データベースなど)を、インターネット経由で提供するサービスです。開発者はインフラの管理を気にせず、開発に集中できます。
IaaS(Infrastructure as a Service)
サーバーやストレージ、ネットワークといったITインフラそのものを、インターネット経由で提供するサービスです。ユーザーはOS以上の環境を自由に構築でき、最もカスタマイズ性の高いモデルです。
その他の「〇aaS」サービスについて
近年では、SaaS・PaaS・IaaS以外にも、特定の機能を提供する「〇aaS(XaaS)」と呼ばれるサービスが登場しています。
項目 | 提供内容 | 主な利用者 | 代表例 |
DaaS | クラウド上で仮想デスクトップ環境を提供するサービス | 企業、従業員 | Amazon WorkSpaces, Microsoft Azure Virtual Desktop, Citrix DaaS |
FaaS | プログラムの特定の機能単位で実行環境を提供するサービス | アプリケーション開発者 | AWS Lambda, Google Cloud Functions, Microsoft Azure Functions |
BaaS | モバイルアプリなどで必要な、ユーザー認証などのサーバー機能をAPIで提供するサービス | アプリケーション開発者 | Google Firebase, AWS Amplify |
MaaS | 複数の交通手段をITで統合し、ルート検索から予約・決済までを一つのサービスとして提供する考え方 | 一般利用者、交通事業者 | Whim, MaaS Japan, TOYOTA Wallet |
RaaS | ロボット本体とソフトウェア、メンテナンスをセットで月額利用できるサービス | 企業(工場、倉庫、店舗など) | ugo, Savioke Relay, Knightscope |
SaaSの代表的なサービス例
ここでは代表的なサービスをカテゴリ別に紹介します。
ビジネスチャット・Web会議で使えるサービス
Slack(スラック)
外部アプリとの連携機能が非常に豊富で、開発者にも人気のビジネスチャットツールです。チャンネルごとに話題を整理でき、業務の効率化を促進します。
Google広告・Meta広告などの広告媒体と連携することで、購入や問い合わせが入ったことをslack上で通知することも可能です。
引用:Slack
Chatwork(チャットワーク)
チャット機能とタスク管理機能を統合し、業務のコミュニケーションと管理を効率化する日本発のビジネスツールです。チャット上で送った文章をそのままタスクを作成し、担当者と期限を設定できるため「対応漏れ」を防ぐ上で非常に有効です。
Zoom(ズーム)
安定した高品質な通信に定評があるWeb会議システムの代表格です。大規模なウェビナー(オンラインセミナー)開催にも適した機能を備えています。
Google Meet(ミーツ)
Google Workspace(カレンダーやGmail)とのシームレスな連携が最大の特徴です。参加者はWebブラウザから手軽に参加できるため、カレンダーに予定を追加するだけでオンライン会議用のURLをすぐに発行できるため、部署を横断する打ち合わせを円滑に進めることができます。
プロジェクト・タスク管理に使えるサービス
チームのタスクや進捗を可視化し、プロジェクトの目標達成をサポートするサービスです。
Asana(アサナ)
管理項目を自由に追加したり、ルール機能で「タスクが完了したら関係者に通知する」といった定型作業を自動化したりできます。Slack, Microsoft Teams, Google ドライブなど200以上の外部ツールと連携できるのも特徴です。
引用:Asana
Trello(トレロ)
タスクをカードで管理しており、「未着手」「作業中」「完了」といったステータスを直感的に管理できます。
Backlog(バックログ)
バグ管理システムやバージョン管理システムとの連携が標準で備わっており、ソフトウェア開発のプロジェクトに最適です。
社内の情報共有を円滑にするサービス
メール、カレンダー、ファイル共有などを統合した「グループウェア」とも呼ばれるサービスです。
Google Workspace(グーグルワークスペース)
GmailやGoogleカレンダー、ドライブなど、クラウドネイティブな各種ツールを統合しています。複数人でのリアルタイムなドキュメント共同編集機能が特に強力です。
例えば、営業、クリエイターが同時に1つの企画書(スライド)を編集・コメントし、高速でブラッシュアップすることで複数人が関わるプロジェクトを早く進めることができます。
Microsoft365(マイクロソフト365)
使い慣れたWordやExcelなどのOfficeアプリをクラウドで利用できるサービスです。PCへのインストール版も提供し、オフラインでの作業にも対応します。
営業支援(SFA)サービス
営業活動の進捗管理や顧客情報の一元化など、営業部門の業務を効率化するサービスです。
SATORI(サトリ)
見込み客の獲得・育成に強みを持つ国産のマーケティングオートメーションツールです。Webサイト上の行動履歴を基に、匿名顧客へのアプローチも可能です。
引用:SATORI
Salesforce Sales(セールスフォース)
Cloud世界トップクラスのシェアを誇る営業支援(SFA)ツールです。顧客情報、商談の進捗、売上予測までを一元管理し、営業活動の生産性を高めます。
顧客管理(CRM)サービス
顧客情報や問い合わせ履歴などを管理し、顧客との関係性を向上させるためのサービスです。
HubSpot(ハブスポット)
無料から使えるCRMプラットフォームとして広く知られています。マーケティング、営業、カスタマーサービスの各機能を統合し、顧客との関係を一貫して管理できます。
例えば、広告で獲得したお客様情報をHubSpotに入力することで、どの広告が最終的な売り上げにつながったか投資対効果を可視化できます。
引用:HubSpot
会計ソフトサービス
請求書発行から確定申告まで一連の会計業務を効率化するサービスです。
freee会計(フリー会計)
簿記の知識がなくても直感的に操作できるUIが最大の魅力です。銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引明細を自動で取り込み、AIが勘定科目を推測してくれます。
引用:freee会計
マネーフォワードクラウド会計
レポート機能が充実しており、キャッシュフローや収益の状況をリアルタイムで分析可能。プロジェクトごとの採算管理にも役立ちます。
勤怠管理サービス
従業員の労働時間を正確に把握し、適切に管理するサービスです。
jinjer勤怠(ジンジャー勤怠)
勤怠管理だけでなく、人事管理、給与計算、経費精算、労務管理など、人事領域のデータを一つのプラットフォームで一元管理できる点が特徴です。
引用:jinjer
KING OF TIME(キングオブタイム)
ICカード、指紋認証、顔認証、PCログ、GPSなど、事業所や働き方に合わせて非常に多彩な打刻方法を選べるのが最大の強みです。
ジョブカン勤怠管理
出勤管理、シフト管理、休暇・申請管理、工数管理など、多彩な機能の中から自社に必要なものだけを組み合わせて導入可能です。
自社に合ったSaaSを選ぶポイント
自社に最適なSaaSを選び、導入を成功させるための6つのポイントを具体的に解説します。
導入目的と課題を明確にする
SaaS選びでは、まず「なぜ導入するのか」「何を解決したいのか」を明確にします。
目的 | 詳細 |
業務効率化 | 「データ入力や情報共有に時間がかかりすぎている」「定型業務を自動化したい」 |
コスト削減 | 「ソフトウェアのライセンス費用や管理コストを抑えたい」「出張費や交通費を削減したい」 |
売上向上 | 「顧客管理を効率化して営業活動を強化したい」「マーケティング施策の制度を上げたい」 |
目的が明確になれば、必要なサービスの候補を絞り込めます。
必要な機能を洗い出し、優先順位をつける
次に、目的達成に必要な機能をリストアップします。リストアップした機能は、以下のように優先順位をつけるのがおすすめです。
機能 | 詳細 |
必須機能 | これが無ければ目的を達成できない、絶対に外せない機能 |
重要機能 | 必須ではないが、あれば業務効率が大幅に向上する機能 |
あれば嬉しい機能 | なくても困らないが、将来的には活用したい機能 |
この優先順位に従って比較することで、自社のニーズに過不足なくフィットするサービスを選びやすくなります。
セキュリティ対策とサポート体制を確認する
企業の重要データをSaaSに預けるため、セキュリティの確認が不可欠です。最低限、以下の項目は必ずチェックしましょう。
項目 | 詳細 |
データの暗号化 | 通信経路や保存データが暗号化されているか |
アクセス制限 | IPアドレス制限や二段階認証など、不正アクセスを防ぐ機能があるか |
第三者認証 | 「ISO/IEC27001(ISMS)」や「プライバシーマーク」などを取得しているか |
稼働率 | 安定してサービスを利用できるか、保証された稼働率はどのくらいか |
また、導入後のトラブルや不明点に迅速に対応してくれるサポート体制も同様に重要です。サポートの対応時間(平日日中のみか、24時間365日か)、対応方法(電話、メール、チャット)、日本語での対応可否などを事前に確認しておきましょう。
料金体系とコストパフォーマンスを比較検討する
SaaSの料金体系は、様々です。月額料金だけでなく、初期費用などを含めた総コストで比較検討しましょう。
【料金体系の種類】
種類 | 詳細 |
定額制 | 利用人数や機能に関わらず、月額料金が一定 |
ユーザー課金制 | 利用するユーザー数に応じて料金が変動 |
従量課金制 | データ使用料や機能の利用頻度に応じて料金が変動 |
【確認すべき費用】
種類 | 詳細 |
初期費用 | 導入時にかかる費用 |
月額(年額)料金 | 基本となる利用料 |
オプション料金 | 特定の機能を追加する際の費用 |
多くのSaaSでは無料トライアル期間や無料プランが用意されています。本格導入前に必ず活用し、操作性や費用対効果を試すことを強くおすすめします。
既存システムとの連携性(API連携)をチェックする
既存の社内システムとAPIでスムーズに連携できるかを確認しましょう。API連携により、システム間でデータを自動的に同期させ、以下のようなメリットが生まれます。
データの二重入力の手間がなくなる 部署間の情報共有がリアルタイムで行える 業務プロセス全体が自動化され、生産性が飛躍的に向上する |
導入したいSaaSが、自社で利用中のシステムとのAPI連携に対応しているか、公式サイトなどで確認することが重要です。
ベンダーの実績と信頼性を評価する
最後に、SaaSを提供しているベンダー(企業)自体の信頼性も評価しましょう。以下の点が主な確認項目です。
確認項目 | 詳細 |
導入実績 | どれくらいの企業が導入しているかを確認する |
口コミ・評判 | 第三者のレビューサイトやSNSでの評判を確認する |
継続的な改善 | サービスの機能アップデートや改善が頻繁に行われているかを確認する |
企業情報 | 会社の設立年や資本金など、企業の安定性を示す情報を確認する |
信頼できるベンダーは、導入後の活用まで見据えた手厚いサポートを提供してくれることが多く、成功のパートナーとなり得ます。
まとめ
本記事の重要なポイントは以下の3点です。
SaaSとは、インターネット経由で利用するソフトウェアサービスである 「低コスト」「場所を問わない」「保守が不要」といったメリットがある 導入する際は「目的」「機能・料金」「セキュリティ」の3点が重要である |
SaaSの活用は、業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の大きな一歩となります。まずは無料トライアルなどを利用して、SaaSの利便性を体感してみるのも良いでしょう。
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