
最近ニュースなどで若い年代が「Z世代」と呼ばれているのを聞いたことがあるのではないでしょうか。
実は今や世界の全人口のうち3人に1人がこの「Z世代」であり、世界の消費の中心を担っていると考えられています。
当然、ビジネスやマーケティングの世界でも存在感は大きくなっているのですが、Z世代のマーケティングには注意点があります。
それはZ世代とそれまでの世代では、価値観や行動原理に大きな変化が起きているということです。それを知らずに従来通りのマーケティング手法を用いると、Z世代相手には成功しない可能性が高いのです。
今回は、そんなZ世代の定義やどのような特徴を持っているのか、また刺さるマーケティングのポイントまで詳しく見ていきます。Z世代への理解を深め、マーケティングに活かすために最後までご覧ください。
目次
Z世代は1990年代後半~2010年生まれの人たち
Z世代は、1990年代後半〜2010年生まれの人たちを指す言葉で、近年注目を集めています。アメリカでは、ジェネレーションZとも呼ばれています。
昨今、Z世代が注目を集めている背景には、以下のような理由があります。
デジタルネイティブ世代で今までと価値観が異なる
Z世代の人たちは、生まれた時からデジタルデバイスが日常に溶け込んでいる、いわゆる「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代です。そのため、それ以前の世代とは価値観がまるで異なり、デジタルデバイスがあるのが当たり前、という価値観で物事が進んでいきます。
裏を返せば、消費者へ商品・サービスを届ける企業側としては、Z世代のこういった特徴を捉え、これまでとは異なるコミュニケーションを取らなければ選ばれない時代に突入しているとも言えます。
まさに、「大デジタル時代」の幕開けとも言えるかもしれません。
全世界では3人に1人がZ世代
2019年時点の国連の統計調査によれば、全世界の人口に占めるZ世代の割合は約32%、つまり3人に1人はZ世代であることが分かっています。
しかも、Z世代の大半は2022年時点で学生のため、これから社会進出を果たすことを考えると、世界の消費の中心になっていくことは明らかです。
ちなみに、日本におけるZ世代の割合は全人口の14%と言われており、いかに日本の少子高齢化が進んでいるかが分かります。
Z世代と関係が深い〇〇世代
Z世代を語るうえで、その前後の世代についても触れないわけにはいきません。
各世代は「何年生まれから何年生まれまで」と明確に決められているわけではありません。
また日本国内と海外では違いがあるようですが、おおむね以下のように分類されています。
年代 | 年齢 | 特徴 | |
X世代 | 1965年~ | 40歳頃~ | ・消費はステータスを表現するもの |
Y世代 | 1985年~ | 20代後半~ | ・インターネットの広がりと一緒に成長してきた世代(デジタルパイオニア世代) |
Z世代 | 1990年代後半~ | 10歳頃~ | ・真のデジタルネイティブ世代 |
α世代 | 2010年頃~ | 10歳頃 | ・幼い頃からプログラミング教育など、最先端の教育を受けている |
X世代
元々、ハンガリー人の世界的に有名な写真家であるロバート・キャパ氏が、第二次世界大戦後に成長した若者をテーマにしたフォトエッセイのタイトルに、未知の新しい世代という意味で使ったのが始まりとされています。
そこから、人口統計学やマーケティングの用語として、X世代(ジェネレーションX)という呼び名が定着しました。
戦後を生きた世代ということもあってか、消費=ステータスという価値観を持っている人が多く、後のY世代やZ世代とは大きく価値観が異なります。
Y世代(ミレニアル世代)
ミレニアル世代とも呼ばれるY世代は、インターネットの普及と共に成長してきた世代です。X世代に比べればモノも溢れ、どちらかと言えばコト消費が中心となってきました。
そのため、特別な体験や自分だけの経験というものに価値を置き、自分に合ったものを購入したいというニーズが強いです。
Z世代
Z世代は、真のデジタルネイティブ世代です。生まれた瞬間にデジタルデバイスがあるのが当たり前の世代のため、それまでの世代とは価値観が全く異なります。
インターネット上の情報収集能力も高く、自分で調べる力を兼ね備えているため、一貫したコンセプトやストーリーが感じられないと離れていってしまいます。
α世代
Z世代の次の世代として、徐々に注目が高まっているのがα世代です。
Z世代と同様に生まれた時からデジタルデバイスに慣れている世代なうえに、より高度なプログラミング教育などにも幼い頃から振れているため、より高度なITリテラシーを兼ね備えています。
Z世代が持つ7つの特徴
次に、Z世代の人たちが持つ7つの特徴に触れていきます。
自分の価値観を大切にする
Z世代は、自分の価値観を大切にする人が多く、「好き」という価値観が合う人同士でつながっていく傾向が見られます。
例えば、音楽1つ取ってみても、同じアーティストが好きな人とは積極的につながるという行動特性が他の世代に比べて強いことが分かっています。
このように、自分自身の好きという価値観を大切にし、同じ価値観を持っている人と積極的につながっていくのがZ世代と言えます。
承認欲求が強め
承認欲求が強いことも、Z世代の特徴です。というのも、普段からSNSを使用しているため、より多くの人から「いいね」を貰いたい意識があるのです。
Z世代のスマホ利用時間は、それ以前の世代と比べても突出しており、2022年時点で30代の人たちの約2倍もの利用時間であることが分かっています。
それだけ、常に誰かとつながっていたい、自分の価値観を分かって欲しい、という欲求を持っている人たちが多いことが分かります。
効率性を重視する
Z世代は効率性を非常に重視します。
生まれた時からデジタルデバイスがあることが当たり前で、効率的に物事を進めていくことが普通だと思っているからです。
良い点に着目すれば、物事のムダに気づき、それを改善しようとする意識があると言えますが、逆に、少しでも非効率的だと思うことには最初から手をつけない可能性も高くなります。
社会問題に関心がある
生まれた時からインターネット環境が当たり前のZ世代は、小さい頃から社会問題について触れる機会も多いです。また、行動を選択するうえで単なる目先の利益以上に、社会的意義があるかどうかを重要視する傾向があり、社会問題に対して強い関心を持っています。
Z世代の学生が就職活動をする際に、SDGsなどの社会的取り組みに従事しているかを気にするケースも増えています。今後、Z世代の優秀な人材を獲得しようとすれば、単に業績が良いというだけでは強みになり得ません。
インターネットを中心に情報収集
Z世代はデジタルネイティブと呼ばれているだけあって、インターネットを中心とした情報収集が中心となっています。電通若者研究部が行った調査によれば、Z世代はテレビよりもYouTubeを見るケースが多いことも分かっています。
情報の信ぴょう性に対する警戒心も高く、一度得た情報を複数の媒体を使って検索し、納得できるまで調べる人も多いです。
体験や共感を重視する
Z世代が行動を選択する際には、単なるメリットだけでなく、そこで得られる体験や共感を重視する傾向にあります。
例えば、バッグ1つを購入するにしても、単に機能性に優れているだけでは魅力を感じづらく、そのバッグが出来るまでのストーリーなどに深い関心を寄せています。
というのも、Z世代は生まれた時からモノに溢れた環境で生活をしてきており、モノに対する欠乏感はあまり感じていません。
一方、リーマンショック、東日本大震災、終身雇用の崩壊などショッキングな出来事を立て続けに経験したことから、多くのモノを買うよりも自分の価値観に合ったモノを必要な分だけ買いたいというニーズが高いと言われています。
コストパフォーマンスを気にする
Z世代はコストパフォーマンスを気にする人が多いことも特徴です。
インターネット環境に慣れ、知りたいことはすぐに知れる環境が当たり前だと思っているため、余分な時間やお金をかけることを極端に嫌います。
そのため、職場の飲み会や地域の行事など、X世代以前は慣習として誰も疑問に思っていなかったような取り組みも、ムダだと思えば平気で断る人も多いです。
Z世代マーケティングで意識すべきこと
最後に、Z世代と関わるうえで商品・サービスを届ける企業側としてマーケティングで意識するべきことについて、事例を交えて紹介していきます。
ストーリーや想いを伝える
Z世代に商品の魅力を伝える際には、単なるスペック推しではなく、その商品・サービスの裏に隠されたストーリーや想いを伝えると効果的です。
例えば、エチオピアの高級皮を使ったバッグで知られるアンドゥ・アメットは、バッグデザイナーの鮫島氏自身が青年海外協力隊での活動を通して、大量廃棄が当たり前のデザイン業界に疑問を感じたところからスタートしたという強烈なストーリーを持っています。
このように、製品の機能性を超えるストーリーや想いがあるからこそ、Z世代は商品を購入してみたいと思うようになります。
リアルな体験を提供する
インターネットに慣れているZ世代だからこそ、リアルな体験には価値を感じやすくなっています。
USJをV字回復させたことでも知られている株式会社刀CEOの森岡毅氏が関わったことでも知られているネスタリゾート神戸では、悪路をバギーで走り回る「ワイルド・バギー」や透明な球体の中に入って丘を転がり落ちる「キャニオン・ドロップ」など、リアルな体験が楽しめるアトラクションが目白押しです。
広大な自然を活かし、リアルな体験を追い求めた成功事例として参考になります。
情報発信は複数媒体で行う
Z世代は自分で情報を収集することに慣れているため、一度得た情報をもとに、各々が普段からよく使う媒体で調べなおすことがあります。そのため、1つの情報媒体だけでなく、複数の媒体で情報発信をすることが有効です。
具体的には、YouTube、Twitter、Instagram、TikTok、LINE、HP等、ユーザーが使用する媒体に合わせて展開する必要があります。
ユーザーと良好な関係が築ければ、SNS上で自社の商品・サービスをPRしてくれるなど、副次的な効果も狙えます。
情報の信憑性を高める
Z世代は情報の信ぴょう性にも非常に気を遣います。企業側が自社に都合の良いコミュニケーションを取ろうとしていることを肌感覚で理解しているからです。
そのため、自社発信だけの情報に頼らず、権威性のある統計データを引用したり、実際にサービスを利用しているお客様とコラボするイベントを開いたり、より開かれたコミュニケーションを取っていくことが重要です。
悪いことは隠すのではなく、認識して修正していく姿勢を見せた方が、Z世代には好印象だと言えます。
Z世代の心理を理解してマーケティングに活かそう
今回は、Z世代の定義やその特徴についてまとめてみました。
真のデジタルネイティブ世代として、これまでとは価値観が大きく異なる世代なだけに、企業側も今までと同じ感覚でコミュニケーションを取っていては、ライバルに大きく差をつけられてしまう可能性があります。
記事内でも紹介しましたが、Z世代には次のような特徴が見受けられます。
- 自分の価値観を大切にする
- 承認欲求が強め
- 効率性を重視する
- 社会問題に関心がある
- インターネットを中心とした情報収集
- 体験や共感を重視する
- コストパフォーマンスを気にする
人によっては自己中心的な価値観を持っているとも捉えられますが、そこは視野を広く持ち、新しい世代に受け入れられる情報発信をしていきたいものです。
また、そんなZ世代に情報を受け取ってもらうためには、以下の要素をマーケティング施策に組み込むことが効果的です。
- ストーリーや想いを伝える
- リアルな体験を提供する
- 情報発信は複数媒体で行う
- 情報の信憑性を高める
全世界では3人に1人がZ世代と言われています。ぜひこの新しい世代に対して理解を深め、寄り添ったマーケティングを意識してみてください。
デジタルアスリート株式会社はトレンドや時代の変化にあわせて、
常に最適なマーケティング戦略を提案します。
最新のマーケティング戦略をまとめたPDF資料はこちらから無料でダウンロードいただけます。
潜在層を熱狂的ファンに引上げ、LTVを高める5つの顧客育成フロー
「育成型マーケティング新戦略」無料ダウンロードはこちら>>
1,890社以上の支援実績と最新のWebマーケティングノウハウで、あなたのビジネスを支援。売上・集客を最大化します。
コメント