アトリビューション分析を徹底解剖!効果を最大化する実践的な方法とは  

  • 2019.2.21
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アトリビューション分析とは


アトリビューション分析とは、簡単に言うとコンバージョンに至るまでにユーザーと接触した全てのポイントを分析するということです。

今や、ユーザーが購入に至るまでの行動が、1つの広告だけで完了することはまれです。
バナーを見る、比較サイトに訪れる、実際リスティングで検索行動をとるなど、いくつか接触ポイントがあってユーザーは商品を購入しています。

そのそれぞれの接触ポイントが、コンバージョンにどれだけ影響を与えたかを測るための分析方法が、アトリビューション分析なのです。

アトリビューション分析はなぜ必要か

従来は最後のCVだけを成果として評価

では、なぜアトリビューション分析が必要と、現在言われているのでしょうか?

これまでは広告では、ユーザーが購入の直前に接触した広告(ラストクリックCV)こそが最も重要だと言われていました。

初回接触や中間接触は成果としてはみなさず、あくまで最終接触の広告だけ評価していたのです。検索広告で最終的にCVした場合には、その前に接触していたアフィリエイトや、バナーは評価しないということですね。

ある種、「コンバージョン至上主義的」な考え方だったのです。

直接CVした広告以外にもCVに貢献した広告がある

しかし、ユーザーがコンバージョンするまでに、接触したアフィリエイトやバナーがあったからこそ、徐々に興味関心が高まり、最終的に購入に至るとも言えます。

この、CVは最終接触した広告だけの成果ではないという考え方こそが、アトリビューション分析のポイントです。
よく野球に例えられるのですが、打率が高いイチローのようなバッターとホームランを量産する松井のようなバッター、どちらの選手を評価するのかという例えです。

結論としてはどちらも得点をとる為に重要な役割を持っていて、決してホームランバッターだけを評価するわけではないということですね。あくまでチームとしての得点力を重視します。これがアトリビューション分析の目的です。

Web広告のCV計測の重複問題

また、アトリビューション分析の目的はこれだけではありません。

計測上でも、ラストクリックCVだけを採用するが故に、問題が生じることになります。最近では、GoogleやYahoo!だけでなく、複数の広告媒体を利用する企業も増えてきました。

そうなると、複数の媒体を経由して最終的に同じサンクスページに到達してしまうと、全ての媒体でCVが計測されてしまうのです。

例を挙げると、1人のユーザーが下記の流れでCVしたとします。

Facebook広告→Googleディスプレイ広告→Yahoo!検索広告→CV

この場合、実際にCV回数は1回ですが、全ての媒体でCVがカウントされてしまう為、計測上は3回CVということになるのです。

このように、アトリビューション分析の役割は、正当な広告の「貢献度の分析」と正しい広告の「数値計測」にあると言えます。

アトリビューション分析のモデルを紹介

アトリビューション分析には「各接触ポイントをどのように評価するのか」で様々なモデルがあります。1つずつご紹介していきますので、是非参考にしてください、

終点モデル

アトリビューション分析の最初のモデルは、「ラストクリック」のみを評価するモデルです。一応、このモデルもアトリビューションモデルの1つとして考えられています

線形モデル

全ての接触ポイントを均等に評価するアトリビューション分析のモデルです。

最も使いやすいアトリビューション分析のモデルと言われています。アトリビューション分析をこれから始める方に向いています。

接点ベースモデル

最初・途中・最後の接触ポイントの重要度を変えてCVの要因とするアトリビューション分析のモデルです。

評価が高いのは「最初」と「最後」。つまり、「ブランド認知させた媒体」と「CVを刈り取った(意思決定させた)媒体」をより高く評価します。

減衰モデル

CVに近いタッチポイントをより高く評価するアトリビューション分析のモデルです。販売サイクルが短期間の場合に使用します。

アトリビューション分析を使った拡大方法

仮説を立てて検証していくのが基本

ではアトリビューション分析を使ってどのように拡大をしていくかですが、複雑な分析をするわけではありません。

やることは、コンバージョンさせるまでに複数回ユーザーを広告に接触させる仮説を立て、検証・改善することです。これで広告の成果を2倍、3倍と拡大することも可能です。

つまり、まずは商品やサービスに合わせて広告接触の「仮説」を立て、結果が出たら、それぞれの接触ポイントでコンバージョンが伸びているか?接触できているか?を検証して改善していくということです。

複数接触のシナリオを設計する

アトリビューション分析の仮説とは、コンバージョンまでのシナリオ設計のことです。基本的には、広告の接触回数が1回と複数で、シナリオ設計は分かれます。

1回接触のシナリオであれば、従来通り直接コンバージョン(ラストクリックCVを)で検証すれば良いでしょう。しかし、複数接触のシナリオを描いているのであれば、アトリビューション分析で検証する必要があります。

複数接触シナリオとはどういうことかというと、例えば、ダイエットサプリを購入する際に、多くのユーザーは比較検討をすると考え、比較サイトを経由させるシナリオを考えたとします。

その場合、ユーザーの導線は下記です。

広告→検索→比較サイト→自社サイト→CV

複数ページを跨ぐことで一見すると、コンバージョン率は下がりそうに感じますが、比較サイトを経由することで、ユーザーは商品やサービスを比較検討することができます。

比較検討したほうが、ユーザーの購入意欲が高まり、結果としてコンバージョン率が高くなる場合があります。

上記の場合に、比較サイトの貢献度を正しく図るため、アトリビューション分析をおこない、効果検証をするわけです。

アトリビューション分析を後付けで使わないことが大事

よく代理店や広告担当者が、目標CPAが合っていない場合や目標CV数に満たない時に、初回接触・中間接触は多いのですが…というようなこともあります。数値が合わない時の言い訳的な感じです。

もちろん、間接効果を評価するのがアトリビューション分析ではありますが、重要なのは前もって間接効果を想定し、仮説を立てる上で数値を見ていくことです。

【事例紹介】注文住宅販売の資料請求のケース

注文住宅販売といえば、家をオーダーメイドで自分の好きな間取りを設計し、家を建てる。正に一生に一度の買い物と言えますね。

購入費用とすれば、中小企業であれば2,000万から3,000万円程度。大手ハウスメーカーであれば、4,000万円から5,000万円と高額な費用となります。
そんな高額な商品ではありますが、当初1回接触モデルでシナリオを考えていました。

当然、目標CPA加味すると、成果が伸び悩みます。
そこで既存のリスティング広告のデータや、エンドユーザーのヒアリングをおこなうと、ほぼ1回の接触ではコンバージョンしていないことが判明します。

ユーザーの導線とズレが生じていれば、当然成果が繋がりません。

シナリオを組み立てる

ではユーザーはどういった導線でコンバージョンしているかというと、上述したサプリの例でもありますが、他の注文住宅メーカーと比較し、価格や構造、家の性能などを吟味して、今回の住宅会社へコンバージョンしていることが分かったのです。

それさえ分かれば後はシナリオ作りです。まずはGoogleやYahoo!のディスプレイ広告、そしてDSP媒体やFacebook広告で、ブランディングや認知度をあげる広告を配信しました。

その後ユーザーは検索広告を通ると仮定し、検索広告とアフィリエイト広告で比較サイトへ流入させます。そこで自社のランディングページへ訪問させ、コンバージョンしてもらおうと考えました。

上記の形でシナリオが完成です。そして、ここからがアトリビューション分析の出番です。

ユーザーが流入したら効果を検証する

あとは、仮説通りにユーザーが流入したかをアトリビューション分析で検証していきます。

分析方法としては、ディスプレイ広告やFacebook広告、DSP広告でアプローチしたユーザーが、比較サイトへ訪れているか、そして比較サイトが自社のページへ訪れているかを見ます。
仮説通りにユーザーが広告に反応し、ページへ訪れているのであれば、設計したシナリオ通りと言えます。

ツールは複数媒体を計測できるものを選ぶ

通常のGoogle広告やYahoo!スポンサードサーチでもアトリビューション分析機能(CVモデルを選ぶ)はありますが、複数媒体の計測の場合は対応できません。

そのため、分析ツールを入れることをお勧めします。アトリビューション分析ができるツールといえば「アドエビス」「WebAntenna」「ADPLAN」などのツールです。

今後、広告を使って成果をあげていくならば、導入を検討しましょう。

リスティング広告の効果測定については下記の記事でも紹介しています↓

アトリビューション分析は検証方法として活用する

アトリビューション分析の定義や目的、そして実際の事例についてご紹介してきました。

従来のラストクリックCVでは、広告の効果計測を十分におこなうことができません。また、複数媒体利用の場合は、重複CVなどの数値の乖離が起こります。

そのため、Web広告を使って正しく成果を拡大する上で、アトリビューション分析は必須と言えます。

さらに、アトリビューション分析は、仮説をたてて検証することが本質です。自社のサービスや商品は、どういった流れで購入まで至るのかをシナリオ設計し検証してみてください。

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山屋 竜之介

デジタルアスリート入社後、半年間、リスティング広告を始めとした10種類以上の広告媒体の知識を学び、運用を実施。業界問わず様々な案件の効果改善に努める。 その後大手広告代理店にて、テレビ局などのクライアントを対象とした案件にて広告運用を実施。自社と他社での広告運用経験を活かし、現在は主に自社サイトやメディアの管理、記事作成などのコンテンツ制作を担当している。

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