行動ターゲティング広告って何? 「人」を狙う仕組みと種類とは

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岡田 康佑

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「広告が人の閲覧履歴や行動状況を読み取ってターゲティングしているのは知ってるけど、具体的にどんな方法なのかがわからない」

「ディスプレイ広告をはじめたくて、人の購買行動に合うようなものがあると聞いたが詳しくは知らない」

「行動ターゲティングという言葉だけ知ってるが、具体的によくわかっていない」

当記事はこれらの悩みを解消できます。

行動ターゲティング広告は、サイトに直接バナーを掲載したり、GoogleやYahoo!で実施できるサイト面をターゲティングする方法とは違い、「人」をターゲティングすることができるのものの総称です。

今回はこの「行動ターゲティング広告」の仕組みやメリット・デメリット、そして代表的な行動ターゲティング広告、今後気を付けるべきことを紹介していきます。

なお、直近では個人情報保護の観点からこの行動ターゲティングの制限や廃止についての取り組みが行われています。そちらの情報もあわせて記載していますので行動ターゲティングについての知識を当記事で深めてください。

行動ターゲティングとは

行動ターゲティング広告とは、ユーザーの過去の行動履歴をもとに「人」をターゲットとする方法のことです。

具体的には特定のジャンルに興味を持つユーザーを絞り配信を行うターゲティング方法であり、例えば私が料理系のレシピ系サイトばかりを見ているユーザーだと仮定すると、検索の行動履歴としては「料理に興味のある人」というジャンルに割り振られます。

仮にあなたが料理のレシピ本を売るサービスを行っているのであれば、「料理に興味のある人」を狙うべきですので、私にターゲティングがあたるようなターゲティング設定を選び、配信していきます。

尚、ターゲティングの方法は大きく分けて2種類あり、「人」(ユーザーの行動)をターゲティングする方法と「掲載面」(配信先)をターゲティングする方法があります。GoogleやYahoo!を代表に上げた場合、詳細は以下の図ようになっています。

このようなターゲティング方法は商品の成約を狙うにあたり、確度の高いユーザーに向けて配信できるため非常に有効です。

また、ユーザーの行動ターゲティングと配信先のターゲティングをかけあわせて配信することも可能です。

行動ターゲティングの仕組み

行動ターゲティング広告でネットユーザーそれぞれに最適な広告を出せるのは

「Cookie(クッキー)」という仕組みがあるからです。

Web上の情報を閲覧したり各種サイトで商品を購入すると、使用したWebブラウザにクッキーが付与され、Web上で過去にあなたが何をしたかが記録されます。

尚、WebブラウザとはGoogle Chrome、Yahoo!、FireFox、InternetExplorer、Safariなどのことを指します。

クッキーが付与された状態で再びWeb上でサイトを閲覧したり検索などの行動を取ると、それまでに付与されているクッキー情報に応じて最適な広告や検索結果が表示されるようになります。

また直近ですとAmazonや楽天などのモール系のサイトで「あなたにお勧めの商品はこちらです」などの商品が掲載されることがあると思いますが、こちらも行動ターゲティングの一種です。

行動ターゲティングのメリット・デメリット

メリット

コンバージョンの可能性の高いユーザーに直接広告を出せる

行動ターゲティング広告の一番のメリットはやはり、自分が想定しているターゲット像に直接広告を出せることです。

プレースメント広告(広告の掲載面をターゲットに設定する広告)では自社のコンテンツと親和性の高い掲載面に配信できますが、親和性の高い掲載面に広告を表示しても、ユーザーが自社商品を求めているかどうかはわかりません。

一方で人にターゲティングできる行動ターゲティング広告では、ユーザーが自社商品について興味・関心がありそうかという点を判断して広告を出します。ユーザーの過去のWeb閲覧履歴情報から、自社商品への興味が大きそうであれば広告が表示されるため、コンバージョンに繋がる可能性が高くなります。

無駄なコストが削減できる

次に、コンバージョンする可能性の高いユーザーに直接ターゲティングでき、適切なユーザーに広告を配信できることから、無駄なコストを削減しやすいです。

見込みの低いユーザー相手に必要以上にコストを掛けることが少なくなれば、顧客獲得単価(CPA)も安定し、会社の利益もより大きくなります。

デメリット

デメリットに関しては特にありません。ただ、注意点として以下の3点があります。

使用するターゲティングを間違えれば、全く無意味な広告配信になる。

行動ターゲティング広告は自社で想定するターゲットに直接配信できるという大きなメリットがある一方で、設定するターゲットを間違えると自社商品で想定しているターゲットとは全く異なる人に広告が出てしまうので要注意です。

例えばあなたの会社で扱っている商品が自動車なのに、YDNのインタレストカテゴリ(Yahoo!で準備されている、ユーザーの興味関心のカテゴリ)で「ファイナンス>投資>先物&オプション」のターゲットを選択してしまえば、自社商品の想定ターゲットと全く異なるユーザーに広告を表示してしまうことになります。

もちろんこれは極端な例ですが、自社商品にマッチする方法を選択しなければせっかくの機能も台無しです。

正しくターゲティングしてもメッセージを誤ると効果が出ない

次の注意点は、ターゲティング方法が正しくても それぞれのターゲットに最適なメッセージが設定できていなければ思うような成果が出なくなることです。

例えば自社商品が初心者向けの英会話教室を行っているとします。YDAのインタレストカテゴリで「ライフステージ>教育>語学>英語」というターゲティングを設定していても、広告文で「TOEIC850点を目指すあなたへ!」と書いてしまえば、ターゲティングが正しくても成果は出ません。

配信方法が膨大でどれが最適か判断がしきれない

行動ターゲティング広告の範囲で語れる配信方法は膨大です。本当に様々な方法があることと、媒体によってもターゲティングできるユーザー層に違いが出たりもします。

そのため、今からWeb広告を始める方が自分で最適な配信方法を選び、自分で運用するとなると難易度が非常に高いです。問題なく運用できるようになるまで、相当のインプット時間と運用の実力をつける時間が必要です。

手探りでチャレンジしてしまうと、成果を狙えた広告を使いこなせず、高い集客・販売効果を見込める集客方法を手放すことになってしまう可能性があり、大きなビジネスの機会損失を生むことになります。

対策として、まず最初に実施すべき「確度の高いユーザー」、例をあげるとコンバージョンしているユーザーに近い属性の配信をおすすめします。

具体的には下記の章でも説明していますので参考にしてみてください。

行動ターゲティングができる代表的な種類

行動ターゲティングの種類は以下のユーザーを対象としたものになります。

リマーケティング

こちらは一度自社のサイトの訪問したことのあるユーザーに対して配信を行う方法です。

行動ターゲティングの中では最もターゲット母数・リーチ数が少ないものですが、一度自社のページを見たことがあるということは少なからず興味を持っているユーザーである為、成約確度が高いユーザーである可能性があります。

配信可能媒体:Google、Yahoo!、Facebookなどをはじめ多くのWeb媒体

リマーケティング広告を詳しく説明した記事がこちらです。

類似ユーザーリマーケティング

こちらは一度サイトに訪問した方と同じような検索行動履歴を持つユーザーを対象にした配信方法です。全く同じというわけではありませんが、リマーケティングのデータを元に似たような検索行動履歴をもったユーザーに対して配信を行うことができるため、自社の商品に興味がある可能性が高い可能性が十分にあります。

配信可能媒体:Google、Yahoo!、Facebookなどをはじめ多くのWeb媒体

類似リマーケティングについてはこちらの記事を参考にしてください。

サーチターゲティング

こちらはユーザーが実際に検索したキーワードを元にターゲティングする方法です。

例をあげると「料理レシピ」というキーワードをターゲティング設定とした場合、過去に「料理レシピ」と検索したユーザーに対して広告を配信することができます。

こちらはGoogleとYahoo!とでは対象となる期間が異なりますが、Googleは約2週間前後、Yahoo!は1日、3日、7日、14日、30日以内の期間設定が可能です。

配信可能媒体:Google、Yahoo!

インタレストカテゴリ

こちらはGoogleやYahoo!に既にジャンル分けされている指定のジャンルに興味関心があるユーザーに対して配信を行う方法です。

あくまで一例ですが、以下の図ではスポーツやフィットネスに興味関心があるユーザーに対しての配信を行う形です。

また、Googleのみになりますが「カスタムオーディエンス」というものがあり、こちらは任意のキーワードを設定し、そのキーワードに対して興味関心があるユーザーに対して配信を行うことも可能です。

配信可能媒体:Google、Yahoo!

インタレストカテゴリ、カスタムオーディエンスについて詳しい記事はこちらです。

デモグラターゲティング

こちらは興味関心ではなく、性別や年齢のみを配信ターゲットにした設定のことを指します。

例えば30代、男性のみに配信するといったようなターゲティングです。

興味関心を絞らない分、当然ですがもっともボリュームがでる配信となりますので注意が必要です。商品のテストマーケティングなどで使われることは多々あります。

配信可能媒体:Google、Yahoo!、Facebookなど多くのWeb媒体

その他の行動ターゲティング

最後に、ここまでにご紹介した配信方法以外に行動ターゲティングと考えられるものをご紹介します。

◆ECサイトのレコメンド機能

Amazonや楽天市場などのECモールサイトでは自分が興味を持って検索したり、実際に購入した商品に応じて同じ商品を購入した人が他にどんな商品を購入したかなどの「レコメンド」が表示されますが、これも行動ターゲティングとなります。

こちらも自社サイト内でのユーザーの行動がすべてcookieで記録され、同じ行動や似た行動をとったユーザーの傾向と照らし合わせておすすめの商品が表示されるという仕組みです。

配信可能媒体:Amazon

行動ターゲティング広告でどういうことをやっていけばいいのか

実際に行動ターゲティングを使用する場合は成約確度が高いユーザーから配信していくのが良い為、まずはリマーケティングからはじめることを推奨します。

上記の図では種類とは別にリーチできるユーザーの大小も記載しているのですが、リーチが少ない配信=確度の高いユーザーだと考えていただくのがまずは良いかと思いますので、上から順番に行いましょう。

ただ、配信の目的や予算がある場合は初めからリーチが広いターゲティングを使うこともあり、例えばテストマーケティングで広く配信し、どの年代のユーザーの成約確度が高いかを確認したいという意図で配信するケースがあります。

このように目的や状況にもよりますが、スピード感が遅くても費用対効果を重視する場合は上記図のものを上から順番に試していく方法を、予算がありスピード感を求める場合はリーチの多いターゲティングを試し、確度の高い配信に絞っていくという方法取るのが良いでしょう。

GDNでおすすめのターゲティングを以下の記事で解説しています。

行動ターゲティングで今後気を付けるべきこと

このような便利な行動ターゲティングですが、現在Cookieによる行動追跡ができない仕組みをアップル社を初め導入していっており、実際に広告の現場でもGoogleやYahoo!のリマーケティングが使えなくなる日は近いという情報やFacebookのターゲティング精度が低下したなどといったい事例がでてきています。

また、Googleはこのような行動ターゲティングに関わるサードパーティークッキーへの対応を2023年までに止めることを決めていますが、今回「個人を追跡する代替技術を開発しない」と踏み込んで表明なども1年前に行っており、利用者を直接追跡する代わりに、AIよって個人を特定しない広告技術の開発を進めているなどといった動きが見られます。

このように各媒体で今までの行動ターゲティングに変わる機能を開発しているといった動きがあるため、今後現在と同じような行動ターゲティングはできなくなり、現在の行動ターゲティング依存の分析は今後活用できない可能性が高いのですが、その代わりに違う形で行動ターゲティングのようなものが実装されることが想定されます。

今後も行動ターゲティングに関する動きについては注視していきましょう。

まとめ

行動ターゲティング広告の範囲で語られる配信方法は、ターゲットが曖昧なままだと見当違いなターゲットに広告が出続け、コストを無駄に投下してしまうことになる可能性もありますが、しっかりと戦略を組めば大きな成果を得られます。

Google、Yahoo!、Facebookの他、DSP広告やその他の様々なメディアが出てきていますが、まずは自社商品を誰に買ってほしいのか、誰に認知してもらえば売れる商品なのかをしっかりと分析する必要があります。

自社商品・サービスの特徴や強みなどをしっかりと理解して、どの配信方法を選ぶかを考えるようにしましょう。

尚、当記事にも記載した通り今後行動ターゲティングにおいては業界の中で大きく変化がある分野となります。

使用できるうちはとても有効なターゲティング方法となりますが、精度が徐々に落ちてきているということも事実ですのでそれを踏まえて使用するようにしていきましょう。

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デジタルアスリート株式会社
ウェビナーマーケティング部 課長
レジャー業界に新卒で入社し7年勤務。内後半4年は販促、広報の責任者として従事し、施設の年間集客数を昨対比125%以上の増を3年連続で達成した。
その後デジタルアスリート株式会社(旧:株式会社リスティングプラス)に入社し、Web広告の運用やWeb広告を中心にWebマーケティングのコンサルティングなどを行っている。
コンサルに入り、2年で売上を6億→20億、集客数3万→10万に伸ばすなどの実績がある。
元々Webというよりオフラインの広告を扱うことが多かったためWeb広告は一つの手段として最適な案を考えるようにしている。相談に乗る、人に何かを教えるということが好き。
海鮮が好きなので車を出してでも近場の店より海沿いの店に行くことが多く、休日はよくドライブがてらどこかにいくかテニスをしている。

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