ディスプレイ広告の費用が適切かを判断する考え方と2つのパターン

  • 2022.6.3
  • 2023.12.19
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検索広告では、コンバージョン(CV)が取れるようになってきた。
CVを増やすために、次はディスプレイ広告を配信していこう!

そう思っても、費用をいくらくらいかけていいのかわからない。何を根拠に予算を決めればよいのかわからない。こんなお悩みを持っている人も多いのではないのでしょうか?

そんな方向けにこの記事では、ディスプレイ広告の費用について、どのくらいかかるのか、予算をどう計算すればよいのかなどを解説します。
本記事を読むことで、適切な金額が判断できるようになりますのでぜひ最後までご覧ください。

また、ディスプレイ広告の費用について考える時には、「高単価のサービスか、低単価なサービスか」「BtoBか、BtoCか」なども重要な要素ですので解説します。
また、自社が市場においてどの立ち位置にいるのかも大切です。

ビジネスの現在地によって正しい広告費のかけ方が存在しますので、何となくの運用は今すぐやめて、目的を持った広告展開ができるようになりましょう。

ディスプレイ広告の特徴

ディスプレイ広告の運用では、広告の特徴、課金方式、効果的な運用方法を理解することが必要です。

ディスプレイ広告は、Webページに視覚的要素を使ってユーザーの関心を引き、行動を促すもので、バナー広告や動画広告など多様なフォーマットがあり、ターゲットユーザーの興味に合わせた広告展開が可能です。

ディスプレイ広告の利点は視覚的魅力にあります。印象に残る画像や動画クリエイティブを用いてユーザーの注目を引き、ブランドの認知度向上やイメージ形成に効果的です。また、広告はデモグラフィックや興味関心、ユーザーの過去のウェブ行動に基づいたターゲティング機能により、適切な対象者にリーチできるよう細かく設定することができます。

課金方式にはCPC(クリック単価)、CPM(1000インプレッションごとの単価)があり、広告の目的や予算に応じた選定が重要です。例えば、ブランド認知度を高めたい場合はCPM、ウェブサイトの訪問者増加が目的ならCPCを選ぶことが一般的です。

運用者はこれら課金方式の特徴を把握し、商品やサービスに合った広告戦略を立案する必要があります。収集したデータを基に運用を最適化し、費用対効果を高めることも重要です。最適化にはA/Bテストでの広告クリエイティブの比較検証やユーザーデータ分析が不可欠です。

※価格ドットコムのサイトより、赤で囲った部分がディスプレイ広告

ディスプレイ広告のクリック単価相場

ディスプレイ広告の配信をする時、まずは媒体ごとにどれくらい費用がかかるのか知っておく必要があります。

ビジネスモデルや、市場によって変化することもありますが、おおよその部分に関しては大きく変わりません。年々クリック単価が上がってきてはいますが、クリック単価は概ね以下のように考えられます。

広告種別特徴課金方式費用感
GDN(Google広告)Google提携先サイトに掲載
詳細ターゲティング
クリック課金
インプレッション課金
コンバージョン課金
20~100円/クリック
数十円~数百円/1,000回表示
YDA(Yahoo!広告)検索履歴や閲覧履歴をもとにするターゲティング
Yahoo!提携サービスへ掲載
クリック課金
インプレッション課金
20~100円/クリック
数十円~数百円/1000回表示
YouTube広告Googleのデータをもとにしたターゲティングクリック課金3~20円/クリック

 
Google広告、Yahoo!広告に関しては、おおよそ同じ費用感になります。
YouTube広告に関してはクリック単価を抑えての配信が可能であり、ボリュームを出すことができます。

GDN(Google広告)

引用:ライブドアブログ

Googleディスプレイネットワーク(GDN)は、広範囲にわたるリーチと柔軟な広告設定が特徴です。GDNは、Googleが提携するさまざまなウェブサイトやアプリケーションに広告を表示することが可能で多くのユーザーが集まる人気サイトなどに広告を配信できます。

GDNでの広告費用はオークション形式で決まり、表示方法やターゲットに基づいてクリックごとのコスト(CPC)やインプレッション単価(CPM)を設定し入札します。ターゲット選定や広告の質、市場の競争度によってコストが異なりますが、クリック課金では1クリック20円~100円、インプレッション課金では1,000インプレッションにつき数十円~数百円が相場です。

GDNは広告費用設定の柔軟性があり、ビジネスの目的や予算に合わせた広告戦略が立てられます。しかし、コスト効率の良いキャンペーンを実施するには、ターゲティング、広告のクリエイティブ、配信時間や曜日などを細かくテストし、最適化することが重要です。ディスプレイ広告の運用を目指す場合は、これらの要素を継続的に分析し、改善を積み重ねることで、GDNを最大限に活用できます。

YDA(Yahoo!広告)

引用:Yahoo!ニュース

Yahoo!ディスプレイ広告ネットワーク(YDA)の魅力は、Yahoo!が保有する豊富なユーザーデータに基づき、精緻なターゲティングが行えることです。費用の面では、広告のクリックごとに支払うクリック課金とインプレッション課金を採用しており、相場はクリック課金では1クリック20円~100円、インプレッション課金では1,000インプレッションにつき数十円~数百円が相場です。相場に関しては、GDNと大きく変わりませんが、商品やサービスのジャンルによって単価が異なります。

特にEコマース業界で、YDAの利用価値は高く、多くの広告主がYDAを選択しています。なぜなら、購買意欲の高いユーザーに直接アプローチ可能であり、投資対効果(ROI)を最大化するチャンスがあるからです。YDAを活用したディスプレイ広告戦略は、活用方法次第でマーケティング活動に非常に効果的で有効になるでしょう。

YouTube広告

引用:YouTube

YouTube広告は、動画を視聴する始めや途中で流れる動画広告がメインですが、ディスプレイ広告の枠へ配信することが可能です。

YouTubeディスプレイ広告では、関連動画やおすすめ動画の欄の上部に表示されます。動画広告ではないため、画像と簡単な設定で広告を配信でき動画の制作コストなどを考えても手軽な配信方法です。

配信されるユーザーは、商品を欲しいと決まっていない潜在層へのアプローチになるためブランドの認知拡大や、ウェブサイトのアクセス増加などに有効になります。

課金方法は、YouTubeディスプレイ広告の場合クリック課金となり、1クリックあたり3~20円が相場となりGDNやYDAと比較するとクリック単価は安くなっています。

また動画広告の視聴単価は1視聴につき2~5円程度となります。(広告を見られた場合しか課金されません)

商材別単価のディスプレイ広告における考え方

費用対効果を出す上で重要なことは、自社にあった目的に対して効果的に費用をかけるということです。

というのも、ディスプレイ広告で商品・サービスの購入まで狙えるかどうかは、業種や商材によって違うからです。

単価が安い商品・サービスは、広告からの即購入が狙える

1つ指標となるのが、商品及びサービスの単価です。
単価が比較的安い商品及びサービス(目安として1万円以内)であれば、広告からの即購入を狙っても良いでしょう。

ディスプレイ広告の場合、ユーザーが日頃から抱えている潜在的な悩みや欲求に対して広告で訴求をしていきます。
悩みの深さにもよりますが、基本的には潜在層の顧客向けの広告なので「今すぐ欲しい」と考えているユーザーは少なく、金額が高すぎると離脱してしまいます。

その点、価格が安くて衝動買いができる範囲であれば、広告からそのまま購入に結びつく可能性があります。

例えば、シミやソバカスに悩む30代後半の女性がいたとします。
具体的に日焼け止めや、保湿商品の購入を考えていなかったとしても、広告を目にしたことで自身の欲求に気づくかもしれません。
その際、商品が高額でなければそのまま購入してくれる可能性は高くなるでしょう。

このように、単価が安い商品及びサービスにおいては、ディスプレイ広告からでも商品購入を狙えるのです。

単価が高い商品・サービスは認知拡大やオプトイン獲得を目指す

一方で、単価が高い商品及びサービスは逆の考えです。
単価が高い商品及びサービス(目安として1万円以上)に関しては、即購入ではなく、まず認知の拡大やオプトインを考える方がいいでしょう。

単価が高い商品やサービスの場合、いきなり購入まで到達してもらうのは難易度が高いからです。

例えば、一生に一度の結婚式場を検討している場合や、年間で数十万円かかる永久脱毛プランを検討している時に、ディスプレイ広告で始めてみたプランを勢いで申し込むことはありません。

この場合は、まずディスプレイ広告を繰り返し見てもらうことで、商品やサービスに対する認知度アップ・興味づけを行うことができます。
「よく目にするあの広告が気になる」と思ったら、広告を見たり、詳しい情報を調べてくれる可能性があります。

また、もっと直接的にユーザーと関係性を作る方法として、ディスプレイ広告のゴールを、

・メールアドレス獲得
・資料ダウンロード
・LINE登録

などにしてオプトインを獲得し接点を作ることもできます。

この場合は、獲得した情報に対して商品・サービスの情報を案内したり、コンテンツを提供することで優位性のアピール、顧客の不安解消などを行うことで、高額な商品でも最終的な商品・サービスの購入につなげることができます。

このように商品単価が高い物や検討期間が長いものに関しては、ディスプレイ広告からの購入を目指すのではなく、興味づけや関係性構築の手段にすることで結果的に費用対効果があがります。

ディスプレイ広告で広告費を判断する2つのパターン

クリック単価から算出する

費用を簡単に算出したい場合には、まず月の予算を決定し1日当たりの予算を算出しましょう。
その後1クリック単価を決定していきます。

例えば、1ヶ月あたりの予算が300,000円の場合、30日で日割りすると1日の予算は約10,000円となります。

この予算を念頭に置き、100回クリックされたいのであれば、クリック単価は100円、といった具合に設定できます。

目的によって算出する

認知拡大を目的にするのであれば、表示させたい範囲から予算を決めていくことが、重要になります。

CVを狙うのであれば、1件のCVを獲得するのにコストがかかるのかを計算し、売上などから間接効果も含めいくらまで広告費がかけられるのかを算出してから広告運用をおこなうといいでしょう。

例えば、限界CPAが1万円だとした場合、ディスプレイ単体で見たときにはCPAが13,000円だとしても、ディスプレイ広告を回すことにより、指名キーワード(検索型広告)のCVが増えWeb全体のCPAを見たときに、8,000円になるなどは十分に起きうる現象になります。

したがって、目的別によって算出するとよいでしょう。

ディスプレイ広告運用3フェーズとそれぞれの費用目安

いざ、ディスプレイ広告を回すといっても、上記でまとめているように諸々前提を決めておく必要があります。
また、ディスプレイ広告ではステージと目的によってかける金額、かけるタイミングが変わってきます。

多くの企業が、

ディスプレイ広告をやってみる→上手くいかない→あきらめる

のように、計画無しで進めて簡単にあきらめることで、大きな機会損失をおこしています。

そもそも最初からは上手くいかないものだと理解をした上で、てテストを繰り返し突破口を見つける事が重要です。テストをする前提で、10~30万円程の予算を確保しておきましょう。

初期運用期

ディスプレイ広告は、顕在層向けに配信することが一般的です。
そのため、そもそもディスプレイ広告でユーザーの興味を惹くことができるのかを調べる必要があり、このフェーズが初期運用期になります。

どのような広告クリエイティブのCTRが高いのか?
CVに繋がるのか?を、しっかり検証していきましょう。

おおよその予算感でいうと、10万~30万程で広告展開をして検証していくことが多いです。

テストはできるだけ早く短期間でおこなう

テストをする際には、短期間に集中させてテスト配信をおこないましょう。

なぜなら、低額予算を長期間回してもデータをあつめるのに時間がかかってしまい機会損失を生んでしまいます。

例えば15万円の予算を準備した場合、1ヵ月で15万の予算を使うよりも、半月で15万(1ヵ月単位で30万と一緒のペース)を使いテストした方が早く判断できるため効率的です。

ディスプレイ広告ではテストするポイントが多いので、早めにテスト項目をつぶしていけるとCV獲得に近づいてきます。

改善期

改善期に関しては、CVにつながったクリエイティブのCPAをより安くしていくフェーズとなります。

CVにつながったクリエイティブをベースに、その成功要因を洗い出して、PDCAを回していきましょう。※訴求が良かったのか?デザインが良かったのか?など

その中で、ユーザーが購入をする要因を見つけ出して、「この要素があればCVに繋がる」という成功法則を見つけ出しましょう。

広告予算としては10万~30万円程で広告を運用すると良いです。

拡大媒体なので、テストが必要

ディスプレイ広告では、最低でも10~30万程のテスト予算を確保しておきましょう。

そもそも狙っている層が潜在層なので、CVにつなげるのが難しいことを前提とする必要があります。

広告を出せばCVが取れるという時代は終わっています。
検索広告より獲得単価(CPA)安く獲得できるなら、誰でもディスプレイ広告だけやるのですが難しいのが現実です。

一方で、ディスプレイ広告で突破口を見つけられれば、配信ボリュームが出せる分、CV獲得件数が大幅に伸びますので、売上UPに効果的であることも間違いありません。

簡単に上手くいかないものだと理解をした上で、テストを繰り返し突破口を見つけるためにも、ここでも10~30万程の予算を確保しておきましょう。

拡大期

ここからが、本腰を入れたディスプレイ広告の導入になります。
拡大期は配信ターゲットを拡大していくフェーズです。

CPAが安いクリエイティブを利用した上で、ターゲットを広げてみて数値がどう変化するのかを確認していきましょう。多くの場合、新しいターゲットユーザーに合わせてクリエイティブの内容を再調整する必要があります。

ターゲット毎に、購入をする要因は変わっていきますので、改善期で見つけ出した成功法則をベースに広告で伝える訴求やメッセージをカスタマイズしていきましょう。

2章で上げている前提のもと、目的に合わせてKPIを設定して展開していきます。
広告費用に関しましても、必要なCV数に応じて予算組みをおこなうと良いでしょう。

しかしながら、広告費を大伴場にかけるとターゲットが広がっていきますので数字があがる可能性もあるので、管理画面の数値を確認しながら予算を上げていきましょう。

まとめ

3章で述べたように、ディスプレイ広告を上手く活用するためには、テストマーケティングの考え方が必要不可欠になります。

多くの企業様が、ちょっとやって上手く行かないからすぐにやめるといった具合にチャンスを逃してしまいます。

適切な費用で適切なテストマーケティングを行い、ご自身のビジネスに活かしてみてください。

リスティング広告の費用の考え方ならこちらの記事が役立ちます。

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山屋 竜之介

デジタルアスリート入社後、半年間、リスティング広告を始めとした10種類以上の広告媒体の知識を学び、運用を実施。業界問わず様々な案件の効果改善に努める。 その後大手広告代理店にて、テレビ局などのクライアントを対象とした案件にて広告運用を実施。自社と他社での広告運用経験を活かし、現在は主に自社サイトやメディアの管理、記事作成などのコンテンツ制作を担当している。

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