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みなさんは、ものを売るためにどんな媒体を使ったことが、あるいは使おうと思ったことがありますか?
Google、Yahoo!、Facebook、Amazon…
では、その媒体がどんな理念を掲げているかを知っていますか?
広告の先に人がいるように、媒体の先にも人がいます。
胸に秘めた誇りがあり、叶えたい夢があり、成し遂げたい未来があります。
その思いが最もよく現れているのが「理念」です。
理念を知れば、その媒体が目指す未来が見えます。
未来が見えれば、それに合わせて今やるべきことが見えてきます。
今回は、「理念」に注目して媒体を紐解いていきます。
目次
人が最も理念を気にする瞬間
理念に焦点をあてていくので、人が最も理念を気にするときにつかう媒体を例に出します。
最も気にするタイミング、それは、「就職」です。
新卒にしろ中途にしろ、どの会社に入ろうかを決めるとき、必ず目にします。
(そして入社して、目にしなくなる…)
ということで、就活用の媒体を例に出しますが、各媒体の中で、理念を最も重要視しているのは、Wantedlyです。
Wantedlyが掲げる理念(ミッション)は、「シゴトでココロオドルひとをふやす」です。
詳細説明として下記がサイトに載っています。
Wantedlyはシゴトでココロオドルひとをふやす / Create a world where work drives passion ために、働くすべての人が共感を通じて「であい/Discover」「つながり/Connect」「つながりを深める/Engage」ためのビジネスSNSを提供しています。 世の中がモノで溢れかえり所有の希少性が薄れた現代において、仕事はお金を稼ぐためではなく、自己実現の手段になってきており、またAIやロボットに奪われない仕事とはそのような仕事といえます。 平均寿命が100年を突破していくこの時代、人々の持続可能な経済的・精神的自立を実現するために、Wantedlyは「はたらくすべての人のインフラ」を国境を越えて作っていきます。 |
条件ではなく、共感や思いを大切にしていることが汲み取れます。
これを体現するように、Wantedlyでは表記規定として下記を定めています。
Wantedly Visitは、「共感」や「やりがい」をベースに採用活動をするためのサービスです。 |
そう、Wantedlyは求人媒体であるにも関わらず、「年収◯円~」といった給与に関する記載をしてはならないのです。
記載した場合、その時点で規定違反となり、公開ができません。
理念とユーザーの一貫性を証明する
まぁでも正直、理念と規定に一貫性があるのは当たり前ですよね。
どちらも企業が定めているものなので。
では、それを受け取る側であるユーザーにも、理念との一貫性があるのでしょうか?
…あるんです。
ここからは、私が実際に行った検証を元に解説していきます。
Wantedlyには、企業情報と求人情報の他に、もう一つ掲載できるものがあります。
ストーリーです。
これは、登録企業が好きなテーマで記事を執筆して投稿できる機能です。
ストーリーを読んだユーザーが、企業に興味を持ち、企業情報や募集内容を読んでエントリーする、なんて流れもあります。
私も20記事ほど投稿したのですが、記事のテーマによってPV数に大きく差がつきました。
PV数上位3記事
https://www.wantedly.com/companies/digitalathlete/post_articles/417341
https://www.wantedly.com/companies/digitalathlete/post_articles/414678
https://www.wantedly.com/companies/digitalathlete/post_articles/416440
PV数下位3記事
https://www.wantedly.com/companies/digitalathlete/post_articles/419630
https://www.wantedly.com/companies/digitalathlete/post_articles/419355
https://www.wantedly.com/companies/digitalathlete/post_articles/417796
上位記事は、
☑個人の思い
☑人とのつながり
☑社風や文化
といった、「感情」「人」がテーマになっているものが占めています。
一方下位記事は
☑ノウハウ
☑仕事内容
☑条件や働き方
などの、「条件」「お役立ち情報」に言及した記事が多いです。
この傾向はまさに、Wantedlyの理念と一致しています。
すなわち、Wantedlyを利用するユーザーに向けてアプローチをするには、Wantedlyの理念に沿ったストーリーや募集をした方がよいということです。
理念が異なる媒体で同じ手法は通用しない
しかしこれ、本当にWantedlyに限った話なのでしょうか?
他の求人媒体でも、感情や人に言及した記事をあげた方がPV数が伸びるのではないのでしょうか。
上記を検証するために、Wantedlyに上げたのと同じ内容の記事を、記事投稿ができる別の媒体にも投稿してみました。
結果がこちら。
PV数上位3記事
・Webコンサルってどんな仕事?7つの職種を大公開
→Wantedlyでは下位3記事
・毎月好きな働き方を選べる!フレックスやリモートにも対応した3つのコース
→Wantedlyでは下位3記事
・めちゃくちゃ推せる、ド明確な評価制度の話。
PV数下位3記事
・「この会社に誘ってくれて本当にありがとう」親友の会社に転職して、人生が変わった話
→Wantedlyでは上位3記事
・頂点以外は欲しくない!新社名に込めた思い
・能力は努力しだいで伸ばせる!という企業文化
WantedlyでPV数上位に入る記事は軒並み下位に、
そしてWantedlyでPV数下位の記事たちが上位に…
見事に逆転しました。
(媒体としての良し悪しの話ではないのですが、念のためどの媒体に掲載したのかやその企業の理念については伏せます)
職を探しているユーザーが見る媒体という点では同じにも関わらず、利用するユーザーが気にする点はことなるということが明らかになったかと思います。
ユーザーの傾向が異なるということは、媒体の特性が異なるということであり、その特性に紐づくのが、掲げる「理念」なのです。
利用ユーザーが多い媒体の理念と行動の一貫性
転職媒体の事例の話はお終いにして、Wantedly以外の媒体でも当てはまるのかを見ていきましょう。
今回は、利用ユーザーの多い媒体である、Google、Facebook(Instagram)、Amazonの3つについて言及します。
「使命」と「Googleが掲げる10の事実」を定めています。
■使命 ■Google が掲げる 10 の事実 |
「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」を見て最初に思い浮かんだのは、コアアップデートです。
Googleが検索アルゴリズムを見直して、検索結果を大幅改善させるアップデートのことを指します。
このおかげで検索順位が大きく上がって喜ぶ企業もありますが、どちらかというと、急激に順位が下がって衝撃を受ける企業の方が多いように思います。
企業側からすると、「次はいつコアアップデートが来るのか…」とドキドキするのですが、それでも、ユーザーにとっての最善は今の形ではないはずだという信念を突き通して何度もアップデートを繰り返しているのは、まさにこの事実と合致します。
その他、「1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番」は、動画の将来性を見込んでYou Tubeを買収したこと、そしてそれをここまで大きく成長させたことを想起させます。
「情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない」は、広告でのスマホ最適化の推進や、出先で目的地ややりたいができる場所を探すのに便利なGoogle Mapsの存在が当てはまります。
Facebook(Instagram)
Meta社では、「ミッション」と「5つの経営理念」を掲げています。
■ミッション ■5つの経営理念 |
Facebook社からMeta社に変わったことが、何よりの理念体現だなと思います。
上記を補足する形で述べられたマーク・ザッカーバーグの言葉に、
「もし自分が何も壊していないなら、それは素早さが足りないから」
「最大のリスクは、リスクを負わないこと」
があるように、行くべきだと思ったら、何を言われようと突き進むという思いを感じます。
一方でミッションにある通り、「つながり」を大切にしている文化があります。
人とのつながりを大切にしつつ、動くときは素早く大胆に動く。
これに共感しやすいユーザーが利用していることを意識しましょう。
Amazon
「経営理念」の他に、4つの理念も掲げています。
■経営理念 ■4つの理念 |
Amazonは、莫大な売上に対して利益率が低いという特徴があります。
「利益を出すのは簡単で、同時に愚かなこと」というのは創業者のジェフ・ベゾスの言葉ですが、Amazonでは、通常利益になるはずだったものを、テクノロジー、マーケティング、ブランド構築といった、長期施策に投資しています。
これは、生涯にわたって、より長くAmazonを利用してくれるユーザーを増やしていくためです。
徹底して使いやすく、徹底して安く。
このやり方に慣れ親しんだユーザーがいるのが特徴です。
Amazonでものを売る上で、「使いにくい」「他より高い」は大きな弱点になり得ます。
理念を持ち、信念に生きよ
これは、織田信長の言葉ですね。
企業にはそれぞれ、成し遂げたい思い、理念があります。
それを実現したいという強い気持ちが、一つ一つの行動に現れるのです。
その理念を知らずして利用するのは、非常にもったいないことです。
マーケティングを使ってできることは、いくらでもあります。
今回ご紹介した媒体の理念を理解することも、目標達成のためにできる1施策といえます。
エンドユーザーや自社商品だけでなく、利用する媒体のことも深く理解した上で、成果をあげていきましょう。

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