Instagramリール広告を集中配信した結果わかったこと

  • 2022.9.12
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TikTokやYouTubeショートなど、様々な媒体・SNSで広がっている「短尺動画」。
Instagramにも「リール」と呼ばれる、短尺動画の投稿が出来る機能があります。

短尺動画を見るユーザーが増えているということは、リール広告を狙って広告配信したら成果が出るのでは…?ということで、1ヶ月間チャレンジした結果を赤裸々にご紹介したいと思います。

前提:そもそもInstagramリールとは

引用:https://business.instagram.com/blog/announcing-instagram-reels

リールは、最長90秒の縦長動画を作成、投稿、発見できる機能です。
スマートフォンの画面いっぱいに動画が表示され、スクロールすると次の動画が再生される、という形になっています。

加えて、2022年7月21日、今後Instagramに投稿される15分未満の動画は全て「リール」として共有されるようになるとMeta社より発表されました。Instagram利用ユーザーのうち、リールに費やす時間がInstagramに費やす時間の約20%になったという情報も発表されており、今後もリールの利用ユーザーは増えていくことが見込まれています。

リール広告とは

リール広告とは、リール面で表示される動画と動画の間に配信できる広告です。
リール広告のフォーマットとしては「フルスクリーンの動画である」ことが必須です。

Instagramの重要な配信面のひとつであるストーリーズは、クリエイティブが正方形などフルスクリーンでなくとも、自動で背景の付け足しをして配信してくれます。しかしリール広告については、必ずフルスクリーンの動画クリエイティブを用意する必要があります。

Instagramリールは自動配置の対象となっているため、フルスクリーンの動画クリエイティブを設定していれば自然とInstagramリールに広告が配信されます。しかし、ストーリーズ等も専用クリエイティブにしなくても正方形サイズの静止画や動画で対応できるということで、あえてフルスクリーンサイズの動画を使用している広告運用者は実は多くないのではないでしょうか。

フルスクリーン動画で配信できる配置面でテストを実施

Facebook・Instagram広告では、リールだけでなくストーリーズなど、フルスクリーン動画を使用できる配信面が複数あります。
まずはそれらの配置面を全て選択した上で、どのような動きになるかを確認します。

Facebook広告(Instagram広告)では、配置はできるだけ絞らず複数設定することを推奨されています。(自動調整の機能を活用することで見込みの高い面に配信が伸びる、CPMが抑えられる効果などが見込めます)

そのため、フルスクリーン動画が有効である配置面を全て選択した場合、どれくらいリール面に配信が出るのかを検証しました。

キャンペーン目的は「コンバージョン」、商品は食品の単品通販です。

配置設定詳細

設定した配置は以下の通り。


※上記テストを実施したのが2022年3月。Facebookリールの機能は2022年4月に実装されたため、テスト時はFacebookリール面はありませんでした。

Audience Networkは動画で配信される面が多いので今回加えています。
この配置面に配信したい場合、以下のようなエラーが出るため、上記に加えて「Facebookフィード」を設定しています。

その他のターゲティング設定は、メインで配信しており獲得が出ている広告セットと同じ条件で設定を行っています。

配信結果(配置別の数値)

上記設定にて配信した結果が以下キャプチャの通りです。

配置別のCV数はiOS14アップデートの際に適応された仕様上、管理画面で確認することが出来ません。そのため、どれくらいインプレッション・広告費が出たか、CPMやCTR、CPCはどうかという部分で見てみます。

まずは広告費。どれくらいフルスクリーン動画のクリエイティブが露出されたかですが、ダントツでFacebookフィード(8.1万円)という本末転倒な結果に。
AudienceNetworkに配信しようと思うと必ず入れなければいけない配置面ですが、今回設定した配置面の中で、やはりフィードは利用ユーザー数も多い方ということが伺えます。

次いでInstagramストーリーズ(3.8万)、AudienceNetwork動画リワード(2.8万)、AudienceNetworkネイティブ面(2.2万)となっており、Facebookフィードも含めたこの4面が主流の配信面となりました。
では当初の狙いだったInstagramリールはというと、使用広告費は7,482円。少なすぎます。

しかしCPMに着目すると、どの配置面も軒並み2,300円~3,500円の範囲であるのに対し、Instagramリール面のCPMは635円と、非常に低いCPMで広告の配信が出来ていることがわかります。

CPMの低さに加えて、CTRも1%と悪くないため、他の配置面よりもInstagramリール面のCPCが大幅に安くなっています。
では、Instagramリール面だけに絞って配信すれば、広告費も集中できるし、低いCPMの面に配信できて成果が上がるのではないだろうか?という仮説が浮かび上がります。

Instagramリール面に絞った配信テストを実施

仮説を検証するため、次に配置面を「Instagramリール」のみに絞った広告セットにて配信を行いました。
結果がこちらです。

消化金額(広告費):1,545円
CPM:486円
クリック:22
CPC:70円
CTR:0.69%

ちなみに、この配信テストについては「日予算5000円」を設定していました。
日別の消化金額を見ると以下の通りです。

初日に700円出たものの、それ以降は1日あたり100円前後の消化金額です。
ちなみにターゲティング設定は、デモグラ情報(年齢と性別のみ)の指定となっていて、興味関心等での絞り込みは行っていない広めのターゲティングでした。

CPMが安いのは非常に魅力的なのですが、広告の配信ボリュームが出なければ意味がありません。ボリュームが出なければ、クリック数もCV数も増えないのですから…。

リール広告でわかったことは「CPMは安いが配信ボリュームが出ない」

Facebook広告・Instagram広告の「自動配置」設定でもInstagramリールは配信先に含まれています。しかし、自動配置の場合はフィードやストーリーズにメインで配信ボリュームが出るため、Instagramリール面での配信ボリュームは伸びません。

ではリール面に絞って配信したらどうか?という点については、上記のテストでも1500円消費して「CV2件」発生しており、CPAだけ見ると安く獲得が出来ました。(通常CPA2000~4000円程度の商材です)

しかし重要な要素である「配信ボリュームが伸びない」という点が大きな課題となりました。
ターゲティング設定が狭いわけでもなかったため、配信設定側で配信ボリュームを伸ばす調整は難しいと予想されます。

動画クリエイティブのテストで配信ボリュームが改善するかは検証していませんが、上記のテストでも8本の動画を使用しテストしていたため、動画クリエイティブの違いでの配信ボリューム改善は難しいのではないかと考えています。

リール広告の成功事例とコンバージョン目的での活用

リール広告の成功事例として、アプリ広告でリール面を活用した際に大きく改善したという事例がMeta社公式で展開されています。
フルスクリーン動画でアプリの機能やどう使うのか、何が得られるのか等の必要な情報を伝えられるという点と親和性が高かったと考えられます。
外部リンク:https://www.facebook.com/business/success/instagram/plantin?ref=search_new_0

リール広告の実施で「好感度が上がった」という事例もあるため、エンゲージメント目的での活用方法にはマッチする可能性があります。
外部リンク:https://www.facebook.com/business/success/instagram/sephora-uae?ref=search_new_1

上記、どちらも海外の事例であるため、日本での活用ではどうなるかは検証する必要があります。
しかし「コンバージョン目的」での配置面のひとつとして考えた場合は、CPMは安いが配信ボリュームも出ないため、リール面に絞り込んでまで配信する意味はあまりないでしょう。

配信が出ればCPMは安く効率的であることと、「フルスクリーン動画」を作成することで影響を受ける面はリール面以外にもある(ストーリーズやAudienceNetwork等)ため、自動配置での運用にてフルスクリーン動画のクリエイティブを入れておく、といったような運用が良さそうです。

リールを利用しているユーザーは増えているとのことなので、今後更にアップデートされた場合はまた別の結果が出る可能性はあります。2022年3月のテスト結果としては上記だったということで、参考にして頂ければ幸いです。

最新データに関しては絶賛検証中のため、後日公開をご期待ください。

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角本 梨紗

デジタルアスリート株式会社 HR戦略部 部長 Facebook広告を中心に担当してきており、当社がFacebook広告(Meta広告)認定代理店になるための取り組みにも従事。 無事認定代理店となってからも、Meta社の担当と定期的に情報交換をしながら自社のFacebook広告の発展に取り組みました。 「今がベストではない」は常々思っているので、日々自分も、仕事のすすめ方もアップデートを模索してPDCA回しています。 旅行が好きなのでご時世的につらい日々を送っています。そんな中でもなんとか楽しい予定を作って自分の機嫌を取っています。 社内ではタイピング最速の人。自己ベストは寿司打7.7key/秒。 新領域であるHRに異動になったため、これまで培ったマーケティングの知識・スキルを採用活動フルに活かしていくつもりです。

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