TikTok広告で成果を出すには?ターゲティングと成功の型

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小田宮啓太

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TikTok広告で成果を出すには?ターゲティングと成功の型

Webマーケティングの世界で、注目を集めている媒体の一つが「TikTok広告」です。

しかし、導入を検討する企業の担当者からは「仕組みが複雑そう」「自社の商品がマッチするかわからない」といった声も少なくありません。

本記事では、TikTok広告の基本的な仕組みから、詳細なターゲティング設定、そして成果を出すための戦略まで解説します。

TikTok広告とはどのようなものか

TikTok広告とは、ショート動画プラットフォーム「TikTok」内に配信される動画広告のことです。

主にユーザーが動画を閲覧する「おすすめフィード」の間に、一般の投稿と同じ形式で流れてきます。

最大の特徴は、スマートフォンの全画面を使った「縦型動画」である点です。視覚的な情報量が多いうえに、音声あり(サウンドオン)での視聴が前提となっているため、商品やサービスの魅力をダイレクトに伝えることが可能です。

また、ユーザーは広告を「コンテンツの一部」として受け取る傾向があり、自然な形で認知を獲得できる媒体として、注目を集めています。

TikTokが持つプラットフォームとしての特性

TikTokを単なる「若者のダンス動画アプリ」と認識しているなら、その情報はアップデートが必要です。

現在のTikTokは、幅広い世代が利用し、実際の購買行動に直結する「発見と購買のプラットフォーム」へと進化しています。

まず、利用者の年齢層についてです。現時点での日本のTikTokユーザーの平均年齢は36歳です。10代や20代だけでなく、30代以上のユーザー数も多く、購買力のあるビジネスパーソンやファミリー層が日常的に利用しています。

TikTokが持つプラットフォームとしての特性

また、ビジネスへの活用という点でも変化が起きています。BtoB企業やニッチな業界こそが、TikTokで成果を上げるケースが増えているのです。

警備会社や産業廃棄物処理業者などが、普段は見られない現場の様子をコンテンツ化し、採用やリード獲得に成功しています。「堅い業界だから関係ない」というのは過去の考え方です。

さらに、ユーザーの行動変容も顕著です。約6割のユーザーが、TikTokをきっかけに商品の購入や店舗訪問といった具体的な行動を起こしています。

Google検索の代わりにTikTokで情報を検索し、そのまま購入に至るケースも珍しくありません。TikTokは、情報の「発見」から実際の「購買」までを一気通貫で担う、新しいプラットフォームといえます。

TikTok広告ならではの強みと特徴

TikTok広告には、「発見」と「没入」という2つの大きなメリットがあります。これらが組み合わさることで、広告は単なる宣伝ではなく、ユーザーにとって価値ある情報となります。

メリット①潜在顧客の開拓力

TikTok広告は、ユーザーが検索するのを待つのではなく、おすすめフィードを通じて「新たなニーズ」を提案します。ユーザー自身も気づいていなかった欲しいものを発見させることができるのです。

これを支えるのが、ユーザーの直近の行動(動画の視聴完了やいいね等)を分析する高度なターゲティング技術です。

メリット②ブランドの世界観への没入感

全画面かつ音声ありの環境で動画が再生されるため、商品やブランドの世界観をリッチに伝えることができます。ユーザーが集中して視聴するため、メッセージが記憶に残りやすく、高い広告想起率が期待できます。

また、動画の「質」が評価される公平性も特徴です。広告の面白さや有益さが重視されるため、企業規模に関わらず、アイデア次第で大きな成果を出すことが可能です。

TikTok広告における種類の違い

TikTok広告は、目的や運用スタイルによって「運用型広告」と「予約型広告」の2種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、自社のフェーズに合わせて使い分けることが重要です。

運用型広告(オークション広告)は、日々のデータを分析し、改善を繰り返しながら運用するタイプです。少額から開始でき、リアルタイムで設定を変更できるため、費用対効果(ROAS)を重視する獲得目的の施策に適しています。

一方、予約型広告(ブランド広告)は、アプリ起動時などの目立つ広告枠を期間指定で買い切るタイプです。短期間で多くのユーザーにリーチできるため、新商品の発売時など、市場での認知を一気に高めたい場合に有効です。

特徴 運用型広告 予約型広告
主目的 事業成果の獲得(ROAS最大化) 認知獲得・話題醸成
アプローチ データ分析に基づく改善 インパクト重視の露出
ターゲット コンバージョン確率が高い個人 特定のタイミングでの市場全体
柔軟性 高い(リアルタイム調整可) 低い(事前契約が必要)
費用感 変動的(少額から可) 固定的(高額)

成功している企業の多くは、まず「運用型広告」で勝ちパターンを見つけ、その後に「予約型広告」で市場シェアを拡大するというステップを踏んでいます。

TikTok広告におけるターゲティングの仕組み

広告の効果を最大化するためには、「誰に届けるか」というターゲティング設定が極めて重要です。

TikTok広告では、基本的な属性から独自の行動データまで、以下の4つの手法を組み合わせて設定します。

①ベーシックターゲティング
②行動・興味関心ターゲティング
③カスタムオーディエンス
④類似オーディエンス

これらを精密に設定することで、広告費の無駄を省き、確度の高いユーザーにアプローチできます。

TikTok広告におけるターゲティングの仕組み

ベーシックターゲティング

広告配信の基礎となるのが、ユーザーの属性情報に基づくベーシックターゲティングです。

年齢は「13~17歳」から「55歳以上」まで6つの区分で指定でき、登録生年月日に基づくためデータとしての信頼性があります。

性別は「男性」「女性」「無制限」から選択します。

地域設定では都道府県単位での指定が可能なため、実店舗への集客を狙う場合にも有効です。

また、通信環境(Wi-Fiのみなど)や、デバイスの種類(OS、キャリア、端末価格帯)での絞り込みも可能です。高価格帯の端末を持つユーザーを指定することで、間接的に購買力の高い層を狙うといった使い方もできます。

これらは単体で使うよりも、他のターゲティングと組み合わせることで真価を発揮します。

行動・興味関心ターゲティング

TikTok独自のアルゴリズムを活用し、ユーザーの興味や行動に合わせて配信するのがこの手法です。

「行動ターゲティング」は、直近7日間や15日間という短い期間でのアプリ内行動に基づきます。特定のカテゴリーの動画を「最後まで見た」「いいねした」といったエンゲージメントの高いユーザーを狙い撃ちできます。

たとえば、直近で「キャンプ飯」の動画をよく見ているユーザーにアウトドア用品の広告を出す、といったことが可能です。

「興味関心ターゲティング」は、より長期的な視聴傾向から、ユーザーの潜在的な好みを捉えるものです。グルメ、美容、金融、ゲーム、旅行など、用意されたカテゴリーの中から、自社商材にマッチする層を選択します。

「行動」で直近の熱量を、「興味関心」で長期的な嗜好を捉えることで、精度の高い配信が実現します。

カスタムオーディエンス

自社が保有するデータを活用して、特定のユーザー群に配信するのがカスタムオーディエンスです。

具体的には、Webサイトに設置した「TikTok Pixel」のデータを使い、サイト訪問者に対してリターゲティング配信を行ったり、既存顧客のメールアドレスリストをアップロードして新商品を案内したりできます。

また、過去に自社のTikTok広告に反応したユーザーだけをリスト化して、再度アプローチすることも可能です。

すでに自社への関心がある、あるいは接点があるユーザーを対象とするため、高いコンバージョン率が見込めます。(リスト作成には最低1,000人以上のデータが必要です。)

類似オーディエンス

ビジネスを拡大させるための強力な機能が、類似オーディエンスです。

これは、既存の優良顧客リスト(ソースオーディエンス)をAIに学習させ、その行動パターンと似ている新規ユーザーを自動で探し出す機能です。

類似度は「上位1%(精度優先)」から「上位10%(リーチ優先)」の間で調整可能です。

既存顧客を除外設定にすることで、無駄な配信を防ぎつつ、見込みの高い新規層へ効率的にアプローチできます。手動の設定では見つけられない「未来の顧客」を発見できるのが、この機能の最大の利点です。

TikTok広告で成果を出すための戦略ポイント

TikTok広告で成功するためには、ただ配信するだけでなく、媒体の特性に合わせた戦略が必要です。ここでは成果を出すための3つのポイントを解説します。

戦うべき市場を正しく選定する

マーケティングの鉄則は、勝てる場所で戦うことです。現在、多くのWeb広告媒体は競争が激化し、広告費が高騰する「レッドオーシャン」となっています。

対して、TikTok広告はまだ競合の参入が比較的少なく、競争が緩やかな「ブルーオーシャン」といえます。

CPA(顧客獲得単価)を低く抑えやすく、アイデア次第で先行者利益を得られる可能性が高い状態です。競合が本格参入していない今こそが、低コストでシェアを獲得するチャンスです。

成果が出る「勝ちパターン」で制作する

動画クリエイティブには、成果に繋がりやすい「型」が存在します。以下の3つの要素を盛り込むことが重要です。

①冒頭2秒の「問いかけ」

スクロールされないよう、「実は〇〇って知っていました?」といった驚きや疑問でユーザーの指を止めさせます。

②視聴者への「発見」

新しい情報や意外な事実を提示し、「知らなかった」「役立った」という感情を引き出します。

③記憶に残る「パワーワード」

商品特徴を一言で表すキャッチーなフレーズ(例:「塗るあぶらとり紙」など)を使い、印象に残します。

この3要素を意識することで、最後まで視聴され、アクションに繋がる動画が完成します。

TikTok広告で成果を出すための戦略ポイント

高まった熱量を逃さず獲得へ繋げる

動画で興味を持ってもらった後、受け皿となるランディングページ(LP)で離脱されては意味がありません。動画からLPへのスムーズな連携が不可欠です。

動画とLPの世界観(トンマナ)を統一し、動画で使ったパワーワードをLPの冒頭にも配置します。

また、動画内で約束した情報やオファーを、LPのファーストビューですぐに提示することも重要です。一貫性のある体験を提供することで、動画で高まったユーザーの熱量を維持したまま、購入へと導くことができます。

TikTok広告を活用した業界別成功事例

TikTok広告は、特定の業種に限らず、多種多様なジャンルで成果が出ています。ここでは4つの業界における弊社でご支援した成功事例を紹介します。

化粧品

ある化粧品ブランドでは、TikTok広告を導入した結果、他の媒体と比較してCPAを半分以下に抑えることに成功しました。

動画クリエイティブの改善サイクルを高速で回し、ユーザーの反応が良い表現を突き詰めたことが勝因です。

視覚的に効果を伝えやすい化粧品は、TikTokと非常に相性が良いジャンルです。

TikTok広告 コスト CV CVR CPA
910,945円 180件 1.71% 5,061円
YouTube広告 コスト CV CVR CPA
1,421,114円 183件 1.36% 7,766円
Meta広告 コスト CV CVR CPA
7,417,266円 1,276件 1.72% 5,813円

また、動画の改善ではCPAが1/2以下になりました。

CTR CV CVR CPA
0.96% 11件 4.62% 3,174円
CPA:8,360円→3,174円

サプリメント

既存媒体での獲得単価高騰に悩んでいたサプリメント企業は、TikTok広告が救世主となりました。

安価かつ大量のコンバージョンを獲得できるようになり、事業全体の広告費用対効果(ROAS)が大きく改善しました。

コンプレックス解消などのストーリー性がある商材は、動画での訴求が効果的です。

12月 コスト CV CVR CPA
全体 1,358,491円 128件 1.69% 10,613円
Meta 1,257,781円 109件 1.64% 11,539円
TikTok 100,710円 19件 2.08% 5,301円
1月 コスト CV CVR CPA
全体 983,370円 115件 1.51% 8,551円
Meta 695,458円 76件 1.78% 9,151円
TikTok 287,912円 39件 1.17% 7,382円

TikTok広告の数値が全体CPAの引き下げに貢献しました。

ペット関連商品

ペット関連商品は、TikTokへの参入事例が少ないジャンルでしたが、運用開始からわずか2ヶ月で成果を拡大させました。

ペットの動画はユーザーの滞在時間が長く、自然に商品の魅力を伝えることができます。ニッチな商材であっても、潜在層へアプローチできるTikTokであれば市場を開拓できます。

3月 コスト CV CPA
全体 870,653円 45件 19,348円
4月 コスト CV CPA
全体 2,057,419円 188件 10,944円

占いコンテンツ

競争が激しい占いジャンルにおいても、TikTok広告は有効です。

独自の運用ノウハウにより、目標とするCPAを維持したまま、安定的にコンバージョンを獲得しています。

占いや診断といったコンテンツは、ユーザーが「自分事」として捉えやすく、高い反応率が期待できます。

TikTok広告
コスト CV CVR CPA
2月 562,400円 243件 4.99% 2,314円
3月 350,986円 163件 5.98% 2,153円
4月 89,806円 42件 5.02% 2,138円
5月 489,402円 275件 6.64% 1,779円
6月 676,580円 377件 7.76% 1,795円

まとめ

TikTok広告は、36歳という平均年齢層が示す通り、ビジネスパーソンやファミリー層を含む幅広いユーザーにアプローチできる媒体です。

「発見」から「購買」までを繋ぐ独自のアルゴリズムと、精度の高いターゲティング機能を活用することで、ビジネスを大きく加速させる可能性があります。

まずは競合が少ない今のうちに、「運用型広告」で自社の勝ちパターンを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。

動画クリエイティブの「型」と、適切なターゲティング設定を組み合わせることで、確かな成果が期待できます。

Writer

小田宮啓太 記事一覧

大学でマーケティングと経営を専攻後、デジタルアスリート株式会社に入社。現在はマーケティングセールス部で、自社マーケティング(主にSEO戦略)とセールス活動の両方を担当しています。専門分野における確かな知識と経験を活かし、企業の成長に貢献することを目指しています。

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