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目次
CV数を増やすと、基本的にCPAは高くなる
まずリスティング広告において、「CV数を増やす=これまでより獲得しにくい層に向けて広告を出す」ということを理解する必要があります。
一般的にユーザーを大まかに分類すると、「今すぐ客」「見込み客」「潜在顧客」の3つに分けることができます。そして、それぞれに獲得コストが異なります。下記の図をご覧ください。
この中で「今すぐ客」は、自分の悩みや抱えている問題点を認識し、解決するために検索などの行動を取っているユーザーです。既に商品の必要性を認識していますので購入につながりやすく、広告主としては“理想的な見込み客”です。
リスティング広告でリーチできるのはこの「今すぐ客」がほとんどであり、購買意欲が高い層を狙い撃ちできるのです。そのためリスティング広告は、費用対効果の高い広告と言われます。
しかし、リスティング広告はユーザーがキーワードを検索して初めて広告が表示されるため、キーワードの検索ボリュームが市場としての限界となります。
いわば、魚が釣れる池の大きさが初めから決まっているようなものです。
したがって、最適化を重ねて従来のキーワードで安定して取れるようになった広告で、更にCVの獲得数を拡大していくためには、今すぐ客でなく、見込み客・潜在顧客へリーチを増やさなければなりません。
潜在顧客の獲得にはコストがかかる
しかし、見込み・潜在顧客はまだ商品への認知や購買意欲、問題意識が高くないという問題点があります。
彼らは、商品を「欲しい」と思っていないために、購買に結びつく可能性も「今すぐ客」と比べれば低くCVRも当然低くなってしまいます。
つまり、獲得するためにかかるコストも高くなってしまうのです。
冒頭でお話した「CPAを下げる」「CV数を増やす」が理論上、両立しないということが理解いただけたのではないでしょうか。
つまり、CV数を拡大するために見込み層・潜在顧客へアプローチすれば、CPAが高くなるのは自然なことなのです。
しかしこのユーザー層の変化を認識していないと、予想していなかったCPAの高騰に慌ててしまい、CV数の拡大自体を無意識のうちに諦めることになってしまいます。
とはいえ、いつまでたっても限られた大きさの池(市場)で釣りをし続けるだけでは、CV数の大幅アップは望めませんよね。
また、このように池を1つしか持っていない場合、その池の魚(見込み客)を取りつくすことによって売上が頭打ちになり、状況の変化(競合の進出や社会状況の変化)によっては、ビジネス自体に大きな影響を受ける可能性があります。
売上拡大・リスク管理のためには、段階に応じて広告の配信を拡大して行くことが必要です。
獲得したい層に合わせてCPAは調整するもの
広告運用では、追うべき指標や目標CPAを決めることは重要です。
しかしその基準は、いつどんな時にも変わらないものではありません。ターゲット層を変えて広告を出稿する場合など、基準を設定しなおす必要があります。
広告運用の予算を決定する時の計算式を思い出してみましょう。
CV数アップのために新たな予算を設定する時、目標CV数だけを上げることは出来ません。同時に目標CPAも引き上げる必要があるのです。
しかし、目標CPA自体もビジネスにおける粗利率や平均購買価格、LTVなどから計算して算出するものですから、「これまでは10,000円だったけど、来月から20,000円に」とはいきませんよね。
つまりCPAを上げるためには、粗利率や平均購買価格、LTVなどビジネスの仕組みから手を入れる必要があるのです。
↓
②配信を拡大すると悪化するCPAを許容するために、目標CPAを引き上げる
↓
③目標CPAを上げるために、粗利率や平均購買価格、LTVなどの仕組みを改善する
ここまで考えて進めることで、ようやくCV数を大幅にアップするための準備が整います。
とはいえ、実態として多くの企業や運用担当者は①を行なうだけで、②の基準の再設定や③のビジネスの改善を行なわず、従来のCPAにとらわれた運用をしてしまうのです。
目標CPAを引き上げるための3つの方法
具体的に目標CPAを上げるためには、以下のような方法が考えられます。
◆粗利を増やすため販売価格を引き上げる
商品の販売価格を上げることで、当然ですが1人あたりの利益が増加します。
競争が激しい商品の場合、「商品価格を上げるなんて」と思われるかしれませんが、実は商品価格を上げることによって、かえって売上数自体が伸びることもあります。たとえば500円だったものを、1,980円にしたら沢山売れるようになったといった事例もあるのです。
安い方が売れる。競合に勝つためには価格を抑えないと……と思ってしまいがちですが、価格を上げることでユーザーへの印象や比べられる対象が変わり、比較された時に有利に働くこともあります。
現在の販売価格が、売上を最大化する上で適切なのかを判断するためにも、販売価格はいくつかのパターンでテストする価値があるでしょう。
◆客単価を増やすためクロスセル・アップセルの仕組みを作る
クロスセルとは、購入した商品やサービスに関連して違う商品を購入してもらうことであり、アップセルとは、購入した商品を、より上位の商品・サービスに移行してもらうことです。
美容液の場合だと、それぞれ以下のような施策が考えられます。
美容液の購入者に、フェイスパックもあわせて購入してもらう→クロスセル
美容液のサンプルを購入した人に、本商品を購入してもらう→アップセル
購入する商品が増える分、また購入価格が増える分売上アップに貢献します。
この場合も、一緒に買われやすい商品は何か、どのタイミングでセールスをするのが最も効果的かなど、売上を最大化するという視点でテストをするのが良いでしょう。
◆LTVを増やすためリピートや顧客のファン化の仕組みを作る
1人の顧客が自社で商品を購入してくれる期間が長ければ長いほど、その顧客からの売上は増えます。
そのためには途中で商品の購入が途絶えたり、他社の商品に乗り換えられないように、顧客と継続的に接触を持ち、関係性を築くことが大事です。
そして最終的には、あなたの会社の「ファン」になってもらい、競合と比較することなく「この会社の商品だから買いたい」というくらいに惚れ込んでもらうことが理想です。
そのために必要になるのが、リピートしてもらうための施策です。よく取られる手法としては、以下の手法があります。
・商品と一緒に届く同梱物に力を入れる
・DMでキャンペーンや新商品の情報を送る
・自社のメディアを使って、情報を発信している
・サポートセンターを使って、ユーザーからの問い合わせに答える
まとめ
広告が良いCPAで推移していると「何とか数字を悪化させないで、CV数だけ増やしたい」と考えてしまいます。
もちろん、管理画面上の調整や広告運用の効率化によって、CPAを変えずにある程度CVを増やせる場合もあります。
しかし、「CVを増やす=より購買につながりにくいユーザーも対象にすること」という本質を理解すれば、それには限界があることが分かるでしょう。
CV数を増やすという目標のためには数字の悪化についてはある程度許容しつつ、本質的な改善を行なっていくことが大切です。
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