リスティング広告で成果を出すための広告グループ構成のポイント

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塚原 知紗

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リスティング広告を始める時、まず「アカウント設計」に悩む人は多いのではないでしょか。

・1つのキャンペーンに広告グループはどれぐらい設定すればよいのか?
・はたしてこの考え方であっているのか?

など、不安な気持ちになると思います。

アカウント構成で一番重要といっても過言ではないのが広告グループの構成内容です。
本記事では、広告グループの役割を理解するとともに、運用後にも最適化しやすいグループ構成方法のポイントをまとめています。

実際に弊社が運用しているやり方で、広告運用をマスターする有料セミナーでもお伝えしている内容となりますので、読み終えたら実践してみてください。

広告グループの役割を正しく理解する

広告グループは、構成内容がそのままアカウントの結果に影響を及ぼすくらい、アカウントの中でも重要な要素です。

まずはアカウントの構成全体を正しく理解した上で、広告グループがなぜ大事なのか、どのような役割があるかを本章では説明していきます。

どのような商材であっても考え方は同じなので、まずは本章で基礎をきちんと理解していきましょう。

アカウント構成の全体像

リスティング広告のアカウントは、「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」「広告」の4つから成り立っています。

以下の図のように、大きな箱の中にさらに小さな箱が入っているイメージです。

▼アカウント全体像

リスティング広告のアカウントの中にはキャンペーンという大きな箱があり、そのキャンペーンの中に複数の広告グループの箱があります。 さらに広告グループの箱の中にキーワードと広告があります。

広告グループの役割

広告グループでは、同類の意味を持つキーワードや広告をまとめた単位で、キーワードと広告をグループごとに作成します。

広告グループでできること ・入札単価の設定 ・キーワードの設定 ・広告文の設定 ・表示用URLの設定 ・配信デバイスの設定 ・各種ターゲティングの設定

実際に広告グループで設定した内容は以下のようなかたちでユーザーには見えます。

▼広告表示例

最適化しやすい広告グループを構成するときののポイント

検索キーワードによってユーザーの目的は変わります。
広告グループを構成するときの最も重要で基本となる考え方は、ユーザー視点に立って広告を作成することです。

この基本を押さえた上で、昨今の広告の傾向や仕様変化にあわせてカスタマイズしていくことで、効率的に成果が出せるグループ構成になります。

この章ではどうやったらユーザーが広告に興味を持ってクリックしてくれるか、広告グループの基本的な考え方と運用フェーズや重要視する目的ごとにアカウント構成例を説明していきます。

広告グループの基本的な考え方は「キーワード」「広告文」「表示URL」

広告グループでは、上記の図のように「キーワード」「広告文」「表示URL」を設定することができます。

ユーザーがキーワードを検索した結果に表示される広告は、広告グループ単位でキーワードと広告文が紐付いて表示されることになります。

そのため広告グループ構成では、このキーワードと広告文、表示URL先の関連性が高いことが重要です。

この関連度の指標として品質スコアがあります。
良い広告グループはキーワードや広告文、リンク先の関連性が高いので、品質スコアも高く、結果、掲載順位も上がりクリック率も上がります。

品質スコアについてもっと詳しく知りたい方はこちら。

自動化機能を有効活用するためにもまずは「hagakure」構造で構築

広告グループの関連性を高めるための設計の考え方として、以前は1広告グループ1キーワードのみの設定をするという考え方が推奨されてきました。

しかし、最近は自動化機能の拡大と精度向上のスピードが著しいです。
そのため、データ収集、蓄積してPDCAをまわすことが優先されてきているために、Google広告では「hagakure」「GORIN」「MUGEN」「Seach Excellence」といった構造が推奨されています。

自動化運用の学習効果を最大にする構造が推奨されている

それぞれの構造にどういった違いがあるのか簡単に説明していきます。

「hagakure構造」
同じ検索意図のKWは1つのグループに集約するアカウント設計
インプレッション(IMP)を集約することでデータが蓄積しやすい手法

「GORIN構造」
ユーザーが求めた情報を正確に、適切なタイミングで届けることを重要視
機械学習を使ってCPAを守る手法

「MUGEN構造」
ビジネスの成長をする為に意味のあるインプレッションの拡大を重要視
機械学習を使ってCVを増やしにいく手法

「Seach Excellence構造」
MUGENで最大化を図ったインプレッションに対して適切な広告を配信してCVRを高める手法

以前は、「1広告グループ、1キーワード」のアカウント構造が正しいとされてきたのですが、これらは全く正反対の考え方です。

アカウント構造をシンプルにすることでImpが集約され品質スコアが改善したり、広告文のテスト等の工数も減るのでPDCAを早く回すことができるメリットがあります。

hagakure、GORIN、MUGENについてもっと詳しく知りたい方はこちら


まずは「hagakure構造」で機械学習のベースをつくる

最新でいうと「Seach Excellence構造」になりますが、ベースとなる構造が「hagakure構造」です。

自動化運用は機械が学習する時間が必要となり、そのためには一定のCV数が必要となります。
まずはベースとなる「hagakure構造」で学習効果を高めてから、別の構造へと応用させていきます。

予算規模に応じて設定するグループ数を決める

本章ではベースとなる構造の「hagakure構造」をメインに説明していきます。
広告運用は、どのタイミングでどんな戦略で運用するかによって成果が大きく変わってきます。

ここでは、

・少額予算で始める場合や改善・拡大期といった運用の各段階での考え方
・獲得効率重視・CV品質重視といった広告運用の目的別

などにグループ構成を説明していきます。
広告運用の段階や、広告成果において何を重要視したいかを意識してぜひ読み進めてください。

予算が少額(目安20万以下)の場合は1グループでスタート

アカウント構成の段階でどんなにしっかり考えても、必ず成果が出るわけではありません。
運用型広告というだけあり、運用していく過程でPDCAを回して改善をしていきます。

とくに予算額が少額で運用スタート時は、できるだけ少ない項数で早く出稿するという効率性を優先しましょう。

予算が少額(目安20万以下)の場合は1広告グループ構成を推奨します。
理由としては、少ない項数なので早く出稿できる以外に、少ない予算を有効に活用できる点があります。

日予算が少ない中で複数のグループを作ってしまうと、表示回数もクリック数も分散してしまい、広告の評価や最適化に時間がかかります。

ある程度の予算(目安20万以上)の場合は複数グループを設定

ある程度の予算を使って広告を運用していく時は、グループを分けて運用していきます。
ただし、データを使って自動化を進めることを想定し、グループを細かくわけすぎないように気をつけましょう。

複数グループつくるときのポイントとしては、やはりユーザー視点に立つことです。
検索キーワードによってユーザーの目的は変わるので、その目的と一致した広告を出し、ユーザーの知りたい情報を取得できるページに誘導することです。

広告グループで「キーワード」「広告文」「表示URL」を決めることから、ユーザーの検索目的別にグルーピングすることを意識しましょう。

なお、同一グループ内で異なるリンク先の設定は審査落ちの原因となるので、注意してください。
ECサイトなど複数ページがあるサイトへの広告出稿の場合は、ページごとに広告グループを分ける必要があります。

最適化しやすい広告グループは「キーワード」と「表示URL」視点で構成する

実際に複数グループを構成する場合は大きくわけて以下の2つの視点をもってわけていきましょう。

キーワード視点でグループを分ける

1つの広告グループにいくつかのキーワードをまとめて設定します。
まとめる際のポイントとしては似たキーワード、いわゆる訴求が同じものをまとめていきます。

ユーザーは自分が欲しい情報がありそうと思った場合にその広告文をクリックします。
キーワード訴求が違うキーワードが同じグループに入ってしまっていると、広告文での訴求が弱くなってしまい、自分が欲しい情報ではないと判断されてしまう可能性がでてきてしまうので、必ず同じ訴求のキワードを同一グループにまとめましょう。

▼訴求ごとに広告グループのキーワードを設計した例
(例)ハーブティー通販

広告グループ:ダイエット 広告グループ:便秘
ダイエット お茶 便秘 お茶
ダイエット ティー 便秘 解消

(例)広告代理店

広告グループ:広告代理店 広告グループ:セミナー
リスティング広告 代行 リスティング広告 セミナー
Facebook広告 代行 Web広告 講座

ユーザーの知りたい情報に類似したキーワードをまとめることで、訴求する広告文や表示させるページもマッチするため、広告グループの関連性が高くなります。

表示URL先視点でグループをわける

1つのグループには1つの表示URLしか設定できません。
複数ページある場合は、ページごとにグループをわけて、ユーザーが知りたい情報が乗っているページに広告から直接誘導できるようにしましょう。

▼キーワードと表示URLが紐付いている良い広告グループの設計例
(例)広告代理店

広告グループ:Web広告 広告グループ:セミナー
リンク先:サービス説明 リンク先:プレセミナー募集
リスティング広告 代行 リスティング広告 セミナー
Facebook広告 代行 Web広告 講座
PPC広告 コンサル ウェブ広告 スクール

(例)食料品販売サイトの場合

広告グループ:スイーツ 広告グループ:飲料
リンク先:スイーツ商品ページ リンク先:飲料商品ページ
チョコレートケーキ コーヒー
ショートケーキ コーラ
アップルパイ

品質スコアを上げるためにも、キーワードと広告文の関連性は重要です。
属性の違うキーワードを同じ1つのグループにまとめてしまうと、キーワードとは関連性の低い広告文が表示され、品質スコアが低下しやすくなります。

また、ユーザーの検索目的が違うキーワードを1つの広告グループにいれてしまうと、表示させる広告文もユーザーの検索意図と違った広告となりクリックされにくくなってしまいます。
結果、品質スコアが低下しやすくなりますので気をつけましょう。

広告グループの最適化方法

どんな内容のグループかがわかるように広告グループ名をつける

広告グループを設計して運用開始してから、データを分析しながら最適化をしていきます。
この時重要なのが、アカウントを見たときに何のグループかがひと目でわかるようになっていることが望ましいです。

(例)セミナー募集のキャンペーン内で構成するグループの場合

良いグループ名
グルーピングされているキーワードが連想できるケース

グループ名:Web広告
キーワード:Web広告 講座/ウェブ広告 スクール/Web集客 講座
グループ名:リスティング広告
キーワード:リスティング広告 セミナー/リスティング広告 コンサル/PPC広告 セミナー

悪いグループ名 
→グルーピングされているキーワードが連想できないケース

グループ名:セミナー募集1
キーワード:Web広告 講座/ウェブ広告 スクール/Web集客 講座
グループ名:セミナー募集2
キーワード:リスティング広告 セミナー/リスティング広告 コンサル/PPC広告 セミナー

広告文のA/Bテストでユーザーがより反応する広告文をみつける

広告文は、ユーザーがアクションを起こすきっかけとなる重要な要素です。
広告文に魅力がないとあなたの広告はクリックされることがなく、せっかく検索した見込みの高いユーザーを競合他社に取られてしまいます。

品質スコアを意識するためにも、広告グループごとに設定しているキーワード軍からユーザーが何を求めて検索しているかというプロセスを意識して作成しましょう。

初期構築段階で、基準となるテンプレートを最低3つ作って広告グループ別にカスタマイズします。

こうしてABCパターンの広告文を作成してテストを行い、よりパフォーマンスの良いほうを採用し、さらにブラッシュアップして再度ABパターンでテストを行います。

なお、現在のGoogle広告の初期設定で広告のローテーションは「最適化」が設定されています。
手動で「最適化をしない」を選択しない限り、統計的に掲載結果の良い広告が優先的に配信されるようになっています。

そのため、より多くのクリック数が見込める広告が優先して配信されます。複数の広告文を設定した後、一定の差が出てきたら効果の悪いものは新しく広告文を作成して差し替えるようにしましょう。

単独のキャンペーン化をして配信ボリュームを調整する

月額予算から逆算して、各キャンペーンごとに日予算を設定しています。
その際に、配信がのびて予算制限がかかる場合があります。

どこの配信がまずのびているのかを確認し、配信が偏っていて、他のグループにも配信をしたい場合は、配信ボリュームが多いグループを単独でキャンペーン立てして、予算設定を行います。

このように、キャンペーンを独立することで、配信ボリュームは維持しつつも、既存キャンペーン内の他のグループにも配信される機会を作ることができます。

ユーザーアクションを見てグループ追加・停止をする

機械学習をさせるためにも、過度なグループ追加は避けましょう。

しかし運用の結果、品質スコアが悪いキーワードで、既存グループの属性と違うと判断した場合は、別グループに移動させる、または新規でグループを作成しキーワードと広告文の関連度をあげましょう。

また、広告文のABテストなどを行っても成果がでないものは、成果の出ているグループに予算を集中させるために停止させます。

しかし単純に「高いから止める」と判断するのではなく、中長期的な成果を考えて止めるべきかどうか判断することが大切です。

例えばCPAが合わないグループを停止していった結果、CPAは合っているがコンバージョン数が少なく、伸びしろもないアカウントになってしまう可能性があります。

広告を使って売上を拡大していくなら、できるだけ対象を狭めずに運用していきたいものです。
予算との兼ね合いもありますが、「CPAが合わないから停止」と安易に判断せず、アカウント全体でCPAを合わせながら拡大していく方法を考えてみるなど、停止の判断は慎重に行いましょう。

まとめ

リスティング広告は未経験からでも比較的始めやすいですが、運用者によって成果が大きく変わります。その時、スキルや分析力ももちろん大事ですが、どれだけ根気よくPDCAをまわせるかが長期的には重要となります。

よって継続的に運用していくために、最適化しやすいグループ構成が成功の鍵となります。
グループの役割をしっかりと理解して運用をスタートしましょう。

ユーザーニーズに合わせてキーワードと広告文、URLの関連性を高くしようと思うと、広告グループを細かく分けたくなるかもしれません。
しかし、直近で推奨されているグループ構成では過度にグループを増やさない方針が主流です。

自動化の精度も上がってきているので、積極的にCVが出始めたら機械に任せるところ、運用者が時間をかけるところを分けて考えていくと効果がでやすいでしょう。

運用が安定して拡大路線に踏み切る時には、動的検索広告なども使ってみると、新たな検索ニーズ、キーワードの発掘にもつながります。ぜひチャレンジしてみください。

今回、推奨のグループ構造や運用フェーズごとの推奨グループ数をお伝えしましたが、あくまでも手法の1つです。

ユーザー視点に立った広告をつくる上で最適な構造は異なることもありますので、参考としてこの型を使い、運用しながら最適化を図っていってください。

Writer

塚原 知紗 記事一覧

デジタルアスリート株式会社 管理部 部長
大手通信系商社に新卒で入社。法務担当として、グループ会社設立および立ち上げ業務に従事。その後、インフラ系の会社に転職し、社長秘書として会社経営をサポート。
もともと独立願望があり副業をやっている中で、Webマーケティングの重要性と魅力を感じデジタルアスリート株式会社(旧:株式会社リスティングプラス)へ入社。
運用サポートから始まり、自社マーケティングやクライアントワーク以外にも経理や総務などリスプラのバックオフィスも担当し、現在は管理部門の統括を行っている。

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