【Google広告】全入札戦略の特徴と使い方を徹底解説

  • 2022.5.20
  • 2023.8.21
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ビジネスの目的に応じて、システム側で自動最適化を行うことができるのが、Google広告の入札戦略機能です。

しかし、いざ自分の広告アカウントに導入しようと思ったら、種類が多く何を選択すべきかわからないという悩みや、機械任せにして本当に大丈夫なのかという不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事ではGoogle広告の入札戦略の各種特徴から使い方、メリット・デメリットについて解説していきます。

入札戦略を正しく使いこなすことで、人の手では行うことができない細かな調整を可能にするため広告成果や運用効率の改善につなげることができるでしょう。

入札戦略は目的に応じて入札を最適化してくれる機能

Google広告の入札戦略とは選んだ目標(クリック、インプレッション、コンバージョンなど)に応じてシステム側で最適な入札を行うように自動で調整してくれる機能です。

また、コンバージョン数やコンバージョン値を重視した最適化を行う入札戦略の一部には機械学習を使用して入札を最適化してくれるスマート自動入札というものが適用されます。

人の目では確認できないデータを基に最適化できる

コンバージョン数やコンバージョン値を目標とした入札戦略では入札単価の最適化に機械学習が用いられます。

この機械学習では人の目では確認できない様々なシグナル(レポートで確認できるものもある)を基にユーザー一人ひとりの状況に合わせて入札単価を調整できるのです。

主なシグナルとして、端末・地域・時間帯・ブラウザ・曜日や時間帯・実際の検索語句やユーザーの行動履歴などが挙げられます。

このようにさまざまな情報を複合的に判断し自動最適化を行えるため、人の手では簡単に行えないような細かな調整を実現してくれるのです。

5つの入札戦略とその特徴

入札戦略を使用することで人が作業するよりも効率よく運用をすることが可能になりますが、複数の入札戦略から目的に合わせて最適な選択をしていかないとうまく機能することはありません。

そこでここからはGoogle広告の入札戦略で使用することができるメニューとそれぞれの特徴やどのように使用すると効果的なのかを詳しく解説していきます。

クリック数の最大化

こんな場合にオススメ
・運用初期のデータ集めに最適
・クリック単価を抑えてアクセスを最大化させたい場合

クリック数の最大化は、指定した予算内で多くのクリックを集められるよう調整を行ってくれる自動入札機能です。

クリック数を最大化できるよう入札が調整されるので、以降で解説するコンバージョン数の最大化や目標コンバージョン単価などと比較して、クリック単価が抑えられやすい傾向にあります。

運用初期にデータを集める時に使う

クリック数の最大化は指定した予算内でクリックをできる限り多く集めるよう調整を行ってくれるので、広告運用スタート時などクリック単価を抑えつつデータを集めるのに有効な入札戦略です。

クリック数の最大化を活用することで、クリックの集まりやすいキーワードやそのデータを用いて広告文の改善を進めやすくすることができるようになります。

目標インプレッションシェア(検索のみ)

こんな場合にオススメ
・ブランドキーワードなど上位キープしたい場合
・コンバージョン獲得の多いキーワードの取りこぼし防止

目標インプレッションシェアは検索広告のみで使用することができる入札戦略で、指定した割合で広告表示が行われるよう自動的に入札単価の調整が行われる入札戦略です。

また、広告の表示位置の指定も可能で「ページの最上部」「上部」「任意の場所」のいずれかから選択することができます。

例えば「ページ最上部のインプレッションシェア」の目標を「90%」に設定した場合、
広告が1位表示される可能性が合計100回あった場合、90回1位表示が達成できるようにクリック単価が自動的に設定されます。

商品名などのブランドキーワードで使用する

商品名など、すでに自社商品を認知し興味を持っていると思われる検索キーワードはコンバージョン見込みが高いと言えます。
確度が高い分、ライバルよりも広告を上位に表示させたいなどの場合に、目標インプレッションシェアを使用することで、取りこぼしを最小限に抑えることが可能です。

コンバージョン獲得数が多いキーワードで使用する

出稿してコンバージョン獲得数が多く、実績のあるキーワード群がある場合に取りこぼしを防ぐための手段としておすすめです。

コンバージョン数の最大化(スマート自動入札)

こんな場合にオススメ
・CPAよりもコンバージョン数重視で広告運用をしている場合
・予算内で最大限コンバージョン獲得を目指したい場合

この入札戦略は予算内でコンバージョン数が最大化されるよう、過去のコンバージョンデータをはじめ、様々なシグナルを基に機会学習を用いて入札単価を自動で調整を行ってくれます。

コンバージョン数の最大化を使用する際、目標コンバージョン単価をオプションとして設定することが可能です。

こんな場合にオススメ
・CPA重視でコンバージョン数を最大化させたい場合
・月に100件以上コンバージョン獲得があり、より多くコンバージョンを獲得したい場合

目標コンバージョン単価は指定した目標CPAに合わせてコンバージョン数を最大化できるよう入札単価を自動で調整してくれる入札戦略です。

また、この入札戦略ではスマート自動入札という、過去のコンバージョンデータをはじめ様々なシグナルを基に機械学習が働きコンバージョンの獲得効率を自動的に向上するよう機能します。

コンバージョンデータを溜めてから導入する

目標コンバージョン単価はどのタイミングでも設定することができますが、機械学習を使用するため前提としてコンバージョンデータがないとうまく最適化がかからず、CPAが高騰しやすいです。

そのため、目標コンバージョン単価を導入する場合は、過去30日間で100件以上のコンバージョンを発生していることが推奨されています。

高価格帯のサービスなどコンバージョンデータが集まりにくい場合は、カート追加、フォーム到達など実際のコンバージョンに近いアクションをゴールに設定する、マイクロコンバージョンを設定しそのデータを活用するといった方法もおすすめです。

CPA重視の運用の場合はおすすめしない

予算内でコンバージョン数が最大化されるよう最適化が行われるため、この入札戦略を使用するとCPCやCPAも高騰する傾向にあります。

そのため、CPAを重視した運用の場合はおすすめできません。すべてがこのようになるわけではありませんが、コンバージョン数の最大化を使用する際はCPCやCPAの高騰リスクを踏まえた上でコンバージョン数を重視したい場合のみ使用することをおすすめします。

コンバージョン値の最大化(スマート自動入札)

こんな場合にオススメ
・広告からの収益を最大化させたい場合
・ECサイトなど複数の商材を扱っている場合

この入札戦略は設定した予算内でコンバージョン値が最大化されるよう、機械学習を用いて入札単価を自動で調整を行ってくれます。

利益率の異なる複数商品を予算内で売上を増やしたい場合におすすめ

先程ご紹介した目標費用対効果とは違い、明確に広告費用対効果の目標が決まっておらず、利益率が異なる複数の商品を扱っているような場合におすすめの入札戦略です。

コンバージョン値を最大化を使用する際、目標費用対効果をオプションとして設定することが可能です。

こんな場合にオススメ
・ROAS重視で広告運用を行っている場合
・ECサイトなど複数商品を扱っている場合

目標広告費用対効果とは、目標とするROASに対してコンバージョン数が最大化するように、入札単価を自動で調整してくれる入札戦略です。

ROAS(Return On Advertising Spend)は投下した広告費の回収率を表す指標で、広告から得た収益を広告費で割ることで算出できます。

コンバージョン値を設定する必要がある

この入札戦略を使用する場合は、先程の目標コンバージョン単価のCPAではなく、費用対効果を重視する場合におすすめです。

ただし、その場合はあらかじめコンバージョン設定で1件あたりのコンバージョンの価値を設定しておく必要があります。

また、ECサイトのように価格の異なる商品を大量に扱っている場合などは、Google広告のコンバージョンタグかGoogle Analyticsのeコマース設定などを使って、商品ごとの売上が管理画面に反映されるようサイトのカスタマイズが必要です。
これには開発技術を要するので注意しましょう。

視認範囲のインプレッション単価(ディスプレイのみ)

こんな場合にオススメ
・認知目的で広告運用を最適化させたい場合
・ブランディング目的で広告運用を行っている場合

この入札戦略は通常の広告クリックに対して費用を支払うのではなく、視認範囲と判断された広告インプレッションだけを支払いの対象としたい場合に使用する入札戦略です。

広告が「視認範囲」と判断されるのは広告面積の 50% 以上が画面に表示され、かつディスプレイ広告では 1 秒以上の表示、動画広告では 2 秒以上の継続再生があった場合となります。

ブランディング・認知目的の運用の際におすすめ 

広告出稿の目的が商品やサービスの認知・ブランディングを目的とし、より多くのユーザーに広告を表示したい場合に有効な入札戦略となります。

入札戦略のメリット・デメリット

入札戦略はただ使えばいいというわけではなく、それぞれの入札戦略の特性やメリット・デメリットを理解した上で、目標や目的に合わせて選択していかなければうまくいくことはありません。

メリット

運用作業時間の削減

入札戦略を使用することで設定キーワードごとの細かい入札単価の調整が不要になるので、その分データ分析やそれらを基に広告文・クリエイティブの改善、マーケティング戦略の見直しなどに時間を使えるというメリットがあります。

配信効率の改善

入札戦略では広告表示の度に入札単価の調整が行われるため、手動で調整を行うよりも圧倒的に入札単価の調整頻度が上がります。そのため、無駄な広告費の削減といった効果に期待ができます。

配信精度アップ

一部の入札戦略では蓄積されたデータを基に機械学習を用いた調整を行うことができるため、人の手では実現することができない高度な運用が可能になるため配信精度アップに期待できます。

デメリット

もちろん入札戦略はメリットだけでなくデメリットも存在し、その中でも注意が必要な3つをご紹介していきます。

精度を上げるために十分なデータが必要

システムが最適化を行う判断材料となる、データが必要になるためアカウントに十分なデータが蓄積されていない場合、調整の精度も不安定になり手動で運用していたときよりもパフォーマンスの悪化を引き起こす可能性があります。

学習期間が必要になる

その1に挙げた内容と似たようなものになりますが、機械学習を用いた入札戦略の場合は最大で2~3週間程度の学習期間も必要になってくるため、その間パフォーマンスが思うように安定しないといったことが起こりやすいです。

パフォーマンス悪化に伴い各目標値に手を入れてしまいたくなりますが、機械学習にも影響を及ぼすため、我慢しなければいけない期間が発生してしまいます。

セール・季節変動に注意が必要

セールや季節変動などパフォーマンスが大きく変動する期間が発生する場合、その前後のデータも含めた最適化が行われるので、パフォーマンスが安定しないといったケースも発生します。
そのため一時的に手動で調整を行うなど動向を見ながら判断していく必要があります。

入札戦略の設定方法

入札戦略の設定自体はとても簡単でキャンペーン設定より行っていきます。

キャンペーン→設定→単価設定→入札戦略の変更から目的に合わせた入札戦略を選択し、入札戦略ごとに必要な情報を入力すれば適用されます。

複数キャンペーンで使用する場合はポートフォリオ入札戦略がおすすめ

複数のキャンペーンで1つの入札戦略設定を使用したい場合には、ポートフォリオ入札戦略を使用することをおすすめします。

設定は入札戦略の設定とほぼ同じで、
ツールと設定→入札戦略→新規作成ボタンよりポートフォリオ入札戦略を作成し、適用するキャンペーンを指定して設定完了です。

自動入札を使用しないほうがいいケースもある

入札戦略のメリットを踏まえると、すべてのキャンペーンに入札戦略を適用したほうがいいと思われがちですが、手動運用のほうがいいといったケースがいくつかあります。

ここでは、3つのケースをご紹介します。

配信期間が短いと学習に必要なデータが溜まらない

短期的なプロモーションなど配信期間が限られている場合はプロモーション期間中の大半を機会学習に使われてしまい、パフォーマンスを発揮しきれないまま配信が終わってしまう可能性があるため、このようなケースの場合は手動で運用を行ったほうが良い可能性が高いです。

導入前に機械学習に必要な期間が十分に確保されているのかを確認して上で導入するか否かを判断するようにしましょう。

少額予算の場合、最適化が機能しなくなる

月の予算が数万円など少額での運用の場合、設定している目標(CPAなど)とギャップが生まれやすく、配信が制限されてしまい最適化がうまく機能しないといったことになりがちです。

スマート自動入札を使用した入札戦略の場合はGoogle広告のヘルプにも、目標の10倍の予算設定を推奨とあるため、それを目安に予算が十分にあるかを判断し導入を検討することをおすすめします。

停止期間があるとデータの鮮度が落ち最適化がかかりにくい

パフォーマンスや予算の都合で配信停止期間などを挟むと、学習データの鮮度が落ち再開直後のパフォーマンスが安定しない傾向にあります。
入札戦略を使用する際は継続的に配信ができるよう、予算設定を行いましょう。

また、配信停止以外にもコンバージョンタグの設置ミスなどによるコンバージョン計測に不備があった場合も自動入札のパフォーマンスに影響します。

万が一配信停止やコンバージョン計測不備などのトラブルが発生した場合は、ポートフォリオ戦略の「データ除外」を設定することで、停止やトラブルがあった期間の除外ができ自動入札が正しく最適化されます。

もしくは配信直後の動向を見て一時的に手動運用に戻し、パフォーマンスが安定し次第、入札戦略に切り替えるということも可能です。

まとめ

入札戦略を使用することで、パフォーマンスの向上だけでなく、運用時間の削減など大きなメリットがありますが、使用する場合は各入札戦略の特性やメリット・デメリットをよく理解した上で、目的に合ったものを選択していく必要があります。

ただし、入札戦略を使用したからといって手放しの運用になるわけではなく、パフォーマンスに応じて目標の再設定やモニタリングは引き続き必要になるので、本記事を参考に正しく入札戦略を使い運用の最適化を図っていってください。

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青塚亮太

デジタルアスリート株式会社 D2C戦略部 課長 音楽関係の集客支援にて独立後、知人だった長橋を通してリスティング広告を知り魅力に取りつかれる。 自身にはWeb集客の力が足りないと実感し、創業期のデジタルアスリート株式会社(旧:株式会社リスティングプラス)へ入社。 作るもの、発信する情報が利用する側の立場から見て有益なものであるかどうか、といった視点で常に物事を考えるということを大事にしています。 また、自分に関わってくれる人への恩返しを信念に仕事をしています。 機械やプラモデルなど組み立てたり細かい作業が好き 将来の夢は暖かい海の見える場所でカフェをやること 好きな食べ物はラーメンとオムライス

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