【Google広告】総集編2022年アップデート情報

  • 更新日
  • 閲覧数 6,182 Views

清水 雄飛

SHARE

  • X
  • B!

2022年も終わりに近づいているので、2022年にリリースされたGoogle 広告のアップデート内容をまとめます。

細かなアップデートから、今後の動向が伺えるようなアップデートまで、様々なアップデートがあったので主要のアップデート内容をまとめていきます。

Google広告のリリース情報全般を確認したい方は公式のページがありますのでこちらをご確認ください。
Google 広告ヘルプ|新機能とお知らせ

P-MAX関連のアップデート

今年はP-MAX関連のアップデートが多くあった印象がありますね。GoogleもP-MAXの開発にはかなり力を入れている様子です。

その中でも今回は2つをピックアップしてご紹介します。

ショッピング・ローカルキャンペーンがP-MAXへ移行

わかりやすいアップデートは「ショッピングキャンペーン」と「ローカルキャンペーン」がP-MAXにアップグレードされた件ではないでしょうか?

EC商品を展開している事業や実店舗を持つ企業にとってはかなり大きな変更だと思います。

画像引用:スマート ショッピングキャンペーンとローカルキャンペーンのP-MAX キャンペーンへのアップグレードについて – Google広告ヘルプ

P-MAXキャンペーンを利用すれば、1つのキャンペーンからGoogle広告のすべての広告枠に配信ができます。
また、広告配信の最適化も機械学習によって行われるので、運用の工数を減らしながら成果を最大化できる、非常に便利なプロダクトです。

このアップデートについてGoogleは「初期テストの結果によれば、スマート ショッピングを P-MAX キャンペーンにアップグレードした広告主様では、それ以前と同じか高い広告費用対効果でコンバージョン値が平均 12% 向上しています。」という発表をしています。

今回は追加機能のリリースではなく、仕様変更の形でしたので、私たち広告主側は受け入れて、どのように活用していくかを考える必要があります。
スマートショッピングキャンペーンとローカルキャンペーンのP-MAXキャンペーンへのアップグレードについて – Google 広告 ヘルプ

P-MAXをどのように取り扱うべきか

P-MAX を簡単に説明すると、細かい設定は全てGoogleに任せてCVを向上してもらうキャンペーンです。

「細々した設定はGoogleのアルゴリズムに任せて、広告主側はより良い商品、良いクリエイティブ作成に専念してくれ」という、Googleの意向が伺えますね。

上記がP-MAXのざっくりとした方向性なので、P-MAXについては、広告主側でコントロールできる設定が他のキャンペーンと比べて圧倒的に少ないです。既にP-MAXで配信をしている方は設定できる箇所、確認できる指標の少なさに驚いたかもしれません。

そんな方は「分析情報」をご確認ください。

ここを見ると、P-MAXがどのような配信を行っているのか、おおよそ把握することができます。

▼分析できる項目

アセット オーディエンス分析
検索語句に関する分析情報
需要予測
診断に関する分析情報
変更履歴の分析
パフォーマンスの変動
ペルソナに関するオーディエンス分析
検索トレンド

これらもあくまで現状を把握できるだけで、それを踏まえてこのように配信して欲しいというコントロールはできませんが、自分では思いもよらぬオーディエンス属性や、検索語句からCVが発生している時などもあります。

P-MAXは基本的にGoogleにおまかせするものとして割り切った上で、そこで集めた情報を参考に、他のキャンペーンの施策を進めるのが良さそうです。
分析情報ページについて – Google 広告 ヘルプ

動画キャンペーンに関するアップデート

動画市場について、勢いこそTikTokが飛び抜けている状況ですが、GoogleのYouTubeもまだまだ負けておらず勢いがある媒体です。

そんなGoogle が2022年に出した動画広告の大きなアップデートは2つです。

コンバージョンリフト測定ができるように

コンバージョンリフト測定では、コンバージョンやサイトアクセスなど、広告を見たユーザーが直接行ったコンバージョンアクションの数を測定します。
コンバージョンリフト測定データを使用すると、どの動画広告がどれだけCVに寄与しているのかを計測することができるようになります。

仕組みとしては、動画広告を見た人と、見ていない人でCV数の比較を行い、動画広告の広告効果を算定します。

ただしコンバージョンリフト測定ができるキャンペーンタイプは限られており、現時点では「動画アクションキャンペーン」「インフィード(旧ディスカバリー広告)」のみとなっております。認知目的で使われる、「リーチ」「バンパー」では計測対象外となっています。

制約はあるものの、これまで直接的なCVしかカウントできなかったので、間接効果を検証できるようになったのは嬉しいアップデートだと思います。
コンバージョン リフト測定を設定する – Google 広告 ヘルプ

動画アクションキャンペーンの計測結果を予測できるように

こちらは配信結果の計測ではなく、これから配信する結果を予測する機能です。

Google広告のプランナーといえば、キーワードプランナーが思い浮かぶと思いますが、その動画版としてリーチプランナーがリリースされました。

これにより、CV数、視聴回数、リーチ、インプレッション数のシミュレーションを簡単に行えるようになります。

プランナーでは、ターゲット設定・オーディエンス設定や、予算・配信地域・広告フォーマットなどの設定に基づいて配信結果の予測を確認できます。

リーチプランナーの予測は広告市場の傾向や、過去に運用された同様のキャンペーンの掲載結果を参考に数値が算出されます。

動画広告のシミュレーションはこれまで参考にできる数値がなく、過去の事例などから計算する事がほとんどでしたので、そのあたりをGoogleが保有するデータを参照して出せるとなると、これまでよりは確度の高いシミュレーションができるようになると思います。

リーチプランナーで掲載成果を予測する – Google 広告 ヘルプ

ショートについての発表はまだなし

世間ではTikTokを筆頭にショート動画に注目が集まっています。

また私もYouTube広告を利用している方から、YouTubeショートに広告を出したい。という要望をいただくことが増えてきました。

ですが現時点では、まだ狙ってYouTubeショートに配信をすることはできない状況です。

縦長、短尺の動画を入稿すれば一定確立でショートの面に広告が配信されはしますが、通常の横長の面にも配信がでてしまうのが現状です。

リリースが待ち遠しいですが、まだターゲティングできるようになるという発表はないので、それまでは首を長くして待ちましょう。

広告運用に関するアップデート

ここからは広告運用者に向けた、細々したアップデート情報をざっとまとめていきます。
各種ヘルプページのリンクも記載していくので、気になるトピックがあれば公式のリリース情報から詳細を確認してみてください。

Google 広告[テスト]の実行が簡単に

これまで[テスト]機能を利用する際には、[下書き]を先に作成して、その後[テスト]を実行する。という2段階のプロセスが必要でしたが、現在では[テスト]のページが追加され1か所で作成、管理、実行ができるようになりました。

また本体のキャンペーンで何か変更を加えた時、これまではテストキャンペーンでも同様の変更を手動で加える必要がありましたが、現在は[同期]が自動的に行われる使用になり、本体のキャンペーンの設定は、自動でテストキャンペーンに反映できるようになりました。

[テスト]は統計的にどちらのほうが優れているかを算出してくれるので、簡単に精度の高い検証を行う事ができます。かなり使いやすくなったので今後検証を実施する際には是非[テスト]機能を利用してみてはいかがでしょうか。
新しい [テスト] ページで信頼性の高いテストを簡単に実施 – Google 広告 ヘルプ

最適化案がワンクリックで検証可能に

最適化案ってどれくらい効果があるだろうか?と考えたことは少なくないと思います。
そんなGoogle 広告の最適化案が [テスト]機能を使うことで、簡単に検証可能になりました。

[テスト]のページを開くと、ページ上部にいくつかアカウント内の最適化案が表示されるようになりました。
検証したい最適化案がある場合には、その最適化案の青いボタンを押すだけで、その最適化案をセットしたテストキャンペーンがセットできます。

後は実行を行うだけで、最適化案の検証がスタートできます。

最適化案を見た際に、「試してもいいけど本当に効果あるの?」という内容が表示された際には、このテスト機能を利用してみてください。簡単に検証ができます。

最適化案の効果を測定するための新しい方法「ワンクリックで検証可能」 – Google 広告 ヘルプ

カスタム列の作成方法が充実

みなさん[カスタム列]は普段どれくらい活用していますでしょうか?
[カスタム列]とはキャンペーンや広告グループなどの表示項目をカスタマイズして、表示させる機能です。

たとえば、通常の [クリック率] の指標では全体のクリック率しか確認できませんが、カスタム列機能を使えば「PCでのクリック率」「スマートフォンでのクリック率」などの列も追加可能です。Googleが取得しているデータであれば、自由度高くデータの切り口を定義できます。

私はCV値を計測しているアカウントなどでは、ROASの列(コンバージョン値/費用)は必ず作成するようにしています。

これらを設定することで重要な情報をパッと見で把握できるので、もし毎回なにか計算をしながら管理をしている数値があるのであれば、カスタム列をお試しください。

作成方法やどんな計算式が組めるのかについては非常に長くなるので公式ヘルプを参照ください。

カスタム列を作成する新たな方法 – Google 広告 ヘルプ

検索広告の表示形式が変更

検索広告の目印としてこれまで「広告」と表示されていたのが「スポンサー」に変更されているのは皆さんお気づきだと思いますが、直近でもう一つ検索広告の表示形式に関連する内容が変更されています。

内容としては、モバイル検索広告向けに、ビジネス名とロゴが表示されるようになりました。

画像引用:ビジネス情報を追加して、検索広告をさらに有用にする – Google広告ヘルプ

仕組みとしては、ランディングページのビジネス名とロゴが検出されると、それらが自動的にキャンペーンに追加され、広告に表示されるというものです。また手動での削除や追加もできます。

小さなアップデートかもしれませんが、特にブランド名や会社名などの指名キーワードで広告を配信している際には、自社のロゴや企業名が広告に表示されるのはポジティブに働くのではないかと考えています。

運用していたらよくあることですが、ブランド名で検索広告を出稿している際に、他社の広告が同時に表示される事があると思います。そのようなときにロゴや企業名が広告文以外にも記載されていると、他社の広告にユーザーが流れることの抑止力になるはずです。

2023年にはPC版にも適応されるとのことですので、必ず設定をするようにした方が良いものだと思います。

ビジネスロゴ検索広告の掲載枠変更 – Google 広告 ヘルプ

2023年以降のGoogle 広告はどうなるのか?

最後に2022年の振り返りとは別に、2023年のアップデートについて、発表がある中で重要なポイントをお伝えします。

類似配信の終了

個人情報保護関連の話は、もうしばらく向き合って行く必要がありそうな状況です。

各媒体がCookieに依存していたこれまでのテクノロジーを見直し、新しい方法を模索しているのが現状と言えるでしょう。

そんな中、Google広告は、2023年から類似ユーザーの段階的な移行(実質上の廃止)を発表しました。
今後類似ユーザーに該当する機能は「最適化されたターゲティング」「オーディエンス拡張機能」に包括される形になるようです。

具体的には2023年5月に類似ユーザーセグメントの新規生成は終了。同年8月に類似ユーザーセグメントはアカウントから削除されます。

「最適化されたターゲティング」「オーディエンス拡張機能」の精度に関しては、賛否両論ある状態で、私自身も過去検証してきた中での成果の良し悪しは半々という状況です。

類似ユーザーセグメントがなくなった後、これらの拡張機能を導入するべきか否かについては、試してみて結果で判断するしか無いというのが個人的な見解です。

Google の広告プラットフォーム向けに持続性と効果の高いオーディエンス戦略を策定する – Google 広告 ヘルプ

Cookieに代わるテクノロジーTopics

ChromeはTopicsと呼ばれる新しい計測技術を発表しました。

Topicsのリリース内容を見ると個人情報の特定リスクを低減させるテクノロジーとしての紹介がされています。

ただこれは裏を返すと、ターゲティングの精度が低下する可能性がある。という話になるので、Topicsが導入された直後は広告のパフォーマンスが荒れる可能性がありそうです。

現時点ではいつリリースがされるのかは発表されていませんが、個人情報保護関連の内容は、どの媒体社も急務で進めている内容なので、早ければ2023年中にリリースがされるかもしれません。

Topics: 新しいプライバシー サンドボックスの提案(インタレスト ベース広告向け) – Google 広告 ヘルプ

まとめ

今回は2022年にあったGoogle 広告のリリース情報をまとめました。

直近のアップデートの内容を見ると、Google 広告の管理画面上でできることは、更に減っていきそうだなという印象を受けます。

機械学習は積極的に活用した方が良いと考えてはいます。

ですが、一方で機械学習の裏側は、統計的な計算に則って、見込みがありそうな人のオークションに参戦して、入札の調整を行っているだけとも言えます。

最もパフォーマンスへの影響度の大きいのは、広告のクリエイティブと商品力ということは変わりません。

手綱を握るためにアップデート情報はしっかりと追いかけつつも、ビジネスで勝ち続けるには、商品やクリエイティブのブラッシュアップが重要になると考えています。

Writer

清水 雄飛 記事一覧

デジタルアスリート株式会社
ウェビナーマーケティング部 課長
Google広告 Gold Product Expert
2018年 デジタルアスリート株式会社(旧:株式会社リスティングプラス)に新卒入社。Google、Facebook、LINEなど計20種以上の広告媒体で広告運用に従事。
デジタルアスリート随一の分析マニア。 現在はYouTubeに専門特化部隊として動画マーケティングの研究を実施。
DRMの考え方をベースにYou Tubeの攻略を進めており、担当する案件では他の広告媒体の数値を大きく超える成果をYou Tubeで量産している。
不安・不満などを抱えている方に、素晴らしい商品・サービスを届け、より多くの方に幸せにする事を信条として、広告のプランニング・制作・運用を行っている。
座右の銘は「利他の心」。

合わせて読まれている記事