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Web広告を運用する上で重視する指標はいくつかありますが、どの企業も広告という部分だけで切り取るなら、いかに安くいかに多くCVを獲得するかを考えて運用しているところがほとんどです。
なかには露出を増やすことを目的としてインプレッション重視の運用をする企業もありますが、多くはCVを獲得することに置いています。
そこで陥りやすいのがCPAばかりにこだわり、結果売上に繋がらず、Web広告をうまく活用できないということです。
この記事ではWeb集客で結果を作る時に陥りやすいCPA運用の落とし穴とそれを回避するための方法について解説します。
CPAにこだわるあまり、思ったように売上が上がらないひとはぜひご覧ください。
目次
CPAが安いから売上が上がるは間違い
企業の広告運用担当者の悩みは大きく2つ考えられます。
1つが、そもそもCVが全然入らずCPAが高すぎること。
そしてもう1つが運用を続けていく中でどんどんCPAが悪化し、会社から求められているCPAのラインを守れなくなることです。
ここで考えたいのが、広告運用の目的です。
果たして目標のCPAを達成することが目的なのでしょうか?
役割としては求められることはあるかもしれませんが、会社にとって広告は売上を作るための手段に過ぎず、あくまで売上・利益になります。
CPAが安いけれども売上が上がらないのと、CPAが目標を超えているが結果、売上と利益が達成されている状態のどちらがいいかと言えば後者です。
ここで言いたいのはCPAを重視するあまりに本来の目的を見失ってはいけないということです。
例:コンサルティング会社のパフォーマンスの比較
例えば問い合わせの獲得を目的として運用しているコンサルティング会社があったとします。それぞれ月額20万円のコンサルティング契約を販売しています。
どちらのほうが売上が上がるか見てみましょう。
※ここでは原価や販管費はA社・B社ともに同じ率で考えます。
会社 |
A社 |
B社 |
広告費 |
1,000,000円 |
1,000,000円 |
問い合わせ件数 |
26件 |
40件 |
CPA |
38,461円 |
25,000円 |
受注率 |
50% |
20% |
受注件数 |
13件 |
8件 |
売上 |
2,600,000円 |
1,600,000円 |
上記の数字を見るとわかるように広告部分のパフォーマンスだけで見るとB社のほうが良い数字を出していますが、その後の売上を見るとA社のほうが結果、良い数字になっています。
ここから言えることは、Web集客において広告の管理画面の数字だけに囚われていると売上の機会損失につながってしまうということです。
会社にとっては、たとえCV数が増えていても、目標CPAに達していたとしてもその先の売上が達成されなければ意味がありません。
CPAの安さだけに囚われると売上が上がらない理由
結論から先にいうと売上を追う上で「量」も大事ですが、それ以上に「質」が大事だということです。
ここに3つのオファー(LPなどのゴール)があります。
それぞれどれがリードの質が高い(売上に近い)と思いますか?
恐らく多くの人が正解できると思いますが、①です。
例えば、あなたがある企業に興味があってアクションをする、とした時に①〜③のどれが一番ハードルが高いでしょうか?
個別面談はより詳細に話を聞けるため、とにかく話を聞きたい!という時に 申し込みます。ユーザーからすると相手からも色々と聞かれるため個別面談が一番ハードルが高くなります。
ということは、逆を言えば個別面談で接触できれば、それだけ興味関心が高く、見込が高いということになります。
要するに、ユーザーから見てハードルが高いほど見込度が高くなるということです。リードの種類によって、見込度が異なるということを押さえておく必要があります。
見込みの確度によってCPAの目安は変わる
見込みの確度が変わるのであれば受注に繋がりやすい問い合わせなどのリードを獲得したいと考えるかもしれませんが、当然リードによって獲得のしやすさが変わります。
獲得の難易度が高いということはその分CPAの目安も高くなり、逆に難易度が低ければ数を集めやすくCPAの目安が安くなります。
業界・業態によって目安は変わってきますが、広告代理店のようなBtoBのサービスの目安を示したのが下記の図です。
CPAが高いというのは獲得難易度の違いだけでなく、獲得できるCV数にも差が生まれることになります。
CPAを安くしたいだけであれば、広告の改善以外でいうとLPのオファーを変更するなどが考えられます。一方でその分、受注の確度が下がるということは売上から遠くなってしまうとも言えるのです。
<成約まで近いリードの場合>
<成約まで遠いリードの場合>
従って、CPAに振り回されて施策を回すとCPAの目標は達成できるものの売上目標に到達しないということになります。
売りたい商品から逆算したリード設計が重要
CPA重視の運用の落とし穴を回避するためにはどうしたらよいのでしょうか?
それは、集客しやすいビジネスフローではなく、成約に繋がるビジネスフローを構築することです。そのために重要なのが『売りたい商品から逆算したリード設計』になります。
広告をやっている多くの企業では、上図のように広告でCPAを安くするためのLPの訴求は何か?記事LPを間に挟めばCPAが安く獲得できるか?など、CPAを下げることに必死で、本来のマーケティングの考え方から逸脱してしまっているケースが多くあります。
その結果、集客はできるけれども、売上に繋がらなかったり、費用対効果が合わずに失敗で終わることになるのです。例えば、いわゆるステップメールなどを使ったプロダクトローンチ(※)でよく見られます。
商品を売り出す前から商品を買ってくれるであろう見込み客を集め、定期的な情報を伝えて購買意欲を高めた上で商品のセールスを仕掛け、一定の期間に爆発的な売上を創る販売手法
これは、メールアドレスを安いCPAで大量に獲得して、ステップメールでナーチャリングをして、セールスをしかける手法ですが、魅力的な方法ではあるものの、失敗する案件をたくさん見てきました。
自社に必要なユーザーがどのステップなのか把握すること
なぜ失敗してしまうのか?
リードが安く取れるということは、見込度が低いユーザーや成約から遠いユーザーを集めているということです。
その分、ナーチャリングも一つ一つユーザーを教育し、反論処理もし、疑問を解消して、ようやく成約に至ります。成約まで遠いということはそれだけ、ハードルが高くなることを意味しています。
つまり、CPAを追うのではなく、自社の売上目標を達成するために、
- 今自分たちに足りないのはどのステップのユーザーなのか?
- 成約に繋げるためにはどういうターゲットを集めればいいのか?
- 商談に繋げるためにはどういうターゲットをCVさせるべきか?
と、一つ一つ次のアクションに繋げることを想定して、リードを獲得する必要があるということです。 CPAではなく、成約率を重視する運用こそが、本来マーケティングフローの中で考えていかなければならないということを理解してください。
まとめ
費用対効果という点においてCPAを指標とすることは必要にはなってきますが、広告の部分だけでなくマーケティング全体から成功を定義することが重要です。
- CPAだけに囚われずリードの質と集めたリードの見込度を確認する
- 成約からの逆算設計を意識することで必要なリードを集めることができる
この部分を理解せず運用していると、CPAと戦い続けて、運用を続ければ続けるほど追い込まれてしまいます。
逆にいえば、より広い視野で運用を捉えることで新たな選択肢が見つかり、売上を伸ばすことができるとも言えるので、今やっている施策を全体から見直し、設計をし直してみましょう。
デジタルアスリート株式会社
セールスマーケティング部 次長
某メガバンクのグループ会社でネットバンキングに携わる。
ベンチャー企業でIPOを経験した後、2019年デジタルアスリート株式会社(旧:株式会社リスティングプラス)に入社。
自社の見込み客・新規問い合わせ獲得、自社メディアの運営を行うマーケティング組織を統括。また自社のノウハウ・ナレッジを伝えるセミナー講師としても活動している。
Writer
篠塚康太 記事一覧
デジタルアスリート株式会社
セールスマーケティング部 次長
某メガバンクのグループ会社でネットバンキングに携わる。
ベンチャー企業でIPOを経験した後、2019年デジタルアスリート株式会社(旧:株式会社リスティングプラス)に入社。
自社の見込み客・新規問い合わせ獲得、自社メディアの運営を行うマーケティング組織を統括。また自社のノウハウ・ナレッジを伝えるセミナー講師としても活動している。