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目次
ポジショニングとは
ポジショニングの意味
「ポジショニング」という言葉を用語集で調べてみると、以下の様に説明されています。
引用元:グロービス経営大学院MBA用語集
ポジショニング つまり、ポジショニングは「ユーザーに自社製品をどのように認識してもらうか」というブランドマーケティング戦略のもと組み立てるものです。 ビジネスや商品・サービスについてポジショニングをしっかり定めない状態は、土台が定まっていないようなものです。つまり、その上に戦略を立てても非常に不安定なものとなってしまいます。
ポジショニングを変えて成功した具体例:資生堂
ではポジショニングを変えて売上を8倍にした例をご紹介しましょう。 資生堂のボディケアシリーズに「シーブリーズ」という商品があります。 発売当初、この製品のターゲットは以下でした。
しかし海に足を運ぶ男性は年々少なくなり、市場の縮小とブランドの高齢化もあいまって製品の売上も下火になってきてしまいました。 資生堂はこの状況を受けて「製品を廃盤にするか」「てこ入れを行うか」選択が迫られました。
そこで資生堂が導き出した選択は、再度ポジショニングを見直す「リ・ポジショニング」でした。 ターゲットをそれまでの男性から女子高生へとガラッと変更したのです。 そして、以前の「海」や「夏」といったイメージから、「部活」「恋愛」「青春」という日常シーンでの使用に訴求ポイントを設けました。
この「リ・ポジショニング」は成功し、売上は低迷期の8倍にも達したそうです。 蛇足ですが私も高校生の頃、学生バッグにシーブリーズを忍ばせていました・・・ ポジショニングの大切さ、マーケティングにおける威力を感じてもらえたでしょうか?
引用:シーブリーズ公式サイト
ポジショニングを語るには、STP分析の理解から
STP分析は、マーケティングにおけるターゲット選定とポジショニング戦略を練る上で強力なフレームワークです。この戦術はセグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(目標市場選定)、ポジショニング(市場での位置づけ)の3ステップで構成されます。
市場セグメンテーションでは、消費者のニーズ、行動パターン、その他の基準に基づいて市場を細かく分割します。ターゲティングでは、これらのセグメントを評価し、事業が最も価値を提供できる、最も利益が期待できる顧客グループに焦点を絞ります。ポジショニングは、選定したターゲット市場で商品やサービスが占める独自の場所や価値を策定し、競合企業との優勢性を確立する目的でよく活用されます。
STP分析は、商品やサービスが存在する市場で効率的かつ効果的にターゲット顧客を見つけ、マーケティング活動を最適化するための基盤を築きます。成功事例を参考にしながら、自社のセグメンテーションやターゲティング方法を確立することが、市場での競争優位を獲得する鍵です。
ポジショニングの決め方
それでは効果的なポジショニングを設定するための方法について見て行きましょう。
ターゲットの軸を明確にする
ポジショニング戦略を成功させるためには、ターゲット顧客の特性を深く理解することが必要です。顧客が高く評価する価値観や、彼らのライフスタイル、興味関心を探り、それらを反映したコミュニケーションを行うことが重要です。
具体的には、市場の嗜好や動向を分析し、顧客の問題やニーズの理解を深めることから始めます。
ターゲット顧客層の心理や行動パターンに合わせた訴求をすることで、より強固な顧客基盤が築けます。ブランディングなどにおいても、この軸に沿ったアプローチがブランドへの共感やロイヤルティを高めるカギになります。
セグメンテーションとターゲティングは済ませておく
マーケティング戦略が成功するためには、STP分析の「セグメンテーション」と「ターゲティング」が必要です。市場を細分化し、経済的利益が高い顧客層を特定することが、ポジショニングの効果に影響を与えるからです。
セグメンテーションでは、市場を区分けし、各ニーズ、欲求、特性を分析します。正確な基盤を築かなければ、最適な顧客層の選定が不可能になり、成功の土台を築くことはできません。
次にターゲティングでは、セグメントに注目し、魅力度や市場の成長性の評価を重視します。ターゲットに選ばれた顧客層は、商品やサービスに対する期待が高く、購入意欲が強いと判断されるべきです。これがポジショニング戦略で成功するための前提です。
効果的なポジショニングには、セグメンテーションとターゲティングを行い、市場に訴えかける顧客層を見極める能力が求められます。市場を理解し、適したターゲット顧客層を明確にすることが、ポジショニングを築くための始点であり、マーケティング活動の成功の鍵です。
顧客のニーズに沿っているか
商品やサービスを市場で際立たせるためには、顧客のニーズを深く理解し、それに基づいたポジショニングを緻密に策定することが必要です。消費者の日常の問題を正確に把握し、彼らが価値あると感じる解決策を提供することが、市場での強固な地位を築く基本です。
まず、ターゲットとなる顧客層のモチベーションを明確に理解することが重要です。市場調査やフィードバックを積極的に取り入れ、彼らの問題点や欲求を詳細に把握しましょう。
ポジショニング戦略では、製品の特徴や機能だけでなく、それを使用することで得られる経験や感情を顧客が想像できるようにします。これにより、商品やサービスを超えた価値を顧客に提供し、長期的な信頼関係を築くことが可能になります。
他社と差別化できるベネフィットを定める
「自社製品は他社と比べて〇〇が良い」 ポジショニングを設定するためには、製品のベネフィット(=顧客が商品から得られる良い効果)をまず明らかにする必要性があります。 ベネフィットがたった1つしかない、ということは恐らくあり得ないでしょう。
ただ、いくつかベネフィットがあるとしても「あれも良くて、これも良くて、すべて良いんです!」と全てのベネフィットを打ち出してしまうと、1つひとつの良さが薄まって伝わってしまいます。 そして結果としてユーザーに刺さることのない薄い訴求となってしまうのです。
それを避けるためにも、数あるベネフィットの中から「自社製品は他社と比べて〇〇が良い」の〇〇部分を1つ定めなくてはいけません。 定めるためには、どの視点で他社と自社製品は差別化できるのかを明確にする必要があります。
しかし、ブランドマーケティングの考え方として間違えてはいけないものがあります。 それは、これらが競合ブランドと比較して優位に立つためだけではなく、ユーザーにとって「他には替えられない存在」になるためのマーケティングだということです。 ブランドマーケティングにおける賢い自社製品確立方法は、「競合との競争に勝つ」のではなく「競争をしないで勝つ」ことなのです。
ポジショニングマップを作成する
「自社製品はどこにポジションを設けることが正解なのか」 それを合理的・視覚的にしたものが以下の「ポジショニングマップ」です。 縦軸/横軸を決める視点の切り口は様々ありますが、適した軸を選定するためには「どこで勝負するか」を分析の上決めることが必要です。
ポジショニングマップ作成の準備
こうしてポジショニングを決める前には「商品」「市場」「ユーザー」、これら3つの分析を行っておく必要があります。
ベネフィットにより、それを求めるユーザーや市場も変わってきます。 ですので、各ベネフィット毎に当てはまり得る市場分析を行ってください。
もちろん、「この市場を開拓されていないから、自社製品のこのベネフィットがマッチする」といった考え方も大いにありです。 「ベネフィット→市場/ユーザー」ではなく、「市場/ユーザー→ベネフィット」と視点を変えて逆説的に考えると、また新たな切り口が見つかります。
市場には何をニーズとして求めるユーザーがいるのか、そこに属するユーザーは商品・サービスを購入する際に何を最重要視しているのかを考えます。 これらの分析・考えのもと、競合と差別化を図ることができるポイントを選定します。
軸を選定してビジネスを分析する
ポジショニングを考える時は、ブランドを「どのような視点でポジショニングするのか」という「軸の設定」が重要です。 使いやすい軸として、以下の6つをご紹介します。
ポジショニングマップは他の競合との「比較」が前提となるので、「競合との差別化を図るための軸」を選定しがちですが、最も大切な考え方は「ユーザー目線」で軸を選定する、ということです。 企業目線ではなく、いずれもユーザー目線を意識して設定することにより、ミスリードのないポジショニングマップを作成することができます。
軸を設定する時の2つの注意点
注意すべき点が2点あります。 1)需要があるところにポジショニングする。 せっかくブルーオーシャンを見つけても、そこに需要がなければポジショニングしても売上をつくることは難しいです。 ミスを防ぐためにもしっかりニーズやユーザーがいるか分析/調査をしましょう。
2)相関性の高い軸を設定しない 2軸を選定する際には、各々が相関性の高い軸を選定しないようにしましょう。 全てがそうだと言い切れないところもありますが、例えば「安い」と「簡易的」を軸に設定した場合、簡易的な作りなものにはそもそも安価なものが多いです。 そのため、「≒」の関係性である二軸では設定してもあまり意味がないものとなってしまうのです。
ポジショニングの例を紹介
こうして方法だけを聞いても、あまりイメージが出来ないと思うので、ここからは実際の企業を参考にポジショニングマップを見ていきましょう。
ファストフードの場合
サクッと食べてサッと出られるファストフードですが、価格帯と店の雰囲気は比例する傾向にありますね。 マクドナルドやロッテリアは駅の近くに店舗を構えているところが多く、ユーザーの回転率の高さをうかがうことができます。
フレッシュネスバーガーは自分自身で調味料を選べたり、と自由度も高いです。また、自家製バナナケーキがレジ横に置いてあったり、ドリンクメニューも種類が豊富でカフェ的要素が強くなっています。
ファストファッションの場合
ファストファッションの中でも細かなすみ分けがあり、デザイン性は同様に高いZARAとH&Mですが、価格帯が違うためH&Mの方が比較的ユーザー層が若い傾向にあります。 ユニクロはシンプルで安価なため、老若男女問わずファンが多いです。
ユニクロで全身コーディネートもできますが、シンプルなため他の洋服に組み合わせやすいという利点もあり、幅広い層から愛されています。
調理鍋の場合
日本の技術力で高い密閉性を持つバーミキュラは、色によっては生産待ちになるほど人気があります。少し重いので扱いやすいとは言い難いですが、その希少性や機能性から確固たる人気と独自ブランドの確立に成功しました。
対極にあるティファールは利便性(軽い/重ねられる)を謳い、いつでも手に入る距離感にあります。「最初はティファール買っておけば間違いない」と言われるだけあります。
まとめ
成功事例で紹介したように、全く同じ商品でもポジショニングによって売上が数倍、数十倍変化するということがあります。 ユーザーに対して商品をどのように打ち出すかということは、それほど売上に影響力があることなので、「ベネフィット」「市場」「ユーザー」をしっかり分析し適切なポジショニングをすることが重要ですね。
実際のポジショニングについては、既存企業のポジショニングをしてみるとイメージがわくでしょう。 自分たちしか取れず、ユーザーが求めているところでポジションが取れた場合には、競合と比べられることもなくユーザーにとって「替えのきかない」商品・サービスを打ち出すことが可能になります。
ぜひ、あなたのビジネスでもそのようなポジショニングができないか、この記事を参考に考えてみてくださいね。
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