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「YouTube広告を検討しているけれど、実際に効果は出るのだろうか?」
このように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
動画広告市場は成長を続けており、サイバーエージェントの調査によれば2024年の国内動画広告市場は前年比で115%成長し、7,249億円規模に拡大すると予測されています。
この市場拡大の背景には、コネクテッドTV(インターネット接続されたテレビ)でのYouTube視聴の増加や、スマートフォンでの視聴に適した縦型動画広告の需要の高まりなども含まれていると考えられます。
この記事では、多くの方が関心を寄せるYouTube広告について、その種類や仕組み、活用する上でのメリット・デメリット、そして広告効果を高めるための成功のポイントまで、Web広告の専門家が分かりやすく解説します。
参考:サイバーエージェント「2024年国内動画広告の市場調査を実施」
目次
YouTube広告とは?
YouTube広告とは、YouTubeの検索結果や動画配信中に表示される広告のことです。動画が始まる前・途中・最後に流れる動画広告や、おすすめ動画と一緒に広告が表示される場合もあります。
YouTube広告の仕組みと注目される理由
YouTubeで表示される広告は、広告主が「こんな人に見てもらいたいな」とターゲットや予算を決めて広告を用意します。ユーザーが動画を選んだ瞬間、たくさんの広告の中から、システムが「ユーザーに合いそう!」と判断した広告が選ばれて表示されます。
また、YouTube広告は以下の3つの理由から注目されています。
市場の急成長:
国内動画広告市場は2024年に7,249億円、2027年には1兆円超えが予測される成長市場です。広告の主戦場が動画へシフトしています。
効率的な仕組み:
主な課金形態は「視聴課金(CPV)」で、30秒以上(または最後まで)視聴されて費用が発生する設定ができるため、広告費を抑えてユーザーに興味を持たせることができます。
幅広い利用者層:
YouTubeは全年代の約7割が利用しており、60代以上でも半数以上が利用しています。年齢を問わず多くの人にリーチ可能です。
引用:モバイル社会研究所「YouTube認知率96.5% 利用率約7割:投稿は10~20代で1割程度」
YouTube広告で配信可能な種類
多様な広告フォーマットがあり、目的や予算に応じて選ぶことが重要です。
スキップ可能なインストリーム広告
動画の前後や途中に表示され、5秒後にスキップ可能な広告です。CPV課金であれば、広告がスキップされた場合は課金されないため、無駄な広告費が発生しにくい点がメリットです。
ユーザー自身の意思で広告を視聴し続けるか選択できるため、興味関心のあるユーザーに向けて効率的に広告を配信できます。
参考:Google広告ヘルプ「スキップ可能なインストリーム広告」
スキップ不可のインストリーム広告
6秒~最大30秒スキップ不可の広告です。確実に伝えたいメッセージがある場合や認知拡大目的である場合は、スキップ不可のインストリーム広告の活用が有効です。
参考:Google広告ヘルプ「スキップ不可のインストリーム広告」
インフィード動画広告
検索結果や関連動画欄に表示される広告です。クリックによって再生されるため、サムネイルで興味を持ったユーザーに対し、商品購入などを促す広告が有効です。
下記画像のように「視聴する」をクリックして視聴できる広告もあります。
引用:HRMOS
参考:Google広告ヘルプ「インフィード動画広告」
バンパー広告
インストリーム広告として再生される場合、音声はオンになります。再生時間は6秒以内であるため、簡潔で印象に残るメッセージでブランド認知度の向上を目指します。
下記は掲載動画のイメージです。スキップ不可の広告と比べて伝えられるメッセージは少ないですが、インストリーム広告として再生される際は音声がオンになるため、多くのユーザーに向けた認知拡大に効果的です。
引用:日本ガス協会:バンパー広告「ガスとくらしのあんしんツアー」
参考:Google広告ヘルプ「バンパー広告キャンペーン」
アウトストリーム広告
YouTube動画外の提携サイトやアプリに表示される広告です。配信先が限定されていないため、他の広告よりも多くの枠に配信可能です。
また、YouTube以外で画面に動画広告が表示されているときに再生が開始されますが、画面外に出ると停止されたり、音声はデフォルトでミュートになっていたりするため、ユーザーの体験を妨げないよう工夫されています。
参考:Google広告ヘルプ「Google 動画パートナーについて」
マストヘッド広告
YouTubeトップページ最上部に表示されます。最も目立つ箇所に掲載されるため短期間で大規模な認知獲得が可能です。左側に表示される動画が音声無しで自動再生され、クリックすることで音声が再生されます。
引用:Nintendo Switch2「マリオカートワールド」
マストヘッド広告について詳しい情報は下記記事をご覧ください。
YouTubeショート広告
ショート動画の間に表示される広告です。縦型でテンポの良い動画が効果的であり、若年層を中心とした幅広いユーザーにリーチすることができます。
動画アクションキャンペーン
ウェブサイトでの商品購入や見込み客の獲得といった具体的なコンバージョン(成果)を、効率的に獲得することに特化したキャンペーンタイプです。上記で紹介した広告のフォーマットを用いて配信でき、YouTube内外問わず自動的に広告を掲載することができます。
デマンドジェネレーションキャンペーン
YouTube、Discover、Gmailなどの面に配信できるプラットフォームで、Google AIが認知拡大からコンバージョン獲得まで、目的に応じて広告配信を自動で最適化します。
引用:Google広告ヘルプ「デマンドジェネレーションキャンペーン」
なお、その他の広告ではキャンペーン目標によって配信できる広告フォーマットが決まっています。下記表を参考にしてみてください。
キャンペーン目標 | 広告フォーマット |
販売促進 | スキップ可能なインストリーム広告 インフィード広告 YouTubeショート広告 アウトストリーム広告 |
見込み顧客の獲得 | |
ウェブサイトのトラフィック | |
ブランド認知度と比較検討 | スキップ可能なインストリーム広告 インフィード広告 YouTubeショート広告 スキップ不可のインストリーム広告 バンパー広告 |
参考:Google広告ヘルプ
動画キャンペーンの目標について
動画広告フォーマットの概要
動画キャンペーンの作成
デマンド ジェネレーション キャンペーンについて
YouTube広告のメリット
視聴データを使用したターゲティングが可能
YouTube広告は、Googleのデータを活用し、年齢・性別・興味関心・購買意向などで「見てほしい人」にピンポイントで配信可能です。さらにYouTubeチャンネル、動画の特定のコンテンツに興味のある人に向けて配信することも可能であり、過去に見た動画広告のデータも活用することができます。
参考:YouTubeヘルプ「動画キャンペーンのターゲティングについて」
YouTube広告のターゲティング方法については下記記事をご覧ください。
認知拡大から獲得まで幅広い面に配信可能
YouTube広告は、PC、スマートフォン、タブレット、コネクテッドTVなど、ユーザーが利用する複数のデバイスを横断して広告を配信し、デバイスごとの成果の貢献度を分析できます。
たとえば、
通勤中のスマートフォンでは情報を素早くチェック
職場のPCでは時間をかけて比較検討
自宅のテレビやタブレット端末ではリラックスしてYouTubeを視聴
など、生活シーンに応じて視聴完了率や広告クリック数などが異なるため、これらの情報を分析し成果を拡大していくことができます。
多様なユーザー層へ訴求可能
商品の使い方を実演で見せる詳細なレビュー動画から、ブランドの世界観を伝えるショートフィルム風の映像など、YouTubeならではの広告フォーマットを活用してユーザーに最適な形で訴求を行うことができます。
YouTube広告のデメリットと注意点
動画制作のハードルが高くコストがかかる
企画、撮影、編集など1つの動画を作成するのにコストがかかります。広告配信時期が直近に迫っている場合すぐに作成することは難しいため、配信時期が確定した段階で動画の作成を進めていきましょう。
広告疲れのユーザーとスキップ対策を行う必要がある
商品・サービスの特徴を盛り込んだ広告を作成すればよいのではなく、ユーザーに不快感を与えないよう、ターゲティング精度を高め、最初の5秒で興味を引く工夫や表示回数制限が必要です。
YouTube広告の課金形態とその仕組み
主にCPV(視聴課金)、CPM(表示課金)、CPC(クリック課金)があります。
CPV
広告視聴1回あたり費用が発生します。ユーザーが広告動画を30秒視聴(30秒未満の場合は最後まで広告を視聴)することで課金されます。
また、30秒経過前にユーザーが動画広告に対して操作(クリック)を行った場合にも課金されます。(30秒未満でスキップされた場合は課金されません)
この課金形態は、キャンペーン目標で「商品やブランドの比較検討」を選択し、動画キャンペーンを作成した場合に使用することができます。
CPM
広告が1000回表示されるごとに費用が発生します。広告がユーザーの画面に表示された回数に基づいて課金されます。ローンチ初期など、商品の認知拡大を行いたい場合に有効です。
CPC
広告1クリックあたりの費用を指します。ユーザーが広告をクリックした場合に費用が発生します。ウェブサイトのトラフィック数を増やしたい、資料請求・商品購入などユーザーアクションを直接促したい場合に有効です。
YouTube広告の動画入稿規定
大前提として、YouTube広告で使用する動画は、事前にYouTubeチャンネルにアップロードされている必要があります。
そのうえで一般的な推奨事項は以下の通りです。
項目 | 推奨/説明 |
ファイル形式 | 推奨MP4(その他、MOV, MPEG4, AVIなどもアップロード可能) |
動画コーデック | H.264 |
音声コーデック | AAC-LC |
フレームレート | 24 FPS、25 FPS、30 FPS、48 FPS、50 FPS、60 FPSなど |
アスペクト比 | 横向き:16:9(最も標準的) 縦向き:9:16(スマートフォンでの全画面表示に最適) スクエア:1:1(フィード内などで効果的な場合あり) |
解像度 | フルHD (1080p):1920 x 1080 px (横) / 1080 x 1920 px (縦) が推奨 HD (720p):1280 x 720 px (横) / 720 x 1280 px (縦) が一般的 |
また各広告のフォーマットは以下の通りです。
広告フォーマット | 動画の長さ | 推奨アスペクト比 |
スキップ可能なインストリーム広告 | 上限なし。一般的に15秒~3分程度が推奨。 | 16:9(推奨)、9:16、1:1 |
スキップ不可のインストリーム広告 | 6秒~15秒(地域により最大30秒の場合も) | 16:9(推奨)、9:16、1:1 |
インフィード動画広告 | 上限なし | 16:9、4:3、1:1 が推奨 |
バンパー広告 | 最大6秒 | 16:9(推奨)、9:16、1:1 |
アウトストリーム広告 | 6秒~15秒、または30秒以内が推奨 | 16:9、9:16、1:1 |
マストヘッド広告 | PC:最大30秒 | 16:9(ワイドスクリーン) |
YouTubeショート広告 | 最大60秒(15秒以内が推奨) | 9:16(縦型動画) |
YouTube広告の始め方
実際にYouTube広告を配信する方法について解説していきます。
前提として、YouTube広告に掲載する動画は、事前にYouTubeチャンネルへアップロードしておく必要があります。詳しくは、YouTube動画をアップロードするをご覧ください。
Google広告ログイン後、左側のメニューから「キャンペーン」→画面中央にある「+」を選択し、「新しいキャンペーンを作成」を選択します。
広告を配信したい目的に合わせてキャンペーン目標を選択します。
キャンペーンタイプの選択画面で、「動画」を選択します。
「キャンペーン名」「キャンペーン目標」「コンバージョン目標」を設定します。
予算金額を入力し、次の画面に進みます。「広告グループ」設定画面に移動します。
「広告グループ名」「配信したい地域」「言語」を選択します。
配信したいGoogleチャネル、オーディエンスなどターゲティング設定を行います。その後、広告設定に移動します。
「動画広告」を選択し、「広告名」「最終ページURL」を記載、最初にアップロードしたYouTube動画のURLを指定します。
「広告見出し」「長い広告見出し」「説明文」を記載します。
これにて設定は完了です。
さらに詳細な設定情報は下記記事をご覧ください。
YouTube広告の効果的な動画作成ポイント
YouTube広告で成果を上げるためにユーザーの行動を促す「効果的な動画」を作成するポイントを解説していきます。
動画の長さと構成を広告の種類によって最適化する
YouTube広告には様々な種類があり、それぞれ視聴者が広告に触れる状況や許容する視聴時間が異なります。そのため、以下の表のように、広告の種類に合わせて最適な長さと作成ポイントを意識しましょう。
広告の種類 | 長さ | 構成例/構成 |
スキップ可能なインストリーム広告 | 動画広告では、最初の5秒で視聴者の心を掴み、スキップさせない工夫が最も重要です。全体の長さは15~30秒が一般的です。 | 冒頭5秒で「○○に悩んでいませんか?」と課題を投げかけ、「その解決策が5秒後」に予告しておくことで、スキップされない仕掛けを作成します。 |
スキップ不可のインストリーム広告 | 最大15秒という短い時間内でメッセージを完結させる必要があります。 | 商品やサービスを使う前と後(課題と解決)の変化を、カットを細かく割ってテンポよく見せることで、短い時間でも効果を直感的に伝えます。 |
バンパー広告 | 最大6秒であり、伝えたいメッセージは限定しましょう。 | 最初の1秒で注意を引き、最も伝えたい映像やメッセージを3秒で見せ、最後にブランド名を刷り込む構成が一般的です。 |
インフィード動画広告 | 視聴者がサムネイルとタイトルを見て能動的にクリックするため、数分程度の動画でも視聴してもらえる可能性があります。 | サムネイルに「【驚愕】」「【朗報】」「〇〇の秘密」など、思わずクリックしたくなる強い言葉を、目立つ配色でサムネイル画像内にデザインしましょう。 |
最適なタイミングとコンバージョンを高めるCTAの設置方法
YouTubeというプラットフォームの特性を活かして、CTAを設置する方法について3点解説します。
YouTubeのCTA機能をフル活用する
動画の再生中に、画面下部などに表示されるクリック可能なテキストや小さなバナーです。設置できるバナーは、主に3種類あり、動画中に表示できる「CTAオーバーレイ」、関連情報を示す「カード」、動画最後に次の行動を促す「終了画面」です。
CTAオーバーレイであれば、商品の説明がひと段落したタイミングや、視聴者に問いかけた直後など、興味が高まっていると想定されるタイミングで表示させると有効です。
また、関連情報を示すカードは、動画の右上に表示される「i」マーク(インフォメーションアイコン)が目印です。クリックすることで、画面の右側にカードパネルが展開され、設定された情報が表示されます。
最大5枚まで設定することができるため、ユーザーの心理状況が変化する動画のタイミングに合わせて設定してみましょう。
終了画面は、動画の最後の5秒~20秒に表示される画面です。他の広告のおすすめを表示することも可能ですが、下の画像のように次の行動を促すテキストを入れることで、動画を視聴したユーザーのアクションを誘導できます。
引用:Wix
音声による行動喚起を行う
画面表示だけでなく、ナレーションやセリフで「詳しくはリンクをクリック」「チャンネル登録お願いします」と声で促すことで、視覚と聴覚の両方に訴えかけ、CTAの認知度とクリック率を高めましょう。
売れる動画広告を作成するにはコンセプト設計が重要
下記YouTube動画にて、10倍売れる動画広告を作成したポイントを解説しています。動画を見ながら、コンセプト設計から広告の作成までチャレンジしてみましょう。
まとめ
YouTube広告で成果を出すには、戦略的な活用が不可欠です。本記事で解説した成功のポイントは、以下の3点に集約されます。
目的で選ぶ広告フォーマット
「認知拡大」ならバンパー広告、「見込み客への訴求」ならスキップ可能広告など、目的に合わせて最適な広告を使い分けましょう。
効果を高めるターゲティング
Googleのデータを活用し、「誰に」広告を見せるのかを明確に設定することで、費用対効果が大きく向上します。
視聴者に配慮した動画作り
広告の特性(冒頭5秒ルールなど)を理解し、視聴者に不快感を与えないクリエイティブと、効果的なCTA(行動喚起)を意識することが重要です。
これらのポイントを押さえることが、動画制作のハードルを乗り越え、YouTube広告をビジネス成長の力に変える鍵となります。
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