Facebook広告の運用で「CPM」は改善指標にするべきか否か?

  • 2020.3.26
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※今回は、Facebook広告運用経験者に向けた、中級~上級編の内容となっています※

Facebook広告を運用している方は、大半の方が「CPM課金」で配信していると思います。そして、初期の段階ではクリエイティブテストを中心に、各クリエイティブのクリック率やクリック単価、品質を見ながら改善を進めていくことが基本ですよね。

ある程度運用し、期間比較などでアカウントを分析をすると、「CPMが上がったせいで成果が悪くなっている…」という場面に出会うことが比較的よくあると思います。

例えば、CTRは1.2%のまま変化していない、むしろ良くなっているくらいなのに、CPCが120円から150円に上がってしまっている。
CTRが上がればCPCは下がるはずなのに…と思って原因を確認すると、CPMが400円も上がっている! というような感じです。

ここで、「じゃあどうやったらCPMを下げられるのか」を考え、CPMを下げるための施策をするのは有用なのかどうか?を今回は検証していきます。


そもそも、Facebook広告のCPMは何によって決まっているのか?

Facebook広告では、広告が表示される際にオークションが発生しています。オークションでは各広告の「総合的な価値」を元に実施されています。

「総合的な価値」は以下の計算式で求められています。

 1.広告主の入札価格
    ×
 2.推定アクション率
    +
 3.利用者にとっての価値

それぞれ簡単に補足すると、

1.入札価格
広告主が配信するために設定した費用のこと。

2.推定アクション率
広告がユーザーに表示された際に、目標とするアクション(購入や登録など)を起こす確率。

3.利用者にとっての価値
これが一番あいまいな項目になってしまいますが、配信された広告が正しいターゲットユーザーに正しく届いているか、有益な情報を届けられているか、という内容です。
どこで判断するのか?は明確にされていません。

広告運用では、3の「利用者にとっての価値」をどれだけ高められるかが鍵になってくると思われます。
ではこの「利用者にとっての価値」が管理画面のどの項目と関連しているのか?が重要ですよね。

そこで、具体的に管理画面のどの指標がCPMに影響を与えているのか、というのを分析してみました。

CPMと関連がある項目は何か?を分析

ターゲットユーザーが近く、地域も絞っていないアカウントを3つピックアップし、全クリエイティブの1週間毎の数値を抽出。

そのデータをベースとして、ExcelのCORREL関数を使って相関関係を出しました。

結果として「CTRが高くなるとCPMも高くなる傾向にある、かもしれない」という、関連はありそうだけど言い切るには微妙な数字が出た形になりました。

そのため、CTRとCPMだけの数値をピックアップして散布図にしたところ、

きれいに比例する結果が出ました。

これだけでは「クリエイティブを改善してCTRを上げても、CTRが上がったことによってCPMも上がる」という納得の行かない結論になってしまうため、追加で分析を行いました。

広告関連度診断(旧:関連度スコア)とCPMの関係性はないかを分析

先程使用したExcelのCORREL関数は、対象が「数値」同士の場合に活用できる関数です。
Facebook広告の指標には、品質関連度診断という、「品質、エンゲージメント、コンバージョン」の3つの観点で広告を診断するものがあります。

品質ランキング:
ターゲット層が同じ広告と比較したときの感性品質を表します。
エンゲージメント率ランキング:
ターゲット層が同じ広告と比較したときの予測エンゲージメント率を表します。
コンバージョン率ランキング:
ターゲット層と最適化の目的が同じ広告と比較したときの予測コンバージョン率を表します。

引用:FACEBOOK for Business ビジネスヘルプセンター

広告関連度診断の、特に「品質ランキング」はターゲットによる広告への反応をデータ化したものということで、総合的な価値を決める「3.利用者にとっての価値」とも関連がありそうです。

以下が、広告関連度診断の各項目とCPMの関係性をグラフにまとめたものです。

上記で見ると、一番「品質ランキング」が相関関係ありそうな形で出ていますね。品質ランキングが高ければCPMが安く、低ければCPMが高くなっています。

CPMとCPAは比例するのか?

抽出した全データを散布図にしたものがこちらです。

縦軸がCPA、横軸がCPMです。CPMが上がるほどCPAが上がるのなら、比例するように右上がりの形になるはずなのですが、そうではありません。(若干右上がりっぽい図には見えますが)

つまり、「CTRが上がるとCPMも上がる」が、「CPMが上がってもCPAが上がるわけではない」というのが結論になります。

理屈が合わないような気はしますが、広告の価値が上がり、より多くの見込み客のオークションで勝つようになることによってCPMは上がってしまうが、CVRも上がったり等、他の良い効果も出ることによってCPAが上がるところには直結しないということなのかもしれません。

ちなみに、「CTRを上げてCPCを下げて改善する」ということを運用者の間ではよく言いますが、CTRが上がる=CPMも上がるという場合、CPCも上がってしまうのでは?という疑問が浮かびます。

その検証のために、CTRとCPCで散布図を作成してみました。

上記散布図では、「CTRが低くなればなるほど、CPCは上がる傾向にある=CTRが高くなればなるほど、CPCは安くなる」という結果が出ましたので、疑念は解消されました。

いろいろ分析した結論とまとめ

・広告のCTRが上がるとCPMも上がる
・しかしCPMが高いとCPAも高くなるというわけではない
・つまり運用時、CPMを第一指標にはしない方が良い。サブ的に考える。

・品質ランキングは意識した方が良い
(ただしCPAがあっているなら品質ランキングは気にしない)

※Facebook公式にも、品質ランキングを改善するのを目的にしないと書かれています
※品質ランキングを上げても広告オークションには影響しないと明言されています

配信してすぐに、「この配信先はCPMが高すぎる」と早期に見切って配信を停止してしまうのは、機会損失につながる可能性があります。

また、CTRが低い状態で「CPMを下げる為に」という目的で、ターゲティング設定をいじったりするのも意味がありません。広告の品質が低いから、CPMが高くなってしまっているという点が考えられるので、やはり基本のクリエイティブテストをしっかり実行していくことが重要です。

広告の品質を高めることによって、パフォーマンス(CPA)が良くなる点は疑いようもない事実なので、「ユーザーにとって有益な情報を届ける」「広告ポリシーを厳守する」という点をしっかり意識して運用していく必要があります。

「品質ランキング」がどの指標によって変動するのかについては、また改めて分析してみたいと思います。

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