「ジャニーズっぽくない」を追求していたら、ライブ動員数1,000万人超えグループになった関ジャニ∞から考えるマーケティング戦略

  • 2022.6.15
  • 2022.7.14
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みなさんは、「推し活」という言葉をご存知ですか?

推し活とは、アイドルやアニメなど、何かの熱狂的なファンであるいわゆる「オタク」が、時間とお金を費やして好きなアイドルやアニメのキャラクター(推し)の商品を購入したり、作品を鑑賞したりする活動のことです。
今まさに推し活をしているという方も多いのではないでしょうか。

私はというと、比較的最近、2019年から、「関ジャニ∞」の推し活を始めました。
長年活動している関ジャニ∞のファンからすると、少し遅めの新規ファンですね。

現在、関ジャニ∞のライブ総動員数はSMAP・嵐に次いで多い1,000万人超え(2019年時点)、シングル売上枚数1,000万枚超え、週間シングルランキング31作連続1位獲得(2020年時点)といったジャニーズを代表する実績を出しているグループの1つになっています。

また、ファンクラブ会員数はデビューから17年経った2020年時点でも前年比で98,000人増加しており、累計会員数はジャニーズグループ全体で3位となっています。

私は、マーケターという仕事の傍ら、関ジャニ∞の推し活をしているうちに、あることに気が付きました。 それは、関ジャニ∞がここまでファンを増やし、長年売れ続けている背景には、緻密なマーケティング戦略が隠れているのではないか?ということです。

そこで今回は、関ジャニ∞を参考にして、企業がまだ名を知られていない商品を長年のベストセラーにするためのポジショニングとマーケティング戦略についてお話ししていきます。

※関ジャニ∞のマーケティング戦略については情報開示がされている訳ではないので、あくまでも個人の主観に基づいた分析になります!

関ジャニ∞の実績

まずは関ジャニ∞がどのような実績を残しているのかを見ていきましょう。

  • ジャニーズファンクラブ会員数3位 753,000人(2022年2月24日現在)
  • 紅白10年連続出場
  • 2011年24時間テレビのメインパーソナリティー
  • ライブ動員数通算1,000万人以上
  • オリコン週間シングルランキング31作連続1位獲得(2020年8月時点)

参照:
https://www.oricon.co.jp/news/2143465/full/
https://www.oricon.co.jp/news/2170212/full/
https://report-newage.com/18785

このように、全国的にも多くの実績を出し、今でこそ名前を知らない人は少ない関ジャニ∞ですが、デビュー当時はジャニーズの中でも売れているグループとは言えない時期がありました。

ハワイの船上での記者会見を行った嵐や、ワールドカップイメージキャラクターとしてデビューしたNEWSなど、華々しいデビューを飾る同期グループと比較して、関ジャニ∞は簡素な衣装とセットでレコード会社の屋上で記者会見を行い、当時のコンサート資金も少なく、簡易的なセットで実施をしていたというエピソードもあります。

そんな状況から、関ジャニ∞がどのように日の目を浴び、今日のような全国的アイドルにのし上がっていったのでしょうか。

代表的グループにのし上がり、長く人気を維持してきた2大要因

関ジャニ∞が事務所に力を入れられていなかったデビュー時から、ジャニーズ事務所の代表的グループにまで昇りつめたのには、大きく以下の2つの要因があると私は考えています。

①他グループと差別化するポジショニング戦略
②ストーリー性の見せ方

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

「ジャニーズっぽくない」を追求したポジショニング戦略

よく「関ジャニ∞はジャニーズっぽくないよね」と言われることがあります。
私はこの「ジャニーズっぽくない」イメージこそが、関ジャニ∞が売れる要因となったポジショニング戦略の成功ポイントなのではないかと思います。

関ジャニ∞の話をする前に、まずは、市場で勝ち残っていくためになぜポジショニング戦略が重要なのか、独自のポジショニングはどのように獲得していけるのかについて少しお話していきたいと思います。

ポジショニング戦略とUSP

競合がひしめくなかで自社の商品を売るには、他社にはない自社だけの強み「USP(Unique Selling Propositon)」を確立する必要があります。
なぜなら、特に競合が多いほど、独自の強みが無いと自社の商品を選んでもらえないためです。

USPを生み出すには、他社の特徴をふまえたポジショニングを把握をしなければいけません。

また、USPと言うと何かまったく新しいものを作らないといけないと思う方もいるかもしれません。しかし、他社も持っているような特徴を複数組み合わせることでもUSPを作ることができます。

例えば、プログラミングの講座を実施している企業はたくさんいますよね。
しかし、講座受講後の就職相談や就職先あっせんもする、というサービスを付け加えれば、競合と差別化できる特徴を作れます。

講座サービス、就職相談・あっせんサービスはそれぞれ既存のサービスになりますが、競合の中でそれを組み合わせて提供している企業がなければ、複数のサービスを一貫してできるということは立派なUSPになります。

ポジショニングやUSPについては以下の記事で詳しく説明しているので、もっと詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。


上記をふまえると、関ジャニ∞はジャニーズグループ内で、以下の「強い関西色」「高い音楽性」という複数の要素を組み合わせてのポジショニングの取り方が非常に秀逸であると感じます。

強い関西色を前面に出したバラエティ性

関ジャニ∞よりも前にデビューしたKinki Kidsも関西出身ですが、関ジャニ∞はグループ名から、「浪花(なにわ)いろは節」「好きやねん、大阪」などの楽曲でも関西を前面に押し出した初のグループです。

また、バラエティ番組では前へ前へと自分達から出ていく姿勢、とにかくウケを狙いにいき、他のグループと比べて非常に高いお笑い要素を打ち出しています。

ライブでも、全体の3分の1をMCまたはコントが占めることもあり、歌やダンスが中心のライブとは一線を画すものでした。

このように、関ジャニ∞のコンセプトの核には「関西」があり、デビュー当時にここまでの関西色を打ち出しているグループは他にいませんでした。

専門家も巻き込む音楽性の高さ

関ジャニ∞は全員楽器を演奏できる「バンド」としての特徴も持っており、歌唱も含めた音楽面に非常に力を入れているグループです。

その1つとして、2017年にはロックバンドのアーティストが出演する野外フェス『METROCK 2017 TOKYO』に出演し、アイドルではなくアーティストのファンが中心であるアウェイな会場でも好評を得たという出来事がありました。

参考:「関ジャニ∞“メトロック”レポ! アウェイ感を打破、アイドルが放つロックとは!?」

また、関ジャニ∞の音楽面でのポジショニングを確立するのに重要な要素に、関ジャニ∞の冠音楽番組『関ジャム∞完全燃Show』があります。

この番組では、川谷絵音や前山田健一(ヒャダイン)などのアーティストや作曲家などをゲストに招き、関ジャニ∞のメンバー自身も彼らとセッションをし、この番組がきっかけでのアーティストとの共同制作楽曲や、コラボライブなども開催されています。

このように、ジャニーズグループの枠を超えた音楽性を追求することで、従来のアイドルファンにはならなかったコアな音楽ファンや男性ファンを獲得することに成功しています。

バンドのイメージが強いグループとしてTOKIOも挙げられますので、やはり「バンドをやっていて音楽性が高い」だけでは独自のポジショニングは築けないですし、「関西色・面白い」だけでも、他の関西出身グループや、それこそお笑い芸人とポジションが容易に被ってしまうことが予想されます。

そのため、強い関西色×高い音楽性という強みの掛け合わせを用いて、関ジャニ∞は独自のUSPを確立しているのではないでしょうか。

「ジャニーズっぽくない」ポジショニングがもたらした結果とは

ここまでお伝えしてきた「関西イメージ×高い音楽性(バンド)」の関ジャニ∞の特徴をふまえて、当時のジャニーズグループのポジショニングマップを作ってみました。

※あくまで個人の所感とイメージですので、他にも楽器の演奏をするグループはあります。
(バンド・演奏のイメージが強いかどうかで分けています)
※お笑いかクールかという軸は完全に主観です。どちらの路線で売り出しているイメージが強いかという感覚で分けていますので、実際のギャグセンが高いかどうかなどは関係ありません。
※関ジャニ∞が売れ出した当時の分布図を想定し、2011年までにデビューしたグループのみ入れていますので、現在はより色々なグループが入ってきます(該当年の全てのグループを入れているわけではありません)。

王道の「ジャニーズらしさ」としては、「かっこいい」「歌とダンスのパフォーマンスがメイン」というもの(上記の図だと左下)が主なイメージだと思います。

しかし、関ジャニ∞はあえて「ジャニーズらしさ」の王道とは外れた箇所を際立たせることで、独自のポジションを獲得していきました。そのため、よく「ジャニーズっぽくないグループ」として名前が挙げられます。

「従来のコア層」とは違う顧客のニーズに答えることによって、ブルーオーシャンで新しい顧客を獲得することができます。 関ジャニ∞も独自のUSPを確立させることによって、以下のように、従来のジャニーズファンにはならなかった層も新規ファンとして獲得していると考えられます。

実際に私も、関ジャニ∞のファンになるまで、音楽やお笑いなどは好きでしたが、ジャニーズを含めたアイドルにハマったことはおろか、ほとんど知識がない状態でした。

このように、関ジャニ∞の「ジャニーズっぽくない」を追求したポジショニングは、ジャニーズという括りではなく、「関ジャニ∞」単体の新しいファン層を獲得していくことに成功したのではないでしょうか。

信頼性を高めるストーリーの見せ方

人間は本質的にストーリーを好み、ストーリーを通して物事を理解するという特徴があり、この性質は「ストーリーテリング」という手法として、マーケティングにも取り入れられています。

例えば、お客様の体験談や、体験談風のYouTube広告や漫画広告などをつい見てしまうという方は多いのではないでしょうか。このような手法も、ストーリーテリングの一環といえます。

その他、「開発ストーリー」「製品へのこだわり」などの背景や、あえて「商品の弱点」を赤裸々に語ると信頼を得られるという心理構造があり、実際にLPや企業サイトでもこういったストーリーを語るコンテンツはよく用いられます。

私は、関ジャニ∞はこのストーリーテリングを効果的に活用していると感じています。

メンバー脱退からの信頼回復

関ジャニ∞は、立て続けに2人のメンバーが脱退しました。1人目の脱退の際に決意を新たにしたメッセージを発信していた分、2人目の脱退で不信感を持ってしまうようなファンもいたと考えられます。

ここからの信頼回復をどうしていくかというところで、関ジャニ∞は、ファン限定特典で、メンバー同士で今後の方針を話し合っている場面を撮影して配信しました。

その中で「もう脱退は無しにしよう、もしも次誰かが続けられなくなるという場合は、グループを解散しよう」という話も出ています。

テレビ番組や記者会見などで解散のことについて話す機会を設けることもできたと思いますが、対外的に作られた言葉よりも、メンバー同士でありのままに話しているシーンをそのまま見ることによってファンは嘘をつかない彼らの姿勢を感じることができたのではないでしょうか。

また、自分達の弱みである脱退の話をあえて公開することで、完璧につくろっているよりも信頼感を与えられると考えられます。

新楽曲の制作過程

また、直近2021年11月にリリースされたアルバム『8BEAT』を発売する際には、音楽番組の中でアルバム収録曲の作曲、歌の練習、撮影の風景も撮影してその制作過程を放送していました。

歌については最初から上手く歌えたわけではなく、何度も練習をして上達する過程が放送されており、ただ完成版を聞いただけでは分からない努力やこだわりが伝わってきました。

このように、ファン向けに整えられたメッセージではなく、ありのままの過程をストーリーとして伝えることで共感や信頼性を生み、ファンの心をひきつけることに成功していると思われます。

コラム

SNSの活用 現在は、SNSの活用も重要なマーケティング施策になっています。

タレントもSNS活動をすることが一般的になってきていますが、ジャニーズは今まで、アイドル自身が更新するSNS活動は行っていませんでした。

しかし、近年ではジャニーズ事務所を脱退したメンバーや、嵐などがSNSの更新をする動きが出てきました。
そんな中で関ジャニ∞も2021年にグループ全体でのInstagramアカウント、大倉忠義さんの個人Twitterアカウントを開設しました。

アカウント開設から今でも、メンバー自身がSNSの投稿やLIVE配信を行っています。

■関ジャニ∞公式Instagram
https://www.instagram.com/kanjani8_official/

■大倉忠義さんTwitter
https://twitter.com/J_ohkura_88

このようなSNS導入も、ユーザーの生活様式に合わせるという意味でも、競合になり得る他タレント、元ジャニーズメンバーの脅威への対策のためにも効果的な施策として働いているのではと考えられます。

まとめ

関ジャニ∞は、コテコテの関西色、アーティストと肩を並べての音楽活動など、「ジャニーズっぽくない」イメージを定着させることで、ジャニーズ内での独自のポジションを獲得していきました。

また、信頼を獲得するストーリーの見せ方、SNSの活用なども、今でも多くのファンを持ち続けている要因になっていると考えられます。

自社のマーケティング戦略に一生懸命取り組んでいるからこそ、難しく考えてしまい、凝り固まった思考になってしまうことはよくあるのではないかと思います。

たまにはこんな風に、自分が好きなアイドルやいつも愛用している商品などからヒントを得られるかを考えてみても良いかもしれません。

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おまけ

ここからは、ただの関ジャニ∞ファンとしてお伝えしたいことを追記します。
今回、ポジショニングの話をするために関ジャニ∞を「ジャニーズっぽくない」イメージを定着させたとお伝えしてきましたが、実はちゃんとジャニーズっぽい曲もいくつもありますし、ダンスもきっちりしています。

↓こんな風に・・・!

ただ、やはりこのような王道ジャニーズっぽいイメージを関ジャニ∞に持っている人は一般的には少ないでしょう。

ファンはかっこいい関ジャニ∞の姿を他の人にも知ってほしいと思っている一方で、「ファンである自分達しか知らない姿」に優越感を持っているので、ポジショニングをしっかりすると、このような特別感を感じさせることもできますね。

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岡野歩美

デジタルアスリート株式会社 ウェビナーマーケティング部 プロデューサー 新卒でWebコンサルタントとして入社し、約1年後に入社前からの夢だったコピーライターに転身。 現在はコピーライティング、Web制作ディレクション、コンテンツマーケティングをメインとして担当し、Webマーケティング全体を支援するプロデューサーとして活動中。 休日はひたすら漫画を読んでいるか、1人カラオケか、Twitterをやっています。 Twitterが好きすぎて、社内のTwitterイベントを企画してしまいました。 言葉の可能性を信じ、「お客様のサービスの価値が最大限伝わるライティング」を追求し続けています。

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