はじめに
Facebook広告は、日本国内に2600万人もの利用ユーザーがいる人に向けて配信可能なSNS広告です。Facebookが実名登録であるため、他の媒体に比べて非常に精度の高いターゲティングを行うことができます。
この記事では、Facebook広告を始めたい担当者に向けて、ゼロからFacebook広告の特徴や活用方法・始め方を詳しく解説していきます。
目次
Facebook広告とは
Facebookは、2022年1月時点で1ヶ月当たりの世界利用者数が29億3,000万人を抱える世界的にも有名なSNSです。そのFacebookでマーケティングを行うためのツールとなっているのがFacebook広告です。
Facebook広告は、instagramやAmazon,食べログなどの他のサービスのサイト内にも配信可能なSNS広告プラットフォームであるため、1日1回はFacebook広告を見ている可能性が高いです。
Facebook広告の配信先は4つある
Facebook広告には、Facebook以外にも配信先が他に3つあります。以下にその種類と特徴について記載します。
- Messenger
- Audience Network
Facebookで配信できるフォーマットは全部で4種類あります。PCもスマホでも動画をスクロールすると見ると左上に「広告」と表示されているものを見たことがあると思います。それでは下記に商品・サービスに合った種類について解説していきます。
画像
Facebook広告で最も利用されている1枚の画像を用いたスタンダードな広告です。商品・サービスの特徴をコピーに盛り込み、画像と組み合わせて配信することによりユーザーに魅力を伝えることができます。
投稿の間に挟まって表示されることが多く、特にFacebookはビジネス目的で使用している場合が多いので、BtoB向けの商材だと、最初のキャッチコピーでユーザーを引き付けることができます。
動画
音や動きをつけられるので、商品・サービスの特徴や魅力を動画で伝えることができます。広告で動画を作成する場合、長すぎるとユーザーが離脱する原因になるので、弊社では30秒以内で作成するようにしております。
特に最初の5秒がユーザーが見るかどうかの基準になるので、悩み解決や◯%改善など、事実を最初に伝えることでユーザーの注目を集めることができます。
コレクション
ユーザーが商品を発見してからスムーズに購入まで進むことができるフォーマットです。メインの画像が上に表示され下に3つの小さな画像がグリット型のレイアウトで表示されます。EC系で商品を複数紹介したときに向いており、推したい商品はメイン画像にするのが良いです。
アパレル系の事例では、メイン画像にキャンペーンCMを載せ、機能性をアピール、出演者が来ていた服を広告で紹介しております。
参照:Facebook広告
カルーセル
最大10枚までの画像・動画を組み合わせて設定できます。画像ごとに異なるリンクをつけられるため、複数の商品を一度に紹介することができるだけでなく、ストーリー性のある広告を紹介するのにも向いています。
例えばカルーセル広告で漫画を作成することで、ユーザーの広告を読みたくないという欲を上回り注目を集めることができます。
ビジネスシーンで活用されるFacebookと異なり、若いユーザーに向けた配信が向いています。
Instagramは国内月間アクティブアカウント数が3,300万以上(Facebookは約2,600万人)と、Facebookを超えており、ユーザーに取って親しみ深いSNSになっております。 配信できる広告フォーマットは、「ストーリーズ」「フィード」「動画」「カルーセル」「発見タグ」と全部で5種類あり商品・サービスに応じて設定が可能です。
特にinstagramでは「ストーリーズ」を閲覧しているユーザーが多いため、ストーリーズ広告で続きが気になるコピーやデザインにしたクリエイティブを入れるとユーザーの興味を惹きやすいです。
利用ユーザーの過半数が女性ということもあり、ファッションや美容の広告と相性が良いです。また商品タグをつけることで、サイトやLPを経由させずに、ユーザーに商品ページへ遷移させることができます。
Messenger
Facebookが提供する無料でスピーディーにメッセージができるアプリです。 全世界で見ると毎月13億人が利用しているアプリとなっているため、世界中でみるとLINEより主流になっております。 広告の配信先は、「アプリ内に掲載される広告」「Messengerへ誘導される広告」「広告メッセージ」の3種類あります。
人材系の広告を配信する場合は、内容で「会員登録を行う前にMessengerで手軽に質問をできます」という誘導広告を作成し、ユーザーの心理的不安を取り除く使い方ができます。
ToC向けに商品・サービスを販売する場合でも、チャットボット機能を搭載し、商品購入までのメッセージをテンプレに設定することで24時間365日いつでもLP誘導することができるようになり、成果改善に繋がります。
Audience Network
「グノシー」「食べログ」など、Facebookと提携している様々なモバイルアプリやサイト内に配信することができます。毎月10億人以上が見ている広告であり、幅広いユーザーに向けて配信ができます。モバイル環境のみでの配信となっているため、商品購入などスマホからの流入が多い商品・サービスが向いています。
また、Audience Networkでは自社の広告が意図しないアプリやサイトへの掲載を防ぐため、広告が配信される可能性があるアプリやサイトを一覧にしたパブリッシャーリストを確認できます。
FBアカウント→ビジネス設定→ブランドセーフティと適合性→パブリッシャーリストより確認可能です。
意図しないサイトはパブリッシャーリストから選択し、「ブロックリストに追加」をクリックします。
Facebook広告配信のメリット
Facebook広告には、配信プラットフォームが複数ある以外にもメリットがあります。
実名で具体的にターゲティング候補を絞れる
Facebookは実名登録です。住所・職場・趣味・年齢などリアルな情報を登録する人がほとんどであるため、それらの基本情報を元にターゲティングを行うことが出来ます。
また、ユーザーが広告主のFacebookページやアプリ、イベントでどのようなアクションをしたかによってもターゲティングが可能というFacebook広告ならではの機能があります。
ユーザーIDで正確にユーザーの動向が分かる
アイパスを用いてログインを行うため、FacebookのユーザーIDを元に計測しています。そのため、ウェブブラウザを通してのトラッキングよりユーザーの動きを正確に認識できる効果があります。
あらゆる目的での配信が可能
Facebookを利用しているユーザーは主にスマホを使用しているため、休日・通勤・仕事中なので様々な状況に応じて配信効果が見込めます。例えば購入を検討している潜在層ユーザーに向けて、18時~21時の帰宅時間に合わせて飲食系の画像広告を配信すると効果的です。
広告フォーマットで広告主の工数削減もできる
前述の通り、配信面や広告フォーマットが複数あるため、様々な層に向けて広告を配信することができます。例えば、ECモールの場合、カルーセル広告で画像とURLを複数設定し、広告を一つ一つ作成するよりも工数を削減できます。
Facebook広告の課金方法
Facebook広告には、リンククリック課金(CPC) とインプレッション課金(CPM)の2種類があります。
リンククリック課金(CPC)
広告がクリックされるたびに課金されます。商品の購入やサービスの申し込みなど、具体的なコンバージョンを得たい場合に向いており、売上などの成果に繋がりやすいです。
また、クリックをされなくてもユーザーが広告を見ている可能性があるので 広告運用を始めたばかりで、あまり予算が使えないときにおすすめです。
インプレッション課金(CPM)
広告を表示した回数によって課金形態です。1000回ユーザーに広告が表示されるごとに課金されるものとなっており、 ブランドなどの認知目的で使用されることが多いです。
また、CPC課金で配信してもクリック数が集められない場合、データを集め見込みの高いユーザーに配信がされるようにするためにも、CPM課金に切り替えて配信するのがおすすめです。
Facebook広告の月予算
実際にFacebook広告を始める場合に必要な予算について弊社で算出しているシミュレーション例を紹介します。配信するオーディエンスや商品・サービスの業界別のクリック単価やコンバージョン単価にも影響するので参考程度にしてみてください。
機械学習を進める上では、1週間にコンバーション50件は必要と言われております。50件に満たない、予算があまり用意できない場合はコンバージョンポイントをアンケート入力などに変えることで ハードルを下げてみましょう。
コンバージョンポイントのハードルを下げた結果が下記のシミュレーションです。
こちらのシミュレーションから分かる通り、広告効果を計測するためにも少なくとも月に10万円あることが望ましいです。配信を検討する上で目安としてもらうことをおすすめします。
Facebook広告のターゲティング方法
基本属性
Facebookアカウントを登録する際に記載する情報を元にターゲティングが可能です。(性別・年齢・地域・興味関心・行動)
性別 | 男性・女性・両方含むから選択できます。 |
年齢 | 13歳~64歳まで1歳刻みで選択できます。65歳以上は「65+」という表記で選択します。 |
地域 | Facebookに登録した自宅の住所もしくは、最近の位置情報を元に設定できます。 |
興味関心 | ユーザーがクリックやいいねしたデータを元に8つのカテゴリで300種類以上ある中から選択できます。 |
行動 | 購入行動や目的、電子機器の利用状況などから選択することができます。 |
一例として、下記のようにターゲティングをすることができます。
・東京都内の25歳以上の男性会社員
・大阪府在住でお子さんがいる女性
カスタムオーディエンス
既存の顧客データや商品ページにアクセスした人などの情報を元に設定することができます。例えば「Webサイト訪問者向け」のオーディエンスを設定することで一度サイトやLPに訪れた人向けに配信ができるので、見込みユーザーへの再アプローチが可能となります。
Webサイト訪問者向け | 訪問日から最大日数180日で指定し、自社サイトに訪問したユーザーに向けて配信できます |
エンゲージメント | Facebookやinstagram上でいいねなどのアクションを行ったユーザーに向けて配信できます |
顧客リスト | 自社で所有している、メールアドレスや電話番号といった情報をもとにターゲティングできます |
類似オーディエンス
カスタムオーディエンスから特性や行動が似ているユーザーをターゲティングしたものを類似オーディエンスと言います。
管理画面上では、カスタムオーディエンスで設定したリストを元に1~10%で設定して配信が可能です。%が高いほど配信されるユーザー数も増え、ユーザーの特性も散らばっていくため、予算が少ない場合は1%から始めるのがおすすめです。
キャンペーンの種類
キャンペーンの目的は、以前11種類ありましたが、現在は6種類に簡略化されております。
キャンペーン目的 | 内容 |
認知度 | 商品・サービスの認知度を高めたい場合に使用 |
トラフィック | 広告を見たユーザーをWebサイトやアプリのダウンロード先に遷移させたい場合に使用 |
エンゲージメント | FacebookやInstagram上でメッセージや動画再生数、投稿のエンゲージメント、イベントへの参加者を増やしたい場合に使用 |
リード | 商品・サービスに対して、興味を起こしてもらいメルマガ登録などの行動を促したい場合に使用 |
アプリの宣伝 | アプリをインストールする人を増やしたい場合に使用 |
売上 | 商品やサービスを購入する可能性が高いユーザーに向けて配信したい場合に使用 |
弊社で担当している案件のほとんどが、購入などのコンバージョン目的であるため売上目的で配信をすることが多いです。
Facebook広告の獲得事例
実際に弊社で運用していた案件での獲得事例について紹介します。
投資商材でCPA3,000円台で獲得
金融投資商材にて、家族系のイラストで父親に焦点を当てたコピーでクリエイティブを配信し、1ヶ月あたりCV30件、CPA3,000円台でリスト獲得に貢献できております。
物販商材でCPA10,000円で獲得
物販商材でストーリー性をもたせたクリエイティブを作成することで1ヶ月あたりCV18件、CPA10,000円台で注文獲得に貢献できております。
他媒体との比較事例
商材:健康医療(1ヶ月の計測数値)
媒体名 | CPC(クリック単価) | CVR(コンバージョン率) | CPA(コンバージョン単価) |
¥142 | 1.30% | ¥16,439 | |
¥233 | 2.33% | ¥9,958 |
一例ですが、クリック単価は高くなるものの、CVR、CPAはGoogleに比べて高い結果となっております。そのため、最終的な商品・サービスの売上増加に繋がりやすいという特徴があります。
特にGoogleのディスプレイ広告配信でCVが取れない、CPAが高騰してしまうという場合は、Facebook広告に切り替えて広告配信を行うことがあります。
Facebook広告を成功させるポイント
自動入札に合わせて広告を作成する
自動入札とはキャンペーンや広告セットで設定した「日予算」を消化しつつ、コンバージョン目的ごとの単価が一番安くなるように自動で調整してくれる入札方法です。
Facebook広告は配信するターゲットや配信先・配信フォーマットを細かく設定できますが、その分、パフォーマンスに作用することが多いため、手動の設定でパフォーマンスを上げ続けることは難しいです。配信パフォーマンスを高めるためにも、Facebook広告の自動入札機能をうまく活用していくことが大事です。
クリエイティブを週単位で見直す
Facebook広告では、配信するクリエイティブによってパフォーマンスが大きく左右されます。そのため、クリエイティブは週に3つ変えるのが望ましいです。商品・サービスの業界や媒体のアップデートなどによって常に広告の効果は変動するので、CPAを安く獲得できている広告があっても継続して配信していると高騰する可能性があります。
よって、常にターゲットや訴求を変えてPDCAを回すことが大事になってきます。予算が少ない場合では、クリエイティブを週単位で回しても効果が表れづらいので2週間に1度は見直すと良いでしょう。
デイリーで15~20CVが発生する広告セットを作る
月予算の部分でもふれたように、週に50件のCVを獲得することで、機械学習の効果が見込まれます。商品・サービスによって難しい場合は、購入ではなくリスト獲得をCVとして機械学習を最適化させることで、各広告セットでもCVが取れる状態にしておくのが望ましいです。
広告作成は広告ライブラリを参考に
広告ライブラリとは、Facebookやinstagramなどに掲載されている全ての広告をキーワードまたは広告主名を使って検索できる機能です。
実際に掲載されている広告に近しい形で見ることができ、広告のリンク先も分かるため、遷移先に合わせた訴求方法やコピーやデザインの作り方を参考にできます。
参照:広告ライブラリ
初めてクリエイティブを作成する場合は、広告ライブラリで配信している広告のリサーチをし、広告の構成要素を真似してみることから始めると良いです。ゼロから自分で考えて感覚を掴むより圧倒的に早く上達できます。
カスタムオーディエンス広告で確度の高いユーザーに配信
ターゲティング方法のコンテンツでも紹介した通り、カスタムオーディエンスは、自社が持つ顧客データの情報を元に、Facebook広告を配信できる仕組みです。
企業が保有しているメールアドレスや電話番号等を元に配信が可能で、自社の商品・サービスに関心を持っているユーザーに向けて広告を配信できるため、広告効果も高められます。
例えば、季節性のある商材の場合、集めたリストを全て登録して配信するのではなく、年別・月別などリストを分けて配信することで、ユーザーの購入意欲が高まる時期に合わせて広告を配信することができ、サイトへの遷移率を増やすことができます。
まとめ
Facebook広告はターゲティングの正確さと豊富な広告配信フォーマットが特徴的です。配信目的によって設定方法が選べますが、配信方法一つを間違えると配信がされなかったり、もしくは予期しない配信に繋がる可能性もあります。Facebook広告の設定には十分に注意して配信していきましょう。
デジタルアスリート入社後、半年間、リスティング広告を始めとした10種類以上の広告媒体の知識を学び、運用を実施。業界問わず様々な案件の効果改善に努める。
その後大手広告代理店にて、テレビ局などのクライアントを対象とした案件にて広告運用を実施。自社と他社での広告運用経験を活かし、現在は主に自社サイトやメディアの管理、記事作成などのコンテンツ制作を担当している。