Amazon広告とは?仕組みからメリット・始め方まで初心者にわかりやすく解説

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佃武彦

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EC市場が拡大を続ける中、自社の商品を「買いたい」と思っているお客様に届けるための、効果的な一手を探していませんか?

Web広告には様々な種類がありますが、その中でも特に有力な選択肢となるのが「Amazon広告」です。

Amazon広告は、他のWeb広告とは異なり、「買う」という明確な目的を持ったユーザーに直接アプローチできるのが最大の特徴です。

そのため、費用対効果の高いマーケティング手法として注目されています。

この記事では、Amazon広告の活用を新たに検討している方や、その仕組みをより詳しく知りたい方に向けて、基本から種類、メリット、そして具体的な始め方までを分かりやすく解説します。

目次

Amazon広告とは

Amazon広告とは、一言でいうと「Amazonのサイト内や提携する外部サイト・アプリに、自社の商品やブランドを目立つように表示できるサービス」全般を指します。

日本国内で推定6,700万人以上が利用する巨大なプラットフォーム上で、自社の商品を知ってもらい、売上を伸ばすための強力なツールになります。

Amazon広告の大きな特徴は、他のWeb広告とは異なり、「何かを買いたい」という明確な目的を持ってサイトを訪れており購入意欲が高い顧客に直接アプローチできる点にあります。

この競争の激しい市場で商品を顧客に見つけてもらうためには、広告の活用が不可欠となります。

広告の出稿や管理は、Amazonの出品者用管理画面である「セラーセントラル」から行うことができ、広告の種類によってはAmazonに出品していない事業者でも利用することが可能です。

Amazon広告の仕組み

Amazon広告の仕組みは、一見複雑にみえますが、いくつかの基本的なポイントを押さえれば理解できます。 ここでは、広告運用の中核となる仕組みについて解説します。

リスティング広告とほとんど同じ

Amazon広告の基本的な考え方は、Googleなどで見られるリスティング広告(検索連動型広告)とほとんど同じです。

リスティング広告についてはこちらの記事よりご確認ください。

 

ユーザーが検索したキーワードに連動して広告が表示され、その広告がクリックされるごとに費用が発生する「クリック課金制」が基本となります。

具体的には、広告主が設定した「キーワード」や「ターゲット」に応じて広告が表示され、クリック単価は「入札」によって決まります。

一方で、リスティング広告と異なる部分としては、Amazon広告の大きな特徴でもある広告を通じて得られた「売上」が、Amazon内での自然な検索順位(オーガニック順位)にも影響を与える点が挙げられます。

リスティング広告(広告枠)とオーガニック検索(自然検索枠)の違い

初めての方にとって、検索結果に表示される「広告」と「通常の検索結果(オーガニック検索)」の違いは少し分かりにくいかもしれません。 Amazonの検索結果ページでは、これらが混在して表示されていますが、見分け方があります。

▼広告(スポンサー枠)
商品画像やタイトルの近くに小さく「スポンサー」や「Sponsored」という表記があります。これは広告費を払って表示させている枠です。

▼オーガニック検索(自然検索枠)
「スポンサー」の表記がありません。Amazonのシステムによって「このキーワードと関連性が高く、人気がある」と判断され、実力で表示されている枠です。

オーガニック検索についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

Amazon広告では、まずこの「スポンサー枠」を使って商品を露出させることがスタートラインになります。

上位表示するためには売上が肝

Amazonの検索結果で自社の商品が上位に表示されるためには、「売上実績」が重要な要素となります。Amazonのアルゴリズムは、「顧客にとって最も売れる可能性が高い商品」を優先的に表示するように設計されているためです。

重要なのは、その売上が広告経由か自然な検索経由(オーガニック検索)かは問われないという点です。

売上の好循環(フライホイール効果)

1.広告で商品ページへのアクセスを集める。
2.魅力的な商品ページで高い転換率を達成し、売上が発生する。
3.売上実績がAmazonに評価され、検索順位が上昇する。
4.検索順位が上がったことで、広告以外からの自然なアクセスが増

このように、Amazon広告への投資は、単なるコストではなく、将来の自然な売上を生み出すための「資産」になっていきます。

Amazon広告の種類

Amazon広告には、目的や掲載場所が異なる複数の種類があります。
主に、個別の商品売上を伸ばす「スポンサープロダクト広告」、ブランド認知度を高める「スポンサーブランド広告」、Amazonの内外で顧客に再アプローチする「スポンサーディスプレイ広告」の3つのスポンサー広告と、より大規模なプロモーション向けの「Amazon DSP」に大別されます。
事業のフェーズや広告キャンペーンの目的に合わせて、これらの広告を戦略的に使い分けることが成功の鍵となります。 ここでは、それぞれの広告の特徴と、どのような場面で活用すべきかを解説します。

スポンサープロダクト広告

スポンサープロダクト広告は、個別の商品をピンポイントで宣伝し、売上を直接的に伸ばすことを目的とした、Amazon広告の基本です。Amazonでの広告運用は、まずこの広告をマスターすることをおススメいたします。

広告の表示場所

検索結果ページ お客様がキーワードで商品を「探している」段階でアプローチが可能。検索結果の最上部や中間など、オーガニック検索(自然な検索結果)に溶け込むように表示されるため、クリックされやすいのが特徴。
商品詳細ページ お客様が特定の商品を「比較・検討している」段階でアプローチ。競合他社や関連商品のページに「この商品に関連するスポンサープロダクト」として表示され、自社商品への乗り換えや「ついで買い」を促す。

広告の概要

目的 特定の商品の売上向上、新商品のスタートダッシュ、在庫セールの促進など。
課金形態 CPC(クリック課金)。広告が表示されただけでは費用はかからず、クリックされて初めて料金が発生する。
広告の見た目 出品している商品画像やタイトル、価格、レビュー評価がそのまま広告として表示。広告用にバナーなどを作成する必要はなく、誰でもすぐに始められる。

ターゲティング

オートターゲティング Amazonが商品情報や関連性の高いと判断した検索キーワードに自動で広告を配信する方法。自分では思いつかなかったような購入につながるキーワードを発見できるのがメリット。一方で、意図しないキーワードにも広告が表示され、無駄なコストが発生することがあるというデメリットもある。
マニュアルターゲティング 広告主が自分でキーワードや商品を任意で選定し登録する方法。狙ったキーワードで広告を配信できるため費用対効果を高めやすい反面、キーワードの選定や管理に手間がかかり、ある程度の知識と分析が必要になる。

スポンサーブランド広告

スポンサーブランド広告は、個別の商品を売るだけでなく、ブランドそのものの認知度を高め、お客様に世界観を伝えることを目的とした広告です。お客様にブランドを覚えてもらい、長期的なファンになってもらうためのツールとなります。

広告の表示場所

検索結果の最上部(トップオブサーチ) 検索結果ページの最初に目に入る場所に横長のバナー形式で表示。ここに広告を出すこと自体が、ブランドの信頼性や権威性を高める効果がある。
検索結果のその他掲載枠 CPC(クリック課金)が基本。広告がクリックされて初めて料金が発生。
商品詳細ページ 関連する商品のページにも表示され、比較検討している顧客にブランド全体をアピールできる。

広告の概要

目的 ブランド認知度の向上、新商品ラインナップの訴求、セールイベントの告知、ブランドへの信頼感醸成など。
課金形態 CPC(クリック課金)が基本。広告がクリックされて初めて料金が発生。
特徴 ブランドロゴ、自由な見出し(キャッチコピー)、そして複数の商品を同時に表示できるなど、クリエイティブの自由度が高いのが最大の特徴。リンク先を個別の商品ページだけでなく、ブランドの拠点となる「Amazonストア」に設定できる点も、プロダクト広告との大きな違い。

3種のクリエイティブ

スポンサーブランド広告には、目的に応じて3つのフォーマットがあります。

商品コレクション ブランドロゴ、見出し、最大3つの商品画像で構成される。主力商品の訴求や、関連商品の合わせ買いを促す際に有効。
ストアスポットライト ブランドロゴ、見出し、そしてAmazonストアの各ページへリンクする画像(最大3つ)で構成される。ストア内のカテゴリ(例:「新商品」「トップス」)へ直接お客様を誘導したい場合に有効。
動画(スポンサーブランドビデオ広告) 検索結果ページの中間などで自動再生されるショート動画形式の広告。静止画では伝えきれない商品の使用感や雰囲気を直感的に伝えることができ、特にアパレル、ガジェット、コスメといったビジュアルが重要な商品と相性が良い。

ターゲティング

キーワードターゲティング ・ブランド名キーワード(指名検索):自社ブランド名で検索した顧客に対し広告を表示し、競合への流出を防ぐ。
・一般キーワード:商品カテゴリ名(例:ワイヤレスイヤホン)で検索した顧客に対し、自社ブランドを第一候補として認知させる。
商品ターゲティング(ASIN/カテゴリ) 特定の「商品詳細」ページをピンポイントで狙うことができる。

 

スポンサーディスプレイ広告

スポンサーディスプレイ広告は、Amazonのサイト内だけでなく、Amazon傘下のライブストリーミングサービスであるTwitchや、Amazonと提携するニュースサイト、ブログ、各種アプリなどAmazonと提携する外部のウェブサイトやアプリにも広告を配信できる広告です。

これにより、ブランドの認知度をさらに高め、顧客との接点を増やし続けることができます。

広告の表示場所

スポンサーディスプレイ広告は、Amazonの内外を問わず、顧客のあらゆる購買ジャーニー上に表示されます。

Amazonの内 検索結果ページの最初に目に入る場所に横長のバナー形式で表示。ここに広告を出すこと自体が、ブランドの信頼性や権威性を高める効果がある。
Amazonの外 CPC(クリック課金)が基本。広告がクリックされて初めて料金が発生。

広告の概要

目的 新規顧客へのリーチ拡大(認知)、リマーケティング(再アプローチ)による販売機会の創出、ブランドロイヤリティの向上など。
課金形態 キャンペーンの目的に応じて選択可能。
・vCPM(ビューアブルインプレッション課金):広告が1,000回表示されるごとに課金。
・CPC(クリック課金):クリックされて初めて課金。売上やアクセス数の増加が目的の場合を選択。
特徴 「Amazonの外にも広告配信できる」ことと、Amazonの膨大なデータを活用した「オーディエンスターゲティング」が使えることが、他のスポンサー広告にはない特徴。

ターゲティング

スポンサーディスプレイ広告の真価は、その高度で多彩なターゲティングにあります。大きく分けて2種類のアプローチがあります。

コンテキストターゲティング(「場所」や「商品」で狙う) 顧客が「今、見ているページ」の文脈(コンテキスト)に合わせて広告を表示する手法。特定の商品(ASIN)やカテゴリを指定して、関連性の高い場所に広告表示が可能。
オーディエンスターゲティング(「人」で狙う) Amazonが持つ膨大な閲覧・購買データに基づき、「特定の属性や行動履歴を持つ顧客」を狙い撃ちする手法。
・Amazonオーディエンス:ライフスタイル(例:ペットの飼い主)やインマーケット(例:家電製品を探している人)など、Amazonが事前に定義した様々な顧客セグメントにアプローチが可能。
・リマーケティングビュー:自社の商品を閲覧したが購入しなかった顧客を、Amazonの内外を問わず追いかけて広告を表示する。

AmazonDSP(Demand-Side Platform)

Amazon DSPは、これまで解説してきたスポンサー広告とは違い、Amazonの顧客データを活用してAmazonの内外を問わず、あらゆる顧客接点に広告を配信するためのプラットフォームです。ブランド認知から購買、そして再購入に至るまでの全ての顧客ジャーニーにアプローチできます。

表示場所

Amazon DSPのリーチは、スポンサーディスプレイ広告よりもさらに広範です。

Amazonが所有・運営するサイトやアプリ Amazon.co.jp、Amazon Music、Prime Video、Twitchなど。
Amazon以外の膨大なネットワーク Amazonと提携する数多くのニュースサイト、ブログ、各種アプリなど。
Amazonデバイス Fire TVやFireタブレットなど、Amazon独自のデバイスにも広告を配信。

広告の概要

目的 Amazon内外での大規模なブランド認知度向上、新規潜在顧客へのリーチ最大化、競合からの顧客獲得、自社サイトや実店舗への送客など、フルファネルでのマーケティングが目的。
課金形態 主にCPM(インプレッション課金)がベースとなります。広告が1,000回表示されるごとに費用が発生。
最大の特徴 ・Amazonに出品していなくても利用可能:自動車メーカーや金融機関など、Amazonで商品を販売していない企業でも、Amazonの強力な顧客データを活用して広告を配信できる。
・Amazonの枠を超えたリーチ力:Amazonサイト内だけでなく、インターネット上の膨大なウェブサイトやアプリに広告を配信可能。

クリエイティブの種類

スポンサー広告よりもクリエイティブの自由度が高く、ブランドの世界観を豊かに表現できます。

ディスプレイ広告 様々なサイズの静止画バナーやアニメーションバナー。
動画広告 YouTubeのように、動画コンテンツの再生前や再生中に挿入されるインストリーム動画など。
カスタム広告 Amazonと連携して作成する、よりリッチでインタラクティブな特殊フォーマットの広告。

ターゲティング

Amazon DSPの核心は、スポンサーディスプレイ広告をさらに超える、詳細かつ強力なオーディエンスターゲティングにあります。

Amazonオーディエンス インマーケット(特定カテゴリの商品購入を積極的に検討している層)やライフスタイル(アウトドア好きなど)といったセグメントでターゲティングが可能。
類似オーディエンス 自社の優良顧客と行動パターンが酷似している未来の優良顧客をAmazonのデータから探し出し広告を配信する。
広告主オーディエンス 自社で保有する顧客リスト(CRMデータ)や、自社ウェブサイトの訪問者データを活用してアプローチが可能。

Amazon DSPの利用形態と対象者

Amazon DSPは非常に強力ですが、その分、専門知識とまとまった予算が必要となります。

対象となる事業者 大規模なブランド認知を目指す中〜大企業や、Amazonに出品していないがAmazonの顧客データを活用したい企業。
利用方法 Amazonの専任チームに運用を委託する「マネージドサービス」(最低出稿金額が数百万円〜)と、代理店などが直接操作する「セルフサービス」がある。

Amazon広告のメリット

Amazon広告を活用することには、他の広告媒体にはない独自のメリットがあります。購入意欲の高い顧客に直接アプローチできるだけでなく、広告費を将来の売上につながる資産として育てることが可能です。
さらに、Amazonが持つ精度の高い購買データの活用や、少額から始められる手軽さ、そしてデータに基づいた販売戦略を可能にする詳細な分析機能も、大きな魅力になります。

ここでは、これらのメリットを5つのポイントに分けて詳しく解説します。

メリット1:購入意欲が高い顧客に直接アプローチできる

Amazon広告の大きなメリットは、「何かを買う」という明確な目的を持ったユーザーに直接商品を提案できることです。
Google検索が顕在層、SNSが潜在層が主な目的であるのに対し、Amazonは「買い物」の場です。そのため、他の広告媒体と比較してコンバージョン率(購入率)が高く、費用対効果に優れているといえます。

メリット2:広告が将来の売上を作る「資産」になる

広告経由の売上実績は、Amazon内のオーガニック検索(自然検索)の順位を決定する重要な要素となります。
広告への投資が、将来の自然流入を生み出すための戦略的投資となり、中長期的な売上基盤を築く資産として積み上がっていくのです。これは出稿を止めると効果がゼロになる一般的なWeb広告との大きな違いになります。

メリット3:本当に欲しい人にだけ広告を届け、無駄な費用を削減

Amazonは世界有数の購買データプラットフォームであり、「過去に〇〇を買った人」「最近〇〇を閲覧した人」といった、顧客のリアルな行動履歴に基づいた高精度なターゲティングが可能です。
これにより、商品に関心を持つ可能性が高いユーザーに絞って広告を表示できるため、無駄な広告費を削減し、投資収益率(ROI)を最大化できます。

メリット4:少額予算から始められ、リスクコントロールが容易

Amazon広告は「1日1,000円」といった少額予算からでもスタートできます。
また、「1日の上限予算」を設定すれば想定外の費用が発生することもなく、安心して試すことができます。課金方式もクリック課金(CPC)が基本なので、広告が表示されるだけでは費用はかからず、クリックされて初めて料金が発生するリスクの低い仕組みです。

メリット5:何が売れるかが数字でわかり、次の戦略が立てやすくなる

広告を運用すると、「どのキーワードで」「どれくらいの費用で」「何個売れたか」といった詳細なデータが全て数値で可視化されます。
このデータを分析することで、広告運用の最適化はもちろん、顧客が本当に求めていることや、自社商品の強み・弱みが浮き彫りになります。これにより、勘や経験だけに頼らない、データに基づいた科学的な販売戦略を立てることが可能になります。

Amazon広告のデメリット

Amazon広告は多くのメリットがある一方で、運用前に知っておくべき注意点も存在します。
市場の競争激化による広告費の高騰や、継続的な運用管理の手間、そして商品ページ自体の魅力がなければ効果が出にくいといった点が挙げられます。これらのデメリットを事前に理解し、対策を講じることが成功の鍵となります。

デメリット1:競争激化による広告費(CPC)の高騰

Amazon市場の拡大に伴い広告出稿者も増え続けているため、特に人気のあるキーワードのクリック単価(CPC)は高騰する傾向にあります。
何も考えずに入札すると、広告費が利益を圧迫する可能性があります。

▼対策
競争の激しいビッグキーワードだけでなく、複数の単語を組み合わせた具体的な「ロングテールキーワード」を狙うことや、購入に繋がらないキーワードを徹底的に「除外設定」することが有効です。

デメリット2:継続的な運用・管理の手間がかかる

Amazon広告は「一度設定したら終わり」ではありません。成果を出し続けるためには、定期的にパフォーマンスをチェックし、入札単価の調整、キーワードの追加・除外といった改善作業を継続的に行う必要があります。

▼対策
まずは「オートターゲティング」から始めてデータ収集に徹したり、週に1〜2時間など、広告の分析と改善を行う時間をあらかじめ確保したりすることが推奨されます。

デメリット3:商品ページの魅力がなければ効果は半減する

広告はあくまで顧客を商品ページに連れてくる「集客」の手段です。どれだけ多くのアクセスを集めても、肝心の商品ページに魅力がなければ、顧客は購入せずに離脱してしまい、広告費だけが無駄になってしまいます。

▼対策
広告を始める前に、顧客の購買意欲を高める商品ページ(高品質な商品画像、分かりやすいタイトルと商品説明文、十分な数のカスタマーレビューなど)を徹底的に作り込むことが不可欠です。

デメリット4:短期的な赤字のリスク(特に新規商品)

販売実績やレビューが全くない新規出品商品の場合、広告を出してもすぐには購入に繋がりにくく、短期的には赤字になる可能性があります。
この段階での広告は、直接的な利益よりも、販売実績を作るための先行投資としての意味合いが強くなります。

▼対策
新規商品の場合、短期的な利益は追わず、将来のオーガニック検索順位向上のための投資と割り切り、目標ACoS(広告費売上高比率)をあえて高く設定する戦略を取ることが考えられます。

デメリット5:Amazonへの依存度が高まるビジネス上のリスク

売上の大部分をAmazonという単一のプラットフォームに依存することになり、Amazonの規約変更やアカウント問題といった不測の事態に対する経営的なリスクが高まります。

▼対策
広告の最終目標を「オーガニック検索でも売れる状態を作ること」に設定し、自社ECサイトの立ち上げや他のECモールへの出店など、販売チャネルの多角化を常に意識することが重要です。

Amazon広告の他媒体との違い

Web広告にはGoogle広告やSNS広告など様々な種類がありますが、Amazon広告はそれらとは性質が異なります。
その理由は、Amazonが日本国内で推定6,700万人以上が利用する巨大な市場でありAmazon広告に出せる唯一の公式広告であるという独自性にあります。

この独自性が、広告を見るユーザーの目的意識、ターゲティングの根拠、そして広告の成果が将来にどう繋がるかという点で、他の媒体との明確な違いを生み出しています。

各SNS広告の特徴については下記記事よりご確認ください。

 

ここでは、Amazon広告と別媒体を3つの比較軸で詳しく解説していきます。

比較軸1:ユーザーの目的意識ー「情報収集」ではなく「買い物」

各広告媒体の決定的な違いは、それを利用するユーザーの目的意識にあります。

媒体 ユーザーの特徴(目的意識)
Amazon広告 ・購入が明確な目的。
・購買意欲が非常に高く、コンバージョンまでの距離が短い。
Google広告 ・悩み解決や情報収集が目的。
・商品を比較検討している段階のユーザーが多い。
SNS広告 ・情報収集が目的。
・潜在的なニーズを持つが、購入への意識は低い状態。

Amazon広告の強みを理解する上で、ユーザーの目的意識の違いは重要な比較軸です。

Amazonを訪れるユーザーの目的は明確に「購入」です。ユーザーは既に何かを買いたいという意思を持って検索窓にキーワードを打ち込みます。つまり、Amazonは購買意欲が最高潮に達している見込み客が、自ら集まってきている巨大なショッピングモールのような場所だといえます。

訪れたお客様に対し、最適なタイミングで商品を提案できるため、他の広告媒体よりも効率的に購入へと結びつけることがAmazon広告の強みです。

比較軸2:ターゲティングの根拠ー「興味」ではなく「購買行動」

広告の精度を左右するターゲティングの根拠にも、大きな違いがあります。

媒体 ターゲティングの根拠
Amazon広告 ・ユーザーのリアルな購買行動データに基づいている。
・「過去にこの商品を買った」「最近このカテゴリを頻繁に見ている」といった、購入に直結する事実に基づいている。
Google広告 ・ユーザーが入力した検索キーワードというデータを基にしている。
SNS広告 ・ユーザーが登録したプロフィールや「いいね」した内容などの「興味・関心データ」を基にしている。

他の媒体が「興味があるだろう」という推測でアプローチするのに対し、Amazonは「これを買った」「これを見た」という事実に基づいて広告を配信できます。

近年、サードパーティCookieの規制などプライバシー保護が強化される中で、Amazonが自社プラットフォーム内で収集した「購買データ」の価値はますます高まっています。これにより、広告主は外部環境の影響を受けにくく、より確度の高い顧客層に無駄なくアプローチすることが可能になります。

比較軸3:広告の成果が繋がる未来ー「フロー」ではなく「ストック」

広告施策は、その成果が短期的なものか、長期的な資産になるかという視点でも分類できます。

媒体・施策 成果 性質
Amazon広告 ストック型(資産) ・短期的に売上を作りながら(フロー)、その売上実績が検索順位を押し上げるため、将来の自然検索流入という「資産」を同時に育てる(ストック)ことができる。
Google・SNS広告 フロー型(費用) ・基本的に広告費の投下を止めれば、サイトへの流入はほぼゼロになる。
・短期的な集客には強いですが、資産としては残りにくい側面がある。
自社ECサイトのSEO対策 ストック型(資産) ・一度上位表示されれば、広告費をかけずとも継続的な集客が見込める強力な資産になる。
・成果が出るまでに時間と専門知識が必要となる。

一般的なウェブ広告は、出稿を止めると効果もゼロになる「フロー型」のコストです。

しかし、Amazon広告は性質が異なります。短期的な売上(フロー)と、将来の自然検索流入(ストック)の両方を同時に狙える、ハイブリッドな性質を持っています。

広告経由で生まれた売上やコンバージョンは、Amazonの検索アルゴリズムにおいて重要なパフォーマンス指標として評価されます。この実績が積み重なることで、商品のオーガニック検索(自然検索)順位が恒久的に押し上げられるのです。

つまり、使った広告費が単なる販促費で終わるのではなく、将来の自然な売上を生み出すための戦略的投資となります。この点が、他の多くの広告媒体にはない、Amazon広告独自の大きなメリットです。

結論:なぜ、数ある施策の中でAmazon広告なのか?

これまでの比較軸を踏まえ、EC事業者、特にAmazonに出品している(または検討している)事業者にとって、Amazon広告が優先度の高い施策となる理由は、以下の3点に集約されます。

最も「売上」に近い場所で勝負が可能

Amazonを訪れるユーザーは、単に情報を探しているのではなく、「何かを買う」という明確な目的を持っています。購買意欲が最高潮に達している顧客に対し、クリックから購入までがスムーズな環境で商品を届けられるため、他の広告媒体に比べてコンバージョンに至る可能性が高いのが特徴です。

購入意欲が高いユーザー数

自社でゼロから集客する労力をかけることなく、Amazonが持つ推定6,700万人以上ともいわれる膨大なトラフィック(サイト訪問者)に即座にアクセスできます。これにより、スタートアップや中小企業であっても、大企業と同じ土俵で商品をアピールするチャンスを得ることができます。

販売しながら「市場調査」が可能

広告を運用することで得られるデータは、単なる広告成果の測定にとどまりません。「どのようなキーワードで商品が売れるのか」「顧客が本当に求めているものは何か」といった、ビジネスの根幹に関わる貴重なインサイトを客観的な数値として手に入れることができます。これは、勘や経験に頼らないデータドリブンな商品開発や販売戦略を実現するための、強力な経営戦略ツールとなり得ます。

まとめ:まずは「スポンサープロダクト広告」から始めよう

本記事では、Amazon広告の基本的な仕組みからメリット・デメリット、そして他媒体との違いまでを網羅的に解説しました。

Amazon広告の最大の特徴は、単に商品を宣伝するだけでなく、広告経由の売上が自然検索の順位を押し上げる「資産」となる点です。 Google広告やSNS広告とは異なり、「購入」という明確な目的を持った顧客に対し、「実際の購買データ」を用いてアプローチできるため、非常に費用対効果の高い施策といえます。

初心者は「スポンサープロダクト」一択

Amazon広告にはいくつかの種類がありますが、これから始める方がまず取り組むべきは「スポンサープロダクト広告」です。
設定がシンプル: 画像やバナーを作る必要がなく、今ある商品情報ですぐに始められます。
売上に直結: 検索結果という、お客様が商品を一番探している場所に表示されるため、即効性が期待できます。

まずは1日数百円の少額予算、「オートターゲティング」からで構いません。 出品アカウント(セラーセントラル)をお持ちであれば、今すぐにでも設定が可能です。 本記事で解説した内容を参考に、ぜひAmazon広告活用の第一歩を踏み出し、ビジネスの成長を加速させてください。

Writer

佃武彦 記事一覧

2022年に中途入社。当初はセールス部門にて、新規・既存問わず幅広いお客様への提案・サポートに従事し、事業拡大の最前線で経験を積む。現在はマーケセールス部の課長として、自身も営業活動を行いながら、自社マーケティングの戦略拡大にも関与。現場を知るマーケターとしての視点を活かし、顧客への価値提供と自社の成長、双方の最大化を目指している。

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