リスティング広告の正しい単価調整と費用対効果を高める調整方法

  • 2013.10.31
  • 2022.4.14
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単価調整と言われると一般的にはリスティング広告のクリック単価(≒CPC)の調整のことを指します。この単価に対してユーザーが検索を行う場所、時間、方法に応じて「+20%」や「-10%」などの比率で入札単価を調整する機能です。 活用することで、費用対効果の高いユーザーに対して入札金額を引き上げ積極的に広告を表示させたり、費用対効果の悪いユーザーに対しては広告を表示させないという設定ができます。 例えば、通勤時間のサラリーマンに広告を出すために、朝6:00〜8:00の時間帯だけは広告が出るように調整したり、女性向け商材で女性への入札単価を引き上げることでパフォーマンス改善ができます。

今回はGoogle広告及びYahoo!広告において、入札単価調整が適用できる範囲から、コンバージョンを元にした調整方法をご紹介します。

リスティング広告において単価調整は手動と自動の2種類ある

リスティング広告ではユーザーが検索した際に広告を表示させることができます。その際に入札単価の設定が必要になりますが、この設定には手動入札と自動入札の2種類あります。 手動入札とは、「個別のクリック単価」「拡張クリック単価」の2つが、手動入札と呼ばれています。広告グループ単位、またはキーワード単位で広告主が手動で上限入札単価を設定します。 自動入札は、様々なシグナルに合わせて入札単価を自動で調整してくれます。こちらは目標コンバージョン単価やクリック数の最大化など目的にあった戦略を設定し、その目標に合わせて細かい自動調整を行ってくれます。

入札単価調整をすることでユーザーに合わせた最適な入札を行うことができる

まずは、手動入札での単価調整を説明します。キーワード毎に任意の入札価格で設定をすることができますが、追加でデバイスやユーザーの属性、地域などに合わせて単価調整を設定することができます。 この設定によりPCで検索したユーザーには広告を出さない設定を行ったり、特定の地域から検索した人に対しては、積極的に広告を表示するなど設定ができます。これにより商材やサービスに適した入札単価調整をすることで費用対効果を最大化させることが可能です。 入札単価調整は、設定したクリック単価に対して割合(%)で設定することができます。 よく使われるデバイス別の調整と応用を例を交えて説明します。

①デバイス別で入札調整を行う場合

上限クリック単価を100円に設定したキャンペーンで、モバイル端末への表示数をパソコンよりも増やしたい場合、モバイル端末の入札単価を20%引き上げ、最終的な入札単価を120円にします。

例① 基準の入札単価: 100 円 デバイス:スマートフォン +20%(×120%) 【計算式】 100円×1.2=最終価格:120円

これはモバイル端末に対しての調整となるので、シンプルですがもっと細かく設定することができます。

②複数の条件をかけ合わせた入札調整

地域、年齢、性別、デバイスなど細かく設定した場合は計算式となります。

例② 基準の入札単価: 100 円 地域:東京都 +30%(×130%) 年齢:20代 +20%(×120%) 性別:女性 +30%(×130%) デバイス:スマートフォン +20%(×120%) 【計算式】 100円×(1.3×1.2×1.3×1.2)=最終価格:243円

各種デバイス、性別、年齢、所得などに応じて入札調整を細かく設定することができます。そのため商材によってターゲットに合わせた調整をしていきます。 ただしGoogle広告やYahoo!広告によって調整できる範囲が異なるので確認していきましょう。

Google広告とYahoo!広告の入札単価調整できる種類

まずは入札単価調整できる範囲がどこまでなのかをしっかり把握することが大切です。Google広告、Yahoo!広告でもそれぞれ異なるのでチェックしていきましょう。

Google広告で手動調整できる範囲

下記が入札単価調整の種類です。

デバイスのみ-100%に設定をすることで、そのデバイスには広告を配信しなくすることができます。

Yahoo!広告で手動調整できる範囲

Yahoo!広告はGoogle広告に比べ調整できる項目は、少ないので注意が必要です。商材に合わせてメインの広告媒体に習って設定をしていきましょう。

コンバージョンデータを確認して単価調整を行うことで費用対効果を最大化できる

実際に単価調整する際はコンバージョンデータを確認することで最適な調整ができます。Google広告の場合は、コンバージョンに繋がったユーザー属性を確認することができます。 この機能は2022年現在はGoogle広告のみ確認することができるので、Google広告で確認してYahoo!検索広告にも同じ設定を反映していきましょう。 まずは確認方法についてご紹介します。

Google広告のユーザー属性の確認方法

Google広告にログインして概要を見ていきましょう。各キャンペーンを選択後に概要をクリックすることで状況を確認することができます。 概要ページではデバイスごとの比率や、曜日と時間ごとのユーザーのアクションなどをグラフで確認することが出来ます。 次に「オーディエンス」を見てみましょう。 このページではアクセスしたユーザーの年齢・性別・子供の有無・世帯収入などを確認することが出来ます。どんなユーザーがあなたの商品に興味を持っているのか、ある程度知ることが出来ます。 上記のように実際にクリックしたユーザーの属性や購買行動につながったデータを分析した上で、各項目に合わせて調整を行っていくことで費用対効果の改善ができます。 下記が確認できる項目です。 ①年齢 「18~24 歳」、「25~34 歳」、「35~44 歳」、「45~54 歳」、「55~64 歳」、「65 歳以上」、「不明」でのターゲティングが可能です。 ②性別 「女性」、「男性」、「不明」でのターゲティングが可能です。 ③子供の有無 「子供あり」、「子供なし」、「不明」でのターゲティングが可能です。 ④世帯収入 「上位 10%」、「11~20%」、「21~30%」、「31~40%」、「41~50%」、「下位 50%」、「不明」でのターゲティングが可能です。ちなみに、「世帯収入」ターゲティングの利用が可能な対象地域は、アメリカ、日本、オーストラリア、ニュージランドのみです。 年齢や性別でターゲットが明確な商材の場合、ユーザー属性による絞り込みや入札単価調整が有効です。例えばお酒を扱っている場合は成人年齢をターゲットすることもできますし、25~35歳の女性をターゲットとした化粧品を扱っている場合は、その年代・性別への入札を強めることも可能です。 ちなみに、顧客属性のデータはGoogleアカウントの利用状況により判別されるため、非ログインユーザーの絞り込みはできません。 【設定方法】 ①設定したい広告グループを選択 ②「ユーザー属性」をクリック ③年齢別の配信状況が出てきます。 ④入札単価調整したい年齢にチェックを入れると「編集」ボタンが出てくるのでクリック ⑤「入札単価調整比を変更」をクリック ⑥配信したくない年齢の場合は「引き下げ」を選択し「100%」と入力すると、一切配信されなくなります。配信を半分に抑えたい場合は、「引き下げ」を選択し「50%」と入力します。同様に、配信を50%増やしたい場合は「引き上げ」を選択し「50%」と入力してください。

デバイス別の確認方法

ユーザー属性と同様にデバイス別でのコンバージョン情報を確認することができます。同様に入札の引き上げ率等で調整することができます。 一般的には対象となる顧客が使用しているデバイスに合わせて調整を行っていくことを推奨しています。 BtoCのEC通販、化粧品や健康食品であればスマートフォン利用者のほうが多くなるため、モバイルの入札単価調整比を上げることが多いです。BtoBの場合は、普段業務している方が多いためパソコンの入札比率が高くなる傾向があります。 ただし、対象ターゲットの年齢によってはBtoCでもパソコンが多い場合があります。そのため自動入札の配信の結果、コンバージョンしているユーザーがどのデバイスに多いかをこのページで確認してから調整を加えていきましょう。

地域別の確認方法

店舗集客などで商圏が限られる場合、商圏に絞った広告配信をすることが可能です。店舗の所在地以外の地域に広告を配信しても、来店の見込みが低く広告費を浪費してしまう可能性が高くなりますよね。その際に、見込みのある地域のみ入札単価を引き上げ、それ以外の地域は引き下げることが出来ます。引き下げ率100%にすることで、一切配信しないようにすることもできます。 【設定方法】 ①設定したいキャンペーンを選択 ②「地域」をクリック ③画面上部に世界地図が表示され、標準では日本が青くマークされています。 ④鉛筆マークをクリック ⑤「ターゲットにする地域を入力してください」という入力枠がありますので、そこに配信したい地域を入力。地域の指定は市まで可能です。 上記のように、コンバージョン情報を元に調整ができるので、パフォーマンス改善につなげることができます。定期的にどんな属性のユーザーが効果よくなっているのかチェックしていきましょう。

よく使用する単価調整

今回コンバージョンデータの確認方法をお伝えしましたが、そこまで細かく設定する必要があるの?と思う人もいるかと思います。特に使用するケースをいくつかご紹介します。

①スマートフォン専用ページを制作していない場合

スマートフォン向けにサイトを制作していない場合は、デバイス別でできるだけ表示しないことをおすすめします。また実際にGoogle広告で対象のデバイスからのコンバージョンがない場合は、-100%の単価調整を入れて思い切って表示されないようにしましょう。

②地域によって配送を行っていない商品がある場合

通販やECサイトでよくあるケースです。一部の地域には配送ができない商品などを取り扱っている場合は、その地域だけは広告表示しないなど設定することで無駄な広告費を抑えることができます。また逆に特定の地域から注文が多い場合は積極的に広告表示させるために単価調整を行うことで売上を最大化することができます。

③営業時間が決まっている及び繁忙時間がわかっている場合

BtoBなどのサービスの場合は、スケジュール配信と時間帯別の単価調整は必須です。まずは、営業時間(電話応対などが可能な時間)に合わせてスケジュール配信の設定を行います。 スケジュール設定に関しては下記記事をご参考ください。 同時に商材やサービスによっては午前中の問い合わせが受注率が高いもしくは単価が高いなど実際の質が異なるパターンがあると思います。その場合は、午前中は入札価格を120%引き上げて積極的に広告を表示させることで、ニーズに合った調整を行うことができます。 今回は3パターンをご紹介しましたが、実際のコンバージョンデータやお問い合わせの質などに合わせて調整を行っていきましょう。

自動入札の場合、細かく単価調整することができない

自動入札を使用している場合は、どうするの?って思われる方もいらっしゃると思います。 実は利用できる単価調整が限られています。

自動入札としては設定したシグナルを元に入札を自動化する機能のため、細かな調整をこちらから設定をすることができません。 以下は自動入札(様々な入札戦略)を使うことで細かく設定できない調整です。

Google広告の場合

Yahoo!検索広告の場合

上記表のように、自動入札の場合は細かい調整をすることができなくなります。商材やサービスによっては不都合が出る場合がありますので、注意が必要です。

まとめ

今回は入札単価調整の範囲から自動入札までお伝えしました。基本的には入札単価調整は自動入札を導入することを推奨します。 ただし、前述した通り状況によっては手動での調整も必要になるため、仕組みはしっかり理解しておきましょう。例えば、自動入札で上手く調整されていないと感じた時に、どんなシグナルによって悪化しているのかを理解できるようにすることが運用者として大事だと思います。 状況やクライアントの要望に合わせて、必要な単価調整を行えるようにしていきましょう。

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名川 聡

デジタルアスリート株式会社 D2C戦略部 部長
音楽活動のために上京したが、SEO関連の仕事でアルバイトをする中で、インターネットビジネスに興味が湧き、2012年12月にデジタルアスリート株式会社(旧:株式会社リスティングプラス)に入社。
リスティング広告の集客代行から商材のクリエイティブまで 様々な業務を行っている。
50万~1000万円以上の案件を幅広く運用。 約5年間のリスティング広告運用代行及びコンサルティングを経験。
現在はEC商材において、記事制作から広告運用まで幅広い最新広告手法を使いながら、実績作りや新しい媒体開拓を行っている。

プライベートでも、自家製の梅干しや味噌を作るほど健康ジプシーであり、Web集客同様に自身の健康においても常にPDCAを回している。

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