【初心者向け】リスティング広告の予算の決め方と事前に確認すべきこと

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デジタルアスリート株式会社

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リスティング広告を始めたいけれど、

「いくらかかるかわからない……」
「 相場はどのくらいなんだろう…」
「いくら費用が必要か上司に説明しなければいけない…」

このような心境で悩んでいませんか?

私は広告業界で9年専門家として活動していますが、リスティング広告を初めて実施する方の相談で最も多いのは「いくら費用を掛けるべきですか?」という質問です。

広告代理店によっては「月10~50万円から」と最低出稿金額が定まっているケースがあります。これは「最低このぐらいは掛けなければいけない」というより、人的工数などの理由で最低利用料金を定めているのが実態です。

リスティング広告自体には「月10万円以上」「最低100万円以上」「月50万円まで」というような費用の制限はありません。いくらからでも始められて、いつ広告を止める・動かすも自由なのです。

では、どのように費用を決めるべきか?で言うと「目標値が定まっているかどうか」が判断軸となります。この記事を読めば、自社にとって最適なリスティング広告の費用を決定することができます。

リスティング広告はスタートしてからが大事な広告施策です。

運用データをもとに改善を積み重ねることで効果が最大化される広告だからです。「いくらから始めよう?」と迷い、スタートまで時間が掛かり、機会損失を生むようであれば、それはとても勿体ないことです。

できるだけ早くリスティング広告をスタートできるよう、この記事を読んで、リスティング広告の費用における疑問を解決していきましょう。

リスティング広告の費用は「目標値が定まっているかどうか」で決まる

リスティング広告は予算によって広告配信量が変動するため、予算設定が成果に大きく影響を与えます。

この章では、これからリスティング広告を始める際に、予算をどのように決定したらよいのかを解説していきます。

リスティング広告の予算は「目標値が定まっているかどうか」で異なります。

この場合、目標値とは
「目標値 = 目標CPA × 目標コンバージョン数」の計算式を指します。

この目標値は「これ位成果が出たらいいな」という期待値のことではありません。ビジネス目標や実際のLTV、過去の広告運用データなどの実データをもとに算出された根拠ある数字でなければいけません。

目標値を定めてからスタートするのが理想ですが、実際の現場ではそれが難しいケースも多々あります。特に、リスティング広告はWeb広告の中でも基本の広告手法なので、リスティング広告が「初めてのWeb広告」ということもあるでしょう。

そのような場合は、目標値や予算シミュレーションを正確に作ることよりも、まずはミニマムの予算でテスト的にスタートするという方法をとっても問題ありません。その理由は第3章で解説します。

ここからは、

・目標値が定まっている場合
・目標値が定まっていない場合

それぞれのケースで予算の考え方を解説していきます。

Web広告に関するお悩みは、
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これまで1800社を超える企業様をご支援の中で得られた知見を基に、経験豊富なコンサルタントが貴社の戦略設計からWeb広告の最適解をご提案いたします。

目標値が定まっている場合は目標から逆算する

目標値が既に決まっているのであれば、目標値から逆算して予算を決めましょう。 目標CPAと目標CV数を掛け合わせた数字が必要予算となります。

次の章から目標値が定まっていない場合の例をあげていきますが、本来は目標値は定めるべきものです。

リスティング広告に限らず、広告の費用対効果を測るには目標に対して結果がどうだったかを対比させることが重要だからです。

ただし、リスティング広告の場合は

・最低出稿金額が無い
・1日あたりの予算を自由に設定できる
・管理画面からいつでも停止・再開ができる

という特性から、予算を柔軟に調整できるため、必ず目標値を決めて始めないといけない訳ではありません。

あくまでも理想は目標値から逆算して予算を決められることですが、そこまで躍起になる必要もないのです。 その理由については次の章で解説していきます。

目標値が定まっていない場合は最小費用で実施を優先する

目標値が定まっていなくても、Googleが提供するキーワードプランナーを使えば必要予算をある程度試算することができます。

しかし、あくまでも予測値であり「広告掲載を始めてみないと実際どうなるかはわからない」というのが実状です。

そのため、予算シミュレーションの正確性にこだわって時間をかけるよりも、

・メインキーワード群を何にするかを決める
・メインキーワード群のおおよそのクリック単価を確認する
・最低限掛けるべきミニマムの必要予算を算出する

という手順で、ある程度ざっくりと全体像を把握し予算を決めて動き出しましょう。

リスティング広告は開始前のデータにこだわるよりも、開始後の実際のデータを見ながら改善することを急ぐべきなのです。

この章では、その理由と上記3項目の考え方と手順について具体的に解説していきます。

正確なシミュレーションよりも施策の実施を優先するべき理由

リスティング広告に限らず、運用型のWeb広告は大抵の場合「1クリックあたりの単価×クリック数(サイトへの流入数)」で実支払の費用が決まります。

そして、クリック単価はリアルタイムで上下するため、ぴたりと正確な費用を事前に算出することはできません。

テレビCMや新聞広告のように「この枠の掲載料は〇万円」という風に固定の金額で示すことができないからです。

キーワードプランナーの数値はあくまで想定値である

一般的にリスティング広告の予算シミュレーションを立てるには、Googleが提供するキーワードプランナーが使用されています。

キーワードプランナーを使えば、キーワードごとの以下の数値を元に想定値を算出することができます。

想定検索ボリューム × 想定CTR × 想定のクリック単価

 

しかし、何度も言いますがこれはあくまでも想定値にすぎません。
目安を算出する分にはキーワードプランナーがどのツールよりも信頼度は高いのですが、シミュレーション通りになるケースは極稀です。

掲載開始してみないとわからない部分が多い

実際は、

・検索数が少ないキーワードはキーワードプランナーで想定値が表示されない
(=そもそも予測値すら出せないキーワードも存在する)
・想定クリック単価よりも実際の単価が高くなる or 低くなる
・キーワードのマッチタイプによっては想定外のキーワードで露出される場合がある
・広告パフォーマンスの良し悪しによって数字が上下する

など、広告掲載を開始してみないとわからない部分が多々あります。

少額の日予算でスタートすればリスクも最小限

とは言え、開始してみないとわからないものに費用をかけるのは不安ですよね。
リスティング広告は以下の特性があるため、予算を柔軟にコントロールすることができます。

・最低出稿金額が無い
・1日あたりの予算を自由に設定できる
・管理画面からいつでも停止・再開ができる

「まずは日予算5,000円で1週間配信してみよう」という形で少額からスタートしてみて、リスティング広告を理解するところから始めてみてもいいと思いますよ。

すぐに広告を停止することもできるので、思った通りにいかなかったら一旦停止して、軌道修正してから再開するというのも可能です。

リスティング広告は運用しながら改善していくものと考える

そのため、リスティング広告は事前のシミュレーションに時間を掛けるよりも、掲載開始を優先して実際のデータを元に、改善・拡大のための戦略に時間を掛けるべきなのです。

リスティング広告は「運用型広告」とも呼ばれます。「運用型」の所以は、「広告を設定したら終わり」ではなくて、このように「運用しながら改善していくもの」と考えられているからです。

リスティング広告はアカウントを育てていくものという前提理解を持ちましょう。

ざっくりシミュレーションを作って費用を算出する

ここでは、おおよその必要予算のシミュレーションを最小限の時間で計算する方法を解説します。

・メインキーワード群を何にするか決める
・メインキーワード群のおおよそのクリック単価を確認する
・最低限掛けるべきミニマムの必要予算を算出する

先ほど紹介した上記の流れで、これらをある程度ざっくりと把握できれば問題ありません。まずはどんなキーワードで集客するかを決めていきましょう。

メインキーワード群を何にするかを決める

リスティング広告は掲載すること自体には費用は掛かりません。基本の仕組みは、掲載した広告がクリックされた時点で初めて費用が掛かる「クリック課金制」です。

広告は設定したキーワードに応じて掲載され、また、1クリックあたりの費用はキーワードごとに異なります。

初期段階ではあまりキーワードは手広く設定せずに、商品やサービスに関連性の高いキーワードに絞って設定していきましょう。関連性が高いほど成果が見込みやすいからです。

メインキーワード群とは集客において主軸となるキーワードを指します。

メインキーワード群の決め方

下記の例でメインキーワード群を考えてみましょう。

例)
商品:子ども専門のフォトスタジオ
ターゲット:子どもの記念写真を撮影したい人
用途:子どものバースデーフォト、七五三、お宮参りなどの記念日の写真撮影
特徴:都内5店舗、低価格、スタジオがお洒落 

多くの場合、商品やサービスのジャンルがそのままメインキーワードとなることが多いです。この例の場合は「フォトスタジオ」が該当します。 まず、メインキーワードの言い換え表現がないかを検討してみましょう。

例)「フォトスタジオ」の言い換え表現→「写真館」「写真スタジオ」

しかし、これらのキーワードだけでは対象が広すぎる印象です。

「フォトスタジオ」「写真館」「写真スタジオ」はいずれも「子ども専門」を表す言葉ではありません。
「家族写真」「成人写真」「ウェディングフォト」など異なる用途も含んでしまいます。

一概にそれが悪い訳ではありませんが、異なる用途からも広告がクリックされると余計な費用がかさんでしまう可能性が高いです。

リスティング広告を始める初期段階では、ターゲットがまず検索するであろうニーズど真ん中のキーワードだけを考えておけば問題ありません。

サブキーワードでメインキーワードを補足する

メインキーワードの用途や特徴を示すサブキーワードで、メインキーワードを補足しましょう。

例)
メインキーワード + 用途を限定するサブキーワード
→「フォトスタジオ 七五三」「写真館 七五三」…etc

メインキーワード + 特徴を示すサブキーワード
→「フォトスタジオ 中野」「写真館 代々木」…etc

こうなると「フォトスタジオ」のキーワードだけではイメージできなかった具体的な利用シーンが見えてきますね。

ここまでくればターゲットの検索するキーワードと商品やサービスが大きくずれることはないでしょう。

リスティング広告のキーワードの選び方については、以下の記事にてさらに詳しく解説しています。

メインキーワード群のおおよそのクリック単価を確認する

次に、Google広告のキーワードプランナーを使って、メインキーワード群のおおよそのクリック単価を調べてみましょう。 キーワードプランナーでは、実際に1クリックあたりどの程度費用が必要なのかを確認することができます。

ここで注意するべきポイントは、細かく完璧に把握しようとしないことです。 「正確なシミュレーションよりも実施を優先するべき理由」でお伝えした通り、実際の費用は広告を掲載してみないとわからないことがほとんどだからです。

メインキーワード群のクリック単価の費用感がざっくり把握できれば問題ありません。

では、キーワードプランナーの活用手順を紹介していきます。

①メインキーワード群の相場を調べる

キーワードプランナーの「新しいキーワードを見つける」でメインキーワード群の相場のクリック単価を確認します。

メインキーワード群の一部を入力し、可能であれば配信するURLも入力して「結果を表示」ボタンを押します。

すると、

・指定したキーワードの入札単価(下記図の黄緑マーカーの部分)
・指定したキーワードとURLをもとに提案された  

キーワード候補とその入札単価(下記図の黄色マーカーの部分) がこのように表示されます。

提案されたキーワード候補から関連性の高いものに黄色マーカーで印をつけました。

「フォトスタジオ」のような直接サービスを示すキーワード以外に、「お宮参り 写真」のように「用途 + 写真」で検索するユーザーが多いこともわかりましたね。

関連性が高いと思われるものはメインキーワード群に追加していきましょう。

②メインキーワード群の相場に目星をつける

赤枠の部分は、キーワードごとに検索結果上部にリスティング広告を掲載するために必要な費用を示しています。

リスティング広告は広告がクリックされない限り費用は発生しませんが、キーワードごとにクリック単価の入札額でのオークション制となっているため、あまりにも低単価でクリック単価を設定しているとそもそも広告掲載されない可能性が出てしまいます。

赤枠の左側(低額帯)から右側(高額帯)の入札単価が必要になるということです。

「フォトスタジオ 七五三」のキーワードの場合、入札単価は103円~245円と想定されます。結果のクリック単価がいくらになるかはリアルタイムで変動するため事前にはわかりませんが、入札単価以内に収まることがほとんどです。
ここでは入札単価≒クリック単価と考えて問題ありません。

これらのことから、メインキーワード群のクリック単価はおおよそ70円~250円程度ということがわかりました。

キーワードプランナーについては、以下の記事にてさらに詳しく解説しています。

最低限掛けるべきミニマム費用を算出する

最後に、おおよそのクリック単価から必要予算を算出していきましょう。 クリック単価70円~250円の中央値160円でざっくりと計算していきます。

1コンバージョンを生み出すには、100クリックが必要だと考えられています。 一般的なコンバージョン率が1%程度なので、サイトに訪れた100人のうち1人がコンバージョンするという計算です。

1CV = 100クリック × CVR1%

広告の費用対効果を最大化していくには、1日1コンバージョン分のデータは欲しいところです。

となると、1日あたり100クリック分の予算は確保したいですね。月間のリスティング広告の予算は、以下の計算式で考えましょう。

100クリック × 想定クリック単価 × 30日 = 月間のリスティング広告の予算

フォトスタジオの例の場合、

100クリック × 想定クリック単価160円 × 30日 = 月間のリスティング広告の予算 48万円

このようにメインキーワード群の想定クリック単価から必要予算を算出することが可能です。

ここでは一般的なコンバージョン率の1%で計算しましたが、もし現状のサイトデータからコンバージョン率が分かるのであれば、実際のコンバージョン率を当てはめて計算しましょう。

ミニマム費用を用意できない場合は、可能な範囲の費用でも良い

ここまでで計算したミニマム予算が想定より高額だったという場合もあるでしょう。 予算が用意できないからと言ってリスティング広告を諦めるべきか?というと、そうではありません。

実際の現場でも、プロジェクト全体の予算の兼ね合い等でリスティング広告の予算が既に決まっている場合もよくあります。 計算した予算はリスティング広告の費用対効果を最大化していくために必要な予算ではありますが、必ず満額用意しなければいけない訳ではありません。

本来必要な予算という前提意識は持ちつつ、予算設定が柔軟にできるというリスティング広告の特性を活かして、まずは用意できる範囲での予算でスタートしていきましょう。

リスティング広告の最大の強みは、リアルタイムで管理画面にデータが蓄積され、それをもとに改善を積み重ねられることです。

しかし、これらはリスティング広告を始めてみない限りは手に入れることができません。

何よりもまずはリスティング広告を開始して、実際のデータを元に改善・拡大のための戦略を立てていきましょう。

リスティング広告の費用における注意点

ここまではリスティング広告の必要予算の決め方について解説しました。

ここからは、予算決定にあたり勘違いしがちな注意点を補足していきます。

外注する場合は手数料を含めた費用で考える

リスティング広告の運用には、下記2通りの方法があります。

①インハウス運用(自社運用)する
②広告代理店などに外注する

どちらにするかによって費用の考え方が異なります。

外注する場合は、外注先への業務委託手数料も予算内に含めましょう。 手数料の相場は広告費の20%です。

広告費 + 外注手数料 = 予算
100万円 + 20万円 = 120万円


インハウス運用の場合は手数料が発生しないので、予算を丸々広告費に投下できます。

これだけ聞くと単純に「インハウスの方が得だな」と思うかもしれません。

しかし、外注することによってリスティング広告の管理の手間を削減できたり、プロの力を借りることでスピーディーに成果を出すことができます。

外注するか否かは何を優先するかによるので、リスティング広告を開始するまでにしっかりと考えておきましょう。

費用は全額使わなければいけない訳ではない

多くの企業で広告予算は月単位で考えられるため、ここまでも月額予算を例にあげて解説してきましたが、実際のリスティング広告の予算は日単位での管理となります。 広告管理画面でキャンペーンごとに1日の予算設定が可能です。また、広告管理画面からいつでも広告を止めたり、動かしたりすることもできます。 このようにいつでも予算や配信有無を自分でコントロールできる状況下にあるため、月額予算をいくらで準備したとしても予算を使い切らなければいけない訳ではありません。 配信結果のパフォーマンスによって、配信継続する・予算を増やす・一旦止めて検証する等、その都度判断すれば良いのです。 リスティング広告のメリットは、管理画面からリアルタイムで運用のチューニングができることです。費用対効果が悪ければ一時停止して、改善してから再開するのも手ですよ。

設定したら全くその通りの結果になる訳ではない

広告管理画面で設定した内容は全くその通りになる訳ではない、ということを理解しておきましょう。

設定した日予算を超えてしまう場合がある

キャンペーンの日予算を10,000円で設定していたら、毎日必ずピタリと10,000円の費用が掛かる訳ではありません。1ヶ月広告を配信した時の1日の平均が約10,000円と考えましょう。

日予算の結果が上下する理由は、リスティング広告は設定したキーワードの検索回数の増減に影響を受けるためです。

例えば、季節性やトレンド性によって検索回数が増えた日は広告表示回数も増えるため、実際の費用がキャンペーンの日予算を上回る場合があります。

これは検索回数の多い日に広告の表示回数を増やすことで、広告主の広告効果を最大化することを目的とした機能です。

Google広告の場合は、最大で日予算の2倍になることがあるとされていますが、日予算に1ヶ月の平均日数(30.4日)を掛けた金額を上回る費用が請求されることはありません。 10,000円で日予算設定している場合の1ヶ月の請求額は最大でも304,000円ということですね。

設定したクリック単価よりも実際のクリック単価は安くなる

実際のクリック単価とは、1回のクリックに対して請求される最終的な金額のことです。広告管理画面上ではキーワード毎(または広告グループ毎)に、上限クリック単価を設定します。

上限クリック単価は、広告掲載におけるオークション上での最大値を示すため実際のクリック単価とは異なっており、ほとんどの場合で上限クリック単価を下回ります。

下記の図は、設定したキーワードの上限クリック単価と実際のクリック単価(平均クリック単価)の例です。

拡張CPCを有効している場合や、入札単価調整を設定している場合は上限クリック単価を実際のクリック単価が上回るケースもあるので注意しましょう。

費用以外に事前に確認しておくべきこと

リスティング広告は予算以外にも、事前に確認するべき重要なポイントがあります。それはアクセルとブレーキの判断基準です。

目標に対してどのような結果が出たらアクセルを踏むのかの拡大ラインと、ブレーキを掛ける撤退ラインを事前に決めておきましょう。

拡大ライン

目標コンバージョン数や目標CPAが達成できている場合は迷わず増額すべきです。

一気に予算を引き上げると広告露出量が急激に増えCPAが高騰しやすくなるので、現状予算の20~30%程度の範囲で徐々に増額していきましょう。

ただし、増額予算に対して売上が伴っているかの視点も忘れないよう気を付けましょう。

撤退ライン

リスティング広告は改善を積み重ねられる強みがあるので、最初は目標値に届いていなくても、徐々に改善していけば問題ありません。

しかし劇的な改善が難しい場合もあり、時には撤退の決断も必要です。

撤退ラインの基準は売上や資本力によるので一概には言えませんが、ここではこういう場合は一時停止や撤退を検討すべきという例をあげていきます。

例①全く成果が出ない

メインキーワードで広告配信しているのにコンバージョンが全く発生しない場合は、ユーザーの検索意図に対して設定しているキーワードやランディングページがマッチしていない可能性や、競合他社のサービスに負けてしまっている可能性が高いです。

一時停止して戦略を立て直してから再チャレンジしましょう。

例②コンバージョン獲得があってもCPAが目標値を遥かに超えている

コンバージョンが発生しているのであれば、どんなキーワードや広告文の反応が良いのか等、コンバージョンデータから成功要因を分析しましょう。

しかし、目標CPAの3倍~5倍など目標値からかけ離れている場合は改善が難しいケースもあります。

検索意図と設定している広告にミスマッチが無いのであれば、いくらか改善することはできたとしても、最終的に目標値に収めることができない可能性が高いです。

例③クリック単価があまりにも高すぎる

キーワードのジャンルによっては、クリック単価が非常に高騰している場合があります。

例えば、転職系のキーワードは1クリックあたり1,000円を超えることがあります。

1クリック1,000円の場合、仮にCVRを1%だとするとCPAは100,000円となります。
(クリック単価1,000円 ÷ CVR1% = CPA100,000円)

クリック単価は競合性の高さによるところが大きく、自分ではコントロールができません。

仮に目標CPAが20,000円だとすると、クリック単価1,000円の場合はCVRを5%まで引き上げなければいけません。ただでさえ競合性が高い中で、CVRを5倍改善するというのは現実的ではありません。

クリック率やCVRの改善でクリック単価を抑えることもできますが、1,000円が100円になる程の劇的な改善は不可能です。

例②と同様に、いくらか改善したとしても最終的に目標値に収めることが難しそうな場合は撤退の判断をして、別の広告施策に時間と費用を掛けた方が良いでしょう。

最終的な判断は打ち手を出し尽くしてから

これらの例はあくまで「十分に改善を試みた上で」という前提のもとの判断です。リスティング広告は運用データがあってこそ改善に磨きがかかるものです。

やってみてすぐ結果が出なかったとしても、最低3ヶ月は試行錯誤して改善を試みましょう。

リスティング広告における運用改善の考え方はこちらの記事を参考にしてみてください。

まとめ

リスティング広告を始める際に用意すべき最適な費用は、商品やサービスのジャンル・企業規模・目標値によって異なります。自社の状況に合わせて、予算を決定していきましょう。

「目標値が定まっているかどうか」を判断軸とする

・目標値が定まっている場合は目標から逆算
・目標値が定まっていない場合はミニマム予算で実施を優先

のどちらかで方向性を決めましょう。

この際の「目標値」は成果に対する期待値ではありません。実データをもとに算出された根拠ある数字でなければ意味がないので、勘違いのないよう注意しましょう。

予算シミュレーションはざっくりで良い

リスティング広告は広告掲載してみないとわからない不確定要素が多々あります。

時間をかけて作成した予算シミュレーションも、結局はその通りにならないことがほとんどなので、ざっくりと費用感を把握して早く動き出すことが重要です。

・メインキーワード群を何にするかを決める
・メインキーワード群のおおよそのクリック単価を確認する
・最低限掛けるべきミニマムの必要予算を算出する

この手順に沿ってミニマム予算を算出し、開始を優先していきましょう。

広告予算の設定は自由であるということを忘れない

目標値から逆算して決めた予算でも、ざっくりシミュレーションで算出したミニマム予算でも、必ずその金額を用意しなければいけない・使い切らなければいけないという訳では決してありません。

今回紹介した予算の決め方は、あくまで自社にとって最適な予算、すなわち推奨予算の考え方です。リスティング広告には、いつでも停止・再開ができるという大きなメリットがあります。

予算を決める=お財布の準備です。
実際いくら使うかは、拡大ライン・撤退ラインに沿って、適宜判断していきましょう。

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